The Beatles「Help」
Beatlesのオリジナルアルバムをずっとレビューしてきて、なぜかこのアルバムが最後になってしまった。
LPでも買っているし、映画もフィルムコンサートやテレビで何度も見てる。
DVDも持っている(なぜかまだ封を開けてなかったりする)
おそらく、リアルタイムで追っかけてる人たちにとっては、徐々に洗練されていく過程を楽しめるんだろうけど、後追いだとどうしても”このあと”の彼らを知ってしまっているから…
「Rubber Soul」から「Revolver」「Sgt.Pepper's Lonely Hearts Club Band」と続く怒涛の充実期と比べるとこのアルバムは弱いし、これ以前なら「まだ若いしな」と許せていた稚拙さも「期待値」が大きくなって辛くなってしまう。
全曲レビューしながらそんなことを考えていた。
つまり、評価が難しいアルバム。
だから、自然とさけていたのかもしれない。
とはいえ、やはりBeatles。
お勧めは一杯ある。
「Help」ジョンの叫び「Please Please Help Me!」は人気者になり自由な時間が取れない彼らの心の叫びだろう。
それとは裏腹に、どんどんソングライターとしても、アーチストとしても成熟してきて、軽快なサウンドで爽やかに聞こえる。
いつしか、こういう内省的な言葉を使うようになったジョンは、この後どんどん”吐き出す”曲を作っていく。
「The Night Before」ポールの作品。
親しみやすいメロディにメインフレーズを追いかけてタイトルを連呼するコーラス。
中期につながる王道パターンで貫禄を見せる。
「You've Got To Hide Your Love Away」映画でこの作品を見たときに一番気に入った曲。
アコギを引きながらリンゴの頭を足でこずく。
それにあわせてタンバリンをたたくリンゴ。
アメリカンなルーツミュージックに傾倒しているイメージもあるが、こういったブリティッシュ・トラッドも上手く消化している。
「I Need You」ジョージの作品。
ポールやジョンに引けを取らない作品作りは出来ているが、やはり後期のジョージのソングライティングが神がかっているだけに、ちょっと普通な感じ。(いや、十分良い曲ですけどね)
「Another Girl」この頃のポールのラブソングは、なんというかきれい過ぎる。
良い曲なんだけど、そこそこの作品が並びすぎて驚きが無いと言うか…
普通に作っても良い曲ができてしまう、天才ならではの問題か?
その分、このアルバムだと「Yesterday」が際立ちすぎるんだけどね。
「You're Going To Lose That Girl」ジョンがメインボーカル。
初期のBeatlesお得意のコーラスを重視した作品。
こういう作風ももう余裕でこなしている。
「Ticket To Ride」ジョンがメインを歌うけど、途中でポールのほうがメインメロディになると言う、絶妙の流れ。
いままでもこういう作り方をした曲はいくつもあったけど、その完成形がここに在る。
ラストに同じフレーズを繰り返してフェイドアウトしていくのもこの曲が最初かな。(のちの「Hello Goodbye」「Hey Jude」など)
「Act Naturally」リンゴがボーカルのカントリーカバー。
このアルバムはLP時代A面が映画のサントラで、この曲が始まるB面が新曲と言う構成。
そう考えると、B面とはいえ新曲のトップをリンゴが(しかもカバー)というのは不思議だ。
「It's Only Love」ジョンがボーカルのラブ・バラード。
ジョンはこの曲が気に入っていないようだが、十分良い曲。
ただ、ポールが作るようなきれい過ぎるラブソングと言えば、言えるかもしれない。
「You Like Me Too Much」ジョージの作品。
こちらはアレンジでイントロのピアノにアクセントつけたり、間奏でギターとピアノの掛け合いを見せたり、工夫の後は見られる。
ただ、歌メロが単調すぎるのが残念。
「Tell Me What You See」ポール主導で、ジョンとメインメロディを入れ替えながら歌っている。
初期のこの手の曲に比べると洗練されてはいるが、この後のアルバムのことを考えると物足りないという…いかにも過渡期の曲。
「I've Just Seen A Face」ポールが歌うトラッド・フォーク。
「Yesterday」は別格として、このアルバムでポールが個性を発揮した作品。
中期にかけて、様々なジャンルを取り込んでいくが、ポールがこの手のフォーク調を取り入れたのはこれが最初かな。
結構好きな作品。
「Yesterday」彼らの有名な作品は数あれど、やはり一番名前が上がるのはこの作品だろう。
ロックファンにはロックファンの、ポップファンにはポップファンの、マニアにはマニアの好きな曲があるだろうけど、そういうジャンルレスで聞かれている曲というとこれ。
アレンジのおかげで、それまでBeatlesを「うるさい音楽」とカテゴライズしてた世代まで取り込んだのだから。
とうことで、もう解説は不要かな。
私もBeatlesファンになった頃はかならずこれがベスト5に入っていた。
しかし、Beatlesのほかの作品を聞くにつれて、この歌は除外されてきた…。
きっと、この曲はBeatlesじゃなくても出来た作品だからだろうか。
「Dizzy Miss Lizzy」前曲の余韻をぶち壊す、ジョンのロックンロールナンバー。
オリジナルアルバムで聞けるカバー曲はこれが最後。
このナンバーを区切りに、次作からはオリジナルばかりでアルバムを作ると考えると、ルーツミュージックへの別れのシャウトが感慨深い。
定番度 85% 映画もぜひ。
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