Kraftwerk「Trans Europe Express」
クラフトワークを知ったのは、テレビCMで「Showroom Dummies」を聞いたのが最初。
しかし、そのころはそれがクラフトワークと知っていたのではなく、印象的な曲だとして。
その後、江口寿氏の漫画「すすめパイレーツ」の扉絵などに、YMOやクラウス・ノミと一緒に、「The Man-Machine」のデザインがパロられて興味をもち、レンタルで聞くようになった。
その後、アルバムを買ったのはやはり「Showroom Dummies」に惹かれてこのアルバムだった。
A面はお目当ての「Showroom Dummies」を中心に懐かしい感じで聞いたが、B面を聞いてぶっ飛んだ。
無機質なのに、情景が浮かぶ。
列車をあらわす機械的な音なのに、その背後に目くるめく風景が現れるのだ。
テクノと言うジャンルを超えた名盤。
「Europe Endless」電子音のミニマル、徐々に音数が増えていきメインテーマとボーカルが加わる。
これから始まる長い旅を予感させる、出発あるいは夜明けのイメージ。
いまでこそチープに感じるが、ボコーダーのコーラスは衝撃的だった。
「Hall Of Mirrors」最初は明るい曲かと思いきや、メインテーマが始まると一気に陰の世界へ。
デビッド・ボウイのドイツ3部作につながるような、東欧の退廃的な雰囲気。
ドイツ語のボーカルも、聴きなれない異質さが雰囲気を作っているし、革靴(軍靴?)のような響きも秀逸。
「Showroom Dummies」イントロのメロディだけで、もう耳について離れない。
しゃべるはずのないマネキン(Showroom Dummies)が、機械的にしゃべっている世界。
表面はソフトなナイロンなのに、中にびっしり機械が詰まっていて、夜な夜な動き出す…不気味なはずなのに、この哀愁のメロディが惹きつける。
「Trans-Europe Express[TEE part 1] 」ここから最後までは組曲風の作品。
線路のきしむ音、スピードが上がっていくような盛り上がる音の重なり、だんだん近づき遠のいていく警笛(もちろんドップラー効果つき)、そして繰り返される無機質名「Trans-Europe Express」という声。
ただ、これだけなのだ。
ただこれだけなのに、ちょっとしたニュアンスの変化でヨーロッパのいろんな土地を駆け抜けている感じが出ている。
「Metal On Metal [TEE part 2]」曲は途切れずに、線路の音でつながったまま。
工業地帯だろうか、機械のミニマルな作業音が続く。
そして、最終駅までの旅が終わる
「Franz Schubert」列車での旅は終わったが、まだ余韻に浸っている感じ。
音の揺らぎが、無機質なはずなのに妙に安心感を与えてくれる。
エレクトリック・ヒーリングの元祖かもしれない。
「Endless Endless」前曲から途切れないまま、エンドロール的なボーカルが入る。
終わりであり、終わりなき(endless)世界であり…
定番度 60% テクノの歴史として。またテクノを離れても歴史的名盤として
Trans Europe Express - Kraftwerk
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