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December 09, 2008

ライブレビュー「キツネの嫁入り」 再び

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久しぶりに「キツネの嫁入り」のライブ日程と私の都合が合って聞きに行くことができた。
はじめて彼らとであった三条木屋町の「Urbanguild」前に行ったときも入り口がわからず、何度か前を行ったりきたりしてたのだが、今回も飲み会の若者が看板を隠すようにたむろしていたせいで見逃して行き過ぎてしまった。

その前の予定の関係もあって開演からだいぶ時間がたっていた。
入り口を入ると、ボーカルの「マドナシ」さんが迎えてくれ、ちょっと言葉を交わしてから会場へ。

「勝野タカシ」さんのライブ中だった。
アコギの弾き語りで、ギターの音がウクレレのように軽いんだけど、それがネオアコのムーブメントを思い起こさせる、POPでエネルギッシュな音。
ねばっこい歌でありながら、そのメリハリで音が踊っている。
また聞いてみたいと思った。

続いて「キツネの嫁入り」

「忘却」何回かライブで聞かせてもらったこの曲がオープニング。
耳慣れているせいもあって、とても落ち着くし、いつもの「キツネの嫁入り」の世界にすんなり入れる。

「世界の逆」こちらも7月のライブでも聞いた曲。
変拍子も心地よく、「カギ」さんのジャンベが活躍するアップテンポナンバー。
音の出入りも絶妙で、バランスもこなれている感じで安心して聞ける。

「群をなす」これも7月に聞いた曲。
「ひーちゃん」さんの木琴は、前回聞いたときより「なじんでいる」感じがして、自然に聞いていた。
アコーディオンがないことによる音のスキマを前回は感じていたけど、ギターやジャンベがうまい具合にバランスをとってたからかな。

「白黒」引き続き木琴中心のイントロで、ギターもちょっとパーカッシブな使われ方。
アコーディオンのときは静かに揺れながら弾いている「ひーちゃん」さんだけど、前後左右に踊りながら木琴をたたく様は素敵だ(惚れ直してしまった)
しかし、この曲は音のことよりも「詩」が響いてきた。
とかく「白黒」つけたがることに対して、「グレー」が主張する。
そう、グレーっていうのもありだし、グレーでいることを認めるってのはすごく大事なこと。
理想だけに目を向けるのでもなく、「今、ここ、わたし」の状態をそのまま認めて受け入れるということは、「白・黒」つけられないことをも受け入れていくこと。
「キツネの嫁入り」さんって、詩がしっかり届いてくるから素敵だ。

「雨の声」はじめて聞く曲で、ゆらゆらとたゆたう世界に浸らせてくれる。
全編にわたって「雨の音しとしと 人の音たわたわ」と歌い続ける「ひーちゃん」さんの声も素敵だし、ひたすら繰り返されることでミニマルミュージックの世界に酔っていける。
何故だか判らないけど、「Doors」の「The End」を聞いているときのような高揚感と浮遊感を感じていた。

「カラマワリ」ハンドクラップでリズムを取りながら、パーカッシブなギターとねばっこいアコーディオンがからんでいる。
コーラスもメロディよりもリズム楽器の役割をして、アラビアンやエスニックの入り混じった不思議なグルーブを作り出している。

新しく聞くこの3曲にはとてもリズムを感じる。
すでにあるものにリズムを加えるのではなく、リズムありきで練り上げられていったんじゃないかと思える。

「最後の朝焼け」ライブでも聞いているし、音源でも何度も聞いている曲。
しかし、そこにプラスアルファを感じてしまうのは、ボーカルの「マドナシ」さんに起こった出来事を聞いていて、私のほうが勝手にその出来事を組み込んで聞いてしまっているからか。

音楽を聞くときに、そこで奏でられているものをそのまま聞くのが普通だと思っている。
しかし、人は頭が働いているかぎり、刹那刹那にめぐってくる思いを脳内で混ぜてしまう。
それは発信者がそうしていなくても、勝手にこちらが発信者に装飾してしまうもので、その時点で”私”の思いだ。
「発信者に思いがある」と勝手に想像して、受け取った気でいるが、そうじゃない、こちらの創造物だ。

でも、それを無理やり引き剥がそうとしては、それもまたその刹那の音楽でなくなる。
勝手に想像し創造したものをも含めて、その刹那のリアルなものとして聞いていた。
その結果は…この歌が聴けてよかった。


「キツネの嫁入り」のあとは「石橋英子」さん。
非常に感想を言葉にしずらいのだが…
簡単にいうと「私には合わない」と思った。
ただその言葉だけでは全部を言い表せていない。
その「歌」をもっと聴きたいと思わせるものだった。
かなり自由な演奏のなかに、時折現れる「歌」は素敵だった。
チェロの「音」が組み合わさる瞬間も素敵だった。
しかし、インプロ的に展開される「音」の荒波はきつかった。
ここが微妙なところで、全否定ではなく、昨日の組み合わせで生まれるものが私には合わなかったということで…
そう、違う形で聞いてみたいと思えるのが不思議だ。

振り返ってみると、70年代King Crimsonのライブアルバムを聞いたときに似たようなことを感じたのを思い出した。
ただ、それは最初は即興でもアルバムという形で繰り返し聞くことができるので、即興から「できあがったもの」として聞きなおすことができた。
もしかしたら、昨日の音も繰り返し聞いたら違った印象になるのかもしれない。

(噂に聞いていた「火を噴くチェロ」が見れたのは満足だ)

と、なんだかんだ好き放題書いているけど、結局「キツネの嫁入り」と再び出会えたことがうれしい。
それも、今までとまた違う顔の。
何度か出向いたライブで、それこそいろんなタイプのバンドも一緒に聞いてきたけど、そのきっかけが「キツネの嫁入り」だったというめぐり合わせはもう奇跡に近いものだと思う。

