George Harrison「All Things Must Pass」
正直言って、このアルバムをしっかり聞いたのは今回が初めて。
なんせ、Beatlesを追っかけてた中坊時代には、ソロとなるとWingsやJonnのほうが優先だったし、なによりLP3枚組みなんてものは買うことはない。
その後レンタルレコードが生まれても、いくら名作とはいえ過去の3枚組みの作品を置く店などない。
で、「My Sweet Lord」や「What Is Life」を聞いてジョージがわかったつもりになっていた。
「やっぱジョンやポールが上」
しかし、このたび音源を手にしてじっくり聞いてみたら、もう「ごめんなさい」の世界だ。
前半のPOPセンスは今でも色あせないし、ブルージーなものも、年を重ねてきた今の私だからこそぴったりはまって聞ける。(もっともこのアルバムを作ったころのジョージはまだ20代前半だったけど)
参加メンバーも素晴らしく、ところどころに「これはリンゴのドラムだな」とか、これは「ビリー・プレストンだろう」って感じがいっぱい。
そして、色恋沙汰はあったにせよ、本当にクラプトンとはリスペクトしあった仲なんだろうなと思える影響がいっぱい。
あと、フィル・スペクターだなとうならせる音作り(厚み)には脱帽。
「I'd Have You Anytime」これが1970年の音?と思うくらいクリーンで奥深いギターのフレーズに続いて、静かに淡々と歌うジョージの声。
隙あらば入り込んでくるギターのフィルインはブルージーだけど、クリアなトーンとアダルトな雰囲気がブルースの陰を排除して極上のアダルトロックに仕上げている。
これを避けていたとは、まったく損をしていたものだ。
「My Sweet Lord」一転、こちらはあまりにも有名な、もしかしたらジョージの曲で一番有名な名曲。
「Lord」は神をさす言葉だし、コーラスもハレルヤなのでキリスト賛歌のようにとられるが、この頃のジョージはインド傾倒からヒンドゥーへの感謝を歌っているらしい。
でも、その思いが聴くものそれぞれの信仰心を煽られて、”いい気持ち”で聞いたり歌ったりしてたんだろうなぁ。
やっぱ、名曲
「Wah-Wah」このギターのワウ具合が70年代の味を思わせるが、曲のセンスはBeatelsの仕上がりに通じる、絶妙のバランスに仕上がっている。
ホーンの使い方や、サウンドのステレオの振り方なんかが秀逸。
「Isn't It a Pity [Version One]」バラード。
どうしてもこの時期の曲だと、ジョンやポールのバラードと比較してしまうけど、ジョージだって負けてはいない。
むしろこの時期に一番”らしい”かたちで様々な作品を作っていたのはジョージかもしれない。
ギターソロはジョージの味が完成されている。
「What Is Life」こちらも名曲。
ジョージのPOP面が全開で、判りやすいサビにモータウン風のリズムがマッチ。
「If Not for You」少し抑え目で、前曲とは違う意味で爽やかな曲。
ジョージの甘い声が前面に押し出されている。
「Behind That Locked Door」緩やかな午後を感じさせる曲。
ギターの使い方がカントリーっぽいスライドのせいか?
「Let It Down」ちょっとひねった、スローナンバー。
オルガンの使い方とコードの展開の仕方によってサイケっぽい雰囲気がある。
こういうの大好きです。
「Run of the Mill」落ち着いた感じのナンバー。
どことなく、ジョンのアルバム「Imagine」に入っていてもおかしくないような匂いがする。
「Beware of Darkness」これだ、このセンスが素晴らしい。
普通の進行からちょっとずらした感じ。
BeatelsよりもむしろStonesっぽい。
「Apple Scruffs」アコースティックナンバー。
これはある意味、一番ジョージに持っていたイメージに近い曲。
初中期(Helpの頃)のBeatles、インドに傾倒する前のジョージのイメージかな。
「Ballad of Sir Frankie Crisp (Let It Roll)」普通に聞いていたらスルーしてしまいそうな位置と曲の雰囲気だけど、じっくり聞いてみたらメジャーとマイナーの中間的な雰囲気で、最近ならTravisあたりが演るような、ある意味ブリティッシュ典型の曲。
ちょっと陰なところがまたいい。
「Awaiting on You All」こういう雰囲気はBeatles時代にはなかったもので、おそらくEric Craptonに影響されたか(影響しあったか)
なんというか、音の深みがいい。
「All Things Must Pass」ピアノ中心のバラード。
ドラムの入り方(おかず)がBeatlesチック。
「I Dig Love」POPとサイケの綱渡り的な感じの曲。
この曲の肝はドラムのリズムアクセントだろう。
「A Day In The Life」を思い起こさせる。
「Art of Dying」これは…「レイラ」に匹敵するんじゃないだろうか(ギターのフィル・インやソロの感じ)
もし、今からコピーバンド演るなら、こいつを推してみたい。
大好きな60年代サウンドの名残だ。
「Isn't It a Pity [Version Two]」Version Oneではピアノバラードで始まったのが、ギターとオルガンで来るだけで、これだけ雰囲気が変わるのか…
こちらの味はジョンやポールには出来ないよなぁ。
「Hear Me Lord」こういう陰のある感じもいいねぇ。
おなじLordを歌っていても「My Sweet Lord」とは対極の感じ。
(この雰囲気はジュリーや柳ジョージあたりの歌謡ブルースに取り入れられたんじゃないかと密かに思っている)
ここからはセッションパート、3枚組みLPだからこそ出来た曲かな
「Out of the Blue」
10分強のブルースセッション。
おそらく録音に参加していたデレク&ドミノスとの演奏じゃないかな。
「It's Johnny's Birthday」これをアルバムの中の一曲にするとは…
まぁ、お遊びってことで。
「Plug Me In」ギター2本で掛け合い。
「I Remember Jeep」実に楽しそうにギターを弾いている。
それだけに、後付の効果音がちょっとうざい
「Thanks for the Pepperoni」ビリー・プレストン(だと思う)最高!
定番度 95% 今まで聴かずに過小評価してました…ごめん
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