June 17, 2024

Pink Floyd 「The Dark Side Of The Moon」50周年記念イベント

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アルバム「狂気」発売50周年記念のイベントに行った
50年前、このアルバムをプロモーションするのにプラネタリウムを利用したことにちなんで、プラネタリウムで特別映像と友に大音量、5.1チャンネルの音響で聴くというもの
もちろん、メンバーのライブではなく(キーボードのリックは亡くなってるし)、あくまでアルバムを聴くというものだ

思えば、50年前に発売された作品に触れたのは中1だから48年前か
(その思い出から語りだすと長くなるので、以前の記事をご覧ください
http://manu.moe-nifty.com/manu/2004/11/dark_side_of_th.html
擦り切れるくらい聞いたレコード
CDになってからも、MP3プレーヤになってからも何十回何百回と聞いている
ギターでも何度でもコピーに挑んだ(当然デイビッドの味は出せない)

このイベントを知ってか予定表を眺めてすぐに申し込んだ
そして待ちに待った当日

会場は私と同じ年代がほとんどだった気がする
アナウンスによると、この日は完売だったそうだ

プラネタリウムの天井を見上げながら演奏を聴く
映像はこのために作られたもので、宇宙のイメージ
ピラミッドをモノリスのように扱い、地球から月、太陽系、銀河、外宇宙と旅を続ける
アポロから始まり、ボイジャー、ISSなどが取り入れられ、宇宙を旅する
まぁ、映像はあまり期待していなかった
アルバム自身の完成度が高くて、ビジュアルの助けはいらない
それに、「Dark Side Of The Moon」というタイトルとプログレということでスペーシーなイメージも持たれるが、それは比喩で、本当はインナースペース、つまり私の内面、内なる狂気を表しているアルバムだから
(そのあたりも以前の記事で取り上げている
http://manu.moe-nifty.com/manu/2009/07/pink-floydthe-d.html

と、前置きが長くなってしまった(それだけまだ興奮状態にある)
では、今回のイベントで何が素晴らしかったか
それは大音量で、360度の空間で、このアルバムの音を聴けたこと

「Speak to Me」
おなじみの心音から始まる
アルバムジャケットの内側にある、プリズムで虹色に分かれた線を心電図のように鼓動が走る映像がプラネタリウムの壁を360度めぐる
笑い声などのSEが全天に広がる

「Breathe」
デイブのアルペジオとスライドギターが大音量で響き渡る
映像もいろいろ工夫してたけど、2001年宇宙の旅イメージなだけで、まぁ予想通り

「On the Run」
ひたすら回り続けるシンセサウンドとSEに浸る
アルバムで聴いているときより長く感じた気がする(もちろん気のせいだ)
そして目覚ましのベルとビッグベンの鐘が鳴り響く

「Time〜Breathe (Reprise)」
前奏の乾いたタムの音が初めて聴くくらいに響いてくる
これが大音量の効果だと思う
こんなにかっこいいと思ったのは初めてだ
またギターのディレイもしっかり音が分離してて、立体的な音響の効果が出ていた
欲を言えばベースの低音も大事なんで、もっと体中に響くように設定してほしかった
ライブ用の音響じゃないから、仕方ないかもしれないけど…

「The Great Gig in the Sky」
前半で一番期待していたナンバー
ピアノとスキャットだけの曲だけど、大音量でこのスキャットに没入するだけで身体が浮遊していく
母性をかんじるんだろうか、ゴスペル的なスキャットに包まれる安心感
緊張感漂うアルバムの真ん中でこの曲は活きている

「Money」
唯一ISS内のコンピュータ画像が映像の軸になってる
曲の「俗世間」性を表現したかったんだろうけど、ちょっと興ざめ
そういう俗っぽさを眺めているのが2001年のHALを想起させるレンズっていうのも狙いすぎた感じがして…
でも、サックスソロとデイブのギターソロとは満喫できる
オーバーダビングされた複数のギターが360度の空間を埋める音響は素晴らしい

「Us and Them」
この曲はベースの低音が良く響いていた
他の楽器が抑え気味の恩恵か
非常にきれいな曲だけど、この歌詞に隠された「戦争批判」を知っているとまた違って聞こえる
ボーカルのディレイが立体的に響いて素晴らしかった

