West Road Blues Band「Junction」 追悼-塩次伸二
20日の朝、新聞に目を通していたら懐かしい名前が飛び込んできた。
訃報欄だった。
そんなに熱心に、隅々まで新聞を読む人ではない。
しかし、その名前がはっきりと目に映った。
その名は塩次伸二…今はソロやユニットで活躍されているそうだが、私にとってはWest Road Blues Bandのギタリストとしての彼しか知らない。
残念ながら直接ライブで見ることもなかった。
しかし、そのプレイは何度も耳にしている。
学生時代組んでいたバンドで、彼らの音からいくつかの曲をコピーしていた。
曲自身はスタンダードなブルースナンバーだけど、オリジナルより先に彼らのプレイをコピーすることから始めていた。
彼らの音が、ブルースの入り口だった。
ClaptonやBeckがUKの気質にブルースを取り込んだように、日本の、関西人の気質で消化したブルース。
そのスピリッツを日本語の謡にまで変化させた憂歌団や、日本語と融合させたサウス・トゥ・サウスやソー・バッド・レビューもいいが、元の言語のまま日本人のフィーリングで演るWest Roadは唯一無二のブルース・バンドだ。
なのに、こういう訃報がないとCDラックから取り出さないというのも…恥ずかしい話だね。
1stやライブ盤も持ってるはずだけど、LPやカセットだけかもしれない。
CDで見つかったのはこの一枚。
一時再結成したときの一枚。
「Shot Gun」プレイボタンを押してから一瞬の静寂の後、フェードインしてくるシンセにかぶせるように、銃をぶっ放すようなバンドのアタック。
淡々とリズムを刻むドラム、ファンキーなベースに、ファンキーな軽いギター。
ある面「これがWest Road?」とおどろくところと、「いや理屈ぬきでかっこいい」というところと、聞くものの心をつかむという意味では大成功のオープニング。
なにより永井”ほとけ”のボーカルがかっこよすぎる。
うーん、それだけでブルージーだ。
「River's Invitation」メローなブルース。
バッキングはホーンセクションが目立ってるんだけど、ソロのアコギが渋い。
「Shake Your Hips」もう踊るっきゃない。
だからといって、「ブルースじゃない」なんてこれっぽっちも思わない。
ブルースを消化した面子の奏でるファンクなんだ。
「Take Me To The River」この粘っこさがしみる。
「I Need Your Love So Bad」待ってましたのバラード。
ボーカルも渋いし、ギターもここぞとばかりにおかずを入れまくってブルージー。
「I Can't Be Satisfied」ちょっと低いところで声がしんどいかなっていうのもあるけど、そんなのほっといておどりゃあいいじゃん、と。
二人のギターバトルが熱い。
「Just Wanna Make Love To You」ちょっと黒いファンキーチューン。
学生時代コピーした思い出がある。
キーボーディストがこのリズムに苦労してたっけ…
「Three Hours Past Midnight」もろのブルース。
たとえばZeppelinがハードな曲やファンキーな曲をやってもラストにブルースを持ってくる安心感というか、そういうホッとする感じ。
やっぱ基本はギターブルースだ。(ベースも勉強になる)
「I'd Rather Drink Muddy Water」酒場で飲みながら聞くのにもってこいのアップテンポブルース。
こいつもバンドでコピーしていた。
「I'd Rather Go Blind」締めのブルース。
ボーカルの独壇場で、バッキングは抑え目に、それでいてしっかり大人の味付けで。
この曲はRod Stewartがカバーしてるのも聞いてるけど、断然こっちの方が”熱い”
やはり後半でバックがブレークして、ボーカルがシャウトとするところが違う。
カルト度 90% どうやら紙ジャケで再発されているらしい
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