キツネの嫁入りサイト
別の時のものですが、YouTubeに曲が上がってます。
忘却
カラマワリ

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December 07, 2008

Sigur Ros「Saeglopur」

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誕生日プレゼントとしてWebクーポンをくれるショップが、セールとして別にクーポンを発行してくれた。
あわせると500円分の割引だ。
しかし、そのショップは家電中心で、送料無料になるには1万円以上買わないといけない。
500円のために、特に必要としてないものを1万円買う…のもバカらしい。
しかし、そのショップのCD/DVDならば3000円以上で送料無料。
ただ、そこは輸入版は扱っていないので、安い輸入版があるものをわざわざ買う気がしない。
でも、クーポンをムダにもしたくない…ということで、日本編集版(輸入版はない)このアルバムを買うことにした。
(もう一枚、冨田勲のアルバムと2枚で3000円強)

アルバム「Takk...」を発売した後の来日記念版として出されたEPで、メインの「Saeglopur」以外は未発表曲。
(「Hafsol」は後に「Hvarf」に収録された)

「Saeglopur」アルバム「Takk...」の後半を彩る、Sigur Rosのダーク面を表した曲。
序盤のエンジェルボイスとキーボードだけのパートと、重たいベースやドラムが加わった中盤の落差が深い深い世界へいざなう。

「Refur」ピアノ中心の静かな曲。
この頃のSigur Rosのイメージどおり、白い霧に包まれた世界という感じ。

「O Fridur」この曲だけ聞くと、「Penguin Cafe Orchestra」といっても通用しそうなストリングスのリズムレスな世界から始まり、やがてピアノの旋律に入れ替わっていく…なんともふわふわした世界観。
最後にボーカルが加わるが、声というより楽器のひとつとして溶け込んでいる。

「Kafari」オルゴールの音を使った幻想的な世界。
ストリングスが徐々にからんで、明るく、かつ荘厳な雰囲気に持っていく。

「Hafsol」印象的なギターのイントロから始まり、そこにストリングスとボーカルが加わる。
明るく、でも静かな雰囲気は中盤でドラムが加わりだし、少しテンポがハッキリしてくる。
終盤になるとテンポアップして、カーニバルのような雰囲気で加速していく。
10分ほどの曲なのに、あっという間に感じるほど引き込まれる名曲。


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December 03, 2008

Coldplay「Prospekt's March」

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Coldplayの新作(?)というか8曲入りのEP。
いろいろ事前情報を聞くと、「Viva La Vida~」製作時に録音されながら、全体のバランスを考えてアルバムに入らなかった、所謂アウトテイク集らしい。
一方では、このアルバムと「Viva La Vida~」を2枚組みで販売して、「これが本当のViva La Vida完成形だ」という話も。
未発表曲とRimixの組み合わせはいかにもアウトテイク集という感じだが…


「Life In Technicolor Ⅱ」なんと、Viva La Vidaのオープニングを飾った軽快なインストナンバーに歌詞があったという…
あのインストナンバーはアルバム全体のイントロという存在だったのに、こうしてひとつの完成された曲として聞くとまったく違う顔を見せてくれる。
あれはあれとして、これはこれとして、収まるところに収まるようになっているのだろう。

「Postcards From Far Away」静かなピアノインストバラード

「Glass Of Water」アップビートなナンバー。
確かに、アルバム 「Viva La Vida~」にはいると明るすぎて他の曲とのバランスが微妙だったかもしれない。
ただ、中盤の変拍子の不思議な雰囲気は「Viva La Vida~」の世界に通じるものだろう。

「Rainy Day」なんというか、私のイメージしているColdplayとはかなりかけ離れた感じの曲。
ストリングスが入るあたりの処理はBeatlesっぽくて好きなんだけど、他の部分が一昔前のテクノを気取ったPOP的なグルーブで…

「Prospekt's March / Poppyfields」逆にこちらは王道的なColdplay節。
クリスの甘ったるいボーカルが満喫できる一曲。

「Lost+ (Jay-Z remix)」remixとなってるけど、あまり大きな変化もなく、違和感なく聞けますね。
全体的にビートを控えめにして、オルガンの音を前に出してきてる感じくらいかな。
と思ってたら、後半にラップが入ってくる…そういうことだったのね。

「Lovers In Japan (Osaka Sun mix)」今度はだまされないぞと、どうremixされてるか聞き込んだけど…
ドラムがビート主体のバスドラと細かい手数のタム回しになっているほかは、ちょっとシンセの音を深くしているところかな…あんまりイメージは変わらんね。

「Now My Feet Won't Touch The Ground」アコギのバラード。
これならアルバムに入っていても違和感なかったかな。
ラストに入れて余韻残す手もあっただろうにね。
「Viva La Vida~」では、ラストの曲からもう一度オープニングの「Life In Technicolor」につなぐという手法をとったから入れられなかったのか。

前回、「Viva La Vida~」をレビューしたときは警戒して定番度を入れなかったけど、今このEPアルバムを聴いてみて、あらためて「Viva La Vida~」は完成されたものとして「定番度 100%」を与えたいと思ったかな。
実際、世界的な大ヒットもしたし、あら捜しすることもないしね。
で、この「Prospekt's March」をどう評価しようか…

定番度60% まだ「Viva La Vida~」を買っていない人は、「豪華版」「特別編集版」と思ってこの「Prospekt's March」とセットになってるのを買うのがお得。
他は、「Coldplayはコンプリートするぞ」という人以外は、あえて買う必要もないかなと。

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