January 09, 2024

ライブレビュー「キツネの嫁入り」One Man Live 2023 その2

014  

第2部はひさよさんのソロ「青天井」からスタート
きっちりアナウンスするわけでもなく、気が付けばひさよさんだけスタンバっていて弾き始めている
皆が徐々に静かに引き込まれていく
「消えない影」「最後の朝焼け」
オリジナルデュオでの演奏が続く
静かな伴奏にマドナシさんの優しい声が響く
「最後の朝焼け」に関しては私自身の思い込みが強く、イントロが流れた時点で目頭が熱くなる
十数年前、縁あってマドナシさんと出会い、この曲に出会った
その後、いくつもの別れもあった
それでも”いまここに私”が居続けている
ホーンが印象的な新曲をはさんで「せん」
ベース入りの4人編成になったころの名曲
バンドっぽい音で変拍子と楽器ごとに違うリズムを組み入れる複雑な曲
これがメンバー編成変わるごとに「同じ曲か」ってくらいに雰囲気変わる
そう、それはころころバンド編成かえながらも進化を遂げるKingCrimsonに匹敵する進化だ
「BGM」「ヤキナオシクリカエシ」
同じように昔の曲が続くドラムの変化とホーンの味付けが今の編成の味になってる
ただ、とがったシャウトが持ち味だった部分が少し丸くなってる気がした
マドナシさんが歳を重ね親になってきたことでの変化かな
「swimmingman」「loopgirl」
最新アルバムからの曲が続く
まだライブでは聞きなじんでいない分、ゆったりとリズムに乗ることを心掛けて聴く
ドラムがかっこいい新曲をはさんでいよいよクライマックス
「山羊は死刑台に上らない」
ベースのリズムを軸にノルのだけど、いろんなリズムが絡んでくる、気持ちの悪い心地よさ
ホーンがねちっこく絡むところが今の編成の味なんだろうな
「狂想」
リズムの洪水が心地よい破綻しそうで破綻しない張り詰めた名曲
いやもうどの楽器に集中してリズムに乗ればいいのか
いや、リズムに乗ることをはなから曲批されている
四の五の言わずに没入しとけと
「standardboy」
最新アルバムからの静かな曲で本編終了

アンコール
「死にたくない」
以前からアンコールでよく聞けるが今夜は少し違う感じで響いてきた
そのPVの雰囲気でみんなで明るく踊るようなイメージがあるけど、「最後の夜明け」で揺り動かされた気持ちで聞くと、すごく深く響く
『死にたくない』と『もう死にたい』の対比
再び涙があふれてきた
「俯瞰せよ月曜日」
こちらもあなじみの曲だけどホーンの絡みが今までと違う側面を見せてくれる
そしてひさよさんのコーラスが余韻として脳内に響き渡る
『言葉はいつも足りないから』

ワンマンで初期の曲から最新の曲まで、じっくり堪能させてもらった
日々あふれてる数多の音があるけど、縁であり偶然であり必然のつながり
キツネの嫁入りに出会えてよかった

| | Comments (0)

December 26, 2023

ライブレビュー「キツネの嫁入り」One Man Live 2023 その1

1216_vidual

いろんな予定を何とかやりくりして、久々にワンマンライブに参加できた
SNSで告知を知ったあと、マドナシさんの書き込みなどを通じて十数年にわたるお付き合いから想起されるいろんな感情がぐつぐつと色めき立っていた
そう、彼らの音楽は、心を揺さぶる何かがある
いつもより早めのスタートに合わせて、また長時間に耐えるべくしっかり椅子席を確保するため早めに会場に入る
マドナシさんひさよさんがお出迎えしてくださった
ただのバンドパートナーだったお二人が、夫婦となり親となり…
年月は感じつつ、変わらぬ雰囲気のお二人だ
一人席に座り、静かに開演を待つ

「最終兵器」
新しめの曲の中で一番「言霊」を感じる曲がオープニング
抑えめのバンド演奏にのってマドナシさんの言葉が響いてくる
毎年ワンマンをしている会場だけあって、音のバランスが良く、言葉がよく聞こえる
「雨の音」
初期の名曲
ひさよさんのボーカルとコーラスが堪能できる
4人編成の頃の曲だが、サックスが加わることでメロウな雰囲気が増す
ただ、ひさよさんのコーラスと同じフレーズをなぞるところは逆にコーラスのアンニュイさを打ち消してしまっていた気がする
いやただ単純に私がひさよさんの声を聴きたいからだけなのだが

「One Day」「考えないバード」「同じ顔の行進」「黒に近いブルー」など、最近のアルバムからの曲が続く
今の編成に合わせた曲はドラム中心にリズムが厚みを増しだす
その分、マドナシさんの言葉が埋もれてしまうのは仕方なくも寂しい気がする
キツネの嫁入り自身がメンバー編成に合わせて音楽が変化してきたのか、音楽を変化させるために楽器編成の変化が必要だったのか
単純な変拍子(この言葉が意味不明だが)から、複雑な編成によるポリリズムのような変拍子に変遷してきたってこともあるかも
そのリズムに乗り切れると非常に楽しい

サックスソロからの「dodone」「もえる街」
と少し抑えめの演奏で再び言葉がよく届く曲が続く
「奴ら」
静かな展開からの怒涛の演奏
プログレっぽさ満開の曲で圧倒したあと
「キヤスメ」
名曲で再び言霊を前面に出して1部が終了

他にも新曲が数曲あったと思うけど静かに聞かせる曲と演奏で圧倒する曲の両極が素晴らしいと感じる内容だった

| | Comments (0)

June 25, 2023

ライブレビュー「キツネの嫁入り×downy」スキマ産業 Live 2023

0001

久々にライブに行った
このブログの記録から行けば、2019年末の「キツネの嫁入り ワンマンライブ」以来だ
途中コロナ渦があったといえ、体調悪化で仕事に体力を残すのが精いっぱいというありさま
特に土曜は治療の関係で「仕事か病院」で予定が埋まり、基本土曜開催の「キツネの嫁入り ワンマンライブ」もいけなくなっていた
そんな折、久々の「スキマ産業」(キツネの嫁入り主催の企画)があると聞き、しかも金曜だと
うまいこと仕事も連休と重なり、木曜と土曜に治療に行けば金曜は空けることができる…と

