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May 31, 2008

David Bowie「HEROS」

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このアルバムを初めて聴いたのは、FMラジオ。
この頃はまだ、売れるアーチストの新譜がでたら、LPまるまる放送する番組がいくつもあった。
その中でもタイトル曲の「HEROS」は最高にかっこよく、雑誌で見ていたアルバムジャケットに映っている丹精だが不思議な魅力を持った男に惹かれていった。
(光の加減なのか、左右で瞳孔の開く具合が違う表情ってのは見たことがなかったから…)
ただこのときは音を手元に残せず、その後このアルバムの中の数曲だけをエアチェックして、テープで何度も聞いていた。

しばらくしてLPを買ったときに2回目の衝撃を受けた。「HEROS」以外にもいい曲がいっぱいある。
でも、このアルバムは「HEROS」のためのアルバムだった。

そして、「Ziggy Stardust」を聴き、「Low」のことも知ったあと、CDを揃えていく過程で再び聴いた時…ボウイという長い時代走り続けるロックスターの歴史の中の一枚として、やはり重要なアルバムだったと…

「BEAUTY AND THE BEAST」ピアノのイントロ、ドラム・ベースがフォードイン、シンセ・ギターがおかずを入れる。
そしてハミングからボウイが登場する見事な幕開け。
とてもPOPな曲だが、ボウイのボーカルの上手さでとても深みのある曲に仕上がってる。
よくよく聞くとかなりファンキーだし、そう考えると「Let's Dance」の路線も早々奇抜ではないなと…(プロデューサーの違いでイメージは大違いになるということやね)

「JOE THE LION」ギターが頑張ってるが、これもロバートフリップなんだろうか?(「"HEROES"」に参加してるのは知っているが)
きらびやかな面のボウイを見せている作品。

「"HEROES"」今にして思えば、そんなに奇抜なこともしていない単純なバッキング。
シンプルなドラム、控えめのベース、リードシンセのシンプルな音、それほど派手でないギター…
しかし、ひたすらにボウイのボーカルが素敵なのだ。
ずっと、渋く抑え目に語りかけるように言葉をつむいでいく…それが後半、オクターブ上げてシャウトする。
「俺達は英雄になるんだ、いつの日か」
もし、先に「Ziggy Stardust 」をしっていたら評価は違ったかもしれない。
あるいは、大学くらいに出会っていても評価は違っただろう。
しかし、雑誌やFMくらいしか情報源のなかった中坊にはこれほどかっこいいものはなかった。

「SONS OF THE SILENT AGE」前曲の余韻の中、ちょっとダークな雰囲気で始まる。
この曲の方がシャウトしている感じだが、音圧の具合なのか、イメージの具合なのか、前曲よりかなり抑えた印象がある。

「BLACKOUT」不思議な曲だ。
バッキングは淡々と(ちょっとファンキー気味)演奏を続ける前で、ボウイのボーカルがはじけまくる。
ヨーロッパ的なダークさと、アメリカンなテイストが混沌としている感じか。

「V-2 SCHNEIDER」LPではここからB面。
一瞬、「Low」のB面のような深い音が出てきそうな静寂があるが、ここではクラフトワークを思わせる「機械の音を楽器で表現」しているような妙に明るい音使いになっていく。
後半、ボコーダーでタイトルを連呼するあたりもクラフトワークだ。
(このころはドイツで生活してるからかなり影響うけてるんだろう)

「ENSE OF DOUBT」一転して、ピアノの低音から始まるリズムレスの流れ。
シンセやローズが出入りし、様々なSEも。
Low」では一面使った退廃的雰囲気のインストを、このアルバムではここからの3曲にまとめたのか。

「MOSS GARDEN」メドレーのように前曲から引き続いて始まる。
琴の音(でも、シンセだろう)でメロディをかなで、少し明るい雰囲気になったが、低音でシンセがなり続けかなり奥行きの深い曲になっている。
このセンスはイーノに影響されているだろう。
前曲で不安に陥れていた気持ちを、ゆっくりと引き上げて言ってもらえる。
うーん、あらためて聴いてみて、今でも立派に通用する…というか、癒し系の音楽が流行っている現代こそ評価されるべき曲かもしれない。

「NEUKÖLN」こちらもメドレーのように、前曲と境目無しに始まる。
前曲で引き上げられた気持ちを、再び混沌へ突き落とすようなメロディ。
メインはオーボエのような木管の音か(これも多分シンセ)
琴のように弾かれてMAXから徐々に衰退していく音と違い、木管系は最初の音(アタック)から徐々にMAXになって、また徐々に消えていくのが音の基本。
その揺らぎが、不安な気持ちを引き起こすんだろう。
そして、唐突に曲は終わる。

「HE SECRET LIFE OF ARABIA」インストの3曲で夢見心地になっているところへ突然ドラムのリズムが刻まれる。
リズムレスでたゆたっていたところから引き戻されるのだが、そこは一筋縄でいかないボウイ様、東ヨーロッパの雰囲気からの着地点がアラビアンだという…
このアラビアンな旋律に、またボウイの声がよくはまっている。

定番度 85% 今でも充分通用するPOPさがある。

HEROS - David Bowie LP/CD/MP3


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May 30, 2008

David Bowie「Low」

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David Bowieを知ったのは、この次のアルバム「Heros」から。
その後、このアルバムを買って聞いたが、当初はA面中心で、B面のインストはつまらないと思っていた。(しかも、A面もそんなに気に入らなかったんで、あまり針を落とすことはなかった)
80年代になって、ボウイが「Let's Dance」路線を歩み始めると、Duran DuranやABCなどと同じ「きらびやかで派手なブリティッシュ・インベンション」の先輩格として見ていたから、あまり昔のアルバムを振り返らなかった。
時代が90年代になると、私はリアルタイムのものより70年代のものをCDで買いなおす作業に入った。

このアルバムもそうやって買ったのだが、あらためてこの作品を聞いてビックリ。
正確にはLP時代のB面の曲たちにだ。
10年以上前にこんな世界を作っていたとは、見えていなかった。
ボウイはよく「時代を先取りしている」と言われるが、数十年経ってあらためて聞かないと、その良さはわからないのかもしれない。
A面の変にエレクトリック・ポップしてるのはすでに終わっているが、B面分のインストナンバーは今聞いても、その深みに新棚発見がある。


「Speed Of Life」オープニングのインストナンバー。
それぞれの音は結構チープな感じで、スネアの音も変にエレクトリックしてて力が抜ける(笑)
しかし、このモノトーンのギター・メロディがだんだん耳になじんでくるから不思議だ。
「ジギー」で作り上げた、スターマンのイメージを揺り起こそうと言うのか…

「Breaking Glass」一転して、ドラムの音が深くなり、ベースがうねりだす。
ファンキーなのりに絡む、軽くないボウイのボーカルが好対照。

「What In The World」これもノリはファンキー。
でもPOP…さらにそこにテクノっぽいSE…
新しい世界を試行錯誤している感じ(まだまだ浮いているが)

「Sound And Vision」今度はドラム・キーボードがテクノで、ギター・ベースがファンキー。
そしてボウイのボーカルが低音を聞かせて、このアルバムからのドイツ耽美派時代の予告的な趣。

「Always Crashing」SE的なキーボードが目立って、曲全体を散漫にしている。
バッキングがシンプルなら、「ジギー」時代のような名曲になれたかも知れない残念な作品。
でも、今回はそのイメチェンが狙いだっただろうから…いた仕方なしか。

「Be My Wife」ピアノの低音の使い方がパーカッシブで好き。
A面(LP時代)の中では一番ボウイらしいおしゃれな一曲。

「A New Career In A New Town」

「Warszawa」モノトーンを一定リズムで刻む、ベースとピアノ…
そこにシンセが絡んでは離れ絡んでは離れ…
この曲から始まる、B面全体を使ったインストナンバーはこうして始まる。
暗いトーンの街、冷たい雨、霧のように白い人々の息、屋根の下で肩を寄せ合って雨をしのぐ黒い服の親子連れ…その脇には一本だけ白い花を咲かせた小さな雑草。
そんなイメージが、私の聞いた感じです。
もうこの曲のためにこのアルバムがあり、この曲のために物足りないA面がありって感じで、ボウイの一時代が刻まれた。
ブライアン・イーノとの出会いの産物だ。

「Art Decade」前曲から引きずる深さはそのままに、少し明るい要素を加えたサウンド。
YMOやJAPANの作品に引き継がれるものじゃないだろうか。
逆に言えば、ボウイはやはり先駆者だったということ。

