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July 29, 2008

ライブレビュー「キツネの嫁入り」

CDからMP3に変換して聞いていたパソコンがトラぶり、レビューするために音楽を聴くことに困っている。
だもんで、なかなかアルバムレビューができない。
そんなときに、ライブを見に行ったので、その報告を…

Cd2
たまに懐かしのアーチストのコンサートに行く以外、なかなかライブスポットに行くことがなくなっていたが、ふとしたきっかけで知り合ったバンドのイベントを何度か聞きに言っている。
それが「キツネの嫁入り」
まったく音楽とは違う縁で知り合ったのだが、次第にマドナシさんの言葉の世界に惹かれて行き、初めてその音に触れたときに同調する何かを感じた。

活動的な彼らのライブ、毎回お誘いいただくのだが、数ヶ月に一度くらいしか訪ねることができない。

この日は、京都のラジオ局主催の野外イベントで、無料。
子どもに生のライブを体感させたい気持ちもあったので、休日を家族で楽しんだ。

「キツネの嫁入り」の音は言葉で表現し辛い。

そこをあえて言葉にすると、デジタルビートのようなミニマルフレーズを生楽器で演じながら、生身に訴える暖かい音(ヒーリングともいえる)に、ほんのり薄ら寒くなるシニカルな言葉を載せて、体のどこかに緊張感を与えるという、おとぎ話のような世界。
それもプログレバンドがやるような西洋的なおとぎ話でなく、日本の民話から飛び出してくるような霧のかかった世界。
シガーロスの音に谷山浩子の詩が乗っているような…
うーん、ぜんぜん伝えられんね。

「忘却」 アコーディオンの揺らぎとアコギのミニマルフレーズ、そして軽めのパーカッション。
そう、パーカッションがブレイクしたときに聞こえるアコギの音がアクセントになることで、逆にそれまでのパーカッションの存在が浮き彫りになる。
それくらい、本来アタックが強いパーカッションが、アコーディオンとアコギに溶け込んでいる。
バチけいを使わないジャンベならではの、メリハリをつけつつ優しい音なんだろう。
低音がしっかり身体に圧をかけてきたのは、難しい野外なのにしっかりマイクセッティングされている感じで、心地よかった。
そして、フロントに出てくるマドナシさんの声がなにより”空間”を作り出している。
ひーちゃんさんのコーラスも相変わらず素敵。
(一度彼女がメインボーカルの曲を聞いてみたいものだ)

「世界の逆」 カーニバルチックなアコーディオンに、パーカッションとアコギがかぶさってくる。
やがてファンキーなアコギが前に出てきて歌に入る。
そして私が大好きな”おいしい”変拍子のアクセント。
ひたすら変拍子をいれる、ブイブイ系のテクニシャンズも嫌いではないが、こういう風にアクセントでさりげなく入れるのがなんともおしゃれだ。
カギさん足元のフットペダルは、シンセパッドでもついてるんだろうかと思ってたら、カウベルだった。
こういう使い方…もしかしたら別に珍しくないのかもしれないけど、私は知らなかった。
一緒に言った小学生の息子は、この曲のジャンベが一番印象に残っていたようだ。
いわく「すごく早いのがかっこいい。手が見えない」と。

「群れをなす」はじめて聞く曲(だと思う)
ひーちゃんがアコーディオンからマリンバに変わり、ちょっと違う雰囲気へ。
いつもアコーディオンが音の隙間を埋めているけど、マリンバはアタック系だし、トレモロをいれてもアコーディオンの底の方まで響く重圧感はでない。
ギターもパーカッションも控えめだったから、他の曲より歌が前に出てくる。
そのマリンバの高音の響きが、緊張感をあたえてくれる。
こういう「キツネの嫁入り」もあるんだな、と。
マリンバってチューニングできない(と思う)から、アコギと微妙にチューニングずれている感じが、逆に「緊張の中の揺らぎ」になってて面白い。
緊張感持ちながらも、身体が揺らされている…やられた。

「最後のアサヤケ」アコギ低音のビートでRockっぽく始まる。
でも、アコーディオンが入ってくるとふわっっとした世界に変わる…うーん、Sigur Rossみたいだ。
カギさんのジャンベもいつの間にか加わってる。
いやぁ、この世界に引き込まれていて、包み込まれている感じが好きだ。
やっぱ、このアコーディオンとアコギとジャンベ、そしてマドナシさんとひーちゃんさんの声質が、低い所から高いところまで、重なるところからスカスカのところまで、こう満ちている感じが「キツネの嫁入り」スタンダードなんだろうなと。
こういうスタンダードがあるから、ところどころに「ずらした」ものが入ったときに、スタンダードも、ノンスタンダードも”あり”と思わしてもらえるんだろうな。

