映画「カッコーの巣の上で」
少し前に百貨店の駐車場代を浮かすために立ち寄ったショップで、普段は1500~1980円のDVDが3枚で3000円なんてキャンペーンをやっており、結構悩んだすでに選んだ3枚。
そのうちの一枚が「カッコーの巣の上で」
「死ぬ前に見たい映画100」にもはいっていた作品。
(これで100本中50本制覇になったぞ)
この映画が上映された頃、毎月映画雑誌「スクリーン」を講読していた中学生だった。
その頃は毎日のようにテレビで映画劇場があり、放映カレンダーを手に入れるためだったり、ビッグスターのピンナップを楽しんだりのために雑誌を買っていたのが主な動機だが、おかげで情報だけはたくさん得ていた。
まだ、気に入ったら観にいくというほど経済力も無かったし、レビューの記事でいろいろ内容を想像するのがせいぜい。
逆に、いろいろ想像できて面白かったりもした。
まだ幼い私には、いわゆる娯楽作品(いまほど軽くは無いが)と過去の名作ご興味の大半だったし、この映画にはあまり食指は動いていなかった。
ただ、アカデミー賞受賞っていうことは「きっと、いい映画だろうな」という漠然なイメージをうえつけるに十分だった。
というのは、この前後の70年代にアカデミー賞を取ってる作品は、どちらかというと娯楽的なものが多く、「ゴッドファーザー」とか「スティング」、この次の年だと「ロッキー」だったり。
そう考えると、この作品だけポカンと穴が開いたように避けていた。
さて、そういう不思議な縁の作品をこのたび観る事にしたのだが…
これから見る人もいるだろうし、今の時代興味があればネットですぐ調べられるだろうから野暮は止めておくとして、観おわって「ちょっと微妙な感じ」っていうのが感想。
キャラクターの成長を感じるって言う面もあるし、一人の男に影響されて変わっていく群像劇っていう面もある。
製作された時代が「アメリカンニューシネマ」の頃だったんで、「反体制」の面もある。
ラストは陰と陽両面での「解放」というところも。
いろんなレビューを読んでいるとだいたいここまではいろんな人が述べている。
でも、私は違うところに惹かれるものがあった。
ほとんどの人が「体制」の象徴であり「冷徹」と評される「婦長」
たしかに、彼女がもうちょっと違う関わり方をしていれば、悲劇も起きなかったし、違う結末にもなっただろう。
カウンセリングを通じての「関わり」を考えるなら、この点は見逃せない。
しかし、体制側のすべての人が主人公を見放そうとしたときに、彼女だけがそれを拒んだ。
そこには「関わり」を望んでいる姿があったはずだ。
(どういう意図かは表現されているところだけでは量りかねるが)
だとすると、彼女なりに「なんとかしたい」という気持ちを、各患者に持っていたのでは…。
ただ、その手段が「支配」ととられる方法しかなかった。
彼女を単純に「体制側」と見ることができれば、反体制側に感情移入して観る事が出来たんだと思う。
だから、観おわった後に複雑なものが残ってしまったのかな。
DVDパッケージには「感動のラストシーン」と書いてあった。
彼女と患者が通じ合える…そうなるのが「感動」だと想像していたのだが。
まぁ、この時代は「反体制」ということに大きな意味があったのは理解できるが。
ジャック・ニッチェののこぎりを楽器に使った(「お~ま~え~は~あ~ほ~か~~」でおなじみにのやつ)主題曲も印象的。
主演のジャック・ニコルソンはこの作品でアカデミー主演男優賞をとったあとの出演作「シャイニング」の演技が圧巻。
あと、バットマンの悪役とかね。
その素地がこの映画の演技にあったんだなと。
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