「Weeping Wall」ミニマルなバッキングに、エスニック要素が加わったシンセ。
今、あらためて聞いても遜色のない音の深み。

「Subterraneans」アルバムのエンディングを飾るアウトロ・ナンバー
今のポストロックと一緒に聞いてもOK。
暗い街並みの静かな夜明けという感じか。

CDにはこの後ボーナストラックが数曲入っている。

カルト度 80% 名盤だけど、一般にこれが好きな人は…やはりマニアックな人だろうな。

Low - David Bowie LP/CD/MP3 


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May 29, 2008

The Beatles「Yellow Submarine」「~ Songtrack」

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「Yellow Submarine」というアルバムは二つある。
ひとつはUK発売オリジナルアルバムの中の一枚
映画「Yellow Submarine」のサウンドトラックとして、LPのA面が挿入歌、B面がジョージマーティンによるオーケストラの演奏。

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もうひとつは1999年に発売された「Yellow Submarine Songtrack」で、元は同じく映画からだが、こちらは全て挿入歌でまとめている。
そして特筆すべきことは全曲リミックスされているということ。
Beatlesに関しては、オリジナルアルバムのリミックスはされておらず、LPで発売した音源をCD化しただけのもの。
なので、このアルバムで初めて聴き比べることが出来たのだが、リミックスによって音の輪郭をハッキリさせるだけでもこうも違うのかと…

たとえば、タイトル曲の「Yellow Submarine」は途中で海の音や潜水艦の機関音などがSEではいるのだが、今まで気づいていなかった音まで聞こえてくる。
「When I'm Sixty-Four」などでも、ポールの声やオーボエの優しい音などがリミックスではっきりとされている。

今回は「Yellow Submarine Songtrack」中心でレビューする。

このアルバムに入っているほとんどの曲は、すでに別のアルバムで発表済みのもの
「Yellow Submarine」
「Eleanor Rigby」
「Love You To」 - Revolver

「Lucy in the Sky with Diamonds」
「Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band」
「With a Little Help from My Friends」
「When I'm Sixty-Four」 - Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band

「Think For Yourself」
「Nowhere Man」 - Rubber Soul

「All You Need Is Love」- Magical Mystery Tour

あとは、この「Yellow Submarine」だけに収録されている曲(編集盤はのぞく)

「Hey Bulldog」このアルバムの発売であらためて注目された一曲。
ジョン作のかっこいいロックナンバー
収録アルバムが「Yellow Submarine」でなければ…

「All Together Now」ポール作の非常にPOPな作品で、映画では最後に使われた。
最後の「All Together Now」という歌詞のくりかえしのところで各国の言葉でこの意味が表記されていた。
日本語では「さあ、みなさん御一緒に」

「Baby, You're a Rich Man」サイケな雰囲気の前奏に始まり、押さえ気味のジョンとポールのコーラス。
サビになると二人のユニゾンシャウト。
「Yellow Submarine」に入っていたために、ほかのアルバムの曲ほど注目されなかったが、結構いい曲だ。
メイン部はジョンで、サビはポールが作った二つの曲をひとつに仕上げているらしい。
この後期になると、こうしてジョンとポールが仲良く仕上げるのことも少なくなってるしねぇ…

「Only A Northern Song」ジョージらしい一筋縄ではいかないメロディライン。
以前ほどインドインドしてないが、独特の雰囲気は健在。

「It's All Too Much」これもジョージの作品。
かれの後期作品としては比較的POPな仕上がり。
でも、演奏の揺らぎ具合は…

定番度 65% リミックスされたBeatlesを聴きたい人にはおすすめ。

Yellow Submarine - LP/CD/MP3
Yellow Submarine Songtrack - CD/MP3


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May 28, 2008

The Beatles「Rubber Soul」

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Let It Be」でBeatlesの洗礼を受けてから、次にヒット曲満載の編集版「Oldies」を買い、その後しばらくは後期のポールのヒット曲(「The Long And Winnding Road」「HeyJude」など)を追っかけていたが、いつしかジョンの曲の方が気に入りだした。
White Album」が大きく影響しているが、この「Rubber Soul」を買ったことが大きかったと思う。
明らかに、それ以前のアルバムや編集版で聞けるヒット曲とは違う世界がある。
アメリカンなPOP・ROCKにはない、陰の部分。
ただマイナー調ってことではなく、メジャー曲でもコーラスの音が明るくないというか…
それはこのアルバムの曲から、特にジョンの作品による部分が大きい気がする。

そういえば、単純なロックン・ロールは1曲もない。
また、このアルバムから全曲オリジナルになる。

「Drive My Car」ベースのグルーブ、メイン旋律を外して、コーラス的なトーンでデュエットするボーカル、淡々とリズムを刻むカウベル…明らかにこれまでのBeatlesの1曲目とは違っている。
とにかくかっこいい。

「Norwegian Wood (This Bird Has Flown)」このアルバムを買おうと決意させたジョンのトラッドなアコ作品。風景が浮かぶような雰囲気作りはさすが。

「You Won't See Me」初期のBeatlesイメージが残る、さわやかな曲。
コーラスの入り方も秀逸

「Nowhere Man」この曲でもジョンの少し陰の入った世界観が繰り広げられている。
このあたりから、こういう粘っこい歌い方が増えていくんじゃないかな。

「Think For Yourself」こういうコーラスの微妙な和音の使い方も、これまでのBeatlesからがらっと変わったところ。
ジョージの作品だが、メインボーカルが必ずしもメインメロディじゃないという…
うーん、非凡だ。

「The Word」引き続き、コーラスワークで聞かせる曲。
ジョンかジョージかわからないけど、ボーカルの裏でもカッティングだけじゃなく結構リードギターを弾くようになってきた。

「Michelle」このアルバムでのポールのハイライト。
甘い…ひたすら甘いラブソング。
フランス語の甘い調べに初めて触れたのはこの曲かもしれない。

「What Goes On」リンゴらしい、ほのぼのとした曲。

「Girl」最初はこの曲がジョンのハイライトだと思っていた。
確かに、初期のベスト盤に選ばれる、ヒット性のある曲ならこれだろう。
曲はマイナーだが、むしろ陽(わかりやすさと言おうか…)の空気がある。

「I'm Looking Through You」ポールらしいトラッド。
しかし、この曲でもコーラスがアクセントになっている。

「In My Life」最初に書いたように、ポールのわかりやすい作品が私のベスト5を占めようとしていた時代でも、ジョンのこの曲だけは割り込んでいた。
若い頃も好きだったが、ある程度年齢を重ねた今、あらためて聞きながら涙してしまう。
私のフェイバリット・LOVEソング

「Wait」前曲の余韻を引き破るような、緊張感のある作品。
やはりこの曲もコーラスの音使いが抜群にピリピリしてる。


「If I Needed Someone」ジョージもこの曲で非凡なソングライティングの片鱗を見せている。

「Run For Your Life」このアルバムの中ではちょっと異質の感じ。
どちらかと言うと、このアルバム以前のストレートな感じ?
でも、転調する感じや、コーラスワークで 不思議な余韻を残す曲になっている。

定番度 85% アイドルから脱皮しだす作品で、歴史的に重要。

Rubber Soul - The Beatles LP/CD/MP3


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May 27, 2008

The Beatles「Magical Mystery Tour」

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しばらくDabid BowieやStones、初期のPink Floydなど聞いてたら、やっぱり最後はBeatlesに収束してくる。
今回は「Magical Mystery Tour」 このアルバムはUKのオリジナルLPにはなく、USで発売されたものが日本盤ラインアップではオリジナルLPの仲間に入っている。
つまりUKでは「PLEASE PLEASE ME」から「LET IT BE」までの12枚がオリジナル。
でもそれだけだと全曲網羅できず、この「Magical Mystery Tour」と編集版の「OLDIES」(UK)「HEY JUDE」(US)「RARITIES」がそろって全曲コンプリートとなったはず。
厳密に言えば「赤盤・青盤」やシングルになっているバージョン違いなんかはあるけどね。

話を「Magical Mystery Tour」に戻すと、まずはUKでTV用のスペシャル番組として「Magical Mystery Tour」が作られた。
その中で使用された曲と、当時のシングル曲を2枚組みのEPとして発売。(なので他のLP盤にはこれらの曲は入っていない)
それをUSではA・B面に振り分けてLPとして発売。
つまり、このLPはサントラのA面とシングル集のB面となる。
音楽的には「Sgt. Pepper's~」と同じ流れだが、そちらよりはややシンプル。
でも、簡単にライブでは演奏できないなって感じの、凝りどころ満載。
(もう、このころはライブでは再現できないって、コンサート活動やめてたしね)

「Magical Mystery Tour」タイトル曲。
2チャンネルでありながら、左右だけでなく奥や手前まで音がグリングリンと動き回る。
Beatles流、明るいサイケロック。

