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November 30, 2008

Kate Bush「The Kick Inside」

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今年はネットでのダウンロード販売で新譜を手に入れることが多かったが、11月に入ってCDを手にする機会が増えている。
というのも、誕生月ということでネットショップの「バースデーポイント」をもらったりして、CDだったらそんなに追い金を足さなくても送料無料で手に入れられたりする。
他には、プリンターのインクがバーゲン価格で出ていたときについでに買ったり、出張先のショップでバーゲンしてたり…とまぁ、そういう感じで連続で6枚買ってしまった。

そのうちのメインになる新譜は残念ながら遅れているようだが、それと一緒に(2枚買うと10%オフ)買ったのがこのKate Bushのデビューアルバム「The Kick Inside」(邦題:天使と小悪魔)

ケイト・ブッシュがデビューした頃は、洋楽の情報はもっぱらラジオと雑誌。
そこで、ピンクフロイドのデビッド・ギルモアがプロデュースした19歳の女の子ということで興味を持ち、ラジオから流れてくる不思議な声と歌声におどろいたものだ。
しかし、当時のなけなしの小遣いではアルバムを買うまでにはいたらず、ヒット曲の「Wuthering Heights(嵐が丘)」以外はあまり知らなかった。

CDとしては2ndアルバムの方を先に手にしていたのだが、今回アルバム単位で聞いてみて、トータルで作り上げられた世界観が、Genesisを思い起こさせる幻想的な立派なプログレだなという印象を持った。
もとろん、私の好きな世界だ。

「Moving」メジャーともマイナーともつかない、不安定な世界観。
伸びのある、それでいて繊細な声は、霧深い森の中をさまようような雰囲気で、聞くものを迷わせる。
デビューアルバムの一曲目で完成されている感じだ。

「The Saxophone Song」前曲の雰囲気をそのまま引き継いだ感じ。
タイトルどおり、サキソフォンが渋い。

「Strange Phenomena」なんとも一言で表せない不思議な曲

「Kite」ちょっとPOPでとっつきやすい…かな?
バンドサウンドが判りやすいだけで、歌メロの世界は全然POPじゃないな。

「The Man with the Child in His Eyes」静かなバラード。
ゆったり、語りかけるように歌えば、低音の聞いたいい声のバラードが聞ける

「Wuthering Heights」最初のヒット曲。
今もある番組のテーマに使われているので、耳なじんでいる人は多いだろう。
不思議ワールド全開で、耳についたら離れない名曲。

「James and the Cold Gun」ちょっとRockな一曲。
でも、ちょっと彼女の個性には合わないかな?

「Feel It」バラード調なんだけど、こちらはハイトーンボイス中心で不安定な雰囲気。
でも、こちらの方が真骨頂。

「Oh to Be in Love」リズムやコード進行はこんなに単調なのに、とてもメリハリのある世界が作れるのは、非凡だ。

「L'Amour Looks Something Like You」悪くはないが、前後の曲が個性的なんでちょっと埋もれてしまう。

「Them Heavy People」ちょっと不思議なベースの音回しに、彼女のボイストーンが加わることで独特の世界を築きあげている。

「Room for the Life」これも悪い曲ではないのだが、同じような雰囲気が続くとインパクトにかける。

「The Kick Inside」ラストは正統派バラード。

カルト度 65% かつてのベストセラーも、今ではベストで十分か?


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November 27, 2008

Joe Jackson「Body & Soul」

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先日、東京へ車で移動するために、いつものMP3プレーヤーを持っていこうとしたら見当たらなかった。
そこで、急遽何枚かのCDを持っていくことにしたのだが、パソコンに入れて普段聞けるようにMP3化していないものをあえて選んでみた。
そうすると、80年代のAOR系を最近聞いてなかったことに気づく。

AORとは「アダルト・オリエンテッド・ロック」のことで、ロックの流れを持ったミュージシャンが、大人向けの大人しめのアルバムを作っていたもの。
70年代にイーグルスが「ホテル・カリフォルニア」を、フリートウッドマックが「噂」をメガヒットさせたあたりから、そういう新しいロックが生まれたように思う。

