Franz Ferdinand「Tonight」
前回Coldplayをレビューしたことで、わたしの中の70年代偏向がゆるみ、まだレビューしていない最近の音にも触れてみたくなった。
まずは「Franz Ferdinand」の「Tonight」
「Franz Ferdinand」を知ったのは数年前のウォークマンのCMで使われていた「Do You Want To」だと思う。
ビートに乗ったいい感じの曲で、その曲をダウンロードして何度も聞いているが、アルバム単位では聞いていなかった。
今回のこのアルバムが出る頃に、新譜紹介雑誌などでインタビューを目にし、なんとなく食指が動いていた。
そしてリリースされてすぐに入手して聞いたのだが…1曲目の「Ulysses」をのぞいて、気がつけば全曲終わっているという感じで「流してしまう」アルバムという印象だった。
その後、その「Ulysses」が車(Mark X)のCMで使われ、一気に広まるか?とも思われたが、そんなに話題になることもなかった。
しかし、ときどきクリックして聞いてしまう…聞き出すと、どんどん気になりだす…そんな不思議な位置づけになっていた。
もしかしたら、今年を振り返るときに結構上位に上がるアルバムなのかもしれない。
きっと、わたしが聞いてきたUKのサウンドを、彼らも聞いて育って、それらが演奏からにじみ出てるから、どこかシンクロするものがあるのかもしれない。
ということは、聴く人によってはぜんぜん興味がわかない可能性も…
「Ulysses」なんとも不思議な感覚の曲。
しいてあげるなら、70年代のDavid Bowieか、そのチルドレンである80年代のニューロマンチック勢(Duran DuranやABC)の匂いか…
なのに、ちゃんと21世紀の曲だったりする。
車のCFで気になった方はぜひ全曲をお試しあれ。
「Turn It On」こちらもパンキッシュなシンプルなドラムにチープなギター、さらにはチープなSEと、とても新しい音とは思えないのに、古いものでもないという…
The JAMやCrashが今作ればこういう音になるのかもしれない。
「No You Girls」この3曲まで聞いてくると、もうひとつの可能性が見えてくる。
初期Japanのグラムを取り込んだパンク…うーん、でもこれも完全に的を得た表現じゃない。
ますます、Franzのマジックに翻弄されてくる。
「Send Him Away」これまたどこか懐かしい響きを感じる曲。
「Twilight Omens」もうここまできたらあれこれ考えずに、音に任せて踊ればいいか。
って思えるくらい、Franzの世界が確立されている。
「Bite Hard」ピアノバラードでちょっと一服…と思いきや、突然入ってくるドラムビートに踊らされる。
「What She Came For」ベースがファンキー…。
今まで、雰囲気をつかもうと頑張ってきたけど、よくよく聴くとこの曲のベースの前への出し方とか、ハープシーコード系のシンセの音使いとか、乱暴に聞こえるコーラスワークとか、それらが乱雑にならないぎりぎりのところでバランスよく出入りしている。
そのあたりが、ただのグラムでもないし、ただのパンクでもないし。
「Live Alone」この曲のベースを聞いてると、ファンクを取り入れた80年代のサウンドを思い出すんだよなぁ。
いい意味で、UKの歴史をなぞってるバンドなんだと思う。
「Can't Stop Feeling」これまた今までと違った曲調。
ベースがやたらファンキーなのに、他のパートがべたべたで…
ゆっくりと歌う「Billy Idol」って感じ?
「Lucid Dreams」音が外れそうなギリギリのテンションのボーカル、ヘタウマな各楽器…それらを確信犯的に絶妙のバランスでおしとどめて成立させているという…。
上手いと思えないのに、ついついまた食べに行きたくなっているうちに病みつきになっているラーメン屋のような…
「Dream Again」どこか懐かしい感じが…なのに、それがいつごろの誰の音か思い出せない。
あぁ、Duran Duranの曲「The Chauffeur」だ。
「Katherine Kiss Me」最後にお口直しの静かな曲。
ブルースのようであり、トラッドフォークのようでもあり。
定番度 85% (そのときの気分によって、評価が可変するかも)
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