「The Fool On The Hill」曲だけ聞けば静かなポールらしいバラードだが、映像のイメージを加えるとこれもサイケなトリップした音楽になる。
曲の途中に部分的にマイナーが入るところなど、さすがのソング・ライティング。
この曲を知った後オカリナをもったら必ず間奏をコピーしてしまう(笑)

「Flying」インストの小曲。
こういう曲が入っているところがサントラ…。
やっぱ、Beatles聴きたい人は歌ものを聴きたがってるんだろうしね。

「Blue Jay Way」ジョージお得意のインドサウンド影響下の作品。
こういう退廃的なエスニック感覚って、サイケに似合いすぎる。
やはりドラッグ・トリップのイメージと瞑想のイメージを組み合わせた彼らのせいだろうか。

「Your Mother Should Know」映像作品のラストを飾る曲。
裏ジャケットにもあるように、ミュージカルのような大げさな階段を4人で並んで、歌いながら降りてくるイメージが強烈

「I Am The Walrus」ジョンの才能が爆発したお遊び感覚抜群の名曲。
サウンドコラージュを、いやみにならない程度に盛り込み、SEも含めてはじめてこの曲だと言える。
雰囲気を真似た曲を作った「Terars For Fears」や、ライブでストレートなロックとしてカバーした「Oasis」など、この世界のファンは多い。

「Hello Goodbye」前曲のジョンに対し、こちらはポールなりのはじけた一曲。
どう作ってもPOPになってしまうところがポール。
メインのフレーズに絡むような掛け合いのコーラスも絶妙。

「Strawberry Fields Forever」ジョンの名曲。(私の中ではBEST5に入る)
すばらしく綺麗な歌メロ、対していつもよりガチャガチャしてるリンゴのドラム(否定じゃなくてこれが好きです)ポールの大げさな曲のようなストリングス、いつもより素直な声のジョンの声…奇跡のように組み合わさって作られた、幻想的な世界。
なにもしらなくても、いつかは「Strawberry Fields」に行って見たいと思わせる。

「Penny Lane」こちらもいかにもポールらしい曲。
こういう曲でのポールのベースは張り切ってる。

「Baby You're A Rich Man」バッキングに少しサイケ的なフレーズが入ってはいるが、他の曲に比べるとインパクトが薄い感じ。
結構、ギターとかが遊んでて面白いんだけどね。

「All You Need Is Love」ジョンの作になる超有名な曲(今もdocomoのCMに使われている)
Love&Peaceの代表作のひとつでもある。
(アニメ「Yellow Submarine」でも効果的に使われていた)
ラストのコラージュ部分を、最近の編集版「LOVE」で違うものにすり替えていたが、これらのコラージュを含めてこの曲が完成していることがよくわかった(すり替わっていると、凄く変。
イン・ザ・ムード、グリーン・スリ-ブス、She Loves Youなど、あるべき場所にないとね。

定番度80% - Beatles作品の中の重要度で言うとこれ位かな。

Magical Mystery Tour - Beatles LP/CD/MP3



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May 26, 2008

Pink Floyd「The Piper At The Gates Of Dawn」

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なんといっても「サイケデリックの新鋭」(発売時の邦題)である。
ちなみに今の邦題は「夜明けの口笛吹き」と、原題「The Piper At The Gates Of Dawn」の和訳に近いタイトルに変わっている。
Pink Floyd=プログレだという一般の認識で聴くと違和感たっぷり。
そう、この頃はプログレなんて存在せず、クラブの小さなステージでがんがんにロックしてたらハード・ブルースかサイケデリック・ロックという事になる時代(もちろん、私はその頃まだはなたれ坊主でした)

このアルバムの中心人物はシド・バレット。
このアルバムを発表後脱退して、Pink Floyd自身はロジャー・ウォーターズ中心のサウンドに変わって行き、後に「プログレシッブ・ロック」と言うカテゴリーにつながっていく。

一部には、このサイケさこそがプログレだと言う人も。

「Astronomy Domine」ギター中心にぐるぐる回る感じのバッキング、それほど先進的でもないボーカル・コーラス…なのに、組み合わさると不思議な雰囲気を醸し出し、なにやら不思議な空間が始まる予感が…
って、なんか後付でしか考えられないほど、Pink Floydと言う名前に先入観もって聴いてしまいます。 

「Lucifer Sam」いかにも60年代なギターリフ。
そんなにサイケでもない普通のロックのようで、なんというか定位が定まらない(オーディオ用語ですが)感じがなんとも…

「Matilda Mother」特に変わった感じもない作品。
間奏のオルガンと「シッ、ハァー」というコーラスはサイケですが。

「Flaming」後のシド・バレットのソロ作品に通じるような、つかみ所のない作品。
地に付いてないというか、トリップしてるというか…

「Pow R. Toc H.」シド以外のメンバーも作曲に参加した作品。
後のロジャー中心の実験音楽、環境音楽に通じる作品。
サイケではあるが、ロックといえるのか…あるいは今で言うポスト・ロックと捕らえればいいのか…

「Take Up Thy Stethoscope And Walk」これもロジャーの作品。
むりやりシドにあわせてサイケに仕立て上げてる感じだが、本家(?)のシドには及ばない。(綺麗にまとまってしまっている)

「Interstellar Overdrive」これもメンバー4人の作品。
一番ロックらしい出来で、バンドでまとめ上げていった感じがする。
ギターがデビッド・ギルモアに変わって以降もよくライブで演奏されていたらしい。
かなり長い演奏だが、ライブではもっと長かったと言うから…サイケだ!!

「The Gnome」前曲に比べるとあまりにも地味だが…シドの味と言えば味なんだろう。

「Chapter 24」さらにもう一曲地味な曲。
ただ「The Gnome」よりは他のメンバーが協力してるけどね。

「Scarecrow」なんとも地味を突き詰めて牧歌的な域にまでたどり着いた一曲。
「Interstellar Overdrive」と同じアルバムとは思えない(苦笑)
しかし、そのことが余計に「Astronomy Domine」「Interstellar Overdrive」を際立たせ、名盤へと押し上げているのかもしれない。
実際、後の「原子心母」や「おせっかい」なども「破壊的な曲と脇を固める対照的な曲」という構図を作っている。

「Bike」まるでおまけの一曲のような雰囲気と、突然のエンディング…、
そう、普通のエンディングなのだ。
これが「サイケの新鋭」?と思わせる。
しかししっかりとラストにサイケなシークレットが入っている(苦笑)
そうこのシークレットサウンドを、ジャケット見ながら聴いているとジャケットの万華鏡がくるくる回っているように見えてくる。
そうなれれば、あなたもトリップ経験者だ。

The Piper At The Gates Of Dawn - Pink Floyd CD/MP3


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May 25, 2008

The Rolling Stones「Exile On Main St.」

Exile
BEATLESでいえば「White Album」に匹敵するLP2枚組みの大作。
同じように、1枚ものでは収まりきれないようなバラエティさに富んではいるが、ブルース・ソウル・ロックンロール・ゴスペルというブラックミュージックのルーツを遡るような所でまとまっている。
一発の魅力、一聴で引き込まれるような魅力のある曲と言う点では、「Beggar's Banquet」「Let It Bleed」には劣るが、総合力と言う点で多くの人が「歴代No.1」と評価するのもうなづける。
次のステップのために、自分達の音楽のルーツを訪ね、相場を固める作業だったのかもしれない。


「Rocks Off」オープニングをかざる、シンプルなロックンロール。
しかし、ホンキートンクなピアノとホーンセクションがアクセントをつけている。
間に少しダークな感じのフレーズを入れるあたりが渋い。

「Rip This Joint」ピアノメインのパブ・ロック
もうHappy気分満載。

「Shake Your Hips」さらにこれでもかとファンキーナンバーで追い討ち。
じつはこの曲は先に「West Road Blues Band」のバージョンで聴いていたから、こちらはちょっと大人しめのイメージ。

「Casino Boogie」ちょっと軽い目の、タイトルどおりのブギナンバー。

「Tumbling Dice」おそらくこのアルバムで一番有名な曲。
ライブでも定番のこの曲は、ミックの歌や女性コーラスもいいんだけど、バックで自由に弾きまくってる2台のギター(この頃はキースとミック・テイラーかな)が素敵。

「Sweet Virginia」スローなブルースで小休止。

「Torn And Frayed」続けてスロー・ブルース。
この辺の流れは、ライブでのアコセッション的な位置かな。

「Sweet Black Angel」アコギとパーカションのシンプルなナンバー。
ある意味、ミニマル的と言おうか…
こういうバックが大人しい曲でもミックの存在感でしっかりした曲になる。

