Cyndi Lauper「She's So Unusual」
前回、めずらしくUSAのしかも女性アーチストを取り上げたんで、この機会のついでで。
キャロル・キングが70年代の正当なシンガーだとしたら、シンディ・ローパーは混沌の80年代を象徴する女性シンガーだと思う。
チャートに現れるロックが産業ロックといわれ、AORブームで実力派ロックシンガーが刺々しさを奪われ、正統派ロックはパンクムーブメントに「ロックは死んだ」といわれた時代…
しかし、この時代ならではのアーチストも続々と生まれていた。
MTVブームに便乗し、ビジュアル込みで売り出す時代。
だから余計なものがついた状態で記憶されているが、中にはしっかりとした楽曲もちゃんと生まれている。
彼女はもっとその歌唱力で評価されるべきだと思う。
「Money Changes Everything」イントロのシンセの音はチープ、ドラムの音もゲートエコーきかせていかにも…そうこれが80年代だ。
しかし、そこにのっかるボーカルは本物だ。
ただの音量だとか、シャウトだとかとは違う、訴えるパワーがある。
「Girls Just Wanna Have Fun」イントロを聞いただけであの頃の記憶がよみがえる…そんな40代が多いんじゃないだろうか。
MTV全盛期に現れた新人(すでにそこそこの年齢だったが)のこの曲は、その容貌とバカっぽくハッピーな雰囲気に”色モノ”視されていたが、そういうイメージを差し引くと素晴らしい曲だと気付く。
バッキングはひたすら単調で、後半もひたすらサビ部分を繰り返すだけなのに、毎回違う自由なボーカル。
力量が無ければできないことだ。
「When You Were Mine」この曲はいかにも…ってな感じで、”80年代”に埋もれてしまってるかな。
「Time After Time」これはもうスタンダード。
プロモビデオはちょっと…だったけど、あらゆるジャンルのアーチストにカバーされている名曲。
もちろんオリジナルの彼女の歌声は秀逸。
(あとはBAHOのライブで金子マリがゲストで歌ったバージョンがすき。
Tuck & Pattiも良かったよな)
「She Bop」なかなかにファンキーな歌声。
バッキングがちゃんとしたファンクアーチストならもっとかっこよかっただろうけど。(いや、当時はこれでも十分にかっこよかったけどね)
「All Through The Night」バラード。
粘っこい歌い方がこういう曲にはバッチリマッチしている。
「Witness」バッキングの音を大事にして、ポイントポイントに声を重ねていくタイプの歌なんだけれど…今聴くとバッキングのチープな音が気になって気になって。
ライブなんかで聴くともうちょっといい曲に聞こえるかもね。
「I'll Kiss You」ある意味、とっても80年代っぽい曲。
「He's So Unusual」次へのブリッジになる小曲
「Yeah Yeah」ラストを飾るかっこいい曲…のはずなんだろうけど。
うまく音が作れていたら、ボウイやロキシーみたいなグラムっぽい曲になったかもしれないけど、80年代の音で作ってるからヒューマン・リーグになっちゃった…って感じで。
カルト度 60% 今さらアルバム単位では聞かないかな。BESTで十分。
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