私自身は、クリストファー・クロス、ケニー・ロギンス、マイケル・マクドナルド、ボズ・スキャッグスあたりのLPを買いあさっていた時期でもある。
ただ、この流れはUSAチャートのものだと思っていた。
Joe Jacksonもそんなころ、「Steppin' Out」などのおしゃれな曲のPVを流していた。

Joe JacksonはUK生まれのミュージシャン。
ただ、このアルバム前後の全盛期は、NYジャズとの融合を果たしたようなおしゃれなイメージで、ビリー・ジョエルやクリストファー・クロスなどと近い雰囲気があったりもする。
実際、私もUSAのミュージシャンだと思ってた。


「Verdict」オープニングのホーンセクションと力強いドラムのインパクトが抜群。
このフレーズは、TV番組「Best Hit USA」の途中にあるタイヤCMで使われていた。
そのインパクトフレーズと、ボーカルバックでのピアノの静かなフレーズ、この繰り返しが高揚感をかき立てる。

「Cha Cha Loco」一転してジャジーなナンバー。
ラテンタッチのパーカッシブともマッチして、おしゃれな雰囲気

「Not Here, Not Now」ピアノバラード。
静かな曲調からサビに向けて盛り上がっていく感じは力強く、AOR系のバラードとは一線を画している。

「You Can't Get What You Want (Till You Know What You Want)」文句なしにかっこいい、キラーチューン。
ギターの感じがAOR的な軽いものであったり、ベースがチョッピングでグルーブしてたり、ホーンセクションがジャジーだったり、サビがモータウン的だったり…そんないろんな要素が抜群のバランスの上で”踊っている”
歪ませるだけがロックじゃない、シャウトするだけがロックじゃない。

「Go for It」ビートの聞いたサウンドは前曲からさらにノリノリで、気分は盛り上がってくる。
この4・5曲目の流れは最高だ。

「Loisaida」ピアノインストナンバー。
この後に、映画のサントラなども多く手がけるジョーだが、この曲でも情景が浮かぶようなきれいなメロディを聞かせてくれる。
その情景は…やっぱNYなんだけどねぇ。

「Happy Ending」女性ボーカル(ソウルフルなシンガーだ)とのデゥエット曲。
男女デゥエットなんて演歌しかないと思っていたのだが…(笑)
これがまた非常に良い。
ホーンの使い方もいいし、ベースのグルーブ具合も絶妙だ。
予断だが、学生時代に一緒のサークルでやってたバンドがこの曲を採用していた。
そのボーカリストとはあまりなじんでなかったのだが、この曲を歌いこなすセンスには脱帽していた。

「Be My Number Two」再び静かなバラード。
静かに終わると思いきや、最後にホーンセクションが盛り上げてくれる。

「Heart of Ice」ハイハットを刻む静かな音、そこに木管楽器(クラリネットかフルート)が加わってくる。
次にミュートをきかせたトランペットが加わり、さびのメロディにつながる。
やがてピアノが加わり、ドラムがビートを刻みだす。
サックスが、ベースが加わり、主題以外の音も増えてくる。
ついにはエレキギターやシンセが音を重ねだし、盛り上がってくる…
そう、この展開はラベルの「ボレロ」やマイク・オールドフィールドの「チューブラベルズ」を思い起こさせる。
でもそんなに大層な作品でなく、アルバムラストのほんの一曲として持ってくるところがおしゃれだ。
曲はやがてボーカルとコーラスが加わり、主題を繰り返す。
気がついたら、ほんの6分ほどの曲。
印象は20分くらいの大作を聞いたような感じだ。
いや、お見事。

定番度 85% 古いけれど聞く価値はあり


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November 19, 2008

David Bowie 「Live in Santa Monica '72」

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最近、ちょくちょくとライブ盤のレビューをしてるので、今回は最近発売された昔のライブ盤を。
David Bowieのライブ盤はすでに何枚か出ているが、LP時代のものは曲順が編集されていたり、曲数が少なかったり。
今回発売されたのは、Ziggy発売後の全盛期のライブを完全収録した優れもの。