「Loving Cup」ピアノにアコギがからむ小作品的な雰囲気で始まるが、中間に少し展開を入れて、徐々に盛り上がってくる。
気が付けば荘厳なナンバーになっている。

「Happy」キースのボーカルによる名曲。
ギターリフも渋いし、2台のギターの絡み具合も抜群。

「Turd On The Run」ギターフレーズがひたすらミニマルで、そこにハーブやボーカルが乗っかってくる。
ストリートで酔いどれたちがひたすら演りまくって踊り狂ってる感じ。
だから、ここでもフェードアウトで終わりがない。

「Ventilator Blues」ちょっと重たいブルース。
いままでが明るい流れだったんで、余計にその重さが際立つ。

「I Just Want To See His Face」ちょっと雰囲気を変えて、なんというかアフリカンな感じのナンバー。
ブルースというルーツを追求していく中で生まれた感覚なんだろうか。

「Let It Loose」ギターアルペジオがきれいなバラード。
ミックのボーカルの奥深さを満喫できる。

「All Down The Line」いかにもストーンズらしいロックナンバー

「Stop Breaking Down」つづいては、これもストーンズらしい、懐かしい感じのブギ・ナンバー。
Zepやクラプトンなんかにも通じる、いかにもUKの消化したブルースって感じ。

「Shine A Light」盛り上がった後は、静かにスローバラード。
いかにもって感じのオルガンとオブリガード満載のギター。
ちょっとベースが強いかなって感じもあるけど、こもった感じが教会風を醸し出している。
「Shine A Light On You」ってコーラスも、ゴスペルっぽい。
ちなみに、最近作られた映画のタイトルはこの曲のもの。

「Soul Survivor」オーラスで、カーテンコール的なド派手なナンバー。
ミドルテンポのゴスペルというか、ミュージカルのエンディングと言おうか。
ピアノやコーラスが前面に出ている分、ストーンズと言うバンド色が薄くなってしまった。

よし聴こう!と意気込んで流すことはあまりないアルバムですが、いつ聴いても安心して聴ける一枚。

定番度75% - これからStonesを聞こうと思う人は避けた方がいい。大人になってからじっくり聴けばいい。

Exile On Main St. - The Rolling Stones  CD/MP3


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May 24, 2008

The Rolling Stones「Tattoo You」

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Rolling Stonesを聴きだしたのはもっと前で、いつからということがわからない頃から耳にしていた。
Sutonesと認識して聴いたのは「(I Can't Get No) Satisfaction 」だと記憶しているが、それももともとはDEVOというパンクバンド(?)がカバーしていたものをラジオで聴き、その後オリジナルを聴いている。
「Brown Sugar」や「Jumpin' Jack Flash」などは、知らない間にDNAに刻まれていた。

そんな私が、リアルタイムでStonesを聴きだしたのは「Miss You」あたりだから70年代も終わりに差し掛かる頃…高校生になった頃か。(それまではBeatles派だったしね)

で、アルバムとして(レンタルして)フルに聴いた最初の体験がこの「Tattoo You」だ。
81年発売だから高校を卒業する頃か。
たしかにあの頃は友人と交換しながら、手当たり次第にLPをレンタルしていた。

「Start Me Up」もうこのオープニングのリフだけでストーンズだと…(笑)
「(I Can't Get No) Satisfaction 」も「Brown Sugar」も「Jumpin' Jack Flash」も
この曲も同じ流れだなと…(全部のリフをキースが弾いてんじゃないかもしれんけど)
リフのコピーは難しくないけど、ストラップを長めにして、腰より下でギターをかき鳴らしながら、あの味を出すのは…無理。
あれはキースだけのもの。
チャリーのスネアも素敵だ。

「Hang Fire」踊りたくなるような軽快なロック。
これはアルバム「Some Girls」からのアウトテイク(アルバム不採用曲)らしいが、そのアルバムのバリバリにディスコ・チューンした「Miss You」を、「こいつはやりすぎじゃねえか」と明るく軽くしたのがこれなんじゃないかと…(勝手な妄想ですがね)

「Slave」このアルバム唯一のファンキーチューン。
ほんと、こういう曲を演らせたら、ノリが黒い黒い。

「Little T&A」小気味良いロックンロール。

「Black Limousine」ルーズなブルース。
高校生ぐらいじゃぁ、この良さはわかってなかっただろうねぇ。

「Neighbours」ちょっと今風(当時としては)にPOP味の溢れるナンバー。
ギターソロもちょっとかっこいい感じに仕上げてる

「Worried About You」ミックお得意の裏声を使った教会音楽風バラード。
ブルースに限らず、ゴスペル・ソウルへのリスペクトが感じられる。
ビルのベースが結構良い。

「Tops」スローな、それでいて力強いソウルナンバー。
この曲とラストの「Waiting On A Friend」はこのアルバムから約10年前の「Goats Head Soup」のころに録音されたアウトテイクの焼き直しらしい。
こんな名曲たちが外れるんだから、「Goats Head Soup」が素晴らしかったのか…
いや、それよりも10年の歳月がこれらの曲を活かせる円熟味を与えたのかもしれない。
でも、高校生にはこの良さはわかんなかったねぇ。

「Heaven」このアルバムの中では少し異色なアンニュイなナンバー。
これは前アルバム「Emotional Rescue」から引き継がれた雰囲気。
(実際、その頃のアウトテイクらしい)
「Heaven」と言うタイトルのとおり、あっちの方へいっちゃってる感じ。

「No Use In Crying」こちらもソウルフルなバラード

「Waiting On A Friend」ストリートな雰囲気のビデオクリップも印象深い、きれいなメロディのナンバー。
もうひたすら「ダチを待ってんのさっ」というだけの歌。

文中に書いた以外でも、ほとんどの曲がここ10年のアウトテイクを焼きなおしたもの。
それなのに、これだけのクオリティはさすがと言おうか。
アルバムジャケットのけばけばしさに引いてしまうが、中身はとても優しい曲のオンパレード。

定番度 85% - 80年代のMTV時代に対応した音が好きなら…

Tattoo You - The Rolling Stones


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May 20, 2008

Oasis「(What's The Story) Morning Glory?」

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そんなに大音量でかき鳴らしているわけでもないのに、なんとなく篭った音…さらに奥の方でくぐもった音のボーカル…特に変わったメロディや演奏をしているわけでもない…なのに、「あぁこれがOasisだ」と思える。
このアルバムを頂点として時代を築いたOasisの世界が出来上がっている。

私自身は、このアルバムが発売された頃は70年代懐古の時代で、ひたすら昔の音源をCDで買いなおして時代だったから、マッドチェスターの狂乱振りをしらない。
だから、このアルバムを耳にしたときはもうできあがったOasisとして聞いていた。
なので、「なるほど、すごいね」とは思えるが、時代と出会った興奮は感じられなかった。

どれも及第点以上の曲で、長く聞いても飽きない。
無理をしない王道のソングライティングと、リアムのボーカル(独特の味)によるものだろう。

ちょっとハードな「Hello」「Hey Now!」

いかにも「ヒット曲」な、Rockナンバー「Roll With It」

おそらく90年代のギターキッズが初心者の頃にコピーしようとしたであろう、シンプルでかっこいいオープニングリフで、ストレートなロックンロール・ナンバー「Some Might Say」

アコースティック調でもoasis節だよと「Wonderwall」「Cast No Shadow」

音作りも凝ってるし、一番余韻の残る他とは一線を画す曲。バラード系を除いて、一番この時期のoasisらしさが現れているハードなナンバーじゃないだろうか「Morning Glory」

90年代を代表するバラード…と言ってもいいくらい、わかりやすいバラード「Don't Look Back In Anger」
さらに、最後に、これでもかのバラード「Champagne Supernova」

ほんとに定番の盛り上がり方なのに、それに乗っかってしまえる。
その後の彼らのことを考えると言いたいことは山ほどありますが、まぁ、ここは素直に聞きほれればいいでしょう。

定番度 85% 90年代なら100%だったろうけど、今となってはベスト盤でも十分かも

(What's The Story) Morning Glory? - Oasis CD/MP3


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May 18, 2008

Travis「The Invisible Band」

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Travisに関しては、まったく知らない状況で、出張先で立ち寄ったタワレコで流れているのを聞いて一聴惚れした。
それが、このアルバムの一曲目「Sing」である。

早速、試聴機を見つけ、もう一度聴きなおした。
次の瞬間にはそのCDを手にレジへ走っていた。
発売されたのが2001年だからその頃だろう。
気に入ったらすぐに買えた、私にとってはバブリーな時期だった。