で、対バンさんの情報を得てYouTubeで音を聴いてみる
これがまた見事に好みに刺さっていた
ということで、体調さえ許せば参戦しようと
SNSで話題にしてたらロック好きの同僚が「一緒に行きましょか」とうれしい提案
前売りを二人分購入
「オールスタンディング」の文字が不安を誘ったが…

会場は二条Growly、初めて行くハコだ

オープニングは「キツネの嫁入り」
最後にライブに行ってからメンバーも大きく変わっており、楽器構成に合わせて既存曲も雰囲気が変わっていた
でも、変拍子の嵐は相変わらずで、友人曰く「ノリがわかったころには曲が終わる」という、私の大好きは変態ぶり
ハコの特性か、マドナシさんの言霊が届きにくかったけど、そこは脳内で補正
メリハリのある演奏で、音の洪水に浸る

初期を知る私には、ゆるりとした「引き算の音楽」が好みではあるけど、メンバー編成の変遷によってそこにある楽器に合わせて「足し算の音楽」と化している
時々訪れるブレイクの緊迫感は相変わらず魅力の一つだ
聴きなれたナンバーで始まり、途中ライブでは初めて聞く曲もはさみつつ、聞きなれた曲が続いて締まる
ラストの「俯瞰せよ月曜日」でピークに達し、次のバンドに譲るべくアンコールなしで余韻のまま終了
もうちょっとひーちゃんさんの美声を聴きたかったが、「言葉はいつも足りないから」のループを胸にしまって次回で会えることを楽しみに

休憩をはさんでDownyさん
音出しの時点で攻撃的なギターサウンド…期待が高まる
このライブの告知を知った時点でYouTubeでとにかく音源を聴きまくる
RadioHead、Mogwai、SigurRosなどに通じる無機的な音楽
ライブではどうなんだろう、と

事前学習が効いたのか、そこそこ耳になじんでいた曲が大音量で全身に浴びせられる
キツネの嫁入りを「足し算」と評したが、こちらは「総和」で浴びせられる音
じゃぁ混沌かというとそうではなく、変則的ながら絶妙にきざまれるドラムのビートと、グルーブしまくるベースが底辺にしっかりあるために一切破綻しない
そこに攻撃的なギターの音が切り込んでくる
音源で聞くと整理されているものがライブだとすべて「圧」となって襲ってくる
これは逆に良いオーディオで大音量で聞かないと彼らの良さは分からないということか(パソコンで音源を聴くだけではものたりない)
ライティングの代わりに映像を同期させて表現する手法だが、これはなかなか「没入」と「突き放し」のどちらでもない、浮遊してる感覚に陥らせて心地よい

このハコの特徴なのか、バスドラの響きが「床から身体に響く」ものでなく、直接「心臓に響く」感じだった
足が衰え常に足先がしびれる湯になった弊害かもしれないが
ともあれ、ヘッドフォンの大音量で聞く音楽でも味わえない、「身体で効く音」は心地よい

身体の負担も考えて、PA前の椅子を確保して臨んだが、どちらのバンドも演奏が始まったら立ちっぱなしで
いやぁ、変拍子にのるのは足の踏ん張りがいるんで途中つりそうなふくらはぎと格闘しながらも完走
普段聞こえにくくなった耳も、大音量で耳穴かっぽじってもらえたし、鼓動が弱くなった心臓もバスドラがAED的に撃ちまくってくれて…
生命力を再起動してもらえたライブでした

| | Comments (0)

December 02, 2019

ライブレビュー「キツネの嫁入り」One Man Live 2019

20191201

16:00 マドナシさんとひーちゃんさんの二人でステージは始まった
二人のデュオ キツネの嫁入りの原点
「雨の歌」
私が大好きなひーちゃんの声で始まる
静かな静かな幸せな時間

数曲、アコースティックのデュオで進む
まだバンドにはまとまっていない新曲たち
今後どう昇華していくかわからないけど、私はアコースティックのこの雰囲気が好きだ

少しずつメンバーが増えて曲が重ねられていく
鈴かなジャジーな雰囲気にも変拍子が放り込まれていく
今の編成になって聞きに行くのは初めてだが、サックスが加わったことで、私が好きな昔のキング・クリムゾンをほうふつさせるところもある

初期のプログレ(?)大作「せん」で第1部は終わる
以前観に行ったときはまだブリッジ部分をベースのとっくんが歌っていたが、彼がいないのでビブラフォンの佐藤さんが歌う…素敵だ


休憩後、静かなベースのフレーズから第2部が始まる
なじみ深い「俯瞰せよ月曜日」「山羊は死刑台に上がらない」と畳みかけるように続いていく

彼らのライブの楽しみかたは、いかに変拍子に乗るかということ
同じ5拍でも「3+2」でのるのか、「2+3」で乗るのか、とか
6拍+5拍を見破り、乗りにくかった曲に乗れた時の満足感、とか

普段4拍が当たり前の人が見に来ると戸惑うだろうけど(笑)

最後は「死にたくない」で終幕

アンコールは2曲、アンビエントな曲と2回目の「俯瞰せよ月曜日」

気が付けば、休憩を含めて3時間の熱演

このブログをさかのぼってみたら「2008年7月」にライブレビューをアップしてる
これが数回目だから、それ以前に今回と同じUrbanGiildに観に行ってるはずだ
その時は4組ぐらいのイベント
気が付けば…10年以上のお付き合いか(驚)
年末恒例のワンマンも、間が空きつつ「2010」「2011」「2013」と今年で4回目
(空白期間は、ひーちゃんファンの私なので彼女の産休中だから行かなかったり、単に仕事で行けなかったり)

出会いが素敵だったので、私としてはトリオ時代の曲の方がなじみが深い
いや、正直そのころの曲が聞きたい
でも、今の編成で進化した彼らも好きだ
今回、アコースティックデュオで始まったときはちょっと期待しちゃったけど
(ひーちゃんのアコーディオンも聞けずに残念)

彼らを追っかけまわしてたら、いつかそういう機会もあると信じて

でも、変拍子大好きの変態プログレオヤジとしては大満足のライブでした

ネットに上がってる昨年のライブ映像より「せん」

 

おまけ 「俯瞰せよ月曜日」PV


 

| | Comments (0)

