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August 19, 2009

映画「遠すぎた橋」(戦争映画論含む)

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お盆休みのちょっと時間が空いたときに観た。
このDVDもかなり前に買って観てなかった作品。
じつは公開当時映画館に観にいっている。
1977年だから、14歳のとき…映画雑誌を毎月買っていて、気にいったものを観にいってた時代だね。

で、紹介済みの「カッコーの巣の上で」と「ショーシャンクの空に」を買った時、3枚で3000円だったので無理やりにでも3枚選ぶ必要があり、上記の2枚は評判がいいのはしってたけど未見のものだったんで、保険の意味で「観たことはあるけどもう一度観てみたい」というこの作品をチョイス。

大まかなところは覚えてるけど、中坊が観るのとおっさんになって観るのとではいろいろと違う。

戦争映画にもいろいろあるが、この作品はひとつの作戦の戦略を追って描いたもの。
「史上最大の作戦」なんかと同じタイプ。
なので、数箇所に分かれた戦闘を同時進行で描かれるから、地名なんかを覚えてないとドラマに追いつけない。
まあ、大局よりも部分部分のドラマを観る楽しみ方もあるとは思う。
ただ、この映画は描かれる人間模様が多すぎて。
そのへんが、オールスターキャストの辛さで、主役級ばっかりだとバランスがねぇ。


ショーンコネリーを中心とする戦術クラスの主要人物が作戦を動かしていくのだが、思い通りにいかずに悲劇的な展開をしていく。
そのながれを、ダーク・ボガード、エドワード・フォックス、ライアン・オニール、ジーン・ハックマン、など大御所が描いていく。

もう一方で、流れの中のトピック的な部分のドラマがあり、様々なヒーローが描かれる。
そこにはエリオット・グールド、ジェームス・カーンなど。

悲劇的なトピックを担うのがアンソニー・ホプキンス。

そして、終盤に現れてちゃっかりおいしいところをさらっていくロバート・レッドフォード。

本国ではどうか知らないが、日本での扱いはロバート・レッドフォードが一番だった記憶がある。
そりゃあ、観客を動因するにはビッグスターを立てなけりゃ…だけど、彼をお目当てでみたら登場時間的にはがっかりだろうね。
もっとも、一番ヒーローチックではあったから、それだけで満足かも知れないけど。

と、いう豪華な出演者を楽しむのもひとつだけど、戦争映画って事でも語る事が出来る。

さっきも例に出した「史上最大の作戦」だとその悲惨さより作戦成功の爽快の方向にドラマが進んでいた。
当然、敵国は悪で、こちらが善。
「どうだ、やっつけてやったぞ」の世界だ。

それに対してこの作品は「作戦の失敗」を描いている。
(それでもなおかつ「一定の効果があったので良し」としている上層部を皮肉っている)
どんどん仲間が死んでいくのに、引く事が出来ない姿。
むしろ敵国であるドイツのほうが「もう降伏したらどうか」と人情的だったり、非戦闘員の提案に乗って停戦するなど紳士的だったりする。
(マクシミリアン・シェルやハーディ・クリューガーが良い味だしてる)

第二次世界大戦から時間を経て、冷静に戦争の悲惨さを考えるようになったのでは…という気もする。
実際、監督のリチャード・アッテンボロー(「飛べフェニックス」「大脱走」ではいい演技をする役者だった)はこの後「ガンジー」や「遠い夜明け」といった、紛争の悲惨さを描いた作品を作っている。
(「コーラスライン」もいい映画だったが)
ベトナム戦争は終わったけど、まだその戦争を客観視するまではいってないし、真正面から批判はできなかっただろうが、それを踏まえて第二次世界大戦を題材に戦争の悲惨さを描きたかったんだろうと思う。

このあと、この映画のような大作ではなく、絞った人物を追うことで戦争の悲惨さを描いた「ディア・ハンター」が現れるにつれ、流れは「非戦・反戦」に傾いていく。(一方では「ランボー」のような戦争ヒーローものも現れるが…)

と、戦争映画論だけでもいろいろ書けそうな気もするが、いずれ機会があれば。

しかし、これだけ戦争が悲惨だという声を聞きながら、未だに敵を作って戦争を続けようとする世界って…
(このことも、別の機会に別の場所)
なんか、歳を取るにつれ人が死ぬ映画が楽しめなくなってきた…

定番度 65% 懐かしきオールスター参加映画が観たい方へ

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August 18, 2009

Radiohead 新曲無料ダウンロード

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最近、というかここ数年、お気に入りのアーチストがネットで新曲を無料ダウンロードさせるという事が増えている。
その先駆けでもあったRadioheadがまた新曲を無料配布している。