音のバランスとしてはやけにベースが前に出ており、ちょっと聞きづらい感もある。
私てきにはベースが目立つのはうれしいけどね。

アルバム「Ziggy Stardust~」を中心に、他のアルバムの曲をバランスよく混ぜてあり、今でも十分通用する曲ばかりなのには驚かされる。

ボウイがジギーという別人格を利用して、スーパースターを演じきった完璧なライブ

気になる曲、お気に入りの曲は…

「Changes」のアレンジが本来はボウイひとりで掛け合うように歌うのだが、当然それは無理なんでコーラスとの掛け合いになるんだけど、それがちょっとチープな感じがして、かえって可愛かったりする。
ピアノの扱いがちょっとジャジーで、オリジナルにはない味を醸し出してるのがいい。

「Life On Mars?」ちょっと鼻にかかったシャウトはとてもセクシー。
アルバムの頃より、より歌唱力がついているのだろう。

「Five Years」音としてはどうしてもチープな感じは否めないが、それを補って余りあるボウイのボーカルは素晴らしい。
それだけに、コーラスの野暮ったさが…

「Space Oddity」「Andy Warhol」前曲では残念だったが、この2曲では素晴らしいコーラスが聞ける。
伴奏がアコギ中心なので、コーラスに専念できたからか(だれがやってるか知らないけど)
どちらも元々好きな曲だけど、ボウイのボーカル力が楽しめるこのライブバージョンも素敵だ。

「Moonage Daydream」この曲はZiggyの中でも隠れた名曲だと思っている。
シンプルなバッキングに、ボウイの素敵なシャウト。
ただ、ライブでは低音のコーラスがちょっと不安定でもったいない。

「Suffragette City」「Rock 'N' Roll Suicide」オリジナルアルバムでもラスト2曲のクライマックス部分。
当然ライブでも最高潮の部分だ。
ここはテクニックどうこうではなく、ノリで押し捲るところ。


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November 18, 2008

Pink Floyd「Animals」

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昨日、Dvid GilmourのライブでPink Floyd作品を聴いていたら、オリジナルが聴きたくなった。
で、今日はいろいろ聞いてるんだけど、ついでにまだレビューしてなかったアルバムを紹介しようと…。
で、「Animals」なんだけど、工場の上空を豚が飛んでいるジャケットで有名。

名作「狂気」でコンセプトアルバムのピークを築き、次の「」ではコンセプトこそ内なる世界に入り込んだがサウンド的にはギターアルバムといってもいいほどすっきりと聞きやすいアルバムをだし、ファンの期待は「次は何?」と期待一杯だったときに出されたアルバム…ということで、かなり難しい位置にあっただろうと思う。
結果として、「犬・豚・羊」を「エリート・ビジネスマン、資本家や政治家、平凡な労働者」にたとえて現代批判をするというコンセプトは、英語圏ではない日本では通じづらく、歌を重視したサウンドは「幻想的」な奥深さが影を潜め、タイトなロックサウンドに仕上がって、私にとっては中途半端な印象になってしまった。
しかし、そこはPink Floyd、時代を超えたいまでも、十分に聞けるだけのクオリティは誇っている。
その前後のアルバムがすごすぎるのだ。

「Pigs On The Wing」導入的な役割のアコースティックナンバー。
以前はこういうアコースティックナンバーだけでちゃんとした曲に仕上げていたが、この頃からブリッジ的にアコナンバーを利用することが増えてきた。

「Dogs」アコースティックのストロークにのって歌が始まり、やがてバンドサウンドのフィルインを経てハードなサウンドへと変換していく、ある意味とてもプログレっぽい展開。
デビッドのギターもハード目のソロを聞かせてくれていて、中間のハモリ・ツインギターサウンドは今でも鳥肌もののかっこよさだし、リックのシンセソロも渋い。
そして曲の最後、同じパターンの繰り返しでメッセージを訴え続けるロジャーのボーカルは、彼にしか出せない味がある。

「Pigs (Three Different Ones)」不安げなシンセアルペジオにギターストロークがかぶさってくる。
サウンド的にはすごくラフな味付けで、音による表現よりも歌詞による批判に重きを置いているんだろう。

「Sheep」リックのピアノがいい味を出しているイントロから始まる。
そこにたたきつけるようなボーカル、切り裂くようなギターなどが加わってきて、やはりこの曲もハードな仕上がりになっていく。