December 19, 2011

年末恒例 「キツネの嫁入り」ライブレビュー

今年も「キツネの嫁入り」ライブを観に行きました。
去年行ってから、今年は他のライブも一切いけてないという事実。
一年って早いねぇ。

 

今年もワンマンライブ。
最後までゆっくり堪能させてもらいました。

 

【第一部】
「忘却」
「箱庭」
「世界の逆」
「カラマワリ」
「白黒」
「群れをなす」
「夜歩くもの」
「朝焼け」
「答えとして」
前半は1stアルバム前曲集。
レコ発から2年かな、それ以前からも聞いているし、じつに耳なじみの深い懐かしい歌たち。
曲によっては、ドラムの音が「持っているイメージ」を超えるアグレッシブなものもある。
逆にジャンベで仕上げられている曲になるとホッとするみたいな。
まぁ、音の方が強くても、なじみの曲だけに詩の世界は脳内で補正・加味され、問題なく伝わってくる。
そう、キツネの嫁入りは詩の世界に深みがある。
(なので、ぜひCDで聞いたり、オフィシャルページの「lyrics」のページをぜひ観て欲しい)

 

そしてやはり私にとっては最後の2曲が琴線を振るわせる。
「朝焼け」(最後の朝焼け)、「答えとして」
そこには、目の前で聞こえて来る音だけではない、過去の「出来事」がリンクしているせいもあるかもしれない。
それも含めて、私にとっての楽曲たちだ。

 

「本当の自分はどの自分?」
そう聞かれ
「そこから見えるそれ全部」
と、答える。

 

大好きなフレーズは多々あるが、何度聞いても心揺さぶられる。

 

 

 

【第二部】
休憩後の後半、まずはキツネの嫁入り原点であり、今では夫婦ユニットとなった、マドナシさんとひーちゃんさんのデュオ。
忙しいメンバーが集まれないときもライブ活動があり、二人だけでステージにあがることもあるという。
「キツネの嫁入り前夜」と仮名をつけられた二人が作り出す音は、アコギとピアノの優しい旋律にやさしい歌声が加味される。
「死にたくない」
「やさしいうた」
少ない音数ながら、ミニマルっぽく繰り返される戦慄と、ボワーッとした雰囲気。
私の大好物の雰囲気で、日本のドメスティックなフォークでもあり、イメージ的にSigur Rosも想起させる。
懐かしさと新しさが同居する。
あぁ、やっぱこういうの好きだなぁ。

 

「雨」1stアルバム以降の曲としてはかなり聞いている曲。
静かな雰囲気に響き渡るひーちゃんさんのコーラスはいつ聴いても素敵だ。
アコースティック演奏のときのひーちゃんさんは、正面を向いて演奏し歌う。
(セットの関係で、ピアノの時は横向きだ)
ファンの私としては、とてもうれしい。

「ヤキナオシ」軽い曲調(ボサノバタッチ?)で軽快に乗っていると、突如現れる変拍子の嵐。
こういうの大好物です。
平素はドラムが押さえ気味でベースのグルーブが目立ち、変拍子になるとドラムが大活躍。
キツネの嫁入りの”動”が楽しめる一曲。
歌詞もかなりシニカル味が効いていそうだけど…。

 

「ブルー」一転、ベースの重いグルーブから突入する曲。
”動”を超えて”激”の一曲。
ノリノリなのは良いけれど、詩の世界が届かない。
まぁ、ライブはノリを楽しむことに重きを置いているから良いんだけどね。

 

「結局そう」ノリノリのブイブイベースに軽快な木琴が絡む、アッパーな曲。
(ノリの変化具合はPoliceのそれを想起させる)
もちろん、変拍子も盛り盛りで、キツネの嫁入り変態系の代表。

「エール」ピアノの旋律が哀愁味あって素敵な一曲。
一方その詩の世界は独特の雰囲気、深い意味があって、もっとしっかり味わってみたい。
4人編成になってからの曲は、どうしてもサウンドの厚みが出ている分、歌声が聞き辛くなってしまう。
(2ndアルバム出る頃にはHPにlyricsが公開されるのかな、是非して欲しいな)

「俯瞰」おそらくはじめて聞く曲。
ピアノの旋律がとても懐かしい雰囲気で、陰鬱なUK系かな(これも大好物)
もう、素直にノルのを拒否するような拍子の変化。
コーラスとメインボーカルが絡みながら「言葉いつも足りないから」と繰り返すところはメッセージ力が強烈。
混沌とした中に、緊迫したバランスで演奏・コーラスが響きあう様は、絶頂期のYESを思わせる。

 

「せん」ライブも終盤、もはやトリップ状態に陥っている頭に飛び込んでくるビート。
しかしビートに乗ろうとする身体を拒否するかのようなブレークと、変拍子。
さらにはドラマチックな展開。
きっと、ここに詩の中身のたたみかけがあれば更なる高揚感に包まれるはずだ。
この複雑な構図を、繰り返しの鍛錬とライブでの実践で物にしてきたんだろう。
いつしか、大好きな一曲になっている。

「家探し」ラストにクールダウンするかのような優しい曲。
初めて聞くが、1st音源(1stアルバムとは別)に入っている曲のようだ。
ボーイングで奏でられるベースと、ピアノの切ない旋律、控えめなドラム…霧の中に包まれるような、まさに狐に化かされる世界観。
これもSigur Rosの霧の中の世界に通じる雰囲気。

 

~アンコール~
「東西南北」キツネらしい明るいパーティソング(いや、”祭り”か)
彼らの普通のノリはこういうもので、みんなで楽しめる物だろう。
(変拍子ノリを楽しむのは、私のような変態だけだ)

 

第2部(前夜の2曲以降)になると、最初から4人編成のために作られた曲なんで、そのサウンドに比重が置かれている気がする。
おそらく、レコーディングではバランスを重視して、しっかり詩の世界にも浸れるんだろうけど。
ちょっとそこが残念な気もするが、このノリは逆に生でないと味わえない。
いやまったくもどかしい。
第1部の曲たちのように、アルバムで詩の世界もしっかり味わいながら、それを理解(?)した上で ぜひ味わいなおしてみたい。
つまり、アルバムが出たら買って聞きまくって、ライブも繰り返し楽しみに行く。
そうして深まってくるのが「キツネの嫁入り」の世界だ。