「Any Colour You Like」
全曲で気持ちを盛り上げてクライマックスへと導くブリッジとなるインスト曲
一種のクールダウン効果か
ここでも複数のギターが分離されて空間を埋め尽くす

「Brain Damage」
デイブのアルペジオとチョーキングのフィルインが浮遊する
その中を告白するような「狂った内面」
歌詞を知らなければ、きれいな曲だと思うだろう
ゴスペル的なコーラスと混じりながら叫ばれる「I'll see you on the dark side of the moon」
素晴らしい、完璧だ
そしてクライマックスへ

「Eclipse」
数かすの言葉の羅列
それらが
「太陽の元ですべては調和している」
なんてポジティブな言葉
しかしそれがその次の歌詞で吹き飛ぶ
「でも太陽は月に覆い隠される」
出来事としては、毎日照らしてくれる太陽が「日蝕」によって隠される時がある
そう太陽を隠すのは「月」だ
「月」とは私の「狂気」の象徴
ここまで来ると、映像や音響はどうでもよくなっていた
ただこの言葉に大音量で包まれるだけだ
当然のように涙がこぼれていた

そしてすべての映像が消え去り、暗闇の中を鼓動だけが響き渡る
会場すべての人が余韻に包まれていた

至福の時間だった

 

 

 

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June 02, 2024

映画『シド・バレット 独りぼっちの狂気』

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以前、エリッククラプトンのライブ映画を観に行ったミニシアターで予告編を観てからずっと気になってた映画「
シド・バレット 独りぼっちの狂気」が上映されたので観に行った
当日朝チケット予約をしたときは、平日のこともあって私一人独占状態
映画館につくとほかにも奇特な方がおられたようで、7・8名の観客が
(まぁ、私と同じ年代な感じ)

映画が始まり、俳優を使ったイメージパートをブリッジに、彼の生い立ちに合わせて関係者の証言が続いていく
気になったのは、そのイメージパート
BGMが「Shine on you crazy diamond」なのだ
もちろん、PinkFloydから入った私はこの曲の意味は知っている
しかし、Pink Floydに頼りすぎだという偏向イメージをもたせるものだ
思えば映画の和訳タイトルも「一人ぼっちの狂気」としている
原題は「Have You Got It Yet?」であり、狂気のかけらも何もない

そう「狂気」はPink Floydの代名詞だ
(まぁ、アルバム「狂気」も原題のかなり無理やりな意訳になっているが)
しかし「Shine on」も「狂気」も音楽としてはシドは関わっていない
シドの半生を探るのには最初期のPink Floydは良いとしても、ヒット作にあやかるのは…

と、相変わらずのへそ曲がりぶりを感じながら映画を観ていく
学生時代のエピソードから、バンド初期の創作活動
ライブの様子などを貴重な動画で観ていると、彼の才能にしびれてくる
こんな感覚に浸れるならドラッグ文化も捨てたものじゃないとさえ感じる
(60年代に英国で育っていたら私も染まっていたかもしれないとさえ思える)

絶頂期から混迷期へ
そして破綻
やはりドラッグはダメだ、触れないでよかったと思える

残されたメンバーや知人たちが振り返る姿
もちろん、今になっての美化はあるだろうが、なんとかソロアルバムを完成させようとする仲間たちの姿や、ヒット作のあとにあえて自己の内面をつらつらとつづるロジャー。ウォータースの姿
ここでやっと「Shine on you crazy diamond」が活きてくる

ある意味、このインタビューまでこの曲を封印していたら、さらに劇的にこの曲が作られた「その時」を衝撃的に味わえたかもしれない
すでにそのストーリーは様々な文献で知っていたにせよ、シドの歴史をなぞったうえでのロジャーの想いに触れることは涙なしに居られない

シドが居たからこそのPink Floydだということを改めて感じる

それにしても、パパラッチはなんて残酷なんだ

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February 13, 2019

Queenについて語ろう その2


映画「ボヘミアン・ラプソディ」の熱狂はまだ続いており、私の周りにも数回観に行った猛者もいる
年末に観に行った次男に続き、長男も観に行ったようだ
一緒に行った友人の感想は「Queenって実在してたのね」って話だから驚いた
Queenを知らなくても、流行ってる映画だからと観に行ってQueenを知る若者がいる時代なんだなぁ、と