「箱庭」一番最初に「キツネの嫁入り」を聴きに行ったときからのお気に入り。
今回はセットにあるマリンバをイントロのアクセントに使い、ちょっと「ずらし」てきた。
アコギとアコーディオンがブレークして、ジャンベだけ…と思いきやちゃっかりマリンバが加わってる。
そう、大きく変わらないけど、ちょっとだけ「違う」ものがはいるだけで、脳内のスタンダードとのずれが勝手に幅を作ってくる。
いやぁ、ライブは生き物だし、生ものだなと。

「答えとして」アコギだけのイントロ…なんかブルージィーだと思ってたら、マリンバが加わる。
そう、ネット音源で聴いたときは、アコーディオン・アコギ・ジャンベの「キツネの嫁入り」スタンダードだった。
2コーラス目(?)からはアコーディオンとジャンベのスタンダード風になったけど、最初に印象づいた分アコギが前に出てる感覚。
サビでの高音ひーちゃんさん、低音カギさんのコーラスが何気に好きだったりする。

演奏後の司会者とのやり取りで「ジャンルは何ですか?」の問いに「Rockです」と即答するマドナシさん…
そう、私も「これはRock」だと思ってる。
何もアンプで増幅した大音量がRockだったり、圧倒するようなサウンドがRockだったりするわけじゃない。
静かに淡々と歌いながら、時折殻を破って飛び出す詩に込められた”毒”のような、内面からほとばしるエネルギーがRockなんだと。

キツネの嫁入り ライブ at 新風館 - MP3

他のライブですが、公式音源はこちらから
My Space
Audioleaf


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July 20, 2008

EL&P「Pictures at an Exhibition」

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ここ二日、名作をクラシカルにアレンジしたMike Oldfield、メタル・プログレとしてシンフォニックな要素を取り入れたDream Theaterと紹介しながら聞き続けていたら、たどり着いたのがEL&Pだった。

実は、このバンドもレビューするのをためらっていた。
というのは、こうしてレビューするならば、EL&Pを私がどう位置づけしているか押さえないといけないからだ。
私はEL&Pをプログレだと思えない。
いや、別にEL&Pがプログレだと言われることに異論を唱えるつもりは無い。
ただ、Pink Floydとも違うし、Yesとも違うし、King Crimsonとも違うし、Genesisとも違う。
もっとも、この4バンドもそれぞれ個性があって、どれかをプログレの基準とすると他のバンドは当てはまらなかったりする。

じゃあ、彼らは何だといわれると、シンフォニックな要素を持ったHard Rockだと思う。
Hard Rockというカテゴリーが、ギターを重視し、ギターソロが大きな役割を示すので、トリオ編成の彼らがそう思いづらいのはわかるが、キース・エマーソンのキーボードソロはハードロックのギターなみに激しい。
クラシックの要素を取り入れるって事で行けば、Deep Purpleだってリッチーのフレーズはその要素満載だし、楽曲の展開ということならZepやCreamにもその要素はある。

そして、Pink Floydの深みや、Yesの壮大さ、King Crimsonのインプロビゼーション、Genesisの叙情性という、私がプログレとして重視する要素が弱い。

いや、EL&Pが嫌いということではない。
こうしてDream Theaterなんかを聞いていると、EL&Pが聞きたくなるし、一度聞き出すと持っているアルバムをどんどん聞いている。

つまり、こういう一部の皆様に反感を買うようなことを書いてしまうから、いままでレビューするのを避けていたのかもしれない。


「Promenade」MCの「Pictures at an Exhibition」の声、大歓声に続き、展覧会の絵のメインテーマをパイプオルガンの荘厳な音で再現。
とてもロックのコンサートとは思えない、静かな世界に響き渡る崇高なメロディだ。

「The Gnome」ドラムが導入され、シンセとドラムのユニゾンにベースのフィルインがかぶさってくる。
後半はシンフォニックなテーマをロック仕立てで再現している感じ。

「Promenade」再び主題に戻り、こちらはグレッグ・レイクのボーカルつき。
あのもっさりとしたロックボーカリストらしくない声質が逆にクラシカルなテーマにあっている気がする。 (Mussorgsky-Lake)
「The Sage」もとの組曲にはないオリジナルパート。
シンセによるブリッジから、グレッグお得意のブリティッシュトラッド風のアコギバラード。

「The Old Castle」いかにもムーグという電子音とドラムのインプロに続いて、組曲の中の曲をロック・アレンジ。
ただ、かなりの部分はキース・エマーソンの手癖フレーズだ。