 

配布されたセットリストに載っていながら演奏されなかった「月曜日」が気になる。
あぁ、CD発売が待ち遠しいな。

 

1年に1回ペースでしか観に行けないけれど…ずっと続けてくれてありがとう。
これからも続けていってください。

 

この日の物じゃないけれど。Youtubeにいくつかアップされてるんで貼っておきます。
「世界の逆」 「白黒」 「夜あるくもの」 「ヤキナオシ」 「せん」 しかし、過去の映像って編成が違ったりドラムをジャンベでやってたり、全然今回のライブと違うところが…(笑)
他にもあるとおもうのでお探しください。

 

 

 

 

| | Comments (0) | TrackBack (0)

December 21, 2010

ライブレビュー「キツネの嫁入り」One Man Live その2

Jkitune06


この第2部のレビューを途中まで書いていたのが、PCが謎の再起動をしたために飛んでしまった。
泣く泣くもう一度打ち込み始め…これまた再起動でぱぁ。
まぁ、こまめに保存しなかった私が悪いんだけど、後で続きを…と思いながらPCをつけっぱなしにして油断してました。
おかげで、再度打ち込みなおすために、再び音源を聞く機会に恵まれると言うか…このレビューを書き終えるまでは、あの日の感動の余韻を、とできるだけ他の音楽聴いてないから、1週間はキツネ漬け(笑)

20分ほどの休憩をあけての第2部
第1部の予告(というか、「マドナシ」さんの無茶振りか?)を受けて「ひーちゃん」さんの木琴ソロからスタート。
ステージ脇で眺めてたほかのメンバーがそろりそろりと集まって、そのまま1曲目へ。

・白黒
初めて聞いたときに、白黒つけることへの批判と、白黒になりきれないグレーの悲鳴を語った歌詞に感動。
サウンド的にも、あまり変化をつけずに、その分じっくり歌が聴ける。


・せん
6拍ととるか、4+2拍ととるか、初めて聞く曲が変拍子だとつかむまで戸惑いながら、それが心地いい。
途中、木琴の3連と「とっくん」さんの「123456」ってコーラスがまたリズムを惑わせて、6拍側に気持ちを合わせていたら3連側にあわせて4拍打ちに…さらに変拍子も交えて…あぁこういうの大好物。
プログレおやじの血が騒ぎます。
ただ残念なのは、リズムに心奪われて歌詞をじっくり聴けなかったこと。

・結局、そう
前曲から一転、シンプルなリズムをギターが刻み、ドラム・ベースが加わるとパンキッシュな雰囲気に。
パンキッシュといっても、ピストルズやクラッシュ的なものではなく、ほんとうはパンクじゃないのに時代の流れでパンクにくくられたポリスの持ってる、「テク持ちがあえてシンプルに」っていうおしゃれなパンク。(書いてる本人もよーわからん表現だけど…笑)
まぁ、70年代に心奪われてるおっちゃんには、なじみやすい音ってことで。

・夏の終わり
祭りだ。
キツネの本領はやっぱ祭りだ。
それもカーニバルじゃなくて、森の奥でひっそり行われる物の怪の祭りだ。

・聞こえない声
「映画に音楽が使われることになりました」というMCのあとにはじめられたのは、「ひーちゃん」さんがメインボーカルを取る曲。
ジャンベに乗せて歌う「ひーちゃん」さんの歌は、普段からそのコーラスの声に魅せられてた私にはうれしいプレゼント。
もちろん、その世界観は「キツネの嫁入り」そのもの。

あとからネットで得た情報では、「来つ寝世鏡奇譚」というのが映画のタイトルらしい。
要チェックだ。

・家探し
「マドナシ」さんが丹念にギターのチューニングを直し、「ひーちゃん」さんはアコーディオンを下ろしてピアノに座る。
ピアノ中心にベースが静かに低音を埋めていく…あぁ、Sigur Rosで味わうような白い霧の中の世界だ。
先の「ひーちゃん」さんのボーカルもいいが、こういう静かな曲の「マドナシ」さんの声色もまた絶品で、優しく包み込んでくれる。


・雨の歌
初めて聴く曲が続いた後、聞きなれた懐かしいフレーズに心癒される。
ベースのフィルインが今までとは違った味を加えて、にやりとさせられる。

・エール
「エール」なんて、なんとなく「キツネの嫁入り」には似合わない単語なんだけど、淡々と歌われる「歩き出す、歌い出す」という詩は、「マドナシ」さん自身への宣言のようなものなのか。
ベースのスウィング具合がとてもジャジーで、4人編成になった新たな「キツネ」の姿を見せてくれた。

・ブルー、始まりと途中と
一転、ベースがグルービィなものになり、ロックな「キツネ」があらわれる。
これもまた4人ならではの「キツネ」

・東西南北
音が溢れかえる。
どちらかというと「音の引き算」が「キツネの嫁入り」の魅力なんだけど、各楽器に加えてコーラスまでもが重なり合い、少し威圧的にさえ感じる。
思えば、ロックコンサートの後半ってのはこんな感じで各パートがあったまりきって、怒涛のソロの応酬ってな感じなるのが当たり前で、そこに何の疑問も感じていなかった。
だからむしろ、聞く側の私の衰えが在るのか…

・夜あるくもの
もう多くの言葉は要らない。
たまたまネットで知り合った「マドナシ」さんに誘われるまま訪れたライブ。
その最初の出会いのときに一番大きくインパクトを受けたのがこの曲だ。
編成が二人だったり三人だったり四人だったり…それがどのような形であろうとも、この曲から溢れてくる世界観は変わらない。


・最後の朝焼け
サウンド的には繰り返し挿入されるベースのフィルインが印象的で、効果的。
私が出会う前から「キツネの嫁入り」には歴史があったし、いろんな出来事があっただろう。
私が知ってからの数年間だけでもいろいろあった。
CDデビューを果たし、ワンマンライブをし…そんな節目節目に出会うことが出来た。
「キツネの嫁入り」はまた次のステップを迎える。
でも、この曲に込められた思い・想い・魂は変わらないと思う。

