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November 16, 2009

プログレの深い森 その3 YESの場合-2

Yes2


80年代にはいって、時代はPVで流せる短い時間での表現に。
さらにはビジュアルが凝っていれば曲も売れるという時代。

YES休止後(解散でも良いと思うんだけどね)スティーヴ・ハウとジェフ・ダウンズは、カール・パーマー(ex ELP)、ジョン・ウェットン(ex King Crimson)と「ASIA」というバンドを結成。
面子はプログレ畑の大御所だし、キャッチーなメロディを大袈裟なサウンドに乗せて大成功。
しかし、どこをどう探してもプログレ要素はなく(大仰という要素はあるか)POP・ROCKバンドでしかなかった。

残されたクリスとアランが、トレヴァー・ラビンと組んで「CINEMA」というバンドをはじめたとき、YESオリジナルメンバーのトニー・ケイをキーボードに迎え、さらにはボーカルをジョンに取らせようという時点で、元YESが4人も集まったことでなんとバンド名を「YES」にしてしまった。
しかし、曲のイニシアチブをとっていたのはトレヴァー・ラビンで、過去のYESサウンドとは一線を画する。

ところがこのメンバーの「Owner Of A Lonely Heart」が大ヒット。
トレヴァー・ホーンの名プロデュースやPVの完成度もあり、再び「YES」の名がシーンに浮き上がってきた。
でも、これはプログレバンド「YES」ではなく、POP・ROCKバンド「YES」なのだ。

おそらく80年代から洋楽に親しんだ人たちは、この「CINEMA-YES」が「YES」だと思い込んでるだろうし、それは仕方ないことだ。
逆にこの「CINEMA-YES」をしてプログレはこういうもんだと思われているのなら非常に寂しい。

この「CINEMA-YES」も「ロンリー・ハート」「ビッグ・ジェネレイター」の2枚のアルバムを残し、消滅していった。

この後、さらに事態はややこしくなってくる。
ツアー終了後にYESをはなれたジョン・アンダーソンは、ビル・ブラッフォード、リック・ウェイクマン、スティーヴ・ハウと組んで「ABWH」(4人の頭文字)を結成する。
そう、ベースがクリスではないものの、私が「これがYES」と思っている面子だ。
ベースにはビルの盟友トニー・レビン(King Crimson)が入り、その器用さプラス独特の味で持って、ライブではYESの名曲を再演していたのである。
アルバム「閃光 - Anderson Bruford Wakeman Howe」は、ここ数年の「YES」名義のアルバムより、よっぽど「YES」らしく、その展開力、奥深さは満足できるものだった。(音作りがデジタルになって、ちょっとキンキンするけど)

これで「YES」というバンドの歴史は終わったな、とみんな思っていたのだが、更なるどんでん返しが待っていた。

「ABWH」が2枚目のアルバムを作り出したとき、トレヴァー・ラビンにサポートを依頼し、クリスをコーラスで参加させ…なんと「CINEMA-YES」と「ABWH」が合体してしまったのだ。
ジョンをボーカルに、ギターがスティーヴとトレヴァー、キーボードがトニーとリック、ドラムにビルとアラン、ベースがクリス…
「8人YES」となってしまった。
元々「ABWH」の2ndとして発表されるアルバム「結晶」は「YES」名義となり、8人で世界ツアーが行われた。
なかばあきれていた感もあるが、結果として「危機」時代のメンバーが揃って「こわれもの」「危機」時代の曲を演奏する…この魅力につられ、多くのファンがライブ会場に足を運んだことでしょう(私もその一人)

このあと当然のごとくメンバーが一人抜け二人抜け…気がついたら「CINEMA-YES」めんばーとなり、「トーク」が録音されるけど、このアルバムは各パートの演奏をハードディスク録音し、それをデジタルで切り張り処理するという…いうなればトレヴァー・ラビンがYESメンバーの音素材をデジタルコラージュして作り上げた作品。
まぁ、あらかじめ曲全体の構想があって、それに沿って録音しているから単なるコラージュではないと思うけど、ラストの「Endless Dream」なんかは15分の大作(プログレっぽい)なのにバンドとしての統一感が薄いという…。

その後気がついたらギターにスティーヴ、キーボードにリックといういわゆる黄金期メンバーが集まり、「YES」としてツアーを初め…
もうこのあとは、リックがまた脱退しただの復帰しただの、オーケストラと競演しただの、35周年つあーだの…
とりあえず、メンバーが元気なうちは往年の名曲を演奏して、ファン(?)に楽しんでもらおうという姿勢のようだ。


と、ざっと歴史をなぞっていくだけでも疲れてしまう(読んでくれてる人もなにがなんだかわからんかもしれない)
で、結局何が言いたいかというと、その長い歴史の中で、「プログレバンド」として評価できるのはほんの一瞬で、同じ「YES」という名前でもプログレとして聞いてしまうと誤解を招くこともある。
一方で、プログレじゃない「YES」を好きだったり懐かしんだりする人もいるだろうから、そういう方に向かって「その時期は本当のYESじゃない」なんて排他する気もない。

結局、彼らが「YES」というネームバリューに固執して、その名前でアルバムを乱発してしまったこと…これは他のプログレバンドと呼ばれるアーチストにも共通する困った点だ。


なので、プログレとして「YES」を聞いてみたい方には、まずは「サード・アルバム」「こわれもの」「危機」「リレイヤー」をお薦めする。
あと、80年代にプログレが生きる道を模索したらこんな感じだろうという「閃光(Anderson-Bruford-Wakeman-Howe)」もお薦めする。

あと、ライブ盤「イエスソングス」もいいだろう。
一部を除いて、ドラムがアランになっているのが残念だが。

もちろん「トーマト」「ドラマ」「90125」とか一時代を築いたロックアルバムとしてお薦めするアルバムもあるのだが、この辺でプログレを判断して欲しくないな、という。

かくのごとく、プログレを語るとその「迷いの森」は深く深くたたずんでいる…


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