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October 31, 2008

映画「スター・ウォーズ エピソード3 / シスの復讐」

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続いて第3エピソード。

ここまでくるともうネタばれのオンパレードになるので書くのが難しいのだが…

シスは誰なのか…(今までのフードから垣間見えるあごで誰か分かってるんだけどね)
どうしてクローン軍がダースベイダーの部下になったのか
これだけ優秀なドロイド軍を、後の帝国vs共和国の戦いに使用しなかったのか(まぁ、エピソード4以降の製作時にこれだけのCGが使えなかったからなんだけど)
ルーク・スカイウォーカーが惑星タトゥイーンのおじ夫婦に育てられたのは
ルークの妹がレイア・オーガナ姫として育てられたのは
殺されたあとも幽体のように関われるオビワン…ジェダイはみんなできるのか

まぁ、大局のなぞからマニアックな話題まで、第4エピソード以降につながる話のつじつまが盛り込まれています。
他にも、第4エピソードで”故郷”のタトゥイーンに降り立ったC3POがこの星を知らなかったわけとかもね。

他にマニアックなところで面白いのは、いきなり最初に出てくる共和国の戦艦が「スターデストロイヤー」にそっくりだったり、戦闘機のコクピットが「Tieファイター」にそっくりだったり。
(両方とも、後の帝国軍の乗り物)
最初はあまり目立たなかった「オーガナ卿」だけど、その船が出てきたら「あぁここにつながるのか」と…船内の様子が「真っ白」なところとかね。

などとマニアも喜ばせながら、アクションの見所ももちろん満載。
いきなりの戦闘は第4エピソードでわくわくしながら見ていた「デス・スター」戦を思い出す。
かと思えば、敵の主軸と思われた、あれだけ強かったデゥークー卿があっさりやられたり(必然があるけどね)
剣劇では、今までなぞの光線で戦うのみだったダーク・シディアスがしっかりライトセーバーで戦ったり(サミュエル・L・ジャクソンとの老年対決は素晴らしい…CGだけどね)
相変わらずヨーダは超人的な動きだし。
でもなによりも最後のアナキン(ベイダー卿)vsオビワンの対決に尽きる。
これまで青・緑vs赤だったライトセーバー戦が、初めて青同士の対決に。
途中のエピソードで仕方なく銃を使ってしまったオビワンが「こんなの使いたくなかった」と言っていたように、実力者の戦いはライトセーバー戦だもんね。

全身ぼろぼろになりながら、おなじみのマスク姿のダース・ベイダーに生まれ変わる場面と、アナキンの子どもたちが生まれる場面…その対比が秀逸。

娯楽活劇中心の第4エピソード以降の物語が、この3部作によってとても深い物語に昇華した。

この3部作のDVDがかなり安いセットもので発売されているので、この機会にぜひ。
(多分、ブルーレイが出るからDVDを安くしてるんだろうけどね)

エピソード1 / ファントム・メナス
エピソード2 / クローンの攻撃
エピソード3 / シスの復讐
エピソード4 / 新たなる希望
エピソード5 / 帝国の逆襲
エピソード6 / ジェダイの帰還



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October 30, 2008

映画「スター・ウォーズ エピソード2 / クローンの攻撃」

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ひとつ見ると続きが見たくなるもので…
次は第2エピソード。

青年になったアナキンとジェダイ・マスターとなったオビワンが元王女のアミダラと再会して展開するストーリー。

第4エピソードからの三部作ではハッキリしていた敵対関係(帝国vs共和国)が、このエピソードではかなり複雑。
前作ではジェダイが所属する共和国に「ドロイド軍」有する通商連合が敵対するという基本構造。
その通商連合に「シス」というジェダイに敵対する存在が影響を与えている。
共和国内部では政権交代が行われて、新たに議長になったのが…