 後悔しないように後悔した日々

でも、明日がどうであろうと”今”を生き続ける。


4人となったことで、新たにできるようになったことがある。
4人になったことで、以前のものにプラスされたこともある。
過去のイメージと比較することは簡単だけど、それはそれ・これはこれ。
安定したものとだけ出会いたいのならば、スタジオで丹念に作りこまれた音を繰り返し聞いていれば良い。
それもまた音の楽しみ方の1つだ。
こうして”生”の場面に立ち会って行くのも良い。
それもまた音の楽しみの1つだ。

4人なった理由は知らない。
ただ、4人になる必然がここにあったのは感じる。
楽しい夜でした。


P.S.
音に厚み・強みが出て、大音量で奏でることが出来た点はあるけど、ただひとつ…「ひーちゃん」さんの繊細なコーラスが聞けなくなった曲があることだけが残念。
ただ単純にPA的にコーラスの音を大きくすれば良いって問題じゃない。
音のスキマから垣間見える、”揺らぎ”が効果的なんだ。
「ひーちゃん」さんのコーラスには、その揺らぎが溢れている。



gooリサーチモニターに登録!

| | Comments (1) | TrackBack (0)

December 14, 2010

ライブレビュー「キツネの嫁入り」One Man Live その1

Jkitune05

久しぶりにライブスポットへ赴く。
このブログで見てみると、ちょうど一年前の12月12日に、レコ発イベントで彼らを見に行って、実に丸々一年ぶりのライブ鑑賞。
これまでも幾度かのライブにお誘いいただいてたけど、諸事情で実現せず…でも、初のOne Man Liveとくれば、これは馳せ参じなければと。
そしてなんとか諸々の都合に渡りをつけて、行くことが出来た。

この数日前、「マドナシ」さんが事故ったそうで、mixiにてそのことを知っていたのだけど、数日前に別の場所でのライブも無事済ませたということで一安心。
会場に入ると、受付で「ひーちゃん」さんが迎えてくださり、挨拶がてら相方の様子を尋ねる。
大丈夫そうってんで一安心。
で、会場に入ると本人が松葉杖ついて、来場者に声かけてるのを見て、もう一度安心。

いつでも会えると思ってる人でも、そこに確かなものはなく、ほんの些細な事情で会うことがかなわなくなってしまうことは、彼の歌の世界でもよく歌われていること。
当たり前のようなことが、当たり前じゃないってことを…
でも、この日は会える必然があったんだと。

ほぼ定刻に着いたんだけど、なんとかイスを確保できて、ビールを頼んでちびちび飲みながら開演を待つ。
20分ほど遅れて、会場SEが止まり、客電が落ちた。
テーブルの上のろうそくだけが揺らめき、ステージが明るく照らし出された。


初期の曲から始まったけど、今まで聴いたことがなかったのがまず3曲。

・キツネの嫁入り
イントロからアコギの低音で雰囲気を作る。
アコースティック中心でパーカッションもベースも控えめで、じっくり「マドナシ」さんの歌が聞ける。
あぁ、確かに原点なんだなぁと。
オリジナルは知らないけど、たぶんあまり触らないようにしてるんじゃないかなと想像。

・419
これも静かな曲。
ベースがボウイング(弓で弾く)ことで、シガーロスのような霧に包まれた雰囲気を作り出してる。

・人殺しのワルツ
アコーディオンの音で3拍子をすると、とても軽やかなジプシーダンスの雰囲気に包まれる。
なのに、心が軽やかにならないのは「キツネの嫁入り」独特の毒のせい?
でもそれが好きなんだ。

ここからアルバムでおなじみの曲が続く。
・世界の逆
・群れをなす
・カラマワリ
・忘却
・箱庭

「とっくん」さんベースが加わったことで(アルバム時もゲスト参加してたけど)今までアコースティックレベルで抑えていた(?)「カギ」さんがドラムで活躍してる。
ベースの音圧が加わることで、ドラムで音を強めても飛び出しすぎることがなくなったんだろう。
もともとグルーブ感が好きな私には、この「とっくん」さんのグルーブ・ベースは大好物だ。
思えば、不思議なご縁で「マドナシ」さんと知り合って、お誘いいただいたライブ会場に足を踏み入れたときに演ってたバンドが「LLama」で、いっぱつで気に入った演奏のベースがこの「とっくん」さんだった。
(昨年の「キツネ×LLama」2マンの記事にも書いてます)

ただ、まだこのあたりの演奏はドラムよりもパーカッションを使うことが多く、脳内に残ってるアルバムでの音バランスとさほど違和感はない。

・カエルの人と魚の人
アルバムデビュー前の音源に入ってた曲。
中間部のアコギメインのくだりから、アコーディオンのバッキング・ベースのうねりの入り具合・アコギのヒートアップの仕方、なんかからふとPink Floydの「Animals」時代を思い起こした。
個人的に70年代テイストを感じるアレンジで、いままでと違う印象を受けた曲。
4人で演るのってこういうことよねってのがハッキリした曲。

・その日
初めて聞く曲。
前曲とは対照的な静かな曲。
ミニマルに繰り返されるベースのフレーズ、自由に泳ぎまわるアコーディオン、淡々と歌われるメッセージ。
静かな曲だと「ひーちゃん」さんのコーラスがしっかり聞けるからうれしい。
静から動への転換は、Sigur Rosの世界を思わせる。

・ヤキナオシクリカエシ
一度聞いている気がするのだが、それがいつだったか…
途中で入る変拍子の心地よさや、時折ラップ風に語られる詩。
それらが最後の「あぁもう聞き飽きましたね」の繰り返しにつながっていく。
ベースの雰囲気から感じるにはとてもジャジーなんだけど、やっぱ他にはない「キツネ」の世界観がそこにある。

・答えとして
第一部の最後にこの曲…なんかもったいない気も。
なんせ、大事な1stアルバムの最後を飾ってる曲なんだから…
なんていうのは、私のこり固められた観念であって、比較的今までにも聞いているサウンドを集めた第一部の終わりにこれがあるのは必然なんだと。
安心の世界であり、安定の象徴として…それが求められているかどうかは分からないけれど、私にとってはこの曲は「ここにあってほしい」ものだから、どの位置で披露されようとただ単純に喜んでいればいいのかも。

 本当の自分はどの自分?そう聞かれて
 そこから見えるそれ全部と答える。

20分ほどの休憩が告げられて、第一部が終了した。


gooリサーチモニターに登録!