「Blues Variation」前曲から途切れ目無しに、オルガン主体のオリジナル演奏にタイトルをつけて、組曲と差別化している。
このオルガンのフレーズはいろんなライブで聴けるので、彼の手癖フレーズ全開の部分だろう。

「Promenade」再び主題

「The Hut Of Baba Yaga」組曲の中の一曲を、軽快なロックアレンジに仕上げている。

「The Curse Of Baba Yaga」前曲のイメージを受けて作られたオリジナル。
前後を「The Hut Of Baba Yaga」ではさんでおり、本来は「The Hut Of Baba Yaga」のなかにオリジナルフレーズを入れただけかもしれないが、別曲扱いにしている。
ちょっとロックなグレッグのボーカルが聞ける。
(少しテンポが速すぎたのか、エマーソンの3連がもたついているところがあったりする)

「The Hut Of Baba Yaga」

「The Great Gates Of Kiev」エンディングに向かう大団円。
組曲の中のプチ盛り上がりフレーズを、ボーカルも加えて大々的な荘厳さを加えて名曲に仕立て上げている。
グレッグの高音でちょっと音が揺らぐところが…等身大でほほえましかったりする。

「Nutrocker」アンコールナンバーは「くるみ割り人形」
これのロックアレンジがすばらしくはまっている。
グレッグのベースも生き生きしている(ボーカルの負担が無いからか…)

定番度 80% こいつも歴史的なアルバムです

Pictures at an Exhibition - EL&P LP/CD/MP3


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July 19, 2008

Dream Theater「Change Of Seasons」

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Dream Theaterを聞くようになったのはいつからだろうか。
基本UKな私だが、最初彼らにはUKのにおいを感じていた。
プログレというカテゴリーに反応したのか、あるいはアイアン・メイデンの流れでそう思い込んだのか。

アルバムを買ったのは、私がまだバブリーな時代にタワレコでいろいろ買いあさっていたときにふと「Seasons From Memory」を買ったのが最初かな。
「トータルコンセプトアルバム」ってところに惹かれ、かねてからこのバンド名だけ知っていたから手を伸ばしたんだろう。
その後、何枚か買っているが、彼らが「オフィシャル・ブートレグ」として発売してる「アルバム全曲コピー」ものがほしいんだけど、なかなか安くならない(狂気の完コピなんて聞きたいねぇ)
で、今回他のアルバムのついでにいろいろ探してたらこのアルバムに行き着き、しかも最初の曲以外は「コピー物」ということで…そくカート行き。

で、聞いてみると、大半がUKもののコピー。
そうか、だからUKのにおいを感じたんだ。

本家プログレ勢が80年代に失速してPOPよりになったが、90年代にそれらを消化して生まれたのがこういうプログレメタルなんだろうね。

「Change of Seasons」アコギのインストから変拍子バリバリのハードなリフ、ドラムはドコドコだわ、ベースはゴリゴリだわ、ギターもキーボードもユニゾンからソロまで決めまくるは、息をもつかせぬ展開力で20分超でもあきさせない。
しかも、途中でもアコギ主体の静の部分があったりして、メリハリがあるところなどYesを彷彿させる。
終盤のワウを効かせたギターの展開など、サイケも好きな私には鳥肌もの。
でも、この歌唱力は間違いなくヘビメタのそれ。

「Funeral for a Friend/Love Lies Bleeding」エルトン・ジョンのカバー。
最初、ヘビメタ・プログレとエルトン・ジョンの組み合わせ?と驚いたが、メロディックな壮大なイメージはなかなかハマッてる。
そう思うと、エルトン・ジョン自体、映画のような展開と表現をしているアーチストだもんね。
もっとも、これだけ有名なアルバムなのにオリジナルを聞いたことが無い(Goddbye Yellow Brick Roadは知ってるけどね)
次に機会があればオリジナルを聞いてみたい。
(と思わせるくらい、この演奏が良かった)

「Perfect Strangers」ディープ・パープルが再結成したときの曲のカバー
前曲の重いながらも軽快な(?)曲から一転、じっくり重たいロック。
こちらはベースの(派手でない)感じも、落ち着いたキーボードも、彼らの本来の力量からすれば少しダウンクオリティで、その分しっかりとコピー。
でも、ドラムだけはオリジナルより派手になっちゃう。
あと、ギターの音は90年代風になっちゃうね。

