David Gilmour「Live in Gdansk」
もう、プログレッシブ・ロックは終わっていると分かっているのに…かつてのプログレアーチストが新譜を出したり、ヒットパレード的なライブを出したり、発掘盤を出したりすると反応してしまう悲しい性…
David Gilmourのコンサートライブ盤。
映像盤も同時に出ているので、そちらを見ればライトショーなみの派手なステージングも見られるのでしょうが、ここは音源の方で。
少し前に書いた「The Police」のときと同じように、このクラスのアーチストになるとすでにオリジナル音源を繰り返し繰り返し聞いているので、どうしてもそれらとの比較をする聞き方になってしまう。
特に「Pink Floyd」には思い入れが強いし、私は「Pink Floyd = Roger Waters」派だから…
ということで、Pink Floyd作品は素直に聞けないのだが…
「Speak To Me」「Breathe (In The Air) 」「Time」「Breathe (In The Air) [Reprise] 」名作「狂気」の曲なんだけど…やはりこの「狂気」はトータルコンセプトで聞いて成り立つもんだから、抜き出して演奏されると面白みがなくなる。
「Breathe」のあとには「On The Run」のシンセの音がないと落ち着かないし、「Time」のあとにはピアノからパワフルなコーラスに続く「Great Gig In The Sky」がないと「狂気」の意味がない。
とっても残念な感じ
「Shine On You Crazy Diamond」この曲はデビッドのギターソロを自分で完璧にこなすことで80%は完成するのだが、ボーカル部分はどうしてもロジャーが居る物「炎」と比べられてしまう。
そこで、ギター弾き語り風にして無理やり雰囲気を変えているのだが…
結果、曲全体の雰囲気としては残念な感じもあるが、新たなアレンジとして聞くには及第な気がする。
「Astronomy Domine」これは初期Floydの作品「夜明けの口笛ふき」より…というか、まだデビッドが加入する前の曲なんだけど…
まぁ、ライブでは何度もやってるから自分の曲として消化してるんだろうけどね。
上手に再現しましたねって感じで。
「Fat Old Sun」これは「原子心母」の中の曲だけど、ライブで聞くのははじめてだと思う。
こんな良い曲だったのかと再認識。
静かな牧歌的なところから、後半のギター弾きまくりのところへの盛り上がりが良い。
「Echoes」たぶん、このツアーの目玉なんだろうけど…うーん、微妙。
「おせっかい」B面まるまる使った曲で、ビデオの「Live At Pompeii」でも目玉。
デビッド以外のパートは、かなり完コピに近いんだけど、それならデビッドも好きに弾くんじゃなくてオリジナルに忠実に再現して欲しいんだけど、それだとデビッドの個性は出ないし…。
ということは、フロイドの20数分に及ぶ名作を、わざわざソロツアーで演る必要があるのか?ってことで。
まぁ、それを言えば他の曲も全部そうなんだけどね。
「Wish You Were Here」音的には元々デビッドのギターが肝の作品だったから、まぁ問題ないんだけどね。
でも、この曲の”いわれ”を知っているものとしては、この曲はロジャーの思い入れたっぷりの作品だと思ってるからねぇ。
「Comfortably Numb」この曲に関しては、フロイド分裂後もさまざまな形で演奏されてきているので、単独のナンバーとして通用するのだろうが、私にとってはやはりコンセプトアルバム「The Wall」の中にあってその位置が確立される曲だと思っている。
デビッドのボーカルとギターがあれば、ほぼオリジナルに近い雰囲気は作れるし、後半のソロはデビッドならではのもので、ロジャーのソロコンサートで他のアーチストが完コピをしても、やはりデビッドのそれとは違う。
という風に聞くならば、このライブアルバムの中でも名演だと言えるのだが。
「High Hopes」「A Great Day For Freedom」この曲はロジャー抜きのフロイド作品だから、ほぼソロ的なものなので、こんなもんでしょう。
ソロの作品は、ヒーリングサウンド的な静かなギターインストナンバーや、どこかで聞いたことがあるようなフレーズの入り混じったハードインスト、後はロジャー抜きのフロイドの延長的作品。
ギタリストのデビッドを堪能するとすれば文句ないんでしょうが、フロイドで感じた興奮は味わえませんね。
これも、期待値が高すぎるからでしょうかね。
そういう意味では、新たな世界…というか、自分の目指すものを貫いたロジャーの方が、ソロ作品は聞ける気がします。
カルト度 60% フロイドのファン以外で買う人いるんだろうか?
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