| | Comments (0) | TrackBack (0)

December 13, 2009

ライブレビュー 「LLama」×「キツネの嫁入り」

Jkitune4_2


私のフェイバリットアーチスト「キツネの嫁入り」が先日1stアルバムを発売。
今日はそのレコ発ライブってんで、以前から楽しみにしていた。
最近東京から戻ってきた、向こうでバンドやってた甥っ子を誘ってたけどバイトってんでパス。
高校生の娘も誘ってたけど、部活で疲れていて「眠い…」ってんでパス。
ということで、一人寂しく会場のアーバンギルドへ。

さっき、このレビュー書くのに過去記事探ってたら、最後に行ったのは1年前の12月。
なんと、この一年を通して唯一のライブ鑑賞が今日ってことで。
うーん、どうりで心の潤いがないわけだ。

「キツネの嫁入り」が主催するイベントプログラム「スキマ産業」は、通常4組以上のラインアップで行われる。
「キツネ~」はゲストを迎える立場なんで、いつもは結構あわただしい。
でも、今回は彼らが主役。
対バンは「LLama」だけで、2バンドだけなんでどっちもゆったり聞けるというお得な日。

思い返せば、ふとしたきっかけでネット上で「マドナシ」さんと知り合い、彼がやってるバンド「キツネの嫁入り」のライブにお誘いいただき、その時にドアを開けて入ったのが「LLama」
子どもができてから、長くライブスポットに行ってなかった私が久々に「音の洪水」に浸ることになったときに触れた音である「LLama」と、そのきっかけをくれた「キツネの嫁入り」の2マンライブ。
うーん、ご縁を感じます。

まずは「LLama」
初めて聞いたときも結構気に入った音だったけど、今回も期待にたがわないいいライブ。
ツインドラムス・ウッドベース・ギター・ギター(時々トランペット)という変則の5人編成。
このバンドに感じるのは、音のパズル。
楽器が多いからといって、ドカドカ押し捲るんじゃなくて、少しずつずれたタイミングで、重ならないように音がつむがれていく感じ。
これが緻密に計算されたものか、フィーリングのなせる業かはわからないけど。
そこそこスキマもあり、また絶妙にスキマが埋められている心地よさ。

で、いろんなタイプの曲を聴いていて感じたのは「ベースが肝」ってこと。
うっどベースをボーイング(弓で弾く)でやっているときは、音の底辺をうまく抑えていていいのはいいんだけど、それよりもピッキング(指で弾く)ときのうねりがいい。
ツインドラムがどちらかというと軽い目で音をスイングさせていくところに、ブイブイとグルーブするベース。
そういうリズム面でも重要な位置。
またギターがディレイを効かせて単音で埋めようとするときにも、ベースのグルーブでメリハリをつけていくという重要な位置。
これがはまっているときはとても気持ちいい。

もうひとつの顔は、ツインドラムが徐々に音数を増やしていって気がつけば音の洪水にあふれているような曲。
こちらはMogwai好きのところにマッチ。

いやぁ、やっぱこちらも好きなバンドです。


変わって「キツネの嫁入り」登場。
いつもなら一曲ずつ書くけれど、今回は全体的な印象で。
なじみの曲もアレンジ変えて違ったイメージで聞けたし、大満足。
初めて聴く曲でもお得意の「変拍子」を取り入れて、思わず「にやり」とさせられる。
いやぁ、私も好きなんですよ、変拍子。

あと、今回特に「パーカッション(主にジャンベ)」の音がすごくよかった。
アレンジ的に、ちょうどいい音数ではまっているってのが一面。
音響的にとてもいいバランスで、メリハリも優しさもハッキリ表情が現れるくらいよく聞こえていたってのがもう一面。

バンド編成がアコギ・アコーディオン・パーカッションの3人編成だから、パーカッションが強すぎるとメリハリが強くなりすぎるし、弱いとアコーディオンのブワーっとした感じに負けてしまう。
それが、今回は、それぞれの楽器が際立っていて、とてもバランスがよかった気がする。
まぁ、この辺はリハで上手く決めても、客の入り方で雰囲気変わったりもするんだけどね。
そうか、今日はメインだから、じっくりリハができてたのかもしれないね。

で、そのジャンベで感じたことがもうひとつ。
ドラムのバスドラや、ベースの低音弦なんかがあると、当然のようにその低い音が響いてきて、ヘソ下あたりに「ズンッ」とくることは当たり前。
しかし今日は、耳で聞こえるジャンベの音とは別に、音にならない「圧」が足元から響いてきた感じがする。
パーカッションの「カギ」さんが上手いのもあるだろう。
しっかりと音を拾って、しっかりとPAから発しられてるからだろうとも思う。
おそらくその「圧」は、録音したりしたものでは感じない、生だからこその「圧」
これも先に書いたバランスの問題で、ギターの低音やアコーディオンの分厚い低音が強いと感じられない類だと思う。

きっと、レコーディングしたことで、当然リハも繰り返しただろうし、曲としても3人のバランスがどんどん熟成されてきたんだろうと思う。
とっても気持ちよい演奏だった。

これまで何度かこのスポットに聞きにきたけど、私の定位置は入り口を入ったPA卓の横。
でも今回は2mほど前に行ったところまで進んだ。
だから気がついたのかも知れないけど、アコーディオンの「ひーちゃん」と、ギターの「マドナシ」さんが素足だった。
(「ひーちゃん」の生足に見とれてたから気がついた?)
いや、だからどうってことはないんだけど、彼らの音と「素足」ってのが妙にマッチしてて、地面から伝わる音楽ってのがあるんだなと。

言葉を大事にする「キツネの嫁入り」
歌と詩を味わえました。


で、歌ってことで最後に。
「LLama」も日本語の歌を丁寧に歌ってるから、歌詞が聞き取れたらもっと楽しめるのかなと。
バンドのサウンドとしては楽しめるけど、歌の中身が伝わってこない。
楽器が多いと、やっぱバランスが難しいんだろうね。
だから余計に、「キツネの嫁入り」の歌が響いてきたのかもしれない。


今まで我慢して、「レコ発に記念で買おう」と思ってた1stアルバム。
今日はライブの余韻を楽しむために、あえて聴かないことにした。
明日には(苦労したという)レコーディング音源を楽しませてもらうつもり。


gooリサーチモニターに登録!