「Sing」なんというか、日本人の演歌に匹敵するような、心に染みるブリティッシュ・トラッド。
ある意味、ベタなバラードなんだが、80年代や90年代のブリティシュものとはちょっと違う。
むしろ70年代のものに近いんじゃないだろうか。
でも、音作りを含めて、しっかり現代風の味付けである。

「Dear Diary」少し静かに、ふかーく奏でられるメロディ。

「Side」一曲目の「Sing」に匹敵する、哀愁のある曲作り。
少しアップテンポなのに、ウェットな感じなのは、ギターのアルペジオ具合とアコのストロークによるものか。
さりげなくベースがグルーブしているのが現代風。

「Pipe Dreams」さらに深く哀愁度が増していく。
エレキギターの出入り具合が絶妙なんだろう。

「Flowers In The Window」中盤に来て、少し明るい曲。
これもまたTRAVISらしいナンバー。

「The Cage」少し霧に包まれたような感じのアレンジで、雰囲気を変えたスローナンバー。

「Safe」お手本のようなアコースティックバラード。
ギター(アコ・エレキ)・ピアノ・ベース・ドラムのバランスも抜群。

「Follow The Light」少しロック色を強くしたミドルナンバー。
それでも、優しい雰囲気は崩れない。

「Last Train」哀愁路線の彼らにしても、ちょっと異質なモロマイナー調の作品。
ギターのフィードバックや、ベースを目立たせたりの小技を盛り込んで、ただのマイナーソングにはしていない。
じつはこういうのも結構好きだったりする。

「Afterglow」一転してメジャー調の曲。
シンプルな、誰にでも好かれるようなナンバー。

「Indefinitely」いわゆる締めの一曲。
ドラムとアコギが流れを作り、ベースの出入り、エレキのアクセントでメリハリをつけて行く。
一見たんたんと曲が進んでいくが、その「たんたんと」というところにじっくり練られたサウンド作りがあるようだ。
そう、少ない音数で深みを出すというのが最も難しいこと。
この曲の最後に、あるSEがはいるのだが、いつもだまされて回りをきょろきょろしてしまう(苦笑)

「The Humpty Dumpty Love Song」ラスト曲だが、今までの流れと一線を引いている感じがある。
最初5分ほどの曲は映画のエンディングを思い起こさせるようなハッピーな(それでいて少し陰のある)爽やかな曲。
しばらく無音のあと、シークレットトラックが始まる。
さらにもう一曲…

一時期、仕事で疲れ、癒しを求める時によくこのアルバムを聞いた。
BGMに流しても充分に癒される空気を醸し出すアルバムだ。

定番度 65% いいアルバムですよ

The Invisible Band - Travis CD/MP3


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May 17, 2008

Nick Drake「PINK MOON」

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Nick Drake このアーチストの名前を知ったのは、Mogwaiがこの「Nick Drake」をいう題名の曲を作っていたから。
てっきり、ポストロックのアーチスト名でコラボでもしたからそういう題名にしたんだと思ってた。
で、ネットでいろいろ探していた時に彼の音源を見つけたので試聴…予想と全然違う音に驚いた。
そこで、いろいろ検索して「60年代のフォーク」「シンガーソングライター」「若くして逝去」などという情報とともに、音源を集めていった。

じっくり聞いて、とてもしっくり来る音だなと。
これまで古いアコースティックといえば、ロバート・ジョンソンなどのブルース系が多かったが、ブリティッシュ・トラッドの源流に出会った気がした。

Zepのアコ・ナンバーや初期のDavid Bowie、Rod Stewartなんかに通じるものがあるし、「原子心母」BサイドのPink Floydにも通じるものがある。
USにはない哀愁感。(ブルースにも哀愁はあるが、もっと泥臭い)

この感じが直接的・間接的に、Travis・Radiohead・Coldplayなどの陰のある雰囲気に受け継がれているのかもしれない。

お薦めは「PINK MOON」「THINGS BEHIND THE SUN」「KNOW」「HARVEST BREED」「FROM THE MORNING」

カルト度 90% なかなか見つからないと思う。

PINK MOON - Nick Drake MP3


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May 15, 2008

Queen「A Night At The Opera」

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David Bowieを紹介したなら、次はその中性テイストと歌唱力を受け継ぎ、さらに昇華させたフレディを。

「A Night At The Opera」邦題は「オペラ座の夜」
ジャケットは4人のメンバーの星座「しし」×2「かに」「おとめ」をあらわしている。
ちなみにおとめ座はフレディだ。

Queen「A Night At The Opera」

世間的にはQueen最高の一枚、また20世紀のブリティッシュロックでもBEST10に入るだろう。
それは、ほとんど「Bohemian Rhapsody」の功績によるものじゃないだろうか。
他にも 「You’re My Best Friend」や「Love Of My Life」など親しみやすい名曲も入っている。
しかし、私的にはイメージが散漫なアルバムというイメージがある。
バラエティに富んだ様々な曲がある名盤というのは他のアーチストにもいっぱいあるのだが、このアルバムは「Bohemian Rhapsody」が強烈過ぎる。

とはいいつつ、好きなアルバムであることは間違いない。


「Death On Two Legs」Queenお得意のミディアムハードロックだが、コーラスの入れ方などが以前のものと比べて厚みが増している。
ドラム・ベース・ギターだけだと単なるハードロックになるところを、フレディのボーカルの重ね方(一節が終わると同時に次の一節がかぶさってくる)やコーラスワークでQueenの世界にしている。
オープニングを飾るにふさわしい一曲。

「Lazing On A Sunday Afternoon」「I’m In Love With My Car」玉手箱のように様々な曲調を詰め込んだこのアルバムを象徴するメドレー。軽いタッチの曲にハードなギターソロが入ったかと思えば、ロジャーがボーカルをとるへビィナンバーに切り替わる。Beatlesの「サージェント・ペッパー~」や「ホワイトアルバム」を目指したのかもしれない。

「You’re My Best Friend」フレディのソロにもつながっていく、POPなナンバー。
彼のソングライティングの非凡さが見える。
ハッキリしたきれいなメロディの作り方は、ポール・マッカートニーに通じるか。

「39」ウエスタンを意識した小曲。
このアルバムのバラエティさが広がる一方で、ハードなQueenファンにとっては食傷気味になってくる。

「Sweet Lady」待ってましたのハード・ロック・ナンバー。
Zepを継ぐものと期待されていたのがよく分かる。

「Seaside Rendezvous」フレディの多彩さを示す曲ではあるが…「Bohemian Rhapsody」へ向けての腕試しというか、のど慣らしというか…

「The Prophet’s Song」Queenにしかできないハード・プログレナンバー。
ボーカルにディレイを活用してのコーラスワークは鳥肌もの。
ブライアンのギターソロで何度も似たことをやってるとはいえ、これは凄い。
七色の声を持つフレディならでは。

「Love Of My Life」前曲のラストでアコースティック・ギター・ソロ(Yesのようだ)からピアノの音に自然に繋がり始まるバラード。
この曲だけでも充分代表曲になるだけのクオリティがある。
しかしいかんせん、あとの「Bohemian Rhapsody」が凄すぎた…

「Good Company」またしても軽いナンバー。
アルバム全体のメリハリをつけようとしたのかもしれないが…散漫になってしまう気が。
が、逆にそのことで次の曲が際立ったのかもしれない。
クライマックス前の一息という事で。

「Bohemian Rhapsody」説明不要の(おそらく)Queenで一番有名な曲。
この「Mama~」の叫びは、ジョンレノンの「Mother」に匹敵する

「God Save The Queen」前曲で余韻充分なのだが、この曲が入ることでビシッと閉まる感じ。
残念ながら、ジミヘンの「星条旗~」までのインパクトはないが、ブライアン節は充分堪能できる。
定番度 95% 20世紀を代表する一枚(であることは否定しない)

A Night At The Opera - Queen LP/CD/MP3



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May 14, 2008

David Bowie「The Rise & Fall Of Ziggy Stardust & The Spiders From Mars」

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アルバムタイトルは「The Rise & Fall Of Ziggy Stardust & The Spiders From Mars」長いもんで、日本では「ジギー・スターダスト」と短縮されていた。

このアルバムもとっくに紹介してなくちゃいけない一枚。
実はDavid Bowieは「Heros」をリアルタイムで聞いて好きになり、その後「Stage」というライブアルバムを聞き、このアルバムよりも先にZiggyの曲は何曲か聴いていた。
しかし、アルバムとして聞いた時、それらのヒットナンバーも含めて、大きな流れの中で輝く曲たちに惹かれた。
年を重ねて聞くとさらにその渋さに驚く。
間違いなく、ROCKの歴史に残る一枚。