で、今作では共和国内の平和派と強硬派がゴチャついているところに、新たな陰謀の影があり、それを調査しているとジェダイ(と騙っていた)が「クローン軍」創設の準備をしていたことが発覚。
通商連合も他の勢力と共謀して「ドロイド軍」を強力にしていき、その影には元ジェダイの「ドゥークー伯爵」(名優クリストファー・リー!)が手を貸している。
彼のいうことには、共和国を「シス」が操っている、と。
ってことは「共和国」「シス」「ジェダイ」vs「通商連合」「シス」「ドロイド軍」=「分離主義」という複雑なものに。
つまり、シスが両方に存在して戦争を煽っているという。
両軍に武器を流して、戦争を続けることで生き残る武器商人みたいなものか。
最終的には「ジェダイ」が「クローン軍」を率いることになって、「クローン軍」vs「ドロイド軍」の大戦争に流れていく。
と、ここまで複雑になっていることが全部3作目のネタフリになっている。
やっぱ3部作の2番目はつなぎの作品になっちゃうね。

ただ、そういう大局の複線も、アナキンの物語のためのもので、アナキンの物語がメイン。
アミダラとの恋愛、母親との別離、師への反発…ジェダイであるために殺していかなければいけない感情が捨てきれなく、どんどん火の河水の河に襲われてしまう。
第1作ではおさなかったアナキンの表情が、どんどん眉間にしわが寄ってくるようになる。
怒りにまかせて砂漠の荒くれ(タスケン・レーダー)を皆殺しにするアナキン、遠くの地で何かを感じるヨーダの不安な顔…CGのヨーダでここまでの心理描写をするとは…

あと、当然アクションもかかせないけれど、今作はCGならではのものが満載。
最初の空中でのカーアクション。
中盤のドロイド工場でのアナキンとアミダラの逃亡劇(これは演ずるのは生身の人間。インディージョーンズ系のハラハラドキドキ)
終盤のジェダイvsドゥークー
何と言ってもドゥークーとやりあうヨーダがすごすぎる。
その前にアナキンとオビワンがあっさりやられてるのに…
マペットによるストップモーションじゃ出来ないよねぇ。

ここで分かるのが、ジェダイ内での弟子関係。
ヨーダの弟子がドゥークー、ドゥークーの弟子がクワイガン、クワイガンの弟子がオビワン、オビワンの弟子がアナキン。

もうひとつネタばれをすると、ジェダイ主導でクローン軍が配備されるときのBGMが…「帝国軍のテーマ」の主旋律を持っている。

劇場公開時はこれだけ複雑な関係を把握し切れなかった。
DVDが発売されたら即買って、やっと状況が分かってきた。
3作目が待ち遠しかったのは言うまでもない。

エピソード1 / ファントム・メナス
エピソード2 / クローンの攻撃
エピソード3 / シスの復讐
エピソード4 / 新たなる希望
エピソード5 / 帝国の逆襲
エピソード6 / ジェダイの帰還


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October 29, 2008

映画「スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス」

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先週の土曜日の用事でかなり疲労していた日曜日、家族で外出の予定が雨で中止となった。
ここぞとばかりになにかDVDでも見ようと…疲れもあるから単純に楽しめるやつをと思い取り出したのがこれ。

もう中身は説明不要のスターウォーズシリーズ。
これは4番目に作られた第1エピソード。
スターウォーズ・サーガの中心になるスカイウォーカー一族のアナキン・スカイウォーカーが子どものころのエピソードで、とある銀河の興亡にスカイウォーカーが参戦することになるエピソード。
まぁようするにダース・ベーダーが生まれるまでの物語の第1章ということだ。

STAR WARSへの思い入れは以前書いているが(STAR WARS 序章)やはり子どものころに圧倒された思いが強く、CG中心で作られた新3部作は確かにすごいんだけど、驚きの点ではやはり負けてしまう。

敵のダース・モールとの剣劇もいいんだけど、第4エピソードでの老いたオビワンとダース・ベーダーの人間味ある泥臭いものに目を釘付けにされていたし、インパクトはそっちのほうがあった。