「Pigs On The Wing 2」エンディングであり、イントロにつながっていく。

定番度 65% プログレを語る上で外せないが、優先度は下

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November 17, 2008

David Gilmour「Live in Gdansk」

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もう、プログレッシブ・ロックは終わっていると分かっているのに…かつてのプログレアーチストが新譜を出したり、ヒットパレード的なライブを出したり、発掘盤を出したりすると反応してしまう悲しい性…

David Gilmourのコンサートライブ盤。
映像盤も同時に出ているので、そちらを見ればライトショーなみの派手なステージングも見られるのでしょうが、ここは音源の方で。
少し前に書いた「The Police」のときと同じように、このクラスのアーチストになるとすでにオリジナル音源を繰り返し繰り返し聞いているので、どうしてもそれらとの比較をする聞き方になってしまう。
特に「Pink Floyd」には思い入れが強いし、私は「Pink Floyd = Roger Waters」派だから…

ということで、Pink Floyd作品は素直に聞けないのだが…

「Speak To Me」「Breathe (In The Air) 」「Time」「Breathe (In The Air) [Reprise] 」名作「狂気」の曲なんだけど…やはりこの「狂気」はトータルコンセプトで聞いて成り立つもんだから、抜き出して演奏されると面白みがなくなる。
「Breathe」のあとには「On The Run」のシンセの音がないと落ち着かないし、「Time」のあとにはピアノからパワフルなコーラスに続く「Great Gig In The Sky」がないと「狂気」の意味がない。
とっても残念な感じ

「Shine On You Crazy Diamond」この曲はデビッドのギターソロを自分で完璧にこなすことで80%は完成するのだが、ボーカル部分はどうしてもロジャーが居る物「」と比べられてしまう。
そこで、ギター弾き語り風にして無理やり雰囲気を変えているのだが…
結果、曲全体の雰囲気としては残念な感じもあるが、新たなアレンジとして聞くには及第な気がする。

「Astronomy Domine」これは初期Floydの作品「夜明けの口笛ふき」より…というか、まだデビッドが加入する前の曲なんだけど…
まぁ、ライブでは何度もやってるから自分の曲として消化してるんだろうけどね。
上手に再現しましたねって感じで。

「Fat Old Sun」これは「原子心母」の中の曲だけど、ライブで聞くのははじめてだと思う。
こんな良い曲だったのかと再認識。
静かな牧歌的なところから、後半のギター弾きまくりのところへの盛り上がりが良い。

「Echoes」たぶん、このツアーの目玉なんだろうけど…うーん、微妙。
おせっかい」B面まるまる使った曲で、ビデオの「Live At Pompeii」でも目玉。
デビッド以外のパートは、かなり完コピに近いんだけど、それならデビッドも好きに弾くんじゃなくてオリジナルに忠実に再現して欲しいんだけど、それだとデビッドの個性は出ないし…。
ということは、フロイドの20数分に及ぶ名作を、わざわざソロツアーで演る必要があるのか?ってことで。
まぁ、それを言えば他の曲も全部そうなんだけどね。

「Wish You Were Here」音的には元々デビッドのギターが肝の作品だったから、まぁ問題ないんだけどね。
でも、この曲の”いわれ”を知っているものとしては、この曲はロジャーの思い入れたっぷりの作品だと思ってるからねぇ。

「Comfortably Numb」この曲に関しては、フロイド分裂後もさまざまな形で演奏されてきているので、単独のナンバーとして通用するのだろうが、私にとってはやはりコンセプトアルバム「The Wall」の中にあってその位置が確立される曲だと思っている。
デビッドのボーカルとギターがあれば、ほぼオリジナルに近い雰囲気は作れるし、後半のソロはデビッドならではのもので、ロジャーのソロコンサートで他のアーチストが完コピをしても、やはりデビッドのそれとは違う。
という風に聞くならば、このライブアルバムの中でも名演だと言えるのだが。

「High Hopes」「A Great Day For Freedom」この曲はロジャー抜きのフロイド作品だから、ほぼソロ的なものなので、こんなもんでしょう。

ソロの作品は、ヒーリングサウンド的な静かなギターインストナンバーや、どこかで聞いたことがあるようなフレーズの入り混じったハードインスト、後はロジャー抜きのフロイドの延長的作品。
ギタリストのデビッドを堪能するとすれば文句ないんでしょうが、フロイドで感じた興奮は味わえませんね。
これも、期待値が高すぎるからでしょうかね。
そういう意味では、新たな世界…というか、自分の目指すものを貫いたロジャーの方が、ソロ作品は聞ける気がします。

カルト度 60% フロイドのファン以外で買う人いるんだろうか?