「Five Years」シンプルなドラムが導入、そこにピアノ・ベースとボーカルが加わる。
たったそれだけなのに、荘厳な雰囲気が醸し出されるのはボウイの表現力ゆえか。
シングルやヒットソングになるようなものじゃなく、コンセプトアルバムのオープニングという位置ながら、このアルバム全てを表現しているような深み。
ラストの「Rock & Roll Suicide」と対で、きらびやかな世界の入口と出口を作り出している。
この一曲だけで名盤になることを決定付けている。
ラストの切ないギターの音も余韻を引き出している。

「Soul Love」前曲のドラムからつながるようにリズムセクションが入り、少し作った声でボーカルが始まる。ライブアルバムでは単独でも聞ける曲だと思っていたが、「Five Years」からの流れだと、ナチュラルな叫びと、ちょっと気取った風な歌い方との対比で面白い。

「Moonage Daydream」ギターがロックしている、バンドサウンドのナンバー。
いかにも70年代のロックナンバーだが、今聞いても色あせた感じがしない。

「Starman」この曲も単体で聞いてもすばらしいけど、アルバムの中で前半のハイライトとして聞くとなお良い。
この粘っこい声質は、男が聞いてもセクシーだ。

「It Ain't Easy」ほかとはちょっと雰囲気の違う単調な曲調だが、ボーカルが変化をつけてミュージカル的なアクセントをつけている。
ヒット性はないのだが、結構好きな一曲。

「Lady Stardust」このアルバムの中ではバラード的な役割を持っている曲。
歌いこむボウイの歌唱力はさすがだ。

「Star」バラードで一息ついた後、ラストに向かってスパートしていく。
ボウイ流のロックンロールナンバー。
ひたすらかっこいい。

「Hang On To Yourself」こちらはバンドがハードな分、ちょっとボーカルを押さえ気味なロックンロール。
この2曲のエネルギーが、次のクライマックスに導いていく。

「Ziggy Stardust」オープニングのギター、シンプルなドラム、おとなしめだがしっかり聞かせるベース…そして、七色のボーカルを見せるボウイ。
情景が浮かんできそうな、情感たっぷりのボーカルは最高だ。

「Suffragette City」前曲で恍惚に達したものを、さらに揺らすロックンロールナンバー。

「Rock & Roll Suicide」最初は、単にアルバムラストを飾る佳曲だと思っていた。
しかし、何度も聞くうちに、グランドフィナーレを飾る大げさなものだと思うようになってきた。
さらに聞くうちに、魂の叫びに聞こえてきた。
「You Are Not Alone」
この曲を知るより前に、スピルバーグの映画でこのフレーズを知っていた。
しかし、実際は映画よりはるか前にボウイはこのメッセージを歌にしていた。
間違いなく、この曲があるからこのアルバムが名盤になった。

去年、表紙の「ロック名詩100選」というタイトルと、ボウイの表紙につられて何年ぶりかでrocking'onを買った。
そこには数あるボウイの曲の中からこの「Rock & Roll Suicide」が取り上げられていた。
シングルにもなっていないこの曲がだ。
ジギーというロックスターを演じてきたボウイがアルバムの最後で叫んだ歌。
しみるなぁ…

定番度 95% Rockの歴史的名盤

The Rise & Fall Of Ziggy Stardust & The Spiders From Mars - David Bowie LP/CD/MP3


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May 10, 2008

Japan「Tin Drum」

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結成当初はその派手ないでたちにより、「The Police」「The Jam」同様、当時隆盛だったパンクの分類をされていた。
しかし、その音楽はむしろグラム・ロックより。
日本でも、音楽の中身よりそのルックスに人気があり、ビジュアル系の走りともいえるんじゃないだろうか。
したがって、私なんかも最初は食わず嫌いで、YMOつながりでこのアルバムを聞いてからファンになった。
このアルバムは、グラムでもパンクでもなく、カテゴライズするとしたらNewWaveとしかいえない…今ならオルタナって言い方もあるだろうけどね。
毛沢東の写真を飾った質素な生活のジャケットも渋い。
邦題は「錻力の太鼓 」

「The Art Of Parties」リズム隊は普通のビートを刻むのでもなく、かといって変拍子でもなく、あえて言うとホーンセクションが一番メリハリの利いたリズムをキープして、デビッド・シルビアンのボーカルはもったりとしながらもゆらゆらとリズムに乗って歌い上げる。
このアルバムの魅力はこうしたメリハリがあるのかないのかわからない流れにあるのか。

「Talking Drum」今度はドラムは基本的にリズムキープ。
その分、ミック・のカーンベース(変態ベースという異名もあったよな)が自由に感性のままに浮遊しだす、フレットレスを活かしきったベースプレイ。

「Ghosts」Deep、ひたすらDeepな世界観。
YMOとの交流でエスニックな感覚を取り入れ、シンセによる空間演出を存分に発揮している。
ただ、デビッドのこのボーカルの世界は、いかにYMOといえど敵わなかった。
(坂本龍一の「戦場のメリークリスマス」デビッドのボーカル入りバージョンの完成度に顕わだ)

「Canton」中華の旋律にミックのブヨブヨベースが加わり、JAPANによるアジアンな世界が広がるインストナンバー。
シンセの主旋律だけ聞いてたら、YMOと思うかもしれないけど、このベースはJAPANでしか無理。

「Still Life In Mobile Homes」一番従来のJAPANサウンドを残している、バンドサウンド中心のナンバー。

「Visions Of China」メインリフになるベースラインが特徴的で、リズムの主体を取って、その分ドラムが自由に動きまくっている。
粘っこいデビッドのボーカルはこの曲でもはまりまくっている。

「Sons Of Pioneers」このアルバムの集大成的な曲。
エスニックっぽいドラミングに、ベースのリフ。
どちらも自由でありながら、自己主張しすぎることなく空間を埋めていく。
音数が多いわけではないのに、奥の方まで音が敷き詰められているような深い空間。
ボーカルも静かに語りかけるようでありながら、時には(同じ声で)コーラスも加えてデビッド・ボウイのような重厚感を表現している。
決して盛り上がっていくような曲でもなく、それでいて単調でもない。
JAPANの歴史の中でも、この時・このメンバーでしか作れ得なかった、OnlyOneの音世界だろう。

「Cantonese Boy」前曲が音の重なりでキャンパスに描いていった緻密なものだとすれば、こちらはバンドの音が一気に組み合わさるライブ的なサウンドでのJAPANの到達点じゃないだろうか。
でも、前曲のイメージが強すぎて、少しつけたしっぽい感もある。
このアルバムが彼らの最後の作品なので、余計に「Sons Of Pioneers」の余韻が印象的だったのかもしれない。

定番度75% メインストリームには乗らないだろうけど、後にも先にもない世界

Tin Drun - Japan CD/MP3


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May 09, 2008

The Style Council「Our Favourite Shop」

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The Jamを解散して、POPなThe Style Councilを始めたポール・ウェラー。
手探りの1stアルバムにてすでに作り上げた世界観を、ぐっと深めて到達点にまで高めた2ndアルバムにして最高傑作。

「Homebreaker」POPなオープニングを期待する人にボディブローを与えるかのようなちょっとダークな1曲。
街の雑踏に続き、渋いギター、そしてけだるいポールのボーカルと、ホーンセクションが妙にマッチしている。
ポールのベストパートナーであるミック・タルボットのオルガンソロも雰囲気最高。

「All Gone Away」もうひとつ意表をついて、ここではボサノバ風で。
なんてお洒落なんでしょう。

「Come To Milton Keynes」さわやかーな世界。
ストリングス、ホーン、木管など、いろんな要素がミックスされてもバランスよく仕上がっている。
そのうえ何気に奥の方でミックのオルガンが自己主張してたりして。

「Internationalists」スタカンのハードな部分を代表する曲。
こういうバンドサウンドがやりたかったんだろうなと想像できる。
(余談だが、佐野元春がこの曲の影響を受けまくってた)

「Stones Throw Away」ここでバラード。
ストリングスの使い方がBeatlesを連想させる。

「Stand Up Comics Instructions」今度はファンキー。
ベースがかっこいいし、間奏のオルガンも渋い。

「Boy Who Cried Wolf」ストリングスが特徴的な、スタカンの裏面的なナンバー

「Man Of Great Promise」こちらはスタカン表面のスタカンらしいおしゃれなナンバー

「Down In The Seine」ミックのピアノが素敵で、やはりこの二人が組むのは必然であり、すばらしいことだったと思う一曲。
力が入りすぎるぎりぎりのところのポールのボーカルが可愛い。