一番新しいアルバム「In Rainbow」は無料配布とまでは行かないが、「好きな値段をつけてダウンロードしてください」という形式での発売。
後に、CDパッケージとしても発売されたが、結構安く手に入れる事が出来た(確か10ドルにしたと思う)

その後、ベスト盤こそ発売したが、フルアルバムはお預け状態。
なので、この新曲は期待満々。

「These Are My Twisted Words」早速ダウンロードしてみた。

初期のシンプルなギターロックではない。
そのあとのエレクトロでもない。
では最近の雰囲気か…うーん、それともちょっと違う。

曲の半分くらいまではインスト状態。
ただで配布するから、予告編みたいなインストナンバーなのかな、と騙される。

コード進行をあまり考えさせないギターのアルペジオ(というか好き勝手弾いてる感じも)と、結構高音気味で奏でるベース。
ドラムはやや軽めで、それでいて打ち込みっぽいのじゃなく、しっかりとアナログな音。
そこに後半、スペーシーな深みのあるというか、輪郭がハッキリしないというか、そんなボーカルがかぶさってくる。

うーん、こういう音、どこかで聞いた事がある。
そうだ、これはサイケデリックロックだ。
初期のピンクフロイドの浮遊感そっくりだ。
あるいはドアーズか。
メンバーそれぞれが、決して正面を向かずに上や下を向いて、自分の世界に浸りながら楽器を奏でてる様子が目に浮かぶ。

2回3回と聞いているうちに結構好きになってくる。

こうなると次に出てくるアルバムが楽しみになってくるが…

ダウンロードはこちら
公式ホームページ

ここの「Mon, 17 August」の記事下方にある「Download the audio here or torrent here.」の最初の「here」をクリックして、出てきたページの右下「Download Now」をクリック。



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August 12, 2009

映画「ショーシャンクの空に」

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大分前にDVDで買ったまま(「カッコーの巣の上で」といっしょに買った)、観る機会の無かった映画。
お盆休みで、家族がいないひと時にゆっくりと観ることにした。

最近は映画を事前情報なしに見ることは難しく、なんだかんだと過剰なプロモーションにより予備知識が入ったり、イメージを持ってしまったりする。
未見の作品をDVDで買ったりするのは、お金をかけるわけだからどうしても「どんな作品?」という情報を基にしてしまう。
この作品に関しては、詳しい情報は持っていなかったものの、多くの人が「BEST1」と言っているのを知っていたから、いい作品だろうとは思っていた。
あと、「雨の中で両手を広げている写真」「脱獄」「解放」というキーワードから、固まったイメージを持ってしまっていたし、この写真のシーンは多くの人が「感動した」とコメントしているので、これがハイライトだと…。
そういうイメージに捉われて作品を見るってのは、自由じゃなくて寂しかったりもする。

実際に見たこの作品は、このシーンはあくまでのドラマの中のひとつでしかなかった。
ドラマが進むにつれて、予感はいくつも現れる。
冤罪を暴くのか、復讐をするのか、それとも…

しかし、この作品の肝は、もう一人の主人公「レッド」のモノローグの世界だった。
レッドが触れた「アンディ」の物語。

人に好かれ、服役の仲間からも、看守たちからも信頼を得ていくアンディ…
あぁ、みんなが感動作というのはこういう前向きに「生きる」姿に対して、周りの人の協力で問題解決をしていく物語なんだ…そう思い始めた頃、その期待は裏切られる。

昔は、人が死んでいっても、それによって物語が深まっていったりするんだから必要なことだと思っていた。
しかし、いつしか、そういう出来事がやけに心に嫌な物を残すようになってきた。
(「カッコーの巣の上で」の時にも感じた)

最後は確かに感動があるのだが、いやなものも残している。

脱獄の物語はいくつか印象残る映画がある。
「大脱走」なんかは、小学生でもわかりやすい痛快な物語だ。
「パピヨン」は子どもの頃にはちょっと中だるみがあったような気がしたが、今一度観てみたい映画のひとつ。
この「ショーシャンクの空に」はそれらとはちょっと違った、静かなヒューマンドラマ。

これがスティーブン・キング原作とは知らなかった。
(怖いドラマ・不思議なドラマ専門の人だと思ってた)

あと、モーガン・フリーマンはやっぱりいい俳優だ。

定番度85% 映画好きにとって定番なのは間違いない。

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August 11, 2009

The Beatles「A Hard Days Night」

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毎日のようにいろんな音楽を聴いてるけど、なかなかレビュー使用という意欲まではわかない。
そういう時は何日もブログ更新がおろそかになって…