前回も触れたが、70年代と80年代で音楽との関わり方が変わった気がする
MTVの登場で、ヒット曲の作り方が変わった
それまでアルバム単位の構成を大事にしてたアーチストでさえ、売れ筋のキャッチーなメロディに走り、骨太のロッカーたちも「産業ロック」と言われる音作りに流れていった
レンタルレコードの登場で、気軽にアルバムに触れられることができるようになったが、逆に「一枚のアルバム」を大事に大事に、何度も何度も聞き続けることが減った
ビデオデッキの普及は、長時間のMTV系番組を”とりあえず”録画しておいて、後で観ることを可能にした

聞き覚えやすいサビを繰り返し、ビジュアルに凝ったアーチストが売れ筋の上位に上がる


それが悪いのではなく、そういう選択肢が増えたということ
そして、私にとってのQueenは、70年代の方が好きだってだけのこと

だから…まだ「ボヘミアン・ラプソディ」を観に行く気になってない(笑)


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January 02, 2019

Queenについて語ろう

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巷では「ボヘミアン・ラプソディ」が大ヒットしてる
なんと、わが息子までが観に行ったようだ
「お父さん、絶対観た方がいいで!!!」と興奮しながら帰ってきた
すでに観にいった友人たちの声も絶賛ばかりだ

が、へそ曲がりな私はまだ観てない
あまりに周囲が絶賛なんで、素晴らしい「映画」なんだろうけど、そこで描かれる時代をROCK小僧として過ごしてきた私は、その思い出が上書きされるのを恐れてる気もする

思い出は思い出として…
ということで、ちょっと振り返ってみた

Queenとの出会いは、それこそ「オペラ座の夜」のころだろう
ラジオからボヘミアン・ラプソディが流れていたと思う
当時はレコードも高嶺の花でそうそう買えない
まだレンタルもなかった
映像はもちろんないので、雑誌の写真がビジュアルの頼りだ

クラスメイトに洋楽好きもまだ少なく、洋楽好きの女子は「ベイ・シティ・ローラーズ」一辺倒、男子はKISS派が多かった
ただ一人、Queen好きの女子がいたのを覚えてる

そのころ仲の良い友人とは、誕生日にレコード(シングル盤だけど)を贈りあっていた
そのプレゼントで友人からもらった一枚が「愛にすべてを」だった
Queenのレコードを手にしたのはこれが最初


LPを最初に買ったのはやはり「オペラ座の夜」
他はラジオで「アルバム全曲放送」ってプログラムで「世界に捧ぐ」や「JAZZ」を録音してききっまくっていた

そしてライブアルバム「ライブ・キラーズ」と出会うことになる

スタジオアルバムも素晴らしいが、このライブがとてつもなく圧巻だった
それまでの「美しい、わかりやすいメロディ」のイメージが、パワフルなROCKバンド変化した
そこから初期の作品も聞き出したと思う

そしてこのころにRock界に変化が起こる
MTVの登場だ
「愛という名の欲望」のビデオクリップがガンガン流れる
それ以降のヒット曲も、良作だが、POPで分かりやすい曲だ


つまり、「ライブ。キラーズ」が私にとってのQueenの頂点

その後のアルバムも聞いたし、フレディの病気の話や死もニュースの一つでしかなかった

今回の映画でハイライトになる「LIVE AID」に関しては、その主催者のボブ・ゲルドフの」昔からのファンだったので、そのイベント性の方に関心があった

(もし、ボブをい中心にした、LIVE AIDを取り巻くドキュメントがあったら面白いと思う)


そう、フレディの半生とは距離を置いていた私が、「その時代を一緒に生きてきました」ってつらして、息子にどや顔で語るのも…ねぇ

うん、私のフレディは、ひげははやしてなくて、長髪で胸毛を強調した全身タイツで放送禁止4文字を連発してたROCKスターなんだ

Queenのアラルバムをレビューした記事はこちら


Queen
Sheer Heart Attack
A Night at the Opera 

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July 12, 2011

Boomtown Rats Concert「Fox Theatre Feb 28, 1979」

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The Police同様、70年代の後半に活躍したアーチストつながりでBoomtown Ratsのライブを。
ヒットしたアルバム「The Fine Art of Surfacing」がでた年だけど、2月と言うことはまだ発売前で、曲構成は2ndアルバムまでの曲中心。
というか、「I Don't Like Mondays」だけが新曲として演奏されてるみたい。