「Rover/Achilles Last Stand/The Song Remains the Same」レッド・ツェッペリンのカバーメドレー。
Zepに関してはオリジナルは別格ということで…
でも、これだけコピーするのはただテクがすごいだけじゃ無理で、グルーブ感や味を醸し出す余裕が無いと駄目だろうね。
単純に曲の完成度で行けば、この「Achilles Last Stand」のほうがうまいもん。
でも、私にとってZepの魅力はテクニックや完成度を不問にする、言葉にできない”なにか”が重要だもんでねぇ。


5. Big Medley
まずはPink Floydの「In The Fresh」、もともとそんなにテクのある曲じゃないので余裕でコピー。
でも、Zep同様Floydもテクじゃないしねぇ。
Kansas「Carry On Wayward Son」はインストで馬鹿テクを見せ付ける
Queenの「Bohemian Rhapsody」これもフレディと比べるわけには行かないけど、ギターの味は良く出てる。
Journeyの「Lovin' Touchin' Squeezin'」本来はちょっとヘビーなブルースギター…がしっかりヘビーなギターになってしまうところが…(笑)
Dixie Dregs「Cruise Control」はオリジナルをしらないもんで…
Genesisの「Turn It On Again」ドラムをいい具合に押さえ気味かつPOPに仕上げて、うまいコピーをしてる。

とメドレーの曲を個別に見るとどうしてもオリジナルと比べてしまうけど、通して考えるとこれだけの多彩な曲たちを同じテイストで歌い上げるジェームスのボーカル力はすばらしいと気づいちゃいます。

定番度 70% 昔のヘビメタファンやプログレファンは一度聞いてみましょう。

Change Of Seasons - Dream Theater CD/MP3


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July 18, 2008

Mike Oldfield「Tubular Bells 4」

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あるアルバムが信じられない価格で発売されていたもんだから、HMVで予約した。2枚以上買うと割引がよくなるので、同時に何か買おうといろいろ検索して、このアルバムが1000円を切る価格で打っているのを発見。早速カートに入れた。
あまりにこのアルバムが安すぎて、送料無料に届かなかったので、別にもう一枚、あわせて3枚購入。

が、一番お目当てのアルバムが出荷予定日になっても未入荷。
仕方なく、他の2枚だけ先に出荷してもらい、今日手にした。

その一枚がこのアルバム「Tubular Bells -Part.1: Version for 2 Pianos & 2 Synthesizers, Version for 4 Pianos / Piano Ensemble」
前にも紹介した「Tubular Bells」のピアノ&シンセバージョンと、ピアノバージョンの2曲入り。
すでにⅡ・Ⅲと発売されているし、ジャケットのデザインが”4”を模しているから、おそらく「Tubular Bells 4」って事でいいのかな。

1曲目は2台のピアノと2台のシンセで演奏。
ⅡやⅢは、オリジナルの雰囲気をそれぞれの発売時期にあわせて主題も含めてアレンジしていたけど、このバージョンはオリジナルを忠実に再現している。
ピアノだけでは表現できないところはシンセで補足しているから、かなりオリジナルに近い。
かつてムソルグスキーの「展覧会の絵」を、富田勲のシンセバージョンで初めて聞き、さらにEL&Pのバージョンを聞いてから、本家のピアノ曲で聞いたときのようなイメージかな。
最初はその音の表現に物足りなさを感じるんだけど、聞き込むとシンプルな分、そのメロディの繊細さが際立ってくる。

そのイメージはピアノだけの2曲目により顕著にあらわれる。
どうしても音数が少なく、厚みが乏しくなるのだが、それはオリジナルと比べてしまうからで、こうして聞くとピアノ曲として十分成立している。

マイク・オールドフィールドは、その楽曲展開力や、シンセの導入なのでプログレのカテゴリーに入れられることもあるが、くらシックの現代音楽家としても評価されても良いんじゃないだろうか。
いや、そんなカテゴリーは取っ払って、この誰でも耳に残るメインテーマをいろんな形で楽しめばいい。

しばらく、お気に入りになりそうな予感

カルト度 80% オリジナル盤を聞いてから、気に入ったらどうぞ

Tubular Bells -Part.1: Version for 2 Pianos & 2 Synthesizers, Version for 4 Pianos / Piano Ensemble - Mike Oldfield CD/MP3


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July 16, 2008

oasis「Standing On The Shoulder Of Giants」

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2000年に発表されたoasisの4枚目。
これまでに発表されたアルバムのおかげで初登場1位にはなるが、後になればなるほど評価が薄くなっていく。
このころは、新しいことをするよりも今までのサウンドの焼き直しっぽい。
ただ、良いか悪いかは微妙だが、メンバー交代によって変化も見られる。
しかし、ソングライティングはノエル主導なので大きな変化には至らない。
最初の2曲が良いが、あとは小粒な感が否めない。

