Enigma「Le Roi Est Mort Vive Le Roi」
David Bowieのドイツ3部作(Lodgerはまだだけど)を紹介したらKraftwerkが聴きたくなり、Kraftwerkを続けて聴いていたらEnigmaにたどり着いた。
すでに最初の2枚(MCMXC A.D. The Cross Of Changes)と最新の2枚(Voyageur A Posteriori )は紹介済みで、今回は3rdアルバム。
「Return To Innocence」から音源を買い始めたんだけど、発売とリアルタイムで買ったのはこのアルバムが最初。
リアルタイムで買う場合は大抵すでにそのバンド(ユニット)を知っている、あるいは気に入っている状態なんで、期待して買うことが多い。
まったく変化して驚かせるものは(Primal ScreamとかRadioheadとか)は最初とまどうが、何度か聴いているうちに気に入ってくるものが多い。
逆に、以前のものと同じ路線のものは、最初は安心して聞けるが刺激が少ないためにすぐに聴かなくなってくる。
えてしてそういうアルバムは前作を越えていない。
このEnigmaの「Le Roi Est Mort Vive Le Roi」はその後者で、前2作の焼き直しというイメージで刺激がなかった。
懐かしいなという感覚を呼び覚まされると、その前2作をプレーヤーに入れてそちらを繰り返し聴いてしまう。
今回久々に聴いてみたが…あいかわらずひっかかりはなく素直に聞けるだけで…仕事のBGMには最適だ。
「Le Roi Est Mort Vive Le Roi」おなじみのテーマ「Voice Of Enigma」から始まる。
「Morphing Thru Time」1stアルバムを思わせるグレゴリア聖歌風、2ndアルバムを思わせるエスニックメロディ、これまでのヒット要素を組み合わせて、さらにシャウト系のボーカルを絡ませている。
バッキングは静かに深く、奥行きのある音作り。
ごった煮の感じでインパクトには欠けるが及第点だ。
「Third Of Its Kind」前曲からそのまま流れて、ささやきで終わる。
「Beyond The Invisible」これも前曲から続いているが、明確に曲調が変わる。
ビートはデジタル風だが、音はアナログだろうか…あるいはサンプリングか。
バッキングも抑え目で、ミニマルのコーラスを軸にして、シャウト系のボーカルを目立たせている。
全体的に圧倒感のある序盤のハイライト。
「Why」一転して、スカスカのデジタルビートとシンプルなシンセ。
ボーカルも静かなところとサビのシャウトでメリハリを付け、「why?」という叫びを際立たせている。
「Shadows In Silence」エスニックなパーカッションにシンセのテーマ。
少しエスニックなコーラスも入るが、基本はインストナンバー。
これまでの前半が大げさだったのでクールダウンのナンバー。
「Child In Us」ヒット曲「Return To Innocence」からディファングの台湾民謡を外して「Sadness」のグレゴリアンを加えたような作品。
いい曲なんだけど…今までのものを越えられない。
焼き直しの感じが否めない。
「TNT For The Brain」前2曲でゆったりとさせた後、少し細かいデジタルビートと、マイナーなバッキング。
この曲だけだとそうでもないんだが、流れの中にあるとピンと緊迫感がよみがえってきて、聞くものを惹きつける。
「Almost Full Moon」ブリッジ的な小作品。
途中のピアノがきれい。
「Roundabout」後半のハイライト。
作風は前面に出たデジタルビートと、エスニックなコーラス、静かなボーカル、深いシンセと、このアルバムの基本路線。
ビートの出入りがメリハリをつけて、いい感じ。
「Prism Of Life」ビートがオフになり、女性のささやきとシンセをバックにピアノの旋律。
ビートがオンになり、グレゴリアンとエスニック…
この組み合わせがこのアルバムのテーマだったんだろうが、最初に書いたようにインパクトに欠ける。
「今までにないもの」という驚きがなくなってしまった。
ある意味、こういうスタイルがEnigmaスタンダードとして他と一線をひく存在で確立されたんだろう。
「Odyssey Of The Mind」余韻を残し、「Voice Of Enigma」のテーマとささやきで終わっていく、いつもの幕引き。
カルト度 70% このアルバムだけで買うのはコレクターだけかな(トリロジーで初期3枚まとめて買うならお得)
Le Roi Est Mort Vive Le Roi - Enigma CD/MP3
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