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March 11, 2025

映画「ヒプノシス レコードジャケットの美学」

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洋楽のレコードで最初に買いだしたのはBEATLESだけど、次にはまったのがPinkFloyd
この音楽ブログでも第1回目が「LET IT BE」
第2回目が「狂気」だったりする
(20年以上前に始めてたのか…)

で、そんなPink Floydと関係が深いのが「ヒプノシス」で、それは個人ではなくてユニットだというのは知っていたし、実際彼らの作品は何枚も持っている
今回、映画になったので観に行った次第
関わりのあった方々のインタビューで構成されてるけど、Pink FloydメンバーもZeppelinメンバーも、ここ数年でさらにお歳を召されたようで…おじいちゃんばかりがしゃべってる映画
各アルバムジャケットのエピソードはどれも興味深く、音楽でこだわりを見せたアーチストに負けず劣らずのこだわりぶり
そのぶっ飛んだアイディアと、それを受け入れるぶっ飛んだアーチストが居たから出来上がった芸術のあれこれだと再認識
売り手のレコード会社だけが、常識的な判断で反対するけど、それを押し通せたからあれらの作品があるんだな
面白いのは、そんなヒプノシスに対し、ポール・マッカートニーだけは最初から自分でアイディア持ってて、それを実現させるために彼らの技術を利用したという…やはりあらゆる面で非凡な人だ
あと、「聖なる館」のジャケットは、最初は子どもらにスプレーペイントしてあの岩場に置いて撮影するつもりだったというエピソード
雨のために断念したため、モノクロでペイントなしで撮影して後で着色したという
もし、ペイントして撮影してたら、虐待で発禁、さらには彼らが大人になってから訴訟されてかもね
しかし、作品中のシド・バレットのエピソードにしろ、最期は仲たがいした二人のことを、今生きてるポーが語る場面にしろ、そこに「Wish You Were Here」が流れるのは反則過ぎ

LP世代にとっては、やはり30cm四方のサイズは魅力的で、ジャケットはほんとにアートだった
表と裏で物語になっていたり、中には見開きになっていたり(表面だけでは完成せず、広げて初めて作品になる)
有名な「狂気」のジャケットは、プリズムと虹の表から、虹が鼓動になっている内ジャケットを経て、表とは逆向きのプリズムが虹を白い光に収束させて表につながるという無限ループに仕上がっている
Zeppelinの実質ラストアルバム「In Through the Out Door」などはLPが茶封筒のような袋に封入されていて、どんな写真か見えない
で、実は登場人物の視点ごとに6種類あって、どれが当たるかわからないというものだった

レコードを買いに行くと、一枚一枚引き上げながらジャケットを見てほしいレコードを探すというものだったから、お目当てのもの以外のアルバムアートを見ることもできたし、なんなら「ジャケ買い」などという、アート先行の買い方もあったりした

今の子どもらは、そんなLPジャケットの魅力は伝わらないだろうし、CDなだけでも小さくて価値が下がるのに、いまやアプリに表示されるだけのアイコンとなってしまった

今回、封切りの初日(平日昼間)に行ったので、そこそこ観客はいたが、ほぼ私と同じ年代(笑)
ヒプノシスと聞いて惹かれるのは、アートだったレコードジャケットを知っている人だけかな

余談として、作中に流れたZeppelinのライブ映像は素晴らしかった
大スクリーンで観るジミーやロバートは圧巻だ
今、劇場で「永遠の詩」やったらすばらしいだろうな
できれば爆音上映+声援ありで

 

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