<MANU.s Main Page
<index>


  

| | Comments (0) | TrackBack (0)

December 09, 2008

ライブレビュー「キツネの嫁入り」 再び

000
久しぶりに「キツネの嫁入り」のライブ日程と私の都合が合って聞きに行くことができた。
はじめて彼らとであった三条木屋町の「Urbanguild」前に行ったときも入り口がわからず、何度か前を行ったりきたりしてたのだが、今回も飲み会の若者が看板を隠すようにたむろしていたせいで見逃して行き過ぎてしまった。

その前の予定の関係もあって開演からだいぶ時間がたっていた。
入り口を入ると、ボーカルの「マドナシ」さんが迎えてくれ、ちょっと言葉を交わしてから会場へ。

「勝野タカシ」さんのライブ中だった。
アコギの弾き語りで、ギターの音がウクレレのように軽いんだけど、それがネオアコのムーブメントを思い起こさせる、POPでエネルギッシュな音。
ねばっこい歌でありながら、そのメリハリで音が踊っている。
また聞いてみたいと思った。

続いて「キツネの嫁入り」

「忘却」何回かライブで聞かせてもらったこの曲がオープニング。
耳慣れているせいもあって、とても落ち着くし、いつもの「キツネの嫁入り」の世界にすんなり入れる。

「世界の逆」こちらも7月のライブでも聞いた曲。
変拍子も心地よく、「カギ」さんのジャンベが活躍するアップテンポナンバー。
音の出入りも絶妙で、バランスもこなれている感じで安心して聞ける。

「群をなす」これも7月に聞いた曲。
「ひーちゃん」さんの木琴は、前回聞いたときより「なじんでいる」感じがして、自然に聞いていた。
アコーディオンがないことによる音のスキマを前回は感じていたけど、ギターやジャンベがうまい具合にバランスをとってたからかな。

「白黒」引き続き木琴中心のイントロで、ギターもちょっとパーカッシブな使われ方。
アコーディオンのときは静かに揺れながら弾いている「ひーちゃん」さんだけど、前後左右に踊りながら木琴をたたく様は素敵だ(惚れ直してしまった)
しかし、この曲は音のことよりも「詩」が響いてきた。
とかく「白黒」つけたがることに対して、「グレー」が主張する。
そう、グレーっていうのもありだし、グレーでいることを認めるってのはすごく大事なこと。
理想だけに目を向けるのでもなく、「今、ここ、わたし」の状態をそのまま認めて受け入れるということは、「白・黒」つけられないことをも受け入れていくこと。
「キツネの嫁入り」さんって、詩がしっかり届いてくるから素敵だ。

「雨の声」はじめて聞く曲で、ゆらゆらとたゆたう世界に浸らせてくれる。
全編にわたって「雨の音しとしと 人の音たわたわ」と歌い続ける「ひーちゃん」さんの声も素敵だし、ひたすら繰り返されることでミニマルミュージックの世界に酔っていける。
何故だか判らないけど、「Doors」の「The End」を聞いているときのような高揚感と浮遊感を感じていた。

「カラマワリ」ハンドクラップでリズムを取りながら、パーカッシブなギターとねばっこいアコーディオンがからんでいる。
コーラスもメロディよりもリズム楽器の役割をして、アラビアンやエスニックの入り混じった不思議なグルーブを作り出している。

新しく聞くこの3曲にはとてもリズムを感じる。
すでにあるものにリズムを加えるのではなく、リズムありきで練り上げられていったんじゃないかと思える。

「最後の朝焼け」ライブでも聞いているし、音源でも何度も聞いている曲。
しかし、そこにプラスアルファを感じてしまうのは、ボーカルの「マドナシ」さんに起こった出来事を聞いていて、私のほうが勝手にその出来事を組み込んで聞いてしまっているからか。

音楽を聞くときに、そこで奏でられているものをそのまま聞くのが普通だと思っている。
しかし、人は頭が働いているかぎり、刹那刹那にめぐってくる思いを脳内で混ぜてしまう。
それは発信者がそうしていなくても、勝手にこちらが発信者に装飾してしまうもので、その時点で”私”の思いだ。
「発信者に思いがある」と勝手に想像して、受け取った気でいるが、そうじゃない、こちらの創造物だ。

でも、それを無理やり引き剥がそうとしては、それもまたその刹那の音楽でなくなる。
勝手に想像し創造したものをも含めて、その刹那のリアルなものとして聞いていた。
その結果は…この歌が聴けてよかった。


「キツネの嫁入り」のあとは「石橋英子」さん。
非常に感想を言葉にしずらいのだが…
簡単にいうと「私には合わない」と思った。
ただその言葉だけでは全部を言い表せていない。
その「歌」をもっと聴きたいと思わせるものだった。
かなり自由な演奏のなかに、時折現れる「歌」は素敵だった。
チェロの「音」が組み合わさる瞬間も素敵だった。
しかし、インプロ的に展開される「音」の荒波はきつかった。
ここが微妙なところで、全否定ではなく、昨日の組み合わせで生まれるものが私には合わなかったということで…
そう、違う形で聞いてみたいと思えるのが不思議だ。

振り返ってみると、70年代King Crimsonのライブアルバムを聞いたときに似たようなことを感じたのを思い出した。
ただ、それは最初は即興でもアルバムという形で繰り返し聞くことができるので、即興から「できあがったもの」として聞きなおすことができた。
もしかしたら、昨日の音も繰り返し聞いたら違った印象になるのかもしれない。

(噂に聞いていた「火を噴くチェロ」が見れたのは満足だ)

と、なんだかんだ好き放題書いているけど、結局「キツネの嫁入り」と再び出会えたことがうれしい。
それも、今までとまた違う顔の。
何度か出向いたライブで、それこそいろんなタイプのバンドも一緒に聞いてきたけど、そのきっかけが「キツネの嫁入り」だったというめぐり合わせはもう奇跡に近いものだと思う。

キツネの嫁入りサイト
別の時のものですが、YouTubeに曲が上がってます。
忘却
カラマワリ

<MANU.s Main Page
<index>


  

| | Comments (0) | TrackBack (0)