まぁ、こういう比較は仕方ないんだろうね。

この作品の見所は、ベン・ハーの戦車戦をオマージュにした、アナキンのポッドレースかな。
ゲーム画面みたいという声もあるけど、画面に見入らせる迫力はある。

しかし、サミュエル・L・ジャクソンは何でもこなす役者だねぇ。

エピソード1 / ファントム・メナス
エピソード2 / クローンの攻撃
エピソード3 / シスの復讐
エピソード4 / 新たなる希望
エピソード5 / 帝国の逆襲
エピソード6 / ジェダイの帰還


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October 21, 2008

West Road Blues Band「Junction」 追悼-塩次伸二

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20日の朝、新聞に目を通していたら懐かしい名前が飛び込んできた。
訃報欄だった。
そんなに熱心に、隅々まで新聞を読む人ではない。
しかし、その名前がはっきりと目に映った。
その名は塩次伸二…今はソロやユニットで活躍されているそうだが、私にとってはWest Road Blues Bandのギタリストとしての彼しか知らない。
残念ながら直接ライブで見ることもなかった。

しかし、そのプレイは何度も耳にしている。
学生時代組んでいたバンドで、彼らの音からいくつかの曲をコピーしていた。
曲自身はスタンダードなブルースナンバーだけど、オリジナルより先に彼らのプレイをコピーすることから始めていた。
彼らの音が、ブルースの入り口だった。
ClaptonやBeckがUKの気質にブルースを取り込んだように、日本の、関西人の気質で消化したブルース。
そのスピリッツを日本語の謡にまで変化させた憂歌団や、日本語と融合させたサウス・トゥ・サウスやソー・バッド・レビューもいいが、元の言語のまま日本人のフィーリングで演るWest Roadは唯一無二のブルース・バンドだ。

なのに、こういう訃報がないとCDラックから取り出さないというのも…恥ずかしい話だね。

1stやライブ盤も持ってるはずだけど、LPやカセットだけかもしれない。
CDで見つかったのはこの一枚。
一時再結成したときの一枚。

「Shot Gun」プレイボタンを押してから一瞬の静寂の後、フェードインしてくるシンセにかぶせるように、銃をぶっ放すようなバンドのアタック。
淡々とリズムを刻むドラム、ファンキーなベースに、ファンキーな軽いギター。
ある面「これがWest Road?」とおどろくところと、「いや理屈ぬきでかっこいい」というところと、聞くものの心をつかむという意味では大成功のオープニング。
なにより永井”ほとけ”のボーカルがかっこよすぎる。
うーん、それだけでブルージーだ。

「River's Invitation」メローなブルース。
バッキングはホーンセクションが目立ってるんだけど、ソロのアコギが渋い。

「Shake Your Hips」もう踊るっきゃない。
だからといって、「ブルースじゃない」なんてこれっぽっちも思わない。
ブルースを消化した面子の奏でるファンクなんだ。

「Take Me To The River」この粘っこさがしみる。

「I Need Your Love So Bad」待ってましたのバラード。
ボーカルも渋いし、ギターもここぞとばかりにおかずを入れまくってブルージー。

「I Can't Be Satisfied」ちょっと低いところで声がしんどいかなっていうのもあるけど、そんなのほっといておどりゃあいいじゃん、と。
二人のギターバトルが熱い。

「Just Wanna Make Love To You」ちょっと黒いファンキーチューン。
学生時代コピーした思い出がある。
キーボーディストがこのリズムに苦労してたっけ…

「Three Hours Past Midnight」もろのブルース。
たとえばZeppelinがハードな曲やファンキーな曲をやってもラストにブルースを持ってくる安心感というか、そういうホッとする感じ。
やっぱ基本はギターブルースだ。(ベースも勉強になる)

「I'd Rather Drink Muddy Water」酒場で飲みながら聞くのにもってこいのアップテンポブルース。
こいつもバンドでコピーしていた。

「I'd Rather Go Blind」締めのブルース。
ボーカルの独壇場で、バッキングは抑え目に、それでいてしっかり大人の味付けで。
この曲はRod Stewartがカバーしてるのも聞いてるけど、断然こっちの方が”熱い”
やはり後半でバックがブレークして、ボーカルがシャウトとするところが違う。