「Lodgers」ゴスペルっぽいコーラスとオルガンから入り、ファンキーなベースと、ナチュラルなモノトーンギターが絡む、ソウルフル溢れるナンバー。
短いフレーズながら味のある、ミックのオルガンソロはやっぱり最高。

「Luck」モータウン的なソウルフルをさらにスタカン流に味付けした、おしゃれなナンバー。
ポールの甘いボーカルが前面に出ている。

「With Everything To Lose」軽めのドラム、フルートのイントロ、軽快なミックのピアノ、ジャジーなギター、ポールのボーカルにおしゃれなコーラス…Everythingがマッチして最高の世界を作っている。
これぞスタカン。

「Our Favourite Shop」アルバムラストに向けて加速するためのブリッジ的ナンバー。
とはいえ、ミックのピアノ・オルガンはおしゃれで、フュージョンインストバンドとしても通用するんじゃないかと。

「Walls Come Tumbling Down」ポール・ウェラーが「The JAM」の後期から目指して、スタカンで実現したかった「ソウルへのリスペクト」が結実したナンバーだと思う。

「Shout To The Top」最近はTV番組のテーマにも使われているので一番有名な曲かも。
ストリングスの使い方など、各楽器が完璧なバランスで、疾走感、爽快感、おしゃれ満開の代表曲。
でも・・・アルバムのラストの位置にあるとどうも付け足したような感じが…

ちなみに、LP時代の曲順は
A面
 Homebreaker
 All Gone Away
 Come To Milton Keynes
 Internationalists
 Stones Throw Away
 Shout To The Top
 With Everything To Lose
B面
 Man Of Great Promise
 Down In The Seine
 Lodgers
 Luck
 Boy Who Cried Wolf
 Our Favourite Shop
 Walls Come Tumbling Down
LPだとA面の終わりで一旦途切れるから、その締めに「With Everything To Lose」をいれるっていうのが大事だったんだろうね。
「Shout To The Top」からつづいて、こいつで締めるってのはとってもおしゃれだと思うけどねぇ。
だからこそ、オーラスは「Walls Come Tumbling Down」なこちらの曲順がいいと思うけど…MP3は自分で曲順いじってみよう。

定番度90% 80sを知るには避けて通れない名盤

Our Favourite Shop - The Style Council


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May 08, 2008

The Jam「The Gift」

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The Policeを紹介したらこちらも外せないでしょう。
(ジャケットもあちらが横に3色ならこちらは縦に3色だ…)
70年代のパンクブームを受け当初はそのくくりに入りながら、そこに流れるMods魂でUK Kidsの絶大なる支持を受けたバンド。
彼らのラストアルバムとなった「The Gift」をご紹介。

「Happy Together」ゴリゴリのベース、ビートの効いたドラム、カッティング中心のギター、シャウトするボーカル…何処を切り取ってもパンキッシュなのに、それまでのThe JAMとも、他のパンクパンドとも一味違う。
おそらく、ポール・ウェラーの中のMods魂がアクセントになっているのだろう。
彼らのラストアルバムのオープニングを飾るにふさわしい、一曲。

「Ghosts」ギターフレーズが印象的な軽いナンバー。
この3人で演奏したらThe JAMでしかないんだろうけど、曲調としてはすでにこの後に結成する「Style Council」のエッセンスが入っている。

「Precious」「Just Who Is The Five O'clock Hero」と続き、さらにスタカン色が…おそらくポールの意識は次の時代に向いているのに、他の二人が付いて来れないという感じか。
ある意味、パンク・バンド「The JAM」の断末魔を聞いているような…。

「Trans Global Express」さらに軽快な「Running On The Spot」と、ここに来てThe JAMらしい曲の連発。
ほっと一息、安心できる。

「Circus」インストナンバーでお口直し。

「Planner's Dream Goes Wrong」カリビアンな一曲。
パンクとスカって相性いいよね。

「Carnation」哀愁漂うミドルバラード。
このメンバー編成での精一杯のバラードか…どうしてもドラムがガシャガシャしちゃうし、ベースもゴリゴリだし。

「Town Called Malice」この曲に関しては、もうジャムであろうがスタカンであろうが関係なし。
ポールアニキのソウルへのリスペクト満点のナンバー。
後の二人も、この路線を受け入れられたら、JAMとしてやっていけたかも…

「Gift」アンコール的に届けられる、JAMっぽいラストナンバー。
The JAM is Simple!!!

定番度80% こちらもRockの教科書に載せておきたい歴史的名盤

The Gift - The Jam  CD/MP3

この値段は買いですよ!


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May 07, 2008

The Police 「Synchronicity」

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これも「あれ、まだ紹介してなかったっけ」という一枚。
LP時代から何回聞いたかわからないマストアイテム。

「Synchronicity I」シングルとしてヒットしていた数曲や、SFチックなかっこいいPVの「Synchronicity II」がこのアルバムの中心と思われているが、最初に針を落としたこの曲こそが、3人のスキルが結合した最高傑作じゃないだろうか。
スチャートの細かいドラムワーク、スティングの重たいベース、虚空を飛び回るアンディのギター…それらがミニマルの電子音に乗っかっている。
初期の、シンプルなパンキッシュのPoliceも最高だが、MTV時代となった80年代に適合したこのアルバムの、しいてはこの曲も間違いなく傑作だ。
後に出たライブビデオでのこの曲も鳥肌もの。


「Walking In Your Footsteps」エスニック?アフリカン?レゲエ?そんなワールドミュージックの要素を盛り込んだ無国籍ミュージック。この世界観は彼らならではのもの。

「Oh My God」ベースのランニングが中心で、そこにギターが絡みまくる。サックスの使い方が、いかにも80'sUKって感じで…笑えたりする。

「Mother」パンキッシュの名残を残した曲。いろんなサウンドの集大成であるアルバムと考えればいいのかもしれないが…ちょっと異質で浮いた感じ。

「Miss Gradenko」一番PoliceらしいといえばPoliceらしい、レゲエ風味の曲。

「Synchronicity II」ハードな側面全開のRock Band Police。昔はもっとハードな印象があったが、意外とスチャートのドラミングは軽め。アンディのギターがハードさを作っているのと、PVのイメージが強いのかもしれない。

「Every Breath You Take」説明不要のPoliceに限らず全ての80'sを代表する一曲。
この曲のイメージでPoliceを知った人は、このアルバムのB面しか愛せないかもしれない。
逆に昔からの(「Roxanne」や「Message In A Bottle」が好きな)ファンからすると、複雑な一曲。
でも、ほんと良い曲です。

「King Of Pain」「Wrapped Around Your Finger」前曲の大ヒットに続きシングルカットされ幻想的なPVでもってRockファン以外でも耳にしたであろうこの2曲。
確かに、この3曲だけでもこのアルバムを買う価値のあるクオリティ。
でもおそらく、この3曲はベストアルバムなんかでも定番になるだろうから、他の曲も含めてトータルでこのアルバムを聞いて欲しいのだが…そんな願いも虚しくなるほど、この3曲が良すぎるのか…

「Tea In The Sahara」バラエティに富んだアルバムの最後を締める、ふかーいふかーい一曲。「Synchronicity I」が表の第一位なら、この曲が裏の第一位…というくらい好きな一曲。
渋いベース、効果的なドラム、職人技のギター、そこにスティングの甘い声…このスペーシーな雰囲気は、結果として締めくくられたPoliceの最後を飾るにふさわしい。

「Murder By Numbers」じつはオリジナルのLPにはこの曲は入っておらず、CDのボーナストラックなのだが、現在ではこの曲がこのアルバムのラストと認識されているようだ。
それくらい、この曲も良い曲で、この後のスティングのソロを予感させるJAZZテイスト溢れる作品。
私としては…やっぱりオリジナルの「Tea In The Sahara」で終わりって方がいいかな。

定番度100% - Rockファンなら歴史の教科書として聞いておくべきでしょう。

Synchronicity - The Police LP/CD/MP3


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May 06, 2008

Radiohead「Kid A」

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三日間法座に参加し、充実感と疲労に包まれております。
そんな時に何をBGMにしよううかと…疲れてるから癒し系がいいかななどと思いつつ、ついつい手を伸ばしたのが「Kid A」
先日、Indexを作ったときに、「これまだ紹介してなかったのか」と気にしてはいたのですが、何もこんな疲れてるときに…いつもより余計にトリップできました。

ローズ系のキーボードから始まる「Everything In Its Right Place」それまでのRadioheadからすると明らかに異質な曲…ボーカルのトム・ヨークの内向きな(ネガティブ)な歌い方は今までも聞けたけど、バンド(?)としてのサウンド自体がネガティブなベクトルで満ちている。
リズムをぼかした感じとでも言おうか。
それでいて、元々プログレ好きの私は何処となく惹かれている。
元もとの熱心なレディへファンには受け入れがたかったのかもしれないが、「OK Computer」から入った私には許容範囲。