July 29, 2008

ライブレビュー「キツネの嫁入り」

CDからMP3に変換して聞いていたパソコンがトラぶり、レビューするために音楽を聴くことに困っている。
だもんで、なかなかアルバムレビューができない。
そんなときに、ライブを見に行ったので、その報告を…

Cd2
たまに懐かしのアーチストのコンサートに行く以外、なかなかライブスポットに行くことがなくなっていたが、ふとしたきっかけで知り合ったバンドのイベントを何度か聞きに言っている。
それが「キツネの嫁入り」
まったく音楽とは違う縁で知り合ったのだが、次第にマドナシさんの言葉の世界に惹かれて行き、初めてその音に触れたときに同調する何かを感じた。

活動的な彼らのライブ、毎回お誘いいただくのだが、数ヶ月に一度くらいしか訪ねることができない。

この日は、京都のラジオ局主催の野外イベントで、無料。
子どもに生のライブを体感させたい気持ちもあったので、休日を家族で楽しんだ。

「キツネの嫁入り」の音は言葉で表現し辛い。

そこをあえて言葉にすると、デジタルビートのようなミニマルフレーズを生楽器で演じながら、生身に訴える暖かい音(ヒーリングともいえる)に、ほんのり薄ら寒くなるシニカルな言葉を載せて、体のどこかに緊張感を与えるという、おとぎ話のような世界。
それもプログレバンドがやるような西洋的なおとぎ話でなく、日本の民話から飛び出してくるような霧のかかった世界。
シガーロスの音に谷山浩子の詩が乗っているような…
うーん、ぜんぜん伝えられんね。

「忘却」 アコーディオンの揺らぎとアコギのミニマルフレーズ、そして軽めのパーカッション。
そう、パーカッションがブレイクしたときに聞こえるアコギの音がアクセントになることで、逆にそれまでのパーカッションの存在が浮き彫りになる。
それくらい、本来アタックが強いパーカッションが、アコーディオンとアコギに溶け込んでいる。
バチけいを使わないジャンベならではの、メリハリをつけつつ優しい音なんだろう。
低音がしっかり身体に圧をかけてきたのは、難しい野外なのにしっかりマイクセッティングされている感じで、心地よかった。
そして、フロントに出てくるマドナシさんの声がなにより”空間”を作り出している。
ひーちゃんさんのコーラスも相変わらず素敵。
(一度彼女がメインボーカルの曲を聞いてみたいものだ)

「世界の逆」 カーニバルチックなアコーディオンに、パーカッションとアコギがかぶさってくる。
やがてファンキーなアコギが前に出てきて歌に入る。
そして私が大好きな”おいしい”変拍子のアクセント。
ひたすら変拍子をいれる、ブイブイ系のテクニシャンズも嫌いではないが、こういう風にアクセントでさりげなく入れるのがなんともおしゃれだ。
カギさん足元のフットペダルは、シンセパッドでもついてるんだろうかと思ってたら、カウベルだった。
こういう使い方…もしかしたら別に珍しくないのかもしれないけど、私は知らなかった。
一緒に言った小学生の息子は、この曲のジャンベが一番印象に残っていたようだ。
いわく「すごく早いのがかっこいい。手が見えない」と。

「群れをなす」はじめて聞く曲(だと思う)
ひーちゃんがアコーディオンからマリンバに変わり、ちょっと違う雰囲気へ。
いつもアコーディオンが音の隙間を埋めているけど、マリンバはアタック系だし、トレモロをいれてもアコーディオンの底の方まで響く重圧感はでない。
ギターもパーカッションも控えめだったから、他の曲より歌が前に出てくる。
そのマリンバの高音の響きが、緊張感をあたえてくれる。
こういう「キツネの嫁入り」もあるんだな、と。
マリンバってチューニングできない(と思う)から、アコギと微妙にチューニングずれている感じが、逆に「緊張の中の揺らぎ」になってて面白い。
緊張感持ちながらも、身体が揺らされている…やられた。

「最後のアサヤケ」アコギ低音のビートでRockっぽく始まる。
でも、アコーディオンが入ってくるとふわっっとした世界に変わる…うーん、Sigur Rossみたいだ。
カギさんのジャンベもいつの間にか加わってる。
いやぁ、この世界に引き込まれていて、包み込まれている感じが好きだ。
やっぱ、このアコーディオンとアコギとジャンベ、そしてマドナシさんとひーちゃんさんの声質が、低い所から高いところまで、重なるところからスカスカのところまで、こう満ちている感じが「キツネの嫁入り」スタンダードなんだろうなと。
こういうスタンダードがあるから、ところどころに「ずらした」ものが入ったときに、スタンダードも、ノンスタンダードも”あり”と思わしてもらえるんだろうな。

「箱庭」一番最初に「キツネの嫁入り」を聴きに行ったときからのお気に入り。
今回はセットにあるマリンバをイントロのアクセントに使い、ちょっと「ずらし」てきた。
アコギとアコーディオンがブレークして、ジャンベだけ…と思いきやちゃっかりマリンバが加わってる。
そう、大きく変わらないけど、ちょっとだけ「違う」ものがはいるだけで、脳内のスタンダードとのずれが勝手に幅を作ってくる。
いやぁ、ライブは生き物だし、生ものだなと。

「答えとして」アコギだけのイントロ…なんかブルージィーだと思ってたら、マリンバが加わる。
そう、ネット音源で聴いたときは、アコーディオン・アコギ・ジャンベの「キツネの嫁入り」スタンダードだった。
2コーラス目(?)からはアコーディオンとジャンベのスタンダード風になったけど、最初に印象づいた分アコギが前に出てる感覚。
サビでの高音ひーちゃんさん、低音カギさんのコーラスが何気に好きだったりする。

演奏後の司会者とのやり取りで「ジャンルは何ですか?」の問いに「Rockです」と即答するマドナシさん…
そう、私も「これはRock」だと思ってる。
何もアンプで増幅した大音量がRockだったり、圧倒するようなサウンドがRockだったりするわけじゃない。
静かに淡々と歌いながら、時折殻を破って飛び出す詩に込められた”毒”のような、内面からほとばしるエネルギーがRockなんだと。

キツネの嫁入り ライブ at 新風館 - MP3

他のライブですが、公式音源はこちらから
My Space
Audioleaf


<MANU.s Main Page
<index>


  

| | Comments (2) | TrackBack (0)