そんなときにきっかけをくれるのはやはりBeatlesだ。
今回は、もうすぐリマスター盤が発売されるので、それまでにできるだけまだ紹介してないアルバムを、と意気込んではいるが…

このアルバムを、アルバム単位で聞いたのはおそらく大人になってから、CDで全アルバムをボックス買いしたときだと思う。
いや正確には、レンタルでカセットにダビングして聞いているはず…
でも数曲しか印象に残ってない。

ただ、ビデオが無い時代に「ザ・ビートルズ・シネ・クラブ」(現ザ・ビートルズ・クラブ)のフィルムコンサートで何度か映画を見ている。
ひたすらファンから逃げ惑うメンバーと、合間合間のジョーク、そして演奏シーンが繰り返されるという…でも、当時動くBeatlesを見るのは貴重だった。

そう、このアルバムは、その映画のサントラっていうイメージがあるからあまり聞き込んでいなかった気がする。

しかし、今聴くと、もちろん素晴らしいアルバムだったりする。
(でも、わたしとしては後期のアルバムのほうが…)


「A Hard Day's Night」おそらく世界で一番有名なオープンコードのワンストローク。
もうこの音だけでBeatlesの世界に入り込む。
「なんてしんどい日だったんだ」なんて歌を、アイドルグループが歌って、ファンがそれにキャーキャー言う…
すごいことだったんだなと。
この頃はまだ明るく歌ってたジョンだけど、後期やソロになると「疲れちまった」とか「寂しい!死にたい!!」などと内面をダークな雰囲気にのせてぶちまけまくる。
もしかしたら、たんらるラブソングから、内面をぶちまける歌への転機がこの歌なのかもしれない。

「I Should Have Known Better」一転して甘い甘いラブソング。
ブルースハーブの渋さと、ナチュラルなギターストロークの温度差が、ジョンの甘ったるい声にマッチしてる。

「If I Fell」前曲と同じようにジョンが甘~く歌いだしたかと思うと、ポールとの絶妙なコーラス。
歌いだしはジョンだったのに、コーラスになると主旋律はポールが取ってたりする。
そう考えると、歌メロに関しての歌唱センスはジョンのほうがあったのかな。
この曲で複雑なコード進行(メジャーからマイナー)の微妙な部分はジョンが受け持ってるし。

「I'm Happy Just To Dance With You」ポニーテールとリーゼントのダンスパーティーでバンドが演奏してるような曲。
っていうか、もろ「ダンスをいっしょに」って曲だもんね。

「And I Love Her」ここまでジョンにいてった流れを一気にポールが引き寄せる名曲。
最初の、なんということのないギターアルペジオなのに、深く切ない雰囲気は秀逸。
(間奏のたどたどしいギターソロはお愛嬌)

「Tell Me Why」なんてことのないロックンロールナンバーだけど、コーラスに微妙な和音を入れたり、裏声を活用したり…徐々にいろんな技を駆使しだした。

「Can't Buy Me Love」ジョンがロックンロールを決めたら、負けじとポールも。
ベースのランニング具合は初心者のお手本にうってつけ。

「Any Time At All」さらに対抗してジョンが…(紅白歌合戦か!)
でも、これといって特筆する事が無い、秀作。

「I'll Cry Instead」前曲はちょっと高音で無理してたけど、このくらいが一番気持ちよく歌えてる。
中盤にちょっと違う雰囲気のメロディが入ってるのは、初期によく使ったポールと曲を合作してメロディにアクセントをつける手法かもしれない。

「Things We Said Today」単なるラブソングだけじゃないよ、ということを見せ付ける、マイナー調でありながら惹き付ける名曲。

「When I Get Home」Beatles全体のキャリアからいうと目立たない曲の中のひとつ。
ジョンの声は素敵だが、初期からの変化を見せてきているこのアルバムの中にあっては、初期っぽい荒さが目立つからか。

「You Can't Do That」この曲もなんてことなく過ぎそうだが、コーラスや掛け合いの入り方がライブ向けだし、リンゴのドラムブレークがこれまでになかった味を出してる。

「I'll Be Back」コーラスも素晴らしいし、中盤んび2種類の展開があるのも素晴らしい。
「Things We Said Today」と並ぶマイナー調の名曲。


全曲オリジナルになった最初のアルバムだとか、邦題が「ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!」という荒唐無稽だとか、話題はいろいろあるけど、そういうのは他所のブログにお任せということで…

定番度 90% もうBeatlesは評価関係なしにボックス買いでしょ


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