そこそこの佳曲はあるけど、大ヒットしたのは「I Don't Like Mondays」(哀愁のマンデイ)1曲だけど、それでも十分印象深い。
デビッド・ボウイやクイーンにも通じるオペラ的な展開を持つ曲や、逆に単純なパンキッシュな曲など、ソングライティングはすばらしい。
あとはボーカルのボブ・ゲルドフの粘っこい歌い方が特徴で、それはこのライブでも健在。

音のバランスは、やはり70年代ものはちょっと”残念”だけど、貴重なライブ音源と思えばこのほうがありがたみがある気もする。

前半のハイライトは「Like Clockwork」
そして本編エンディングの「She's So Modern」から「Lookin' After No. 1」へのたたみかけ。
さらにアンコールで「I Don't Like Mondays」ピアノオンリーのバラードっぽいアレンジ(あるいはまだ曲として完成してなかったのか?)
もひとつアンコールのメドレーは「Rap Trap」「Joey's on the Street Again」こちらも部分部分で変化をつけて盛り上がりばっちり

このバンドは3rdアルバムが好きだったけど、1st・2ndの曲も中々いいね。

http://www.wolfgangsvault.com/boomtown-rats/concerts/fox-theatre-february-28-1979.html

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July 09, 2011

The Police Concert「Zellerbach Hall Mar 4, 1979」

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スタカンの後、The Jamがないかと探したけどなかったので、同じ時期に活躍したThe Policeのライブを。

演奏曲を眺めると、2ndが発売される前のようで、ほとんどが1stアルバムからの選曲。
しかし、後のライブでもおなじみのナンバーが並んでおり、デビュー時からソングライティングや演奏力は確立されていたようだ。
実際、彼らの出現は当時のパンク・ムーブメントの枠に入れられていたが、各メンバーの実力はすでに他のバンドで磨かれており、単なる新人とはいえないものだった。
曲もすでにレゲエが取り入れられており、逆にどうしてパンクのくくりにされたのか…

「Can't Stand Losing You」で幕を開け、3曲目の「So Lonely」ですでに全開。
レゲエタッチの曲もいいが、アップテンポの曲でのスチュワートのドラムは活き活きしてる(さすがプログレバンド上がりだ)
「Peanuts」で盛り上がったあとの「Roxanne」がハイライト。

1時間足らずのライブだが、一気に聴けて楽しめるライブだった。


http://www.wolfgangsvault.com/the-police/concerts/zellerbach-hall-march-04-1979.html


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May 15, 2010

The Rolling Stones 「Stones In The Park」

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もうすっかり放ったらかしで、なかなか再開のきっかけがつかめなかったこのブログ…。
私自身は他にもブログもってたり、SNSでの書き込みがあったりで、ブログから離れてるつもりは無いんだけど、ことこのブログに関してはじっくり取り掛かる時間が持てなかった。

その間、音楽を聴いてないかというと、常にいろいろ聞いてはいるし、新しく発表された音源も入手してレビューしたい思いはあったりする。

などといいわけばっかり書いてても進まないので本題。


先日、用事があって出かけた近所の百貨店に車を停めたので、駐車場代を浮かすために買い物をすることにした。
これはよくある話。
が、これと言って欲しいCDが見当たらない。
海外アーチストものは輸入盤のほうがはるかに安いし、国内ものも最近CDまで買おうと言うアーチストは少ない。
なつかしのアーチストにしても、こういうショップではせいぜいベスト盤かコンピレーション盤くらいしか扱っていない。

映画もめぼしいものはほとんど買い揃えたし…ってんで音楽DVDを物色。
どうせなら最近上映されて見に行き損ねたThe Rolling Stonesの「Shine A Light」を買おうかなと。
監督のマーティン・スコセッシも好きな監督だし、Stonesとの組み合わせは非常にそそるものがある。
しかし、置いてなかった…

