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October 17, 2007

Sigur Ros 「 ( ) 」

Sigur3
もう一枚買ったのが「( )」 この記号がアルバムタイトルで、ジャケットも外側のスリーブが( )の形にくりぬかれ、プラケースに入った風景のジャケットがその形に見えるというもの。アルバムタイトルが空白なら、中の曲もタイトルがついておらず、それぞれ「untitled 1」「「untitled 2」という風に表記されている。ファンサイトによると、それぞれレコーディング時につけられていた仮題があるが、聞くものにとってはそれは意味はなく、曲のイメージは言葉を超えたところにある。実際、歌われているものも架空の言語であるし、ファンタジー映画の中の妖精語のように楽器と同じ(いやそれ以上に効果的な)音として聞こえてくる。

1曲目 静かなピアノフレーズの繰り返し、きっちりリズムを取るのでなく微妙に揺らぐ、優しくささよくようにボーカルが重なっていく。白い世界に引き込まれていく。

2曲目 目をつぶって静かに聞く…いや聞くことも不要で音を感じるだけで良い感じ。夢と現(うつつ)の狭間でたゆたう音楽。

3曲目 至高の音空間はさらに深まる。ピアノアルペジオ…ひたすらミニマルに繰り返しながら時々入るアクセントフレーズ。ストリングス・ホーンが徐々に主張しだすが決して邪魔はせずとろけあっていく。

4曲目 前半最後。ドラムとギターが入り、今までよりはハッキリしたバンドサウンドの曲。ホープランド語(彼らの造語)の歌もなにやらメッセージがあるようなエネルギーを感じる。

ここで少し音の空白。アルバムタイトル「( )」は「(」が前半4曲、「)」が後半4曲を現し、間のスペースがこの一瞬の静寂を表しているとも言われている。

5曲目 リズムレスでベース・ストリングス・ファルセットボイスが空間を埋める。イメージ色は白のままだが、少しグレーに近い白。雲のような水の中に沈んでいく感じ。

6曲目 エスニックぽいリズム、遠くで響くギター。沈みきったのか、浮かびも沈みもせず、浮かんだまま膝を抱えている感じ。

7曲目 混沌…静かな混沌。なんと言えばいいんだろうか、不思議な10分強の時間。

8曲目 再びエスニックっぽいドラムにギターアルペジオ。5曲目から徐々にグレーな雰囲気を増してきて、そこにまた一条の光がさしこんでくる感じ。ドラムが徐々に音量を上げてくる後半、ボーカルにも力が入りだし、混沌からもがきながら抜け出そうとする。ベース・ギターも今までのような霧に包まれた音でなくはっきりとした輪郭を現してくる。
ぜひライブで聴いてみたいハードな曲。

カルト度 80% ネットショップの試聴でもいいんで是非一度体験して欲しい。

「 ( ) 」 - Sigur Ros CD/MP3

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October 16, 2007

Sigur Ros「Agaetis Byrjun」

Sigur_2

よほど欲しい新譜が出ない限り、しばらくCDを買うのは控えておこう…などと思っていたのはいつ以来だろうか。先日出張先で覗いたCDショップでキャンペーンをしていたもんだからつい買ってしまった。「2枚買ったら1枚1690円」何でもいいわけじゃなく、ステッカーの張ってある商品だけだが、「Sigur Ros」のアルバムにそのステッカーは光っていた。音源としては持ってたんだけど、ずっと欲しいと思ってたCD。ネットショップでもなかなか2000円切ることはなかったもの。という事で2枚お買い上げ!

そのうちの1枚がこの2ndアルバム。「Sigur Ros」との出会いは、以前「Takk...」というアルバムを紹介した時に書いた。その衝撃は薄れることなく、どのアルバムを何度聴いても引き込まれる。

「(intro)」につづいて、白い世界へ導いてくれるような「Svefn-G-Englar」静かなイントロから遠くで響く轟音ギター、そしてファルセットボイス。もうこの1曲だけでも価値があります。3曲目「Staralfur」はストリングス中心の静かな曲。映画のエンディングのようなホッとする曲。途中に入るアコギのブレイクを挟んで、ホワイトノイズが加わりさらに世界は広がっていきます。「Flugufrelsarinn」はファルセットじゃないボーカルだが、その粘りっけのある歌い方が不思議な世界を維持してる。「Ny Batteri」はミニマルなベースフレーズとホーンの静かな世界と後半のドラムが加わったハードな世界との対比が絶妙。この曲がアルバム前半のハイライトか。
さらに最初から轟音ギターが奥底で響き続ける「Hjartad Hamast」、一転してスライドギターとピアノ・ストリングスの絡みが心地よい「Vidrar Vel Til Loftarasa」と続き、佳境のラスト3曲へ。
「Olsen Olsen」シンプルなロックっぽいリズムながら、遠くで聞こえるギターとファルセットボイスが彼ららしさを損なわない。
「Agaetis Byrjun」タイトル曲はピアノとアコギのアルペジオ、静かなドラムとベース、ファルセットボイスとコーラス…今までの全ての要素を詰め込んだバラード。「胎児が胎内で聴いている」と表現した人もいるが、まさにそういう夢見心地の気持ちにさせてくれる。
最後に余韻を味わう「Avalon」で幕を閉じる。

私は仏教徒なんで”天国”なんてことは言わないんだが、そういうところで流れているのはきっと彼らのような音楽なんだろうなと想像させられる。浮遊感・広々とした空間感・真っ白のイメージ・光のイメージ…心地よさ満開。
仏教の浄土はもっと静かなイメージだけどね。

カルト度80% ヒーリングミュージックに興味のある方は、後一聴の価値あり
Agaetis Byrjun - Sigur Ros CD/MP3

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