「Fuckin' In The Bushes」ファンキーなインストナンバー。
単純にリフがかっこよく、アルバムのオープニングを飾るにふさわしい曲だ。
SEでいろんな声・会話を入れて、そこから次の曲に移る感じなどはBeatlesの「Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band」のようなトータルコンセプト感を出そうとしていたのかもしれない。

「Go Let It Out」ちょっとけだるいミドルテンポのナンバー。
ねっからのOasisファンにはあまり評判がよくなかったらしいが、私は結構気に入っていた。
まぁ、1stや2ndを聞き込んでいなかったせいもあるかもしれないが。
この曲もアレンジにBeatlesの影響が見え隠れする。
「Strawberry Fields Forever」のメロトロンのような音も使っているあたり。

「Who Feels Love ? 」ベースの使い方がBeatlesのポールっぽくアレンジされているスローテンポの曲。

「Put Yer Money Where Yer Mouth Is」うーん、「Morning Glory?」のようなカオス系を狙ったんだろうけど、不発かな。

「Little James」お得意のバラード。
ワンパターンではあるけど、それゆえに落ち着ける。

「Gas Panic !」スローでちょっとヘビーな雰囲気を作っているが、ヘビーになりきれず、かといってグルーブしてる感じも無い…
ドラムパターンやベースのメロはグルーブがあってもいいはずなのに…

「Where Did It All Go Wrong ?」前曲に続きちょっとヘビーなアレンジ。
こちらはオルガンも取り入れたり、フィードバックを多用したりして60年代から70年代のサイケな仕上がりにしようとしたのだろうけど…まぁ、なじみやすいメロの曲ではある。

「Sunday Morning Call」こちらもお得意の”盛り上がり系バラードなのだが…過去の作品「シャンペン~」や「ルックバック」に比べると弱い。

「I Can See A Liar」バラードの後はアンコール的にロックンロールナンバーを…というパターンなんだけど、どうも印象に欠ける押しの弱い曲になってしまった。

「Roll It Over」うーん、悪い曲じゃないけどアルバムの締めとしては…?それに間奏のギターフレーズはジョージの「Something」

定番度 50%  今では影の薄いアルバム

Standing On The Shoulder Of Giants - oasis CD/MP3


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July 11, 2008

The Charlatans「The Charlatans」

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アルバムにバンド名を使うってのは1stアルバムでは良くありますが、そこそこアルバムを出したあとに使うのは自身を持って「看板」として送り出すってことですね。
「The Charlatans」は彼らの4枚目のアルバムです。

タイトでシャープなドラム、ブンブングルーブするベース、このリズム隊がこのバンドの肝であり、そこに70年代風のオルガンを中心にしたキーボード、ギターが花を添える。
粘っこいティムのボーカルも味がある。

The Charlatansを知ったのは2000年代に入ってからだが、そのきっかけになった「Forever」にしても、70年代のUKロックテイストに惚れたが、その後さかのぼって聞き出したが、OasisやBlurよりもつぼに入ってしまった。

このアルバム発表の後にキーボード奏者のロブ・コリンズが事故死してしまった。
初期Charlatansの集大成的アルバム。

「Nine Acre Court」ファンキーなインストナンバー
ティムのボーカルも楽器のひとつとしていい味出してます。

「Feeling Holy」ロッド在籍時のフェイセズを思わせる泥臭いロック

「Just Lookin'」アコースティックとエレキのギターの絡み具合が70年代のストーンズを思わせる

「Crashin' In」oasisっぽいPOPな王道ロック

「Bullet Comes」ちょっとスローなファンキーナンバー

「Here Comes A Soul Saver」ギターフレーズがちょっとPinkFloydをパクッていますが…
でも、なかなかさわやかなナンバー

「Just When You're Thinkin' Things Over」ファンキーなピアノがおしゃれ
UKの若者が黒っぽい音を作ろうと思うと、やはりストーンズっぽくなってしまうのは仕方ないか

「Tell Everyone」アコギ中心のバラード

「Toothache」ちょっと重めのナンバー
Zepっぽいリフやドラミングに、オルガンがいい具合にマッチしてる。

「No Fiction」全曲のながれでちょっと重いまま、さらにロックしてます。

「See It Through」この曲聴いてると、やっぱCharlatansはオルガンがいいなぁと

「Thank You」一曲目のインストナンバーと対を成すようなエンディングナンバー。

定番度 70% 90年代のUKを聞くならこいつもどうぞ

The Charlatans - The Charlatans CD/MP3


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July 10, 2008

Yes「Drama」

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このアルバムをYesとして紹介するのは気持ち的に微妙だったりする。
まず先に書いておくと、アルバムとしてこの「Drama」は好きだ。