で、運命のように手にしたのが「ハイド・パーク・コンサート」
物心ついたときからUK好きの私としては「ハイド・パーク」は憧れの地。
ミック・テイラーのお披露目コンサート。
それにブライアン・ジョーンズ追悼のコンサート(この二日前に彼は他界した)
そして、「オルタモントの悲劇」につながる、69年のフリーコンサート。
私の中でいくつものキーワードがパズルのようにぴたっとつながった。

ライブDVDだと思って見てみると、これはこのフリーコンサートをめぐってのドキュメンタリー。
演奏が途切れ途切れなのは残念だけど、逆にミック・ジャガーのインタビューなどでこのコンサートにかける思いが伝わってくる。

ドキュメントの進行上、曲順もばらばら。
本来のオープニングの追悼詩の朗読から「Love In Vein」への流れはクライマックスとして後半に持っていかれている。

逆に、つかみとして最初に流されたのが「Midnight Rambler」
もうこの曲だけで鳥肌もの。
演奏はひたすらルーズで、ルーズで、ルーズ。
それが良い。

「Satisfaction」にしても、今のライブならみんなでノリノリのナンバーだけど、このころはまだまだ気だるさが表に出ている。
ロックバンドじゃなくブルースバンドなんだと。

インタビューでミックも語っているが、どうしてもBeatlesとの対比が付きまとう。
録音したとおりに演奏することを目指したBeatlesに対して、ライブバンドとして録音時の演奏などお構いなしに、その場のグルーブに任せるStones。
やがてオリジナルどおりに演奏することが出来なくなったからライブをやめたBeatlesに対して、今なお現役でライブを続けるStones。

観客の反応も、演奏を聞かせようとするBeatlesのオーディエンスが演奏そっちのけで歓声(嬌声)で終始するのに対して、Stonesのオーディエンスは演奏に耳を傾け、身体はグルーブに任せて踊っている。
(ラリってるってこともあるけど)

今のイメージからは予想外だったのが、キースはじっと演奏していること。
ミックは今と同じく、このころからアクティブだけど、フライングV(!)をじっと奏でてる(と言っても演奏はルーズだけど)が以外だ。
逆にチャーリーのドラムが思ったより激しかったり…(ビル・ワイマンは今も昔も直立不動)

クライマックスは「Sympathy For The Devil」
アフリカンのパーカッション演奏から始まり、観客との掛け合いも含めて延々と奏でられる演奏。
ヒッピーも、モッズも、ヘルスエンジェルも、鍵十字崇拝者も踊ってる。

フリーコンサートということで、想定される問題に対してヘルスエンジェルと鍵十字ファッションのグループに警備を頼んでいる。
UKではこれが上手くいった。
しかし、USAのヘルスエンジェルは問題を起こし、「オルタモントの悲劇」を生んでしまった。

老獪にしてなおもエネルギッシュなStonesもいいけれど、このころのStonesも最高だ。

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October 15, 2009

Calole King「Tapestry」

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こういうジャンルはあまり取り上げてないけれど、知人が日記に取り上げていたので聞きたくなり、ついでにレビューしてやろうかと…

キャロル・キングの名前は中学生くらいからもう知っていた。
しかし、幼いロック小僧はそういう世界には向かず、洋楽はロックだと思い、名前以上の知識は無かった。
女性ボーカリスト・シンガーソングライターで興味を持つとしたら、Kate Bushのような独特のものだったり…

だがFMなどで女性アーチスト特集なんかがあると必ずかかる「It's Too Late」や大ヒットアルバム「Tapestry(つづれおり)」の名前も知っていたし、シンプルでいて覚えやすいアルバムジャケットも覚えている。

なのに、アルバムをしっかり聞いたのはつい半年前くらいだ。
うーん、30年は損してるな。
そんなにすごいアーチストが揃ってるわけじゃないのに、完成された音だと感じるのは、彼女の歌声がいいバランスで聞ける故だろう。


「I Feel The Earth Move」ファンキーなベース・ピアノが中心のバッキングがとても黒っぽい。
そこにキャロル・キングの突き放すようなボーカル。
ジャニスに匹敵するロックボーカリストにもなりえたんじゃないかと思えるくらいのノリ。
うーん、かっこいい。

「So Far Away」ピアノバラード。
全曲に続いて聴くと、そのギャップに戸惑うが、じつはこういう雰囲気のほうが本来の彼女なのかもしれない。
ベースラインがすっごくべたなのはご愛嬌。
(というか、学生バンド時代はこういうベースラインが好きだった)

