ライブレビュー「キツネの嫁入り」One Man Live その2
この第2部のレビューを途中まで書いていたのが、PCが謎の再起動をしたために飛んでしまった。
泣く泣くもう一度打ち込み始め…これまた再起動でぱぁ。
まぁ、こまめに保存しなかった私が悪いんだけど、後で続きを…と思いながらPCをつけっぱなしにして油断してました。
おかげで、再度打ち込みなおすために、再び音源を聞く機会に恵まれると言うか…このレビューを書き終えるまでは、あの日の感動の余韻を、とできるだけ他の音楽聴いてないから、1週間はキツネ漬け(笑)
20分ほどの休憩をあけての第2部
第1部の予告(というか、「マドナシ」さんの無茶振りか?)を受けて「ひーちゃん」さんの木琴ソロからスタート。
ステージ脇で眺めてたほかのメンバーがそろりそろりと集まって、そのまま1曲目へ。
・白黒
初めて聞いたときに、白黒つけることへの批判と、白黒になりきれないグレーの悲鳴を語った歌詞に感動。
サウンド的にも、あまり変化をつけずに、その分じっくり歌が聴ける。
・せん
6拍ととるか、4+2拍ととるか、初めて聞く曲が変拍子だとつかむまで戸惑いながら、それが心地いい。
途中、木琴の3連と「とっくん」さんの「123456」ってコーラスがまたリズムを惑わせて、6拍側に気持ちを合わせていたら3連側にあわせて4拍打ちに…さらに変拍子も交えて…あぁこういうの大好物。
プログレおやじの血が騒ぎます。
ただ残念なのは、リズムに心奪われて歌詞をじっくり聴けなかったこと。
・結局、そう
前曲から一転、シンプルなリズムをギターが刻み、ドラム・ベースが加わるとパンキッシュな雰囲気に。
パンキッシュといっても、ピストルズやクラッシュ的なものではなく、ほんとうはパンクじゃないのに時代の流れでパンクにくくられたポリスの持ってる、「テク持ちがあえてシンプルに」っていうおしゃれなパンク。(書いてる本人もよーわからん表現だけど…笑)
まぁ、70年代に心奪われてるおっちゃんには、なじみやすい音ってことで。
・夏の終わり
祭りだ。
キツネの本領はやっぱ祭りだ。
それもカーニバルじゃなくて、森の奥でひっそり行われる物の怪の祭りだ。
・聞こえない声
「映画に音楽が使われることになりました」というMCのあとにはじめられたのは、「ひーちゃん」さんがメインボーカルを取る曲。
ジャンベに乗せて歌う「ひーちゃん」さんの歌は、普段からそのコーラスの声に魅せられてた私にはうれしいプレゼント。
もちろん、その世界観は「キツネの嫁入り」そのもの。
あとからネットで得た情報では、「来つ寝世鏡奇譚」というのが映画のタイトルらしい。
要チェックだ。
・家探し
「マドナシ」さんが丹念にギターのチューニングを直し、「ひーちゃん」さんはアコーディオンを下ろしてピアノに座る。
ピアノ中心にベースが静かに低音を埋めていく…あぁ、Sigur Rosで味わうような白い霧の中の世界だ。
先の「ひーちゃん」さんのボーカルもいいが、こういう静かな曲の「マドナシ」さんの声色もまた絶品で、優しく包み込んでくれる。
・雨の歌
初めて聴く曲が続いた後、聞きなれた懐かしいフレーズに心癒される。
ベースのフィルインが今までとは違った味を加えて、にやりとさせられる。
・エール
「エール」なんて、なんとなく「キツネの嫁入り」には似合わない単語なんだけど、淡々と歌われる「歩き出す、歌い出す」という詩は、「マドナシ」さん自身への宣言のようなものなのか。
ベースのスウィング具合がとてもジャジーで、4人編成になった新たな「キツネ」の姿を見せてくれた。
・ブルー、始まりと途中と
一転、ベースがグルービィなものになり、ロックな「キツネ」があらわれる。
これもまた4人ならではの「キツネ」
・東西南北
音が溢れかえる。
どちらかというと「音の引き算」が「キツネの嫁入り」の魅力なんだけど、各楽器に加えてコーラスまでもが重なり合い、少し威圧的にさえ感じる。
思えば、ロックコンサートの後半ってのはこんな感じで各パートがあったまりきって、怒涛のソロの応酬ってな感じなるのが当たり前で、そこに何の疑問も感じていなかった。
だからむしろ、聞く側の私の衰えが在るのか…
・夜あるくもの
もう多くの言葉は要らない。
たまたまネットで知り合った「マドナシ」さんに誘われるまま訪れたライブ。
その最初の出会いのときに一番大きくインパクトを受けたのがこの曲だ。
編成が二人だったり三人だったり四人だったり…それがどのような形であろうとも、この曲から溢れてくる世界観は変わらない。
・最後の朝焼け
サウンド的には繰り返し挿入されるベースのフィルインが印象的で、効果的。
私が出会う前から「キツネの嫁入り」には歴史があったし、いろんな出来事があっただろう。
私が知ってからの数年間だけでもいろいろあった。
CDデビューを果たし、ワンマンライブをし…そんな節目節目に出会うことが出来た。
「キツネの嫁入り」はまた次のステップを迎える。
でも、この曲に込められた思い・想い・魂は変わらないと思う。
後悔しないように後悔した日々
でも、明日がどうであろうと”今”を生き続ける。
4人となったことで、新たにできるようになったことがある。
4人になったことで、以前のものにプラスされたこともある。
過去のイメージと比較することは簡単だけど、それはそれ・これはこれ。
安定したものとだけ出会いたいのならば、スタジオで丹念に作りこまれた音を繰り返し聞いていれば良い。
それもまた音の楽しみ方の1つだ。
こうして”生”の場面に立ち会って行くのも良い。
それもまた音の楽しみの1つだ。
4人なった理由は知らない。
ただ、4人になる必然がここにあったのは感じる。
楽しい夜でした。
P.S.
音に厚み・強みが出て、大音量で奏でることが出来た点はあるけど、ただひとつ…「ひーちゃん」さんの繊細なコーラスが聞けなくなった曲があることだけが残念。
ただ単純にPA的にコーラスの音を大きくすれば良いって問題じゃない。
音のスキマから垣間見える、”揺らぎ”が効果的なんだ。
「ひーちゃん」さんのコーラスには、その揺らぎが溢れている。
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