EL&P「Pictures at an Exhibition」
ここ二日、名作をクラシカルにアレンジしたMike Oldfield、メタル・プログレとしてシンフォニックな要素を取り入れたDream Theaterと紹介しながら聞き続けていたら、たどり着いたのがEL&Pだった。
実は、このバンドもレビューするのをためらっていた。
というのは、こうしてレビューするならば、EL&Pを私がどう位置づけしているか押さえないといけないからだ。
私はEL&Pをプログレだと思えない。
いや、別にEL&Pがプログレだと言われることに異論を唱えるつもりは無い。
ただ、Pink Floydとも違うし、Yesとも違うし、King Crimsonとも違うし、Genesisとも違う。
もっとも、この4バンドもそれぞれ個性があって、どれかをプログレの基準とすると他のバンドは当てはまらなかったりする。
じゃあ、彼らは何だといわれると、シンフォニックな要素を持ったHard Rockだと思う。
Hard Rockというカテゴリーが、ギターを重視し、ギターソロが大きな役割を示すので、トリオ編成の彼らがそう思いづらいのはわかるが、キース・エマーソンのキーボードソロはハードロックのギターなみに激しい。
クラシックの要素を取り入れるって事で行けば、Deep Purpleだってリッチーのフレーズはその要素満載だし、楽曲の展開ということならZepやCreamにもその要素はある。
そして、Pink Floydの深みや、Yesの壮大さ、King Crimsonのインプロビゼーション、Genesisの叙情性という、私がプログレとして重視する要素が弱い。
いや、EL&Pが嫌いということではない。
こうしてDream Theaterなんかを聞いていると、EL&Pが聞きたくなるし、一度聞き出すと持っているアルバムをどんどん聞いている。
つまり、こういう一部の皆様に反感を買うようなことを書いてしまうから、いままでレビューするのを避けていたのかもしれない。
「Promenade」MCの「Pictures at an Exhibition」の声、大歓声に続き、展覧会の絵のメインテーマをパイプオルガンの荘厳な音で再現。
とてもロックのコンサートとは思えない、静かな世界に響き渡る崇高なメロディだ。
「The Gnome」ドラムが導入され、シンセとドラムのユニゾンにベースのフィルインがかぶさってくる。
後半はシンフォニックなテーマをロック仕立てで再現している感じ。
「Promenade」再び主題に戻り、こちらはグレッグ・レイクのボーカルつき。
あのもっさりとしたロックボーカリストらしくない声質が逆にクラシカルなテーマにあっている気がする。 (Mussorgsky-Lake)
「The Sage」もとの組曲にはないオリジナルパート。
シンセによるブリッジから、グレッグお得意のブリティッシュトラッド風のアコギバラード。
「The Old Castle」いかにもムーグという電子音とドラムのインプロに続いて、組曲の中の曲をロック・アレンジ。
ただ、かなりの部分はキース・エマーソンの手癖フレーズだ。
「Blues Variation」前曲から途切れ目無しに、オルガン主体のオリジナル演奏にタイトルをつけて、組曲と差別化している。
このオルガンのフレーズはいろんなライブで聴けるので、彼の手癖フレーズ全開の部分だろう。
「Promenade」再び主題
「The Hut Of Baba Yaga」組曲の中の一曲を、軽快なロックアレンジに仕上げている。
「The Curse Of Baba Yaga」前曲のイメージを受けて作られたオリジナル。
前後を「The Hut Of Baba Yaga」ではさんでおり、本来は「The Hut Of Baba Yaga」のなかにオリジナルフレーズを入れただけかもしれないが、別曲扱いにしている。
ちょっとロックなグレッグのボーカルが聞ける。
(少しテンポが速すぎたのか、エマーソンの3連がもたついているところがあったりする)
「The Hut Of Baba Yaga」
「The Great Gates Of Kiev」エンディングに向かう大団円。
組曲の中のプチ盛り上がりフレーズを、ボーカルも加えて大々的な荘厳さを加えて名曲に仕立て上げている。
グレッグの高音でちょっと音が揺らぐところが…等身大でほほえましかったりする。
「Nutrocker」アンコールナンバーは「くるみ割り人形」
これのロックアレンジがすばらしくはまっている。
グレッグのベースも生き生きしている(ボーカルの負担が無いからか…)
定番度 80% こいつも歴史的なアルバムです
Pictures at an Exhibition - EL&P LP/CD/MP3
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