映画「名もなき者」(A COMPLETE UNKNOWN)
「名もなき者」(A COMPLETE UNKNOWN)を観てきました
最近「ROCKな映画」をよく見に行きますが、ドキュメントものが多く、ほとんどミニシアターでしたが、この作品は久々にシネコンでの上映作品です
(GET BACKはシネコンだったな)
シネコン上映ってことは話題作ってことでもあり、音楽好きに限らず鑑賞する人がいるだろうし、ボブ・ディランを名前と有名曲しか知らないような方(一緒に行ったうちの連れ合いがそう)も、「映画作品」として観たことでしょう
もちろん、私の周りのディラン好きやROCK好きの方もいっぱい観に行ってました
主演のティモシー・シャラメ君は「絶世の美男子」と言われるだけのことがあり、端正な顔立ちですが、演技も大したもので今作では少し薄汚れた感じの若者をうまく演じてました
また、ディランをしっかり研究したであろう、しぐさやしゃべり方、声のくぐもり方など素晴らしく、ウッディ・ガスリーと最初に出会ったときのセリフ一言で「あぁジマーマン(ディランの本名)だ」感心してから、ラストまでディランにしか見えなかった
さらにはギターの演奏や歌も、努力して身に着けて、違和感なく披露してくれました
「FREEWHEELIN」のジャケットでも有名なシルヴィとの出会いと別れ
ジョーン・バエズとのエピソード
様々なアーチストとの出会い
それらによって変化していくディランの心情が響いてきます
実際にはどの程度だったかわかりませんが、映画の物語として成立するような脚色はあるでしょう
だからこそ映画として見入ることができます(コアなファンには不満があるようですが)
秀逸なのは、差別主義やキューバ危機など、当時の世相をニュースで盛り込むことで、そこにカウンターさせるディランの詩の世界が深く意味を持ちます
私がディランを知り、聞き始めたころはもうそれらの時代は変わった後で、「初期のディランの詩」とひとくくりでしたが、その時その時の歴史を味わえたのはうれしいことです
物語はクライマックスのフォークフェスに向かって進んでいきます
同じような映画の草分けである「ボヘミアン・ラプソディ」では感動的なライブで盛り上がりますが、この作品のライブはカオスなものとなります
伝説として知っていた「ユダ!(裏切者)」の罵声、「ライアー(お前はうそつきだ)」と返すディラン、を目にすることができるとは
(実際はこのフェスとは違うライブでのやり取りだったと思うけど)
そういう背景も含め、「Like A Rolling Stone」の演奏は鬼気迫るものがあり、思わず目頭が熱くなりました
なんども問いかける How does it feel
With no direction home
Like a complete unknown
と問いかける
ディランを追ったドキュメントも、この作品も、この一説からタイトルがとられているほど象徴的な問いかけ
あと、「ハルク」や「ファイトクラブ」でも楽しませてもらったエドワード・ノートンが渋くて素晴らしかった
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