まだMTVもない時代に、夜中にやっていたROCKの番組をビデオに録画して何度も見た。
ハードロックを中心にUKロックを特集した番組だが、そのときにYESとして紹介されたのがこのアルバムの「Tempus Fugit」だった。
音楽雑誌で写真を見たことはあっても、動く映像などBeatles以外知らなかった時代だし、そこに映っているのが「YES」だと…
また、その音楽は非常にかっこよく、幻想的な映像とマッチしていた。

しかし、後にディスコグラフィーなどにも興味を持ってバンドを追っかけだすと、このアルバムが特殊だったことがわかる。

メンバーの激しい入れ替わりがありながらも「YES」名義で活動してきた(まだ活動している)バンドだが、唯一このアルバムはボーカリストが違うのだ。

前作「Tormato」の後にボーカルのジョンとキーボードのリックが脱退し、すでに自ら「ラジオスターの悲劇」というヒット曲を出している「バグルス」のトレバー・ホーンとジェフ・ダウンズを迎え入れて作られた。

作品自体は前2作のようにコンパクトな曲が中心で、新加入の二人の影響なのか、あるいはメンバーが変わった危機感からか、各パートが抑え目で、その分バランスやアンサンブルが重視されている。
ギターのスティーブも「常に全開」状態だったのが、ベースとのユニゾンを大事にしたり、ストロークでのリズムプレイを大事にしたり、ソロになるとしっかり自己主張したりと、メリハリが感じられる。

後の名プロデューサーとなる、トレバー・ホーンの味が出ているのかもしれない。

しかし、やはりジョンのいない「YES」は認めたくないということか、ツアーなどの評判は良くなかった。
最初から高いハードルをつけられたもんだから、損をしたユニットだろう。
(ジョンがいるだけで、このアルバムよりYESらしくない「90125」の方が評価されてしまうのだから…)

このアルバムでよくも悪くも前進し続けた「YES」は完全に幕をひいた。
これ以降は「YES」という名の別バンドであったり、過去を懐かしんで集まった同窓会バンドでしかない。


「Machine Messiah」重いアンサンブルがイントロのミドルテンポの曲。
その重さで重厚感を出そうとしているのだが、雰囲気が重いだけでうすっぺらい。

「White Car」キーボード主体の小曲。
その後ジェフがソロやasiaでも良く使っているので、お気に入りの曲なんだろう。

「Does It Really Happen?」グルーブ抜群のベースや、ギターとキーボードのユニゾンなど、各パートが個性を出しながらも、バランスがよく破綻していない。

「Into The Lens」力の入った曲だが、いまいち盛り上がりに欠ける。
変拍子も多用したり、いろんな展開を示してはいるが、ちょっと消化不良。

「Run Through The Light」ちょっと一休みの感じの印層の薄い作品。
が、じっくり聞くと結構面白いアレンジだったり、目立たないところでキーボードやベースが細かいおかず入れていたり、実験的な作品だったのかもしれない。

「Tempus Fugit」リズムブレーク、ベースのメインリフ、ギターのおかず…イントロの2分だけでも評価に値する、かっこのよさ。
このベースラインはクリス自身お気に入りのようで、ライブのベースソロでは必ず入れてくる(そうでもしないとこのアルバムの曲は採用されないからという理由もあるだろうが)
このグルーブ感は彼らの歴史の中でもNo.1だろうし、ベースがメインで動く分、そのリズムの隙間をギターやキーボードのフレーズでつぐむところなど、「危機」や「リレイヤー」のころのような緊張感を感じる。
ある意味、ジョンがいたらこういう曲はできなかっただろうし、この「バグルスYES」メンバーの見事な化学融合だったのかもしれない。

カルト度 90%  何らかのきっかけでYESファンになった人でもなかなか手にしないでしょう。

Drama - YES CD/MP3


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July 09, 2008

Yes「Tormato」

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洋楽ロックに目覚めたころ、FM番組でLPまるごと放送していたものを録音して聴いた、YESとしては初めて出会ったアルバム。
それだけに思い入れはあるのだが、その後に「危機」を知ってからはあまり聞かなくなった。
よく考えると、同じ時期にELPの「Love Beach」も聞いているのだが、この二つのアルバムを「プログレ」だと思い込んでいたら今ほどプログレにはまっていなかったかもしれない。
あるいは、こういう軽いものから入ったから、商業ロックとして聞きやすく、たどるように他のプログレを聞こうと思ったのかもしれない。
まぁ、今となれば、なるようにして今の自分があるのだが。
ジャケットは今回もヒプノシス。
写真にトマトがぶつけられているデザイン…もしロジャー・ディーンが担当していたら、海に鯨がはね(asiaの龍のように)、空にUFOが飛んでいる(fragileの船のように)なものになったんだろうか…


