Mike Oldfield「Tubular Bells」
最初に聞いたのはエクソシストのテーマとして。
だから「Tubular Bells」というタイトルはその曲のことだと思っていた。
その後、雑誌などの記事で、逆に「Tubular Bells」の一部がエクソシストで使われたのだと判明。
かといって、すぐにLPを買うほどの興味ではなかった。
それがCDの時代になって、ふっと衝動買いしてみた。
そして聴いてみてビックリ。
全編、そのテーマのような雰囲気で進むと思っていたからだ。
初めて「Part One」を全部聞いたときは、呆然としていた気がする。
後から知った情報で「バージンレコードの第一号作品」であるとか、2000回以上のオーバーダビングで作られたとか、うんちくはいろいろあるが、音を聞いてしまえばそんなことはどうでもよろしい。
「Part One」不安を煽るようなピアノの旋律。
ミニマルに繰り返されるその旋律に、深い深いところで低音のシンセベースがかぶっていく。
徐々に主旋律となるテーマが木管系のシンセで奏でられ、さらにギターやマンドリンのフレーズがかぶさっていく。
映画エクソシストで使われたのはこの序盤の部分だけで、作品「Tubular Bells」としては、この後一気に明るい展開になり、不安な旋律もいつしか消え、様々なテーマが現れは消えしながら展開されていく。
長い曲だが退屈することはなく、テーマや楽器の絡みは聞くものをひきつけていく。
中盤からギター中心のハードな展開になり、これはやはりシンフォニックではなくロックなんだと。
プログレッシブな、ロックらしくないロック。
いや、もうカテゴリーなんかどうでも良いか(笑)
次にやってくるのはアコースティクな世界。
そして、ベース・シンセベースのフレーズ以外が掻き消え、クライマックスへと突入する。
ここから、ひとつずつ楽器が加わり、その楽器名が宣される。
同じフレーズを奏でているのに、楽器によって趣が違う。
気分が高揚するのを禁じえない。
最後に「Tubular Bells」の声と共に鐘が高らかに鳴らされ、コーラスと各楽器の加わったピーク…そして徐々に静寂に戻っていく。
気が付けば、最初の不安な気持ちはすっかり消え、晴れ渡った世界に包まれる。
「エクソシスト」だけで、この曲を知っている方は、是非全編聴いて欲しい。
「Part Two」に移り、今度は牧歌的な雰囲気で始まる。
ギターがミニマルな旋律を繰り返し、徐々にいろんな楽器が加わりだす。
中盤で中世の雰囲気を醸し出した後、後半は悪魔の叫び声のようなSEを加えながら盛り上がっていく。
そして最後はスイスのダンスのような雰囲気で一気に終わる。
オリジナルの「Tubular Bells」はこのLP両面分で1973年の作品。
その後1975年に「The Orchestral Tubular Bells」という、オリジナルをオーケストラで演奏したものがあり(これは未聴)、1992年に続編の「Tubular Bells Ⅱ」1998年に「Tubular Bells Ⅲ」、そして2003年に「Tubular Bells 2003」が発売されている。
「Tubular Bells Ⅱ」は最初静かなピアノフレーズで、まったく違う曲かな?と油断したところにおなじみのフレーズが入りだす。
しかしよく聞くと同じではない少し複雑になったミニマルフレーズ。
その後は、オリジナルと同じような”雰囲気”の展開で、随所にオリジナルを思わせるフレーズもちりばめている。
マイクの中で、その時代なりに消化しなおした「Tubular Bells」なんだろう。
「Tubular Bells Ⅲ」のほうは、デジタルビートに乗せたもので、ロバート・マイルズやエニグマのような仕上がりになっている。
オリジナルの延長を求めると期待はずれだが、デジタルでのヒーリングを「Tubular Bells」の雰囲気で作るとこうなると言うことか。
「Tubular Bells 2003」はオリジナルを再録音したものらしいが、残念ながら未聴。
さらにこの6月にピアノだけの「Tubular Bells」が発売されるとか…
ここはやはり、オリジナルを是非聴いて欲しい。
定番度 90% 一度は聴いておくべきでしょう。
Tubular Bells - Mike Oldfield CD/MP3
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