エルトン・ジョンの名は洋楽を聞き始めた当初から知っていた。
Beatles、サイモン&ガーファンクル、カーペンターズ…AMラジオの深夜放送でも、歌謡曲やフォークソングに混じって当たり前のように流されていたポピュラーな音楽たち。
でも、「Rockこそ音楽だ!」などとかぶれはじめてからは、Beatlesに集中していき、そこからDeep PurpleやLed Zeppelin、Pink FloydやYesなどに傾いていき、一方でテレビや雑誌で露出の多いKissやQueenなどを友人と話題にしたりしていた。
そのころのエルトン・ジョンへの印象は、「きれいな曲」を書く人であり、めがねコレクターという音楽とは別の話題の人であり、奇抜なステージ衣装の写真の人(当時はビデオなんかないから、雑誌の写真がビジュアルのすべて)であった。
動いている彼を見たのは、映画「Tommy」の中のキャラだけだから、私のメインストリームに乗ることはなかった。
その後、MTV時代になって見た「I Guess That's Why They Call It The Blues」の哀愁に琴線が震わされ、後に出たベスト盤「Love Songs」を購入するにいたり、アダルトなバラード・アーチストという位置に鎮座させてしまった。
しかし、今回このアルバムを手に入れてその考えを改めた。
バラードも素敵だし、POPセンス抜群だけど、ロックンローラーでもあるのだ。
うーん、いまさら何言ってんだか…
どうも最近、古いものの再認識ブームが私の中で起こってるようだ。
「Funeral For A Friend (Love Lies Bleeding)」静かなオープニングから、じょじょに盛り上がってきて、ピアノフレーズが激しくなってくるあたりなど、まさにPOPなバンドが荘厳なオープニングインストをつくったらこうなるという典型。
しかし、そこは稀代のメロディメーカー、エルトン・ジョン。
後半の歌部分になると、70年代のロック(Wingsなんかが近いかな)に仕上がってます。
ベースもブイブイいわしてるし。
以前、Dream Theaterがこの曲をカバーしてるときには、オリジナルももっとプログレしてるかと思いましたが、やっぱりドリムシ仕上げだからプログレになるんですね。
展開力をみればプログレですが、それよりもメロディーセンスの方が利き所ですね。
そういうところもWingsに近いものを感じる所以かもしれません。
「Candle In The Wind」昔買ったバラード集に入っていたから知っているけれど、ダイアナ妃への追悼ソングだとずっと思ってました。(そのときに録音しなおしたほうを聞いてましたから)
オリジナルはマリリン・モンローへの追悼曲だったそうです。
しかし、若かりし頃からこんなに落ち着いたバラードを作る人だったんですね。
やっぱりすごい。
「Bennie And The Jets」この曲のピアノのはねる感じになじみを覚えるのは、Supertrampがこういう雰囲気を持ってるからですね。
もちろん、エルトン・ジョンの方が先です。
「Goodbye Yellow Brick Road」高校生ぐらいまでは、エルトン・ジョンといえば「Your Song」とこの曲だと思っていた。
だから、Rock小僧を自認していた私はエルトン・ジョンを聞き込んでいなかった。
大人になった私はアダルトなバラードなどが好きになっており、エルトン・ジョンを聞くようになった。
しかし、ベスト盤に入っている山盛りのバラードで十分だったから、アルバム単位で聞こうとしていなかった。
でも、テレビやラジオからこの曲が流れると、なにか心のひだに触れるように懐かしさや哀愁を感じる。
おそらく、同じような感覚を味わう人が一杯居るであろう、永遠の名曲。
「This Song Has No Title」短いなかにもいくつかの表情を見せる不思議な曲。
「Grey Seal」リズム隊が頑張っている軽快なナンバー。
だけど、一番リズムを司ってるのがピアノだと思えるほどに、メロディ・メーカー、ボーカリストとともに、ピアノ・プレイヤーとしても素晴らしいことを教えてくれるナンバー。
「Jamaica Jerk-Off」ちょっとレゲエを取り入れて…のつもりだろうけど、コーラスにその片鱗がみえるだけで、ちょっと消化不良で中途半端。
「I've Seen That Movie Too」1枚目ラストをかざる、ちょっとマイナーなバラード。
「Sweet Painted Lady」エルトンらしいスローナンバー。
ホーンの入り方や、ベースラインなどにBeatlesに通じるものがあるが、ピアノプレイひとつでエルトン節に持っていける。
「The Ballad Of Danny Bailey(1909-34)」プログレっぽい展開を持つ曲で、結構私のつぼ。
ベースが動き回ってるところが良い。
でもサビになるとPOPなメロディになってしまう。
「Dirty Little Girl」ベース中心の音作りにオルガンが絶妙に絡む渋いナンバー。
ELOのイメージに近いが、もちろん彼のほうが先。
「All The Young Girls Love Alice」重いベースと歪んだギター中心のRockな一曲。
「Your Sister Can't Twist (But She Can Rock 'N Roll)」私の持ってるイメージはこれがエルトンって感じのピアノロックンロールのイメージ。
ソロになってからのジョン・レノンと交流するのもうなずける。
「Saturday Night's Alright For Fighting」前曲に続いて、畳み掛けるようなロックンロール。
サビを知ってるから何度も聞いたことがあるはずだけど…いやぁロックなエルトン・ジョンもいいよなぁ。
「Roy Rogers」と思ってたら、また落ち着いたエルトン・ジョンが現れた。
2枚組なんだから、1面まるまるロックンロールでも良かったと思うけど…
悪い曲じゃないけどね。
「Social Disease」サウンド・エフェクトのお遊びも満載のお気楽ナンバー。
バンジョーの音のせいでカントリーっぽい仕上がり。
いやほんと、いろんなジャンルのピアノをこなす、すごい人だ。
「Harmony」ラストはしっとりと、”らしい”バラードを短めにさらっと。
派手になり過ぎない、荘厳になり過ぎない、ちょうどいい感じのデザートって感じ。
定番度 85% これもロックの歴史を飾る名盤の一枚。
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