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November 16, 2008

Dire Straits「Brothers in Arms」

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昨日はPoliceのことを書いたので、そのメンバー、スティングがコラボして大ヒットになったDire Straitsの名アルバム「Brothers in Arms」を。

このアルバムが出た80年代中頃は、ラジオよりもMTVで洋楽の情報を得ていたから、ビジュアル込みのイメージが強いバンドがヒットチャートの常連。
そこにDire Straitsの名前が並ぶとは、「悲しきサルタン」時代から知っている私には想像のつかないことだった。
しかし、「Money For Nothing」のインパクトは、全世界に彼らの名前を知らしめるのに十分だった。
実際、そのおかげでこのアルバムは歴史に残る一枚になっている。

でも私は、ブルージーなDire Straitsの方が好きだし、フィンガーピッキング独特のこの味のあるギターが大好きだ。

「So Far Away」まずは軽く、アメリカン・ロード・サウンドっぽい曲。ジョン・クーガーとかブライアン・アダムスみたいなPOPなロックって感じかな。
アルバムジャケットがドブロギターだから、かなりそういうアメリカの田舎っぽい音を意識してんるんだろうなと。

「Money For Nothing」Stingとコラボした大ヒット曲。
MTV全盛時代で、CG(このチープさがなんともいえない)が当時は斬新で、インパクトがあったのを覚えている。
曲だけでもマーク・ノップラーのだみ声とギターのリフがぴったりで、そこ加わるスティングのコーラスがおしゃれ。
地味ではあるが、曲後半はマーク・ノップラー節のギターソロを弾きまくってる。

25年前はこういうCGが最先端だったのさ。


「Walk Of Life」再び、アメリカンなPOPチューン。

「Your Latest Trick」ホーンから入る、ジャジーなナンバー。
静かで渋い歌声、それ以上に渋い泣きのフィルイン…こちらの方がDire Straitsの真骨頂かもしれない。

「Why Worry」きれいなギターメロディを中心にした優しい曲。
シンプルなようで、結構複雑なアルペジオ。

「Ride Across The River」ある意味、フリー・ブルースと呼べるような、ゆったりと自由に飛び回る感じの曲。
プログレのインプロのような感じでもある。

「The Man's Too Strong」オーソドックなブルースナンバーにちょっとハードな展開をまじえたナンバー。
これもDire Straitsっぽい一曲。

「One World」ちょっと陰のある、UKっぽいブルースナンバー。

「Brothers In Arms」このアルバムのハイライト。
遠くで鳴り続けるキーボードの深い音、静かな静かな歌声、琴線を響かせまくるギターのフレーズ。
この抑揚のあるギターの音は、フィンガーピッキングならではのもの。
情感たっぷりのこの音は、一聴の価値あり。
まさしく名演です。

定番度 95% 歴史に残る1枚です

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November 15, 2008

The Police「Certifiable」

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The Policeが昨年再結成して行ったツアーの記録。
場所はブエノスアイレス。
この再結成ツアーは見たかった半分、見たくなかったが半分の気持ち。
でも、こうしてライブ盤として発売されると手にしたくなってしまう・・・。

悲しいかな、オープニングの「Message in a bottle」の時点で全盛期と比べてがっかりしている自分に気づいた。
好きな曲だから余計かもしれないけど、声の質が違うことが許容できない。
この曲は突き抜けるような高音質のスティングのボーカルが良いのだ。
なのに、ここに居るのはジャジーな歌までこなす、アダルトなスティング…
DVD版で見るともっと悲しくなるんだろうなと思いながら。