カルト度 90% どうやら紙ジャケで再発されているらしい


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October 11, 2008

Beck,Bogert&Appice 「Beck,Bogert&Appice」

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最近、Clapton好きの友人から「今度の来日コンサートでジェフベックと競演する日がある」と聞き、急にジェフ・ベックが聞きたくなり、MDに録音してたやつなどを引っ張り出して聞いていた。
以前はロッド・スチュワートと組んだ「Jeff Beck Group」のころが一番いいと思ってたけど、このアルバムも今聴くとなかなか良い。
ということで、これからちょくちょくJeff Beckも取り上げるだろうけど、まずはこいつから。

当時すでに最高のリズムコンビだったティム・ボガートとカーマイン・アピスと、ジェフ・ベックが組んだんだから、外れるわけがない。
という感じで、好き勝手やってるのにすごいアルバムに仕上がってます。


「Black Cat Moan」ヘビーなギターリフに、手数は少ないが存在感ばっちしのベースとドラム。
ZepやCreamともまた違う、各楽器がバトルして高テンションをキープするという、聞くものにも緊張感を強いる作品。
歌はおまけみたいなもので、リフとギターソロを楽しむべし。


「Lady」3人の息ぴったりのかっこいいリフ。
歌に入ると、ちょっと抑えた感じに…なると思いきや、ベースはブイブイおかずを入れてくるし、ギターもフィルインしまくるし。
ソロにいたっては、ベースソロなのか、ギターソロなのかわからない状態。
でもそれが破綻してるかっと言うと、キメやブレークでぴたっとはまるんだからすごい。
こんな演奏の合間に「I Love You」なんて言われても…ねぇ。

「Oh To Love You」ちょっと一息の、タイトルどおりのラブバラード。

「Superstition」スティービー・ワンダーの名曲をハードに再現。
メインのリフはギターとベースでカバーしつつ、オーバーダビングのギターで好き勝手に弾きまくるベック。
ドラムはどう考えても重すぎでしょ。
でもある意味、こういうカバーをされてもそのファンキー具合が消えないスティービー・ワンダーのソングライティングもすごいね。

「Sweet Sweet Surrender」典型的なブルース・バラード。
こういう静かな曲は泣きのギターが目立つんだろうけど、意外とベースプレイが渋かったりする。
もちろん、ギターソロは弾きまくってる。

「Why Should I Care」ちょっと明るい(アメリカンテイストな)ロックナンバー。

「Lose Myself With You」ファンキーなナンバー。
ドラムの裏打ちが渋い。

「Livin' Alone」この時代のハードバンドといえば、やはりブギーですね。
BB&Aのブギーもなかなかにかっこいいです。

「I'm So Proud」ラストは静かに、定番バラードで。
ソウルシンガー カーティス・メイフィールドの渋い曲です。

実はBB&Aは、このアルバムのほかはライブ盤を一枚出しただけで解散したんですが、すでに録音し終わっていた幻のセカンドアルバムがあります。Workingver

ブートレッグとして流通してますが、そちらもハードで渋いです。
1曲目なんか、イントロはチャーの名曲(チャーは数年前、ボガード&アピスと組んでライブしてましたね)のリフそっくり。というか、チャーが後ですから、このアルバムの存在を知っていたのでしょうかね。
他の曲もブルースからバラードからファンキーなものまで。
発売されるとしても、このブートの音のまま出たかは分かりませんが、貴重な音源ではあるでしょうね。

定番度 90% ロックの歴史教科書として一度は聞いておくように。


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October 09, 2008

Kula Shaker 「Strangefolk」

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Oasis、Travisと最近発売された90年代を代表する(そして今も活躍中)の最新作を続けてレビューしたが、今年の初めにもうひとつ90年代を代表するUKの雄がアルバムを出している。
昨年再結成されたKula Shakerだが、なかなかでなかったアルバムが発売されている。
「Strangefolk」と銘打たれたアルバムは、おしゃれなジャケットに反し、相変わらずのグルーブを提供してくれる。
ただ・・・やはりデビュー作「K」のインパクトを越えるのは難しい。

「Out on the Highway」懐かしいKulaの音である。
オルガンの入り具合や、ギターの使い方もその影響のもとだろうけど、やはりクリスピアンのボーカル(声・節回し)がKulaなんだろうなと。