「Future Times ~ Rejoice」メインはクリスのベースで、ゴリゴリした感じよりグルーブ中心のブニョブニョした音。
そこに相変わらず手癖のリフを弾きまくるスティーブのギターと、高音シンセ中心のリックのキーボードが絡み合う。
展開や構成にプログレっぽい音の出入りや、リズムの強弱を多用してはいるが、なにぶんYESの大事な要素「重厚感」が足りない。
時代に合わせてPOP要素を取り入れようとしたのだろうが…

「Don't Kill The Whale」ファンタジーのかけらもない、リアルな問題を取り上げた曲。
鯨の保護を訴える歌だが…
リズムは単調、ギターは小手先、シンセも…終盤にはアラビアンなコーラスフレーズも「何故?」って感じで唐突だし。
YESとしてやる必要があったのか?な作品。

「Madrigal」リックの趣味満開なクラシカルな曲。
YESのクラシックとの融合という特徴が現れており、音もウォーミングで落ち着く。

「Release, Release」若いころはこういうアップテンポでビートの効いたものがかっこいいと思っていた。
ストレートな序盤、変拍子で緊張感をあおる中盤、ライブな雰囲気を取り入れて開放感いっぱいの後半。
珍しくドラムソロも聞ける。

「Arriving UFO」今となっては、とてもトホホなテーマの曲。
多分、SF映画がはやりだしたころだったんだろう。
しかし、なぜ間奏がにわとりの鳴き声を模しているのか今もなぞだ。

「Circus Of Heaven」ベース、ギター、ドラム、シンセと少しずつ楽器が増えてアンサンブルを楽しむ…という狙いなんだろうが、なんか各楽器が好き勝手に主張しあってアンバランスになっているような気がして…
途中に子どもの声が入るブリッジ部以降はすっきりしていて、構成的には面白いので、もう少し丁寧にアンサンブルを追求していてくれたら名曲になっただろうに。
でも、そうするとGenesisっぽくなっちゃうかな。

「Onward」ベース中心の静かなバラード。
これくらいギターやシンセが押さえ気味だと聴いていて心地が良い。
コーラスもYESらしくてきれいだし。

「On The Silent Wings Of Freedom」ハイな部分と静かな部分が、最後の曲にしてやっとバランスよく仕上がってきた。
逆にこの曲がバランスいいから、他のアップテンポの曲がしんどく感じてしまう。
7分強だから聞いてられるかな。
以前のようにLP片面の大曲にされるとしんどいかっただろう。

カルト度45% 「Going For The One」よりもしただろうしなぁ…嫌いじゃないんだけどね。

Tormato - Yes LP/CD/MP3


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July 08, 2008

Yes「Going For The One」

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先日、広島まで出張するときにMP3プレーヤーが見当たらなかったので、ラックから数枚CDを抜き出して持っていった。
そのうちの一枚が、1991年の来日したときの音源。
(なんと70年代YESと80年代YESの融合、8人YESのツアー)
このツアーは大阪城ホールまで見に行ったのと同じセットリストなので思い出抜群です。
そのツアーでアンコール前の締めに演奏したのがこのアルバムラストの「awaken」
実は、このアルバムはあまり聞き込んでいなかったので、ライブのときはどの曲かわかっていませんでした。
まさかこの時期の曲をハイライトに持ってくるとは思ってませんでしたからね。
そんな思い出はありますが、YESの歴史の中ではあまり評価していないアルバムです。
リック・ウェイクマンが復帰したアルバムだけど、ソングライティングには関わっていないため、どうしてもお客さん状態。
まぁ、リックが戻ったって事で「こわれもの」や「危機」と比べてしまうこちら側の問題もあるんですけどね。
あと、下のほうのジャケットを比べてもらったらわかるけど、このアルバムまでの幻想的なロジャーディーン作のジャケットから、ヒプノシス作のジャケットに変わったのも違和感があるかな。


「Going For The One」初期のYESを思わせるようなシンプル(?)ロックンロール。
前作「Relayer」のパトリックに対抗するかのようなきらびやかなキーボードとはじけるピアノサウンドが融合しているし、ギターも結構高音中心の処理をしている。
そこにジョンのハイトーンボイスが加わり、ハイテンションという感じの緊張感がある。
そのまま浮遊して剥離してしまいそうなところを、しっかりとベースで大地につなぎとめるあたりがクリスのすばらしさか。
リックに戻った状態で「Relayer」風サウンドを再現しようとした作品。
(作曲時点ではパトリックだったから仕方ないかな)