バッキングに流れるチープなピアノが後期YMOを思わせる「Kid A」ボーカルまでもが電子処理され、無機質の海に聞くものを放り込む。

靄に包まれたような前2曲から一転して、リズムがしっかり主張される「The National Anthem」しかし、ボーカルはあいかわらず電子処理され、さらにホーンなどがサウンドコラージュのように張り巡らされ、混沌を深めていく。
それが頂点に達するころ、ふっと静寂気味に…これがきっちり静寂までもっていかれるのではなく、静寂になると思わせてまた混沌へ向かっていくという…これだけ心の底がかき回されるのに、これを心地良いと思ってしまうのは…聞く側もまた混沌の中に居るからか…

「How To Disappear Completely」一見すると普通のスローソングっぽいボーカルラインだが…それを不安に引き込むダークなベースラインとストリングス。精神破綻の一歩手前でとどまっている感じ。

単独なら暗い方向へ引き込みそうなインストの「Treefingers」だけど、これまでの混沌・破綻からすると、まだ「落ち着いた」気分にさせてくれるというのだから…不思議。

後半に入って、バンドサウンドとして機能させている「Optimistic」から佳境にはいってくる。
ずっと暗闇を歩いてきたところに、ふっと電灯の明かりにたどり着いたような…まだまだ安定はしないけど、一息つける感じ。

引き続いて「In Limbo」は、バッキングの音たちとボーカルのリズムを合わせない、不安定な雰囲気を醸し出している。これも、ぎりぎり破綻する手前のところで踏みとどまっている。
どれだけ聞き手をトリップさせようというのか。

不安定なままハイライトの「Idioteque」で思考から引き剥がされ、何も考えずに身をよじりながら攪拌されている海にほうりこまれる。
もうどうにでもしてくれと言う…(ある意味、マゾッ気のある人に向いているのかもしれない)

単独で聞くと、普通の曲とも取れる「Morning Bell」も、思考停止したものにはさらなる「遠くで鳴り響くエコー」のように腹底に響き続ける。
白とも黒ともグレーともつかない世界でのインナートリップ。

最後の「Motion Picture Soundtrack」で、落ち着けるか…という雰囲気をちらとは見せるが、それまでの世界が深すぎる。

聞くものを自問させる、なんて罪作りな作品なんだ。

定番度95% なんせ全米1位をとった作品ですから…

Kid A - Radiohead CD/MP3



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May 03, 2008

King Crimson 「Red」

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メタル・クリムゾンの最高傑作。
メンバーの脱退などで3ピースとなったが、そのそぎ落とされた洗練さで作り出したサウンドは、各パートの確かなテクニックによって、歴代のクリムゾンでも真似の出来ない世界を作り出している。

個人的には、このアルバムのビル・ブラッフォードのドラミングが彼のベストプレイだと思っている。
特にハット・ワークが秀逸だ。

「Red」アルバムタイトルになっているインストナンバー。
ジャケット裏面にスピードメーターがあり、そのレッドゾーンが象徴的に使われているので、限界領域とでもいうべきイメージか。

「Fallen Angel」スローナンバーだが、バラードっぽくなく、結構重たい。
中盤に「Starless」のフレーズが挿入されるが、トータルアルバム的なイメージを狙っているのか…

「One More Red Nightmare」このアルバムの中では、ジョンのボーカルが一番マッチしてるのがこの曲じゃないだろうか。
しかし、リフ中心のため、インプロヴィゼーションが魅力のクリムゾンとしては物足りなさが残る。

「Providence」前曲とは逆にインプロヴィゼーション全開の曲。
次の曲へのブリッジと思えばいいのだが、やや冗長な感じ。
ライブだと迫力があるのだろうが…

「Starless」名作中の名作。
前半のボーカル部はジョン・ウェットンの全キャリア中でも最高の一曲だろうし、後半のアップテンポ部のビルのドラムは神がかり的で、こちらも全キャリア中最高の部類じゃないだろうか

メンバーの顔写真をジャケットに使ったのは彼らの歴史でこの一枚だけ。

定番度 95% プログレ好きはもちろん、メタル派のかたも是非

Red - King Crimson CD/MP3


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May 02, 2008

King Crimson「Lark's Tongues In Aspic」

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幾度かのメンバーチェンジ後、ジョン・ウェットン、ビル・ブラッフォードの二人がしばらく定着する時期の1枚目。
邦題は「太陽と戦慄」だが本来のアルバム名を直訳すると「肉ゼリーの中の雲雀の舌」…うーん。

「Lark's Tongues In Aspic (part 1)」緊張感…この一言に尽きる。
ビルのドラムとジェイミー・ムーアのパーカッションがバトルする。
デビッド・クロスのストリングが高音域での緊張を保ち、ロバート・フリップのギターが縦横無尽にかけめぐる。
計算されつくしているのか、インプロヴィゼーションの産物なのか、聞くほうも息を呑んでしまう。
ただ、若い頃はこの曲は苦手だった…

「Book Of Saturday」ジョンの甘い声が似合うバラード。
ジャジーなギターとデビッド・クロスのストリングスが静かな世界を作り出している傑作。

「Exiles」こちらもスローバラードだが、ドラムとベースが加わり少しメリハリが重視されている。
単独ならかなりいい曲なんだろうが、前後の曲がすばらしすぎるため少し影が薄い。

「Easy Money」最近TVコマーシャルでも使われた、ボーカルのリフが中心の曲。
後のメタル・クリムゾンへの序曲か。
ジョンの高域ぎりぎり(と感じさせる)声が妙な緊張感を漂わせる。
中盤のインプロヴィゼーションでのビルのドラムとジェイミーのパーカッションの絡みはこの時期ならではのもの。

「Talking Drum」ひたすらインプロヴィゼーションの作品。これも若い頃には苦手だったが…アルバム単位では必要な曲だろうが、単体で聞くことはないだろう。

「Lark's Tongues In Aspic (part 2)」1曲目と同じタイトルでパート2となっているが、こちらはリフ中心の統制された作り。
このアルバムで一番好きな曲。

定番度 85% King Crimson史でBEST3に入る作品

Lark's Tongues In Aspic - King Crimson CD/MP3


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May 01, 2008

Radiohead「In Rainbow」

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ダウンロード先行の提供というつながりで、去年手にしながらレビューしていなかったRadioheadの「In Rainbow」を。

この作品は、CDとしての販売よりかなり早くネット上で先行配信され、その価格は「好きな価格をお付けください」という、現在の音楽流通に対する挑戦状的な戦略で話題になった。
その配信も相当の数だったようだが、CDが発売されてからもチャートに登っていたから、ネット配信というものが割合を増やしてきても、いいものは手元に形としておいておきたいということなんだろうか。

私の嗜好からいえば、Radioheadの音源を手に入れたらすぐにレビューしているだろうけど…どうも評価するのが難しかったのか、後回しにしている。

「Kid A」の頃に戻ったイメージでもあり、「Hail To The Thief」の延長線上とも言えるし…どうにもつかみ所がない。

デジタルビート主体の「15 Step」、ギターRockの「Bodysnatchers」オープニングの2曲だけでも両極端。

ギターの音も甘くジャジーなバラード「Nude」

全曲のジャジーな雰囲気を少しアップテンポにした感じだが曲が進むに連れて「Kid A」路線の味も加わってくる「Weird Fishes/Arpeggi」

このながれだと、ギターバンドへの回帰と共に、少しシンプル化することに比重がかかっているように思える。

しかし、次の「All I Need」はデジタル主体のバラードだったりする。

そしてアコースティックな「Faust Arp」、さらにアコースティックにデジタル風(?)のパーカッシブが加わる「Reckoner」、彼ららしくない明るいテイストの「House of Cards」とつづく。

そして、おそらくこのアルバムのキラーチューンであろう、デジタルを消化した上でギターサウンドに帰ってきた前作の延長上にある作品「Jigsaw Falling into Place」
でクライマックスを迎える。

ラストは、ピアノのミニマルサウンドに、リズムというよりはアクセント付けのパーカッシブ、そこにけだるいトムの声が乗っかった、ダークなRadioheadで締める。

そう、結局つかみどころがないというか…このデジタルとアナログを取り込んだユラユラしたものが今のRadioHeadということか。
この秋に来日ライブがあるが、そのときに過去の曲をどうチョイスしてどうアレンジしてくるかで今後の方向性がわかるのかもしれない。

定番度 75% どちらかというと「OK Computer」までのファンの方向け

In Rainbow - Radiohead MP3


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