「Second Sight」こちらは以前のKulaとは少し趣の違う、ストレートなロックナンバー。
でも、テイストは70年代前半の感じ。
ギターの歪み具合が好みだ。

「Die For Love」これまたKulaらしい、スローナンバー。
ベースのうねりも、控えめなところでいながらいい感じで曲調を決めている。

「Great Dictator (Of the Free World)」ちょっとPOPなナンバー。
クリスピアンがKula解散後に演っていた「Jeevas」のテイストが入り込んだのがこのPOPさかもしれない。

「Strangefolk」なんと表現すればいいのか…ただのブリッジとして置けばいいのかな。

「Song Of Love / Narayana」ストレートなタイトル(愛の歌)とイントロのスィートさでどうなることかと思ったが、ベースがグルーブしだしたらいつものKulaであり、コーラスに懐かしいインドテイストが盛り込まれると「まだ健在だ!」と思わしてくれる。

「Shadowlands」哀愁漂うスローナンバー

「Fool That I Am」こちらも「えっ」と思わせる、優しいナンバー。
まるで「Travis」じゃないか…

「Hurricane Season」おもわず「Take5かっ!」と突っ込みたくなる、懐かしいリズム。
それにこの歌い方は「Bob Dylan?」
後半はKulaらしい展開だけど、やっぱり70年代テイストを追求すると、こういうものも必要になってくるんだろうなぁ。
何回か聞いているうちに結構気に入ってくる、不思議な曲。

「Ol' Jack Tar」軽ーくエスニックタッチを盛り込んだ、アコースティックナンバー。
落ち着ける。

「6ft Down Blues」静かなノリが続いた後で、ファンキーに踊れるグルーブナンバーが登場。
抑え目ながらグルーブ抜群のリズム隊、渋いギターと、バックで深みを作るコーラスとオルガン。
徐々に盛り上がり感じもGJ!

「Dr. Kitt」この感じはなんだろう…60年代のモータウンのようでもあり、サイケグルーブのようでもあり…
そのつながるところは「The Doors」が一番近いか?

(Bonus Trackは省略)

定番度 60% 従来のファンなら買うだろうが、新たに聞きたい人はやはり旧盤を先に聞いて欲しい


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October 08, 2008

Travis「Ode to J. Smith」

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ヒット曲「Sing」に代表されるような哀愁あるメロディと叙情的な雰囲気のイメージがあるバンド。
しかし、じつは1stアルバムでは全然違うバンドかと思えるような骨太のロックを演ってる。
私はどちらのTravisも好きなんだが…今回は骨太のTravisが聞ける。
もしかしたら、本当はこういうの演りたかったけど、レコード会社がやらせてくれなかったとか…。
と、この作品を自分らのレーベルから出したことでそんな想像も出来るのですが。
ともあれ、同じ時期に発売されたOasisの「Dig Out Your Soul」と比べて、最初からすんなり入れる分こちらの方に軍配が上がるか?
もちろん、比べるなど野暮なことしなくても、これはいいアルバムです。

「Chinese Blues」力強いピアノの音、引き裂くように入り込んでくるリズムとギターのブレイク。
あたかも90年代のUKシーンのような力強さ。
そのUKシーンの中で、TRAVISは優しいタッチで他との差別化をしていた。
逆にそのころ力強い音が中心だったバンドたちがどんどん優しい音になっていく中で、彼らは原点回帰とも言えるような音で新譜を仕上げてきた…かっこいいじゃねぇか。

「J. Smith」ギターロックだ。
アルペジオの使い方に”哀愁派”の色を出してはいるが、歌にも1stアルバムのようなパワーがみなぎっている。
静かな局面から一転してハードなソロに入るあたりなぞ「The Who」をも思わせる。
うーん、男の子だね。

「Something Anything」さらにハードなリフで押しまくる。
それが対比するからか、歌声はちょっと優しい感じに戻っている。

「Long Way Down」歌メロはどう聴いても「Travis」なのに、いつもより歪んだ音作り。
2ndや3rdでTravisを知った人には違和感だろうが、1st好きの私は拍手ものだ。