そんな思いが2曲目の「Synchronicity Ⅱ」や「Don't Stand So Close To Me」になるとさらに深まってくる。
これらの曲はギターのアンディもとんがった演奏をしていたし、ドラムのスチュアートも暴力的な音で圧倒していた…それが、「きれいな曲」になってしまっているのだ。

確かに、もともと”うまい”人たちが集まって、パンク全盛時にそこらのポッと出とは一味も二味も違う演奏を見せ付けていたバンドだった。
うまさを全開にせず、うまさに裏付けられた”ラフ”な演奏で余裕をかましていたのだ。
それが、それぞれキャリアを重ねて”うまさをかくさない”状態で、かつての曲をやればこうなってしまうのも仕方ない。

もし、アルバム「Synchronicity」以降も活動を続けていたならば、徐々にそういう”うまさ中心”のPoliceを見せてくれたんだろう。
しかし、私は”とんがったまま”のPoliceの幻想で留まったまま、目の前に今の”リアル”が現れて、戸惑うしかない。

と、ネガティブな面から入ったが、これらはあくまで全盛期との比較であって、時代を築いた一流アーチストが、セルフ・トリビュートしたライブ作品として聞けば、そこは問題なしの技量の3人が作る世界ですからはずれなわけがないのです。
「Voices Inside My Head/When The World Is Running Down」「Invisible Sun」「King Of Pain」なんかは、歳を重ねた渋さがいい影響を与えているナンバーですね。 
逆にやっぱり若かりし頃の方が良かったのは「Wrapped Around Your Finger」「Roxanne」「So Lonely」「Next To You」

ビミョーなのが「Every Breath You Take」発売当時から、それまでのPoliceファンからしたらちょっと異質な曲だったし、でもそれがメガヒットしたことでPoliceの代名詞になっちゃってるしね。
メガヒットの「Every Breath You Take」からしたら、今の落ち着いたスティングの歌い方でも違和感ないんだろうな。

今後も活動を続けていくなら、こういう音のPoliceにもなれていくんだろうけどね。

定番度 80%  いちおう名曲はほとんど入ってます。ベスト盤感覚でもいいかも。

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November 14, 2008

The Verve「Forth」

Front
今年のサマソニで復活した「The Verve」
90年代に活躍したバンドだが、まだじっくりと聞いていなかった。しかし、サマソニ前の特番で彼らの曲を聞き、サマソニ後にテレビで放映されたライブを聞いて気になりだした。その曲は「Bittersweet Symphony」残念ながら、その曲が入ったアルバムはまだ未聴だが、今年発売された新譜は聞く機会に恵まれた。
結構いろんなバンドが気に入っている90's UKにおいて、ノーチェックだったのが悔やまれるほどお気に入りにアルバムになっている。
古くはRoxy Music、最近ではRadioheadSigur Rosに感じられるような、隙間をびっしりと音で埋め尽くした非常に深みのある、それでいて霧がかかったように緩やかに包み込む音圧が心地いい。
The CharlatansやThe Musicのようなグルーブも心を揺さぶる。
古いアルバムも聴いてみたいし、このまま活動を続けて新しい音も生み出して欲しいと思えるバンドだ。

「SIT AND WONDER」ドラムとベースのグルーブ具合がちょっとばかし古い感じが…しかし、リチャード・アシュクロフトの粘っこいボーカルが絡みだすと、これが非常に心地良いグルーブに収まる。
隙間のない音世界と言えばいいのか、ドラムビートの合間にもしっかりベースの音が残っており、壁のように音圧がそそり立っている。
しかし、それはうるさいというものではなく、あくまで心地よいのだ。

「LOVE IS NOISE」前曲のグルーブ感はそのままに、ちょっとだけPOPに仕上げた作品。

「RATHER BE」名曲「Bittersweet Symphony」を髣髴とさせる、優しい曲。
Oasisなどの90年代UKバンドのバラードに比べ、とても淡々としているのに心に響いてくるのは、同じフレーズの繰り返しの裏に、微妙に変わっていくギターやキーボードのバッキングの妙があるし、音こそ現代風だがブルースだからだろうなと。

「JUDAS」曲はメジャー調なんだけど、音の世界が霧に包まれたような感じで、ギターなどの音の入れ方がすごく深い感じ。
まるでRoxy Musicが21世紀によみがえったような感じさえする。

