映画「遠すぎた橋」(戦争映画論含む)
お盆休みのちょっと時間が空いたときに観た。
このDVDもかなり前に買って観てなかった作品。
じつは公開当時映画館に観にいっている。
1977年だから、14歳のとき…映画雑誌を毎月買っていて、気にいったものを観にいってた時代だね。
で、紹介済みの「カッコーの巣の上で」と「ショーシャンクの空に」を買った時、3枚で3000円だったので無理やりにでも3枚選ぶ必要があり、上記の2枚は評判がいいのはしってたけど未見のものだったんで、保険の意味で「観たことはあるけどもう一度観てみたい」というこの作品をチョイス。
大まかなところは覚えてるけど、中坊が観るのとおっさんになって観るのとではいろいろと違う。
戦争映画にもいろいろあるが、この作品はひとつの作戦の戦略を追って描いたもの。
「史上最大の作戦」なんかと同じタイプ。
なので、数箇所に分かれた戦闘を同時進行で描かれるから、地名なんかを覚えてないとドラマに追いつけない。
まあ、大局よりも部分部分のドラマを観る楽しみ方もあるとは思う。
ただ、この映画は描かれる人間模様が多すぎて。
そのへんが、オールスターキャストの辛さで、主役級ばっかりだとバランスがねぇ。
ショーンコネリーを中心とする戦術クラスの主要人物が作戦を動かしていくのだが、思い通りにいかずに悲劇的な展開をしていく。
そのながれを、ダーク・ボガード、エドワード・フォックス、ライアン・オニール、ジーン・ハックマン、など大御所が描いていく。
もう一方で、流れの中のトピック的な部分のドラマがあり、様々なヒーローが描かれる。
そこにはエリオット・グールド、ジェームス・カーンなど。
悲劇的なトピックを担うのがアンソニー・ホプキンス。
そして、終盤に現れてちゃっかりおいしいところをさらっていくロバート・レッドフォード。
本国ではどうか知らないが、日本での扱いはロバート・レッドフォードが一番だった記憶がある。
そりゃあ、観客を動因するにはビッグスターを立てなけりゃ…だけど、彼をお目当てでみたら登場時間的にはがっかりだろうね。
もっとも、一番ヒーローチックではあったから、それだけで満足かも知れないけど。
と、いう豪華な出演者を楽しむのもひとつだけど、戦争映画って事でも語る事が出来る。
さっきも例に出した「史上最大の作戦」だとその悲惨さより作戦成功の爽快の方向にドラマが進んでいた。
当然、敵国は悪で、こちらが善。
「どうだ、やっつけてやったぞ」の世界だ。
それに対してこの作品は「作戦の失敗」を描いている。
(それでもなおかつ「一定の効果があったので良し」としている上層部を皮肉っている)
どんどん仲間が死んでいくのに、引く事が出来ない姿。
むしろ敵国であるドイツのほうが「もう降伏したらどうか」と人情的だったり、非戦闘員の提案に乗って停戦するなど紳士的だったりする。
(マクシミリアン・シェルやハーディ・クリューガーが良い味だしてる)
第二次世界大戦から時間を経て、冷静に戦争の悲惨さを考えるようになったのでは…という気もする。
実際、監督のリチャード・アッテンボロー(「飛べフェニックス」「大脱走」ではいい演技をする役者だった)はこの後「ガンジー」や「遠い夜明け」といった、紛争の悲惨さを描いた作品を作っている。
(「コーラスライン」もいい映画だったが)
ベトナム戦争は終わったけど、まだその戦争を客観視するまではいってないし、真正面から批判はできなかっただろうが、それを踏まえて第二次世界大戦を題材に戦争の悲惨さを描きたかったんだろうと思う。
このあと、この映画のような大作ではなく、絞った人物を追うことで戦争の悲惨さを描いた「ディア・ハンター」が現れるにつれ、流れは「非戦・反戦」に傾いていく。(一方では「ランボー」のような戦争ヒーローものも現れるが…)
と、戦争映画論だけでもいろいろ書けそうな気もするが、いずれ機会があれば。
しかし、これだけ戦争が悲惨だという声を聞きながら、未だに敵を作って戦争を続けようとする世界って…
(このことも、別の機会に別の場所)
なんか、歳を取るにつれ人が死ぬ映画が楽しめなくなってきた…
定番度 65% 懐かしきオールスター参加映画が観たい方へ
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