「Broken Mirror」スローテンポの曲も、”さわやか”とはかけ離れたダークな味つけ。
シンバルの刻み方なんか、70年代のUKハードを思い起こさせる仕上がり。

「Last Words」ここでちょっと、最近のさわやか系のTravisも。

「Quite Free」さらにもう一曲、さわやか系。
これはこれでいいんだけど、前半のパワー押しが気に入ってただけに、ちょっと中だるみかな。
シングル向きではあるけどね。

「Get Up」今度はいままでとはちょっと違った曲風…ちょっとエスニック色が入った感じかな。
サビなんかは、エスニック志向の80年代バンドみたいだけどね。

「Friends」でもなんだかんだ言っても、こういう哀愁Travisはいいんだよねぇ。
べたっちゃあべたなんだけどね。
次のシングル候補かもしれない。

「Song To Self」さわやかの中にもちょっとラフな雰囲気を盛り込み、ベースがちょっとグルーブしていい感じに仕上がっている。
終わりに近づいて、いい盛り上がりを与えてくれる。
ライブでアンコール前のラストに持ってくると、みんなで踊って盛り上がれる感じかな。

「Before You Were Young」ちょっとアレンジが大袈裟だけど、これでもって大団円って感じで…
これも「The Who」を連想するんだけど…
まぁ、これを5分以上に伸ばして、どんどん盛り上げていったら「oasis」になっちゃうんだろうな。

定番度 85% (今年のUKロックは豊作だ)


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October 05, 2008

Oasis「Dig Out Your Soul」

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入手しようかどうしようか迷ってたoasisの新譜です

アルバムを出すごとに、初期の作品がいとおしくなってくるoasisだけど、このアルバムも最初聞いたときは「やっぱり」って感じだった。
ところが、2回・3回と聞いて、今回こうやってレビューするためにじっくり聞いてたら…なんか結構すんなりと「好き」と思えるようになってきた。

でも、他の人がレビューしてるのを見ても思うけど、もうこのクラスのバンドになったら最初から「期待値」ってのがあって、「次こそは超えたものを」って思い入れが強いから、厳しいよねぇ。
まぁ、それも込みで「oasis」なんだけどね。

うーん、やっぱ、oasisってのは聞くたびに評価が変わるから困ったバンドだ。

「Bag It Up」曲の入り口からoasisだ。
目新しくもないし、歌メロからサビへの流れも予想通りだし…
バッキングのギターの感じも、ドラムの押さえ具合も…
確かに、少しサイケっぽいフレーズも見え隠れする。
しかし、それすらBeatlesがやってたことをなぞっている。
そのことを隠すことなく、「俺たちはリスペクトしてるから、同じようになるのも当たり前」と表に出している。
そして、それがまたoasisのoasisであるところだったりする。
さらに…そんなoasisがわたしは好きだったりするから困ったもんだ。

「Turning」リズムがちょっとファンキーにはじけてる。
歌なしなら「The Charlatans」と聞いても違和感ないかも。
でも、リアムの歌声と、ノエルのギターがoasisであることを譲らない。
ひょっとすると、Morning Groryに近づけたかもしれない。
(同じ感じのものでは超えることはかなわないだろうけど…)
ラストのアルペジオは…ジョンのフレーズだね。

「Waiting for the Rapture」リズムの重たさが、ここ数作に比べていい感じで表に出てきてる。
今まではどうしてもギャラガー兄弟に他のメンバーが遠慮してたけど、ちょっとこのメンバーの”バンド”部分が固まってきたかな。

「Shock of the Lightning」こういうアップテンポの曲で、メリハリを出さずにくぐもった感じのまま突っ切ってしまう曲って、初期の荒々しいころは良かったけど、ここ数作ではマイナス要因になってた。
でも、今回のこの曲は良い感じじゃないか?