「It's Too Late」キャロル・キングというとこの曲ってくらいの代表曲。
出過ぎないドラム、ツボを押さえたベース、深みのあるそれでいてシンプルなピアノ、ソロで張り切るギター、うーん絶妙のバランス。
そこにのっかる歌メロがまた泣かせる。
暗くなりきらないギリギリのマイナーな感じがまた渋い。

「Home Again」なんというか、わかりやすい感じのピアノバラード。
(どこにでもありそうっていう定番感覚)

「Beautiful」いきなりがつんと彼女の声で始まる、ちょっとマイナーなナンバー。

「Way Over Yonder」控えめなバッキングで、彼女の歌声が堪能できるスローナンバー。
こういうゆっくりと粘っこく歌う曲は最高。

「You've Got A Friend」実は、ずっとジェームス・テイラーの曲だと思ってた…
なにげない感じのピアノ演奏だけど、歌とのマッチングがいい。
単純に演奏力の上手い下手じゃなく、バランスが大事って事。

「Where You Lead」カントリーっぽい雰囲気もある、POPなナンバー

「Will You Love Me Tomorrow」もういっちょう、歌を楽しめるバラード。

「Smackwater Jack」アメリカンなロック・ナンバーと言ってもいいんじゃないだろうか。
ピアノにはビリー・プレストンみたいな味を感じるし、ギターもサザンロックの雰囲気が。
でも、それなのに田舎くさくならないのは生粋のNY娘のセンスだろうな。

「Tapestry」アルバムタイトルにもなっている静かなナンバー。

「You Make Me Feel Like A Natural Woman」ラストを飾るピアノバラード。
その迫力ある歌力(うたぢから)はジャニスに匹敵するんじゃないだろうか。(もちろん、あそこまでシャウトしないけれど)

定番度90% SuperflyやLOVE PSYCHEDELICOのような音が好きな人は聞いておいて損はなし。

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July 25, 2009

The Faces 「A Nod is As Good As a Wink to a Blind Horse」

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仕事で必要なものをアマゾンで購入するついでに、CDを二枚(二枚買うと10%オフだ)チョイス。
一枚は以前ダウンロードして持っていたものの、パソコンがクラッシュしてデータがなくなったMogwaiの「Happy Song For Happy People」(レビュー済み)が以前より安くなっていたので即決。
もう一枚をどうしようか悩み、最後「Simon & Gurfunkel」と接戦の末このアルバムを選んだ(10%オフ適用前で862円だ)
ロッドのアルバムは数枚持ってるし、Facesは廉価のライブ音源は持ってるけど、Facesのアルバムは持っていなかった。
以前、ダウンロードした「Very Best Of Rod Stewart & The Faces」ってアルバムは、ほとんどロッドのソロにフェイセズの曲が混じってる程度…「Rod Stewart & The Faces」というバンドのBEST盤じゃなく、「ロッド」と「フェイセズ」のBEST盤って事のようだ。

ということもあって、念願のアルバムを入手。

ロニー・レインが在籍していた「スモール・フェイセズ」に、ジェフ・ベック・グループからロッド・スチュアートとロン・ウッドが合流して、「フェイセズ」として活動。

このアルバムは彼らの3枚目にして代表作。
邦題は「馬の耳に念仏」、原題が「A Nod is As Good As a Wink to a Blind Horse」で、そのまま約すと「目の見えていない馬に、うなずいても目くばせしても無駄だ」と言う意味。
イギリスにもことわざみたいなのがあるんですね。

彼らの真骨頂はライブだが、スタジオアルバムでここまでルーズで、しかもグルービィなのはすごい。
ジャケット見るとライブ盤だと思っちゃうんだけどね。

「Miss Judy's Farm」ドラム-タイト、ベース-グルービィ、ピアノ-ルーズ、ギター-ルーズ、ボーカル-ファンキィ…もしかしたら、この時期だとストーンズのディープさを超えてるかもしれない。

「You're So Rude」ロニーのボーカルも、ロッドに負けず劣らず、かっこいい。ただ、いかんせんロッドがすごすぎるから影が薄い。(ロッドのバックバンドって見られ方してるもんねぇ)
中盤のピアノとギターのソロ、好き勝手具合が良い。

「Love Lives Here」ロッドお得意のスローバラード。
バンドであろうが、ソロであろうが、外れなし。

「Last Orders Please」アメリカンなパブセッション…的な感じだけど、やっぱイギリスのパブでもこういう演奏してたのかな?