「NUMBNESS」スローな曲だが、音の深さは健在。
これもドラム・ベースがグルーブな世界を築く上に、ギターが時にはジャジーに、時にはブルージーに、自由に表現されている。

「I SEE HOUSES」曲が進むにつれて、だんだんPOPさが薄れてき、Deepな世界観に引き込まれていく。
この曲はピアノの音が効果的に使われている。
英詩ボーカルつきのSigur Rosといった感じか。

「NOISE EPIC」静かな感じから、だんだんと疾走していくバッキング、それでいながらボーカルは静かに淡々と…。
盛り上がっていくところは、ちょっとU2ライク、あるいはOasisライクかな。

「VALIUM SKIES」前曲で混沌としたイメージに押し込められていたところから、ふわっと開放されたようなイメージの曲。

「COLUMBO」フレットレスを使っているのか、微妙な揺らぎのあるベースライン…輪郭のぼやけた音の世界。
ノイジーなギターや、ハイテンションのボーカルの雰囲気など、Radioheadのイメージも重なる。
結構、好みのど真ん中。

「APPALACHIAN SPRINGS」まるで一昔前の叙情派プログレのように、静かに盛り上がっていく、アルバムラストにふさわしい曲。
近い雰囲気としては、ピーター・ガブリエルやロジャー脱退後のPink Floydの荘厳さか。
リチャード・アシュクロフトっていいシンガーだねぇ。

定番度 90% もしかしたら今年の新譜でNo.1になるかも

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November 13, 2008

Jeff Beck Group「Truth」

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ヤードバーズ脱退後、ソロ名義でシングルを出した後に結成したバンド、「Jeff Beck Group」
ロッド・ステェワートがボーカル、ロン・ウッドがベース、ドラムは最初エインズレイ・ダンバーが参加していたという、今思えばすごい面子のバンド。
このアルバムを聞いたのは、大学の頃だったかな。
レンタルCDで古いロックをあさりまくってた頃に出会ったと思う。
その頃は「ペイジ>クラプトン>リッチー>ベック」って感じで、興味は後ろのほう。
でも、ロッドと組んだこの作品は気に入っていた。

「Shapes of Things」ドラむが印象的なイントロから、いきなりロッドの粘っこいボーカルが渋く決まり、そこにフィルインしてくるジェフのギターがひたすらかっこいい。
ハードなブルースバンドとして、CreamやZeppelinに負けずとも劣らない仕上がりだ。
ジェフとロッドが素晴らしいコンビだと改めて評価できる。
後にStonesのギタリストになるロン・ウッドのベースも渋い。

「Let Me Love You」Zepよりも先に、ヘビーなブルースロックをしていたことを証明する名曲。
普通に演奏していたら、普通のブルースナンバーだろうけど、ロッドのボーカルとジェフのギターの掛け合いや、重たいフィルインが曲に厚みを加えている。

「You Shook Me」Zeppelinも取り上げている曲だが、ロッドはより粘っこく仕上げている。

「Ol' Man River」たぶんアメリカのスタンダードナンバーだと思うけど、ロッドが歌うとブリティッシュ・トラッドに聞こえるから不思議だ。
そういえば、最近ロッドはアメリカン・スタンダードナンバーのアルバムを一杯出しているけど、この曲がルーツかもしれない。

「Greensleeves」こちらもスタンダードナンバーだけど、アコのインストでプレイしている。

「Rock My Plimsoul」渋いブルース・シャッフル。
ギターソロで左右に音が飛びまくるのがご愛嬌。

「Beck's Bolero」クラシックの有名な「ラヴェルのボレロ」にインスパイヤされたような3連リズムに乗せていろいろ演奏するインストナンバー。
ジミー・ペイジから送られた曲らしいが…
ソロになったらこういうインストナンバーが増えてくるから、この曲もいろんな影響を与えているんだなと。

「Blues De Luxe」もう文字通りのブルース、デラックスなブルース、ひたすらブルース。
昔はあまり評価してなかったけど、今はこういうのが一番つぼに来る。
大好きな1曲。