「Turn Of The Century」教会音楽風の静かな展開。
ジョンのボーカル主体のところに、スティーブのアコースティックギターが彩りを添えている。
これもまた、静の部分のYESらしい作品

「Paralells」リックのオルガン風サウンドが荘厳な幕開けを演出し、自由奔放に駆け巡るスティーブのギターと、ゴリゴリのクリスのベースが絡み合う。
この時期のライブのオープニングを飾っていた名曲。
ただ、なんというか…じっくり聞いていると疲れを感じる。
同じハイテンションでも「Relayer」のときと違い、集中する緊張感ではなく、拡散する感じがするからだろうか。

「Wonderous Stories」ジョンのファンタジー路線の一曲。
きれいな曲で名曲ではあるが…YESである必要があるのかどうか。
Fragile」のころ、アルバム内に各メンバーが作曲し主導権を持った作品をちりばめていたが、この曲は多分ジョンが主導で他のメンバーがお付き合いしたんじゃないかな、と。

「Awaken」「海洋地形学」に通じるような大作。
しかし、イメージ的に盛り上がりにかけるし、冗長にさえ思えてしまう。
よく聞くとスティーブのギターも張り切っているし、クリスのベースも活躍しまくっている。
が、このアルバムでいくと、ずっとスティーブは曲調かかわらず張り切って弾きまくっているし、クリスも自己主張しまくっている。
それがアルバムの最後でさらに15分間も一曲として聞くものにテンションを要求するのだから…

定番度 50% もはや重要な位置にあるとは思えないが、かつて1位をとったアルバムとして…

Going For The One - Yes LP/CD/MP3


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July 03, 2008

10cc「The Original Soundtrack」

4988005502216
6月に手に入れた二つのアルバム…ColdplayとSigur Rosがあまりにもすばらしすぎ、毎日この2枚は欠かさず聞いている状態。
amazonやHMVの洋楽チャートでもこの2枚が1・2位をとっていたりする。
だもんで、なかなか他のアルバムをレビューしづらいのだが、そうも言っておれないので…。

今回紹介するのはSigur Rosを買うときに一緒に購入したアルバム。
70年代のUKロックであり、メジャーなアルバムだけど実はアルバムとして聴いたことがなかった。
というのも、「I'm Not In Love」のイメージが強いのでロックと言うよりはAOR(70年代にはそんなジャンルなかっただろうが)のバンド、あるいはユニットだと思っていた。
しかし、その廉価で打っていたのと、その「I'm Not In Love」一曲のために買うことにした。
しかし、思っていたよりすばらしいアルバムで、得した気分だ。

「Une Nuit A Paris'」そのコンセプトそのままに、映画あるいはミュージカルのオープニングのような1曲。
転々と変わる曲調、ピアノのシンプルなバッキングだったり、バンドサウンドっぽかったり、ジャジーだったり…
Queenの「Bohemian Rhapsody」に影響を与えたという逸話もうなづける。

「I'm Not In Love」おそらく10ccで一番有名な曲。
いや、10ccの名前を知らなくてもこの曲は知られているだろう。
音の深さということを感じさせてくれるアレンジは、何百回と重ねたコーラスのオーバーダビングによって作り出される幻想的な雰囲気をかもし出している。
ローズ+レスリースピーカーかな?揺らぎのあるキーボードも特徴的だし、さりげないドラムやベースもおしゃれだし、なによりこの空気感がすばらしい。
他には真似できない唯一無二の奇跡の1曲

「Blackmail」一転してファンキーな大人のロック。
こちらが本来の10ccというバンドの姿だろう。

「The Second Sitting For The Last Supper」こちらも基本ファンキーなロック。
しかし、いろんな曲調を取り入れるアレンジ力はすごい。

「Brand New Day」再びサウンドトラック・コンセプトの表情豊かな曲。

「Flying Junk」ちょっとハードでアダルトなスローテンポのロック。
ギターのバッキングやソロがかっこいい。

「Life Is A Minestrone」デビッド・ボウイの「ジギー~」に入っていてもおかしくないようなファンキーなロックオペラ風作品。
しかしこのアレンジの妙はぜんぜん古臭さを感じない。

「The Film Of My Love」物語の終幕を告げるような曲。
なんとか、古きよき時代の映画の幕引きで、ヴォードヴィルによる演奏のようなハッピー(でありながらちょっと哀愁のある)な感じ。
とてもおしゃれ。

カルト度 75% 「I'm Not In Love」だけならコンピ盤で聞けるでしょう。

The Original Soundtrack - 10cc CD/MP3


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