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May 06, 2008

Radiohead「Kid A」

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三日間法座に参加し、充実感と疲労に包まれております。
そんな時に何をBGMにしよううかと…疲れてるから癒し系がいいかななどと思いつつ、ついつい手を伸ばしたのが「Kid A」
先日、Indexを作ったときに、「これまだ紹介してなかったのか」と気にしてはいたのですが、何もこんな疲れてるときに…いつもより余計にトリップできました。

ローズ系のキーボードから始まる「Everything In Its Right Place」それまでのRadioheadからすると明らかに異質な曲…ボーカルのトム・ヨークの内向きな(ネガティブ)な歌い方は今までも聞けたけど、バンド(?)としてのサウンド自体がネガティブなベクトルで満ちている。
リズムをぼかした感じとでも言おうか。
それでいて、元々プログレ好きの私は何処となく惹かれている。
元もとの熱心なレディへファンには受け入れがたかったのかもしれないが、「OK Computer」から入った私には許容範囲。

バッキングに流れるチープなピアノが後期YMOを思わせる「Kid A」ボーカルまでもが電子処理され、無機質の海に聞くものを放り込む。

靄に包まれたような前2曲から一転して、リズムがしっかり主張される「The National Anthem」しかし、ボーカルはあいかわらず電子処理され、さらにホーンなどがサウンドコラージュのように張り巡らされ、混沌を深めていく。
それが頂点に達するころ、ふっと静寂気味に…これがきっちり静寂までもっていかれるのではなく、静寂になると思わせてまた混沌へ向かっていくという…これだけ心の底がかき回されるのに、これを心地良いと思ってしまうのは…聞く側もまた混沌の中に居るからか…

「How To Disappear Completely」一見すると普通のスローソングっぽいボーカルラインだが…それを不安に引き込むダークなベースラインとストリングス。精神破綻の一歩手前でとどまっている感じ。

単独なら暗い方向へ引き込みそうなインストの「Treefingers」だけど、これまでの混沌・破綻からすると、まだ「落ち着いた」気分にさせてくれるというのだから…不思議。

後半に入って、バンドサウンドとして機能させている「Optimistic」から佳境にはいってくる。
ずっと暗闇を歩いてきたところに、ふっと電灯の明かりにたどり着いたような…まだまだ安定はしないけど、一息つける感じ。

引き続いて「In Limbo」は、バッキングの音たちとボーカルのリズムを合わせない、不安定な雰囲気を醸し出している。これも、ぎりぎり破綻する手前のところで踏みとどまっている。
どれだけ聞き手をトリップさせようというのか。

不安定なままハイライトの「Idioteque」で思考から引き剥がされ、何も考えずに身をよじりながら攪拌されている海にほうりこまれる。
もうどうにでもしてくれと言う…(ある意味、マゾッ気のある人に向いているのかもしれない)

単独で聞くと、普通の曲とも取れる「Morning Bell」も、思考停止したものにはさらなる「遠くで鳴り響くエコー」のように腹底に響き続ける。
白とも黒ともグレーともつかない世界でのインナートリップ。

最後の「Motion Picture Soundtrack」で、落ち着けるか…という雰囲気をちらとは見せるが、それまでの世界が深すぎる。

聞くものを自問させる、なんて罪作りな作品なんだ。

定番度95% なんせ全米1位をとった作品ですから…

Kid A - Radiohead CD/MP3



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