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May 18, 2007

Pink Floyd「Live At Pompeii - Director's Cut」

Pompeii
観客を集めたコンサートの様子を録画したライブ物ではなく、映像作品とするべくポンペイのコロッセオ遺跡に機材を持ち込み、観客無しの状態で演奏した風景と、インタビューや録音風景を交えて作られた作品。映画上映された。

心臓の鼓動、ダースベイダーのような呼吸音、風の音・・・それらがひとつにまとまったとき、ロケットの打ち上げの轟音に変わる。やがて宇宙で様々なわくせいをめぐる衛星の画像を背景に「Echors」が始まる。地球が映されズームアップしていくとそこはポンペイの遺跡。そこで演奏するPink Floydのメンバーが映し出される。(若い!)
宇宙と遺跡とPink Floyd…監督の意図はこれらの融合にあったのだろう。確かに神秘的な雰囲気はぷんぷんしている。私としては演奏風景だけで充分なんだが…
その演奏風景でいけば、デビッドのギターソロがアップで見られるのはうれしい。ローフレットになると左手が画面からはみ出すのは残念だが。あと、ニックのドラムがかっこいい。LPやCDで音を聞くだけだとあまり目立たない感じなのだが、映像が加わると味のおるドラミングをしているのがわかる。あと、単調なベースプレイの部分でも映像が加わるとかっこよく感じる。
(ひとつ発見だったのは、スライドギターだと思ってたギターソロが、スライドバーじゃなく指でスライドさせていたこと)

演奏の合間に挟まれるドキュメント部分では、サイケデリックなブレックファーストが映し出されたり、ムーグシンセサイザーで音を作る過程が映されたりして興味深い。ピッチやフェイズを変化させて徐々に音が出来上がっていく…気がつくと耳慣れた音になっていく。アルバム「狂気」で使われる(On The Run)シンセのフレーズが出来上がっていくのだ。

2曲目は「Careful With That Axe, Eugene」どこかのライブハウスだろうか。あの不思議な叫び声(唸り声)がロジャーのものだったことがわかった。

続いて「A Saucerful Of Secrets」アルバムで聞いたときにはサウンドコラージュのような雰囲気だったが、映像で観るとしっかりとライブ演奏されている。ジャケット写真で印象的なドラを叩くシルエットはこの曲のものだ。

再び「狂気」の録音風景が挟まれる。「US AND THEN」リックのピアノがソロだと悲しくひびく。しかし、他の音と重なるとそこに響きが生まれる。アンサンブルの妙だ。

一転して「One Of These Days」映像をニックのドラム中心にしているからか、音も他を抑えてドラムを前に出している。まぁ、ここがニックの見せ場ということで。

インタビューを挟んで即興のブルースナンバー「Mademoiselle Nobs」ロジャーがギターを弾き、デビッドがブルースハープ。ボーカルは…犬(笑)

インタビューの合間の録音風景は「狂気」のなかの「Brain Damage」にギターのフィルインを入れるところ。実際のアルバムではアンサンブルの一部だが、このフィルインだけでも何度も何度もやり直し(当然といえば当然だけどね)ロジャーのこだわりがよく顕れている。

つづいてのライブは「Set The Controls For The Heart Of The Sun」このサイケな曲が遺跡の芸術品映像と実に見事にマッチしている。映像作品「Live At Pompeii」としては一番のハイライトじゃないだろうか。

「Echors」のボーカルユニゾン風景(リックが可愛い)を挟んで、ライブでの「Echors」後半に移る。
遺跡・宇宙・Pink Floydの融合。ただ残念なのはポンペイ崩壊の様子を表したCGがちゃっちい(笑)今ならもっと臨場感あるものが作れるだろうけど、当時は仕方ないか。むしろ、そんなCGは交えず、他の部分のように実際の遺跡の映像だけで充分伝わるのにね。
DVDの特典として演奏部だけ抽出したものがついているけど、遺跡の映像などは挟まれるがこのCGが入らないんで、CGはDVD化の際に「特別編集」として付け加えたんだろうね。タイトルやスタッフロールもあるから、ただ演奏部を抜き出したんじゃなく、TV放映用に編集されたものかもしれない。(NHKで放映されたらしいからね)

カルト度80% Pink Floydファン以外には退屈だろうけど、ライブ映像としては秀逸

Live At Pompeii - Pink Floyd DVD

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