プログレの深い森 その7 King Crimsonの場合-2
80年代になると、再びビル・ブラッフォードと組み、ギターにエイドリアン・ブリュー、ベースにトニー・レヴィンという豪華なラインアップで再び活動を開始した。
エイドリアンによるポップな歌メロや、幾何学的な組み合わせのギターデュエットなど、アルバム「ディシプリン」はジャンルを超えた、その時代の言葉で言うならば「ニュー・ウェイブ」なバンドとなっていた。
このアルバムも好きなアルバムだが、名前が同じだけで「宮殿」の頃とも「レッド」の頃とも違う方向性のバンドといってよい。
このメンバーでは、このあと「ビート」「スリー・オブ・ア・パーフェクト・ペアー」
の3枚のアルバムを残し、再び解散した。
90年代に入ってまたまた復活。
新たに二人のリズムセクションを加え、ギターがロバート・フリップ、エイドリアン・ブリュー、ベースにトニー・レヴィン、トレイ・ガン、ドラムスにビル・ブラッフォード、パット・マステロットという、ダブル・トリオという不思議な編成となった。
音的には「レッド」のころのメタル・クリムゾンをさらに発展させたもの。
まずはミニアルバム的な「ヴルーム」ついで、フルアルバムの「スラック」。
いつもなら再結成した流れで3枚ほどアルバムを作っていたが、このユニットはこの2枚で留まった。
しかし、ファンをあざ笑うかのごとく、この時期から過去のライブ音源を続々とアルバム化し、音源の良好なものは正規ライブアルバムとして、少し難のあるものはコレクター・シリーズとして発表される。
当初は貴重な音源が聞けると喜んでいたが、あまりに次々と発表されるので、いつしか買うのをやめるファンと、それでも集めずには居れないファンとに分かれていった。
大まかに診ると、
「クリムゾン・キングの宮殿」時代 - 「エピタフ」「エピタフ3&4」(今は「エピタフ1-4」として4枚組みで発売)
「リザード」「アイランド」時代 - 「レディース・オブ・ザ・ロード」
「太陽~」から「暗黒~」時代 - 「グレイト・ディシーバー - ライブ」「ザ・ナイトウォッチ」
「ディシプリン」から「スリー~」時代 - 「アブセント・ラヴァーズ」
「ヴルーム」「スラック」時代 - 「B・ブーム - ライヴ・イン・アルゼンチン」「スラック・アタック」「ヴルーム・ヴルーム」
と見事にあらゆる時代のライブも網羅している。
コレクターシリーズにいたっては、一度に3~6枚組みで、2000年から10パッケージも…
その間バンドは6人を組み合わせを変えた4つの編成にしてプロジェクト1~4という名前で、ライブをしてはアルバムを作り、良く言えば「可能性を求め」、悪く言えば「迷走」していく。
そしてプロジェクトXとして再び集合したとき、ビルとトニーが抜け4人編成で「ザ・コンストラクション・オブ・ライト」を発表(当然のごとく、その後「ヘヴィ・コンストラクション」というライブ盤も発売)
さらに「ザ・パワー・トゥ・ビリーヴ」(ライブは「エレクトリック」)と発売した。
ロバート・フリップ先生は、クリムゾンの音楽を自ら「ヌーヴォー・メタル」と呼んでいる。
意識としてはメタルの進化系なんだろう。
その後2008年頃復活してライブを行うと言うアナウンスがあったが…
と、いちおう追っかけては見ましたが、あらためて「クリムゾン・キングの宮殿」につきるなと。
その栄光を追っかけてた4枚目まではプログレ思考だったかもしれないけれど、「レッド」以降はプログレと言うジャンルには納まらないですね。
そういうのも好きは好きですが。
ということで、プログレを知りたい方にお勧めするのは「クリムゾン・キングの宮殿」
あとは「太陽と戦慄」「レッド」の重たいクリムゾン、それを復活させた「スラック」あたりがROCKとしてお勧め。
まったく違うジャンル…しいて言えばニューウェーブの「ディシプリン」
収録曲だけ見て、「有名なタイトルが入ってる」からってライブ盤に手を出さないように。
即興好きなロバート・フリップ先生ですから、”深い”世界が待ってます。
いや、その”すごさ”を味わうにはライブがいいですけれど。
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