「I'm Outta Time」ここでバラード。
こういうマイナーな揺れる感じって、やっぱジョン・レノンの影を感じるんだよねぇ。
この曲は、oasisの最近のバラードにしては力が抜けていい感じ。

「(Get off Your) High Horse Lady」こいつは意表をつかれた、フォークタッチの一曲。
今まではアコースティックでもRockしてたけどね。

「Falling Down」この優しい歌い方は…「Travis」?
手抜きなのか、力の抜き方を覚えたのか、わたしはこういうのも評価しますけどね。

「To Be Where There's Life」ベースのうねりを、oasisなりのグルーブととるか、Beatlesの焼き直しととるか…
おそらくサイケな雰囲気を狙ってるから、やっぱBeatlesの色なんだろうな。
もう一歩、サイケに踏み込んでも良かったかも。
Kula Shaker」や「The Music」みたいにね。
(そうすると、昔からのファンがいやがるか…)


「Ain't Got Nothin'」これは(今の時点では)ちょっと評価しづらい、地味な感じの曲。

「Nature of Reality」さらにここで70年代チックなブルースが…
いや、わたしはこういうのも好きですが、今oasisでこういうのが聴きたいかというと…ちょっと?ですね。
案の定、世間の評判はもうひとつのようで。
それとも、20前後の若い人たちにはこういうのも新鮮でいいのかな。
テレビでも「20センチュリー・ボーイ」が流れて、かっこいいって言われえてたりするし。(イギリスでは流れてないだろうけど)

「Soldier On」最後に来て「えっ」と裏切られる…そう、予定概念では「oasisは最後の方に大仰なバラードを持ってくる」というものがあるのに、それがないままラストの曲に。
これが「新しいじゃん」と受け入れられるのか、「これは違う」と拒否されるのか…すくなくとも、今のわたしには違和感が残ったままアルバムが終わっていく感じ。
まぁ、まったくもって曲に対する感想じゃないんですが。

定番度 85% (今の時点ではこのへんで。ここから上がるか下がるか…)


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October 02, 2008

映画「明日に向かって撃て」 追悼ポール・ニューマン

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映画が好きになった小学生時代、いくつかの映画をテレビや劇場で見て、ずっとわたしのNo.1映画だったのが「明日に向かって撃て」ご存知、ポール・ニューマン、ロバート・レッドフォードの西部劇を舞台としたロードムービーです。
キャサリン・ロスも素敵でした。
(あのたれ目は最高です)

そのポール・ニューマンが亡くなりましたね。
わたしは、俳優としてはスティーブ・マックイーン派ですが、ポール・ニューマンの作品も結構見てますかね。
DVDラックを眺めてみますと…
「明日に向かって撃て」
「スティング」
「タワーリング・インフェルノ」
と並んでますね。
テレビやレンタルで見たところですと
「ハスラー、ハスラー2」
「動く標的」
「引き裂かれたカーテン」
「スラップショット」
「評決」
うーん、意外と少ないですね。

やはり好きな作品の主役を張ってることで、わたしの中の印象度は高いですね。
特に「明日に向かって撃て」と「スティング」で組んだロバート・レッドフォードとのコンビは秀逸で、若気にはやるロバートと、それを押し留める渋いポールという図式はわかりやすいですしね。
しかし、スティーブ・マックイーンとの「タワーリング・インフェルノ」では負けてましたけどね。

その後、わたしも歳をとっていくにつれ、目立つ主役クラスの役者より、渋い演技派の役者が好きになってきましたが、「明日に向かって撃て」に出会った衝撃を超えるものはなかなか現れません。

「明日に向かって撃て」は、その時代背景から西部劇にくくられますが、アメリカン・ニューシネマの代表作という方がしっくりきます。
以前「バニシング・ポイント」でも書きましたが、破滅に向かっていく物語です。
ただ、こちらの場合は人物像をしっかり描いていますから、映画としても高評価なのでしょう。
ストーリーは単純ですが、途中で音楽をバックにダイジェストのように展開していったり、逃走劇ではじんわりじんわり時間をかけて描いたり、そのメリハリも見ていて飽きさせません。
そして収束していくラストシーン…見事です。

子どものころは子どもなりに楽しめ、今は今で楽しめる作品というのはそうないと思いますね。


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