「I Ain't Superstitious」前曲のブルースナンバーで盛り上げておいての、アンコール的な作品。
他の曲よりちょっとポップに仕上がっている。

定番度 75% 今のJeff Beckと違う一面をぜひ聞いて欲しい


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November 09, 2008

Led Zeppelin「Houses of the Holy」

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Zep5枚目のアルバムで、邦題は「聖なる館」
このアルバム以前は「Ⅱ」とか「Ⅲ」とか、あるいはアルバムタイトルがなしだとかだったが、このアルバムではじめて意味のあるタイトルがつけられた。
しかし、アルバムジャケットには一切クレジットされていない(これは前作と同じ)
ジャケットはピプノシスデザインで、岩山を裸の子どもが上っていくという神秘的なもの。
これは表面と裏面を見開きにして完成する絵なので、CDではこの良さが分からないんじゃないだろうか。
他のアルバムにしても、3rd以降のアルバムは毎回趣向を凝らしているので、これから買う方はぜひ紙ジャケを探して欲しい。

このアルバムは、中学時代に友人が持っていたのを借りて聞いていた。そう考えるとアルバム単位ではじめて聞いたZepのアルバムかもしれない。前にレビューした「Physical Graffiti」とどちらが先か微妙なところだ。
しかし、このアルバムは「Rock'n Roll」や「Night Flight」のように中坊でも分かりやすいようなロックもなかったし、「Stairway To Heaven」のようなキラーチューンもなかった。
ということで、ジャケットほど中身の印象はなかった。
また、大人になってからはZepのブルース面が好きになっていたのに、このアルバムには所謂ブルース・チューンがない。
ということで、こうしてレビューするのにもどうしても後回しになっていた。

「The Song Remains the Same」今までにないような明るいオープニング曲。
ハードロックでもなく、ブルースでもなく、アコースティックでもない、なのにしっかりZepのサウンド…ただ、ちょっと重さはない。
アップテンポのイントロ からテンポダウンしてのボーカルの入り方なんて鳥肌物。
永遠の詩という邦題のネーミングがやけにかっこいい。(直訳すると「歌は同じまま」)

「The Rain Song」一転して静かなバラード。
この曲のフィルインとストロークを交えたギターは名演。
ちょっと中間のストリングスが大袈裟な気もするけど。

「Over the Hills and Far Away」ブリティッシュトラッドなアコースティックナンバー…と思わせておいて、途中からハードな音に展開。
これまでのアルバムでのアコースティック面とハード面が融合され、今後のZepサウンドの可能性を表した一曲。

「The Crunge」かなり実験的な曲で、変拍子でファンキーテイスト。
Zepの曲として聞くにはもうひとつだが、ボンゾ・ジョンジーのテクニック的間口の広さ、ジミ-のセンスとして「やっぱすげえやつら」と思わせるに十分な曲。
こういうお遊び的なところからハードでファンキーな曲ってのはQueenあたりが後継者になるのかな。


「Dancing Days」軽そうなリフなのに、ドラムがやたら重たいという…ある意味これがZepサウンドということか。

「D'yer Mak'er」こちらはレゲエ調。
「The Crunge」同様間口の広さは感じるけど…好きな曲も一杯あるのに、このアルバムをあまり聞き込んでいないのは、アルバムとしてのつながりがもうひとつだからかもしれない。
かといって、好きな曲だけ抽出して聞いても面白くないし、たとえばこの曲でちょっと「?」と思うから、次の「No Quarter」のヘビーさが倍増するという、そういう効果はあるかもしれない。

「No Quarter」まぎれもなく名曲。
ジョンジーの奏でるキーボード、歪みの効いたジミーのギターリフ、オン・オフのメリハリの利いたボンゾのドラム…そして語りかけるような静けさからシャウトまで幅広いロバートのボーカル。
といいつつ、高校生くらいまでは辛気臭い曲だと思ってたんだけどね。
今は、こういう静と動の展開がある曲は大好きです。

「The Ocean」Zepお得意のギターリフ中心の曲。
この曲でも一部変拍子を取り入れている。
ラストではまるで違う曲をくっつけたかのような軽い感じになる。
Zepのアルバムラストとしては、余韻が…

定番度 70% Zepの中の優先度は下のほうか…



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