Japan「Tin Drum」
結成当初はその派手ないでたちにより、「The Police」「The Jam」同様、当時隆盛だったパンクの分類をされていた。
しかし、その音楽はむしろグラム・ロックより。
日本でも、音楽の中身よりそのルックスに人気があり、ビジュアル系の走りともいえるんじゃないだろうか。
したがって、私なんかも最初は食わず嫌いで、YMOつながりでこのアルバムを聞いてからファンになった。
このアルバムは、グラムでもパンクでもなく、カテゴライズするとしたらNewWaveとしかいえない…今ならオルタナって言い方もあるだろうけどね。
毛沢東の写真を飾った質素な生活のジャケットも渋い。
邦題は「錻力の太鼓 」
「The Art Of Parties」リズム隊は普通のビートを刻むのでもなく、かといって変拍子でもなく、あえて言うとホーンセクションが一番メリハリの利いたリズムをキープして、デビッド・シルビアンのボーカルはもったりとしながらもゆらゆらとリズムに乗って歌い上げる。
このアルバムの魅力はこうしたメリハリがあるのかないのかわからない流れにあるのか。
「Talking Drum」今度はドラムは基本的にリズムキープ。
その分、ミック・のカーンベース(変態ベースという異名もあったよな)が自由に感性のままに浮遊しだす、フレットレスを活かしきったベースプレイ。
「Ghosts」Deep、ひたすらDeepな世界観。
YMOとの交流でエスニックな感覚を取り入れ、シンセによる空間演出を存分に発揮している。
ただ、デビッドのこのボーカルの世界は、いかにYMOといえど敵わなかった。
(坂本龍一の「戦場のメリークリスマス」デビッドのボーカル入りバージョンの完成度に顕わだ)
「Canton」中華の旋律にミックのブヨブヨベースが加わり、JAPANによるアジアンな世界が広がるインストナンバー。
シンセの主旋律だけ聞いてたら、YMOと思うかもしれないけど、このベースはJAPANでしか無理。
「Still Life In Mobile Homes」一番従来のJAPANサウンドを残している、バンドサウンド中心のナンバー。
「Visions Of China」メインリフになるベースラインが特徴的で、リズムの主体を取って、その分ドラムが自由に動きまくっている。
粘っこいデビッドのボーカルはこの曲でもはまりまくっている。
「Sons Of Pioneers」このアルバムの集大成的な曲。
エスニックっぽいドラミングに、ベースのリフ。
どちらも自由でありながら、自己主張しすぎることなく空間を埋めていく。
音数が多いわけではないのに、奥の方まで音が敷き詰められているような深い空間。
ボーカルも静かに語りかけるようでありながら、時には(同じ声で)コーラスも加えてデビッド・ボウイのような重厚感を表現している。
決して盛り上がっていくような曲でもなく、それでいて単調でもない。
JAPANの歴史の中でも、この時・このメンバーでしか作れ得なかった、OnlyOneの音世界だろう。
「Cantonese Boy」前曲が音の重なりでキャンパスに描いていった緻密なものだとすれば、こちらはバンドの音が一気に組み合わさるライブ的なサウンドでのJAPANの到達点じゃないだろうか。
でも、前曲のイメージが強すぎて、少しつけたしっぽい感もある。
このアルバムが彼らの最後の作品なので、余計に「Sons Of Pioneers」の余韻が印象的だったのかもしれない。
定番度75% メインストリームには乗らないだろうけど、後にも先にもない世界
Tin Drun - Japan CD/MP3
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