「Stay With Me」間違いなく、彼らの代表作。ベースはブイブイ言わしてるし、ギターははじけまくってるし、ピアノもノリノリだし…でも歌が入ると一気にロッドが存在感を全部独り占めしちゃう。
アップテンポから、ブギなミドルテンポから、リズムもメリハリ…でもきっちりしたメリハリじゃなく、ひたすらルーズにルーズに、それぞれのグルーブ加減で自由に。
今だとそんな演奏をレコードに残すなんて考えられないだろうけど、そういうところがフェイセズを他から確立されていた所以だろう。

「Debris」ロニーがボーカルのバラード。ロッドのコーラスも押さえ気味で良い。
こういう曲のロンのギターは最高だ。(ストーンズにいくと、どうしてもキースの影になっちゃうしね)

「Memphis」セッションっぽい演奏に、ロッドのボーカルが乗っかってくる。
この曲は他のアーチストが歌ってるのを聞いたことがあるんだけど…?誰だったか思い出せない。
カントリー・ブルースのスタンダードなのかな?

「Too Bad」再び、ロンの渋いギターとロッドのボーカルが絡む傑作。
音のバランスはぐだぐだなんだけど、それが返って雰囲気を醸し出すと言う…

「That's All You Need」他の曲とはちょっと一線を画す、ハード目のナンバー。
ロンがZEPのような音作りをしてる気がする。
それともJeff Beckの影響か?
でもでも、結局はロッドのボーカルがもってっちゃう。
(ロニーが拗ねてやめてしまうのも仕方ないかもしれない)

カルト度 80% (今からファンになる人は物好きな人ってことで…でも、歴史に残る名盤なのは間違いない)


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July 23, 2009

Pink Floyd 「The Dark Side Of The Moon」(皆既日食に寄せて)

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まだまだ紹介してないアルバムが山盛りなのに、2回目のレビューというのも気が引けるのですが、前回は本当の初期なんで、印象のレビューに終わってましたから、再度のレビューもありかなと。

46年ぶりの皆既日食ということで、日本中(マスコミ的には)湧き上がった22日、やはりこのアルバムを聞いておくべきでしょう。

アルバムタイトル「The Dark Side Of The Moon」を「地球から見えない側」とするならば、日食時は思いっきり太陽側ですから白日の下にさらされていることになります。
逆に「月の暗い側」とするならば、日食のときは思いっきり地球側になっているという…

さらに、ラスト曲「Eclipse」とは「食」のことで、最後の歌詞が
And everything under the sun is tune
but the sun is eclipsed by the moon
(すべての太陽の下にあるものは調和している
 でも、その太陽も月によって隠されてしまう)

もちろん、この歌詞の部分だけじゃなく、全曲の流れのなかでインナートリップさせてきて、一曲前の「Brain Damege」で「lunatic」(lunaは月の意味もある)=「精神異常者」として自分を俯瞰し、
I'll see you on the dark side of the moon
(月の裏側でお前と出会うだろう)
と宣言した上で、「調和しているものも、狂気(裏側の人格)の前に覆い隠されてしまう」という…

皆既日食の実況映像を見ていると、(残念ながら曇り空だったが)見る見るうちに暗くなって来、カウントダウンと共に真っ暗になる(無粋なマスコミがライトでリポーターを照らしていたが)
暗闇というのは、人を不安にさせる。
狂気が不安にさせるのか、不安が狂気を引き起こすのか…。

このたびの皆既日食によって、このアルバムがより深く、理解ではなく感覚の部分で、私に染み込んできた。


アルバムとしては前半の「Time」や「Money」といったロックサウンドものが聞きやすいだろう。
しかし、後半「Us And Them」以降をぜひ大音量で(事情が許さないのならヘッドフォンで)聞いて欲しい。
楽曲のよしあしを超えた、また言語の壁をも超えた、”圧倒”というサウンドに出会えるだろう。

あ、またアルバム曲のレビューとは違ったものになっちゃった。

定番度 100%

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