Simply Red「New Flame」
Simply Redとの出会いは、この時期全盛を迎えたMTV系のPV放映プログラムだったと思う。
その当時はブリティッシュ・インヴェイションのきらびやかなブームが一段落し、スタイル・カウンシルやワム!のようなソウルをUK的に取り込んだブルー・アイド・ソウルがおしゃれな連中を生み出していた。
そんな中「Holding Back The Years」という傑作ナンバーを聞いたとき、新人とは思えぬ非凡な歌唱力とメロディに心惹かれていた。
その後、各アルバムを聞いているが、このアルバムにはちょっと特別な思いが…
といっても至極私的な思いだが、結婚式の入場シーンにこのアルバムの名曲「If You Don't Know Me By Now」を採用したのだ。
彼らのオリジナルではなくカバー曲であったり、実は「ギリギリ分かれる瀬戸際」の歌だったりするけれど(歌詞はこちらで)、曲の雰囲気や、一歩一歩踏みしめて歩いていく感じが、当時は「この曲しかないな」と。
この11月11日にその日から20年目と言う節目が…
ということで、記念もこめてこのアルバムをレビューします。
「It's Only Love」ミューとしたトランペットから始まるジャジーなサウンド、ベースラインはチョップを盛り込んだ典型的なソウルナンバー。
もともと黒っぽいミック・ハックネルの歌声はバッチリとなじんでいる。
この一曲でアルバムの方向性が決まってしまう。
「A New Flame」アルバムタイトルにもなった、アダルトオリエンタルなロック。
粘っこく、伸びるミックの歌声が満喫できる。
「You've Got It」ソウルフルなスローバラード。
70年代のAORを思わせるが、ちょっと他の曲に比べると個性が弱いかな
「To Be with You」
「More」ちょっとレゲエリズムも盛り込んだナンバー。
いまいち盛り上がりに欠ける。
「Turn It Up」ちょっとファンキーなアップテンポなナンバー。
ここまでがちょっと中だるみ気味だったんで、このアップテンポへの転換はなかなかおしゃれな感じ。
「Love Lays Its Tune」再びスローなラブソング。
まぁ十分に甘ったるい雰囲気です。
「She'll Have to Go」ちょっとアップテンポなナンバー。
シンセの具合とドラムの処理がいかにも80年代のちょっと残念な音だけど…まぁ、当時はこういう音がかっこよかったんです。
「If You Don't Know Me by Now」音数は少なく、簡潔な演奏にソウルフルな歌声が乗っかってるだけ。
なのに、これだけの深みを感じるのは何故だろう。
やはりミックの歌声、その揺らぎが余韻となって響き続けるからだろう。
もう完璧なスタンダード。
カバー曲だけれど、Simply Redの最高傑作といって良い。
「Enough」ラストを締めるちょっとマイナーなナンバー。
前曲で終わってもいいかなって気もするが、ちょっとクールダウンって感じで、ジャジーに最後を締めている。
1曲1曲でいくとちょっと物足りないナンバーもあるけれど、1曲目からこの曲までを貫く、ソウル・ファンキー・ジャジーな雰囲気は、大人の世界を形づくっていて、今でも十分に聞くに堪える。
定番度 75% ちょっとアダルトなロックをお求めなら、ワインと一緒にこのアルバムを
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