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May 30, 2007

Roxy Music「Avalon」

Avaon
今回も私の「DEEP」プレイリストの定番から。Roxy Musicの「Avalon」より
なんか、この前のPink Floydブームから80sブームへ移行してますね。

「More Than This」とタイトル曲の「Avalon」がプレイリストの常連だが、他の曲はもう一つ。この2曲…というより、このアルバム自体は「Roxy Music」というバンドの作品とするには違和感がある。これ以前のRoxy Musicはもっと雑然としているし、そこに魅力があるのだが、この2曲はきれいすぎる。もっともそこが私の「Deep」に反応するのだが。

なんと言えばいいのだろう、この「More Than This」「Avalon」の音世界は、ロンドンの深い霧の中に響く耽美の世界? ジャケット写真のような、霧に閉ざされた海のかなたにある黄泉の島? どちらにせよ、霧のようなぼんやりとした音世界と響き渡る低いベース音が作り出す、異空間の世界だ。
バンドの演奏力以上に、この音作りの妙がこの曲を好きにさせている。
あとは、ブライアン・フェリーのボーカル力と声質が作り出す世界かな。

その外の曲は淡々とした雰囲気で、それなりに耽美な響きはあるのだが、この2曲には遠く及ばない。逆に言えば、この2曲だけで充分にアルバムを買う価値はある。

小さい写真だとわかりにくいかもしれませんが、このジャケット写真は「黄泉の国(Avalon)に佇むアーサー王」だそうです。このイングランド独特の雰囲気、私は好きです。

カルト度 60% UK80年代サウンドのルーツを知りたければ。

Avalon - Roxy Music CD/MP3

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May 27, 2007

ABC「Lexicon Of Love」

Abc_1
前回に引き続き、「Deep」の定番から、今回はABCを選んだ。キンキラのスーツを着たプロモーションビデオから色物的な見方をされたり、代表曲「Look Of Love」が大ヒットしたため一発屋扱いされているが、このデビューアルバムはかなりクオリティが高い。全体的に80sテイストの軽いドラミングのため少し損をしているが、ベースの使い方やサックスアクセントがおしゃれで、なによりピアノが非常に効果的に使われている。

ミュージカルのオープニングのように華やかな「Show Me」で幕を開け、ヒット曲の「Poison Arrow」へと続く。ちょっとドラムの低音が足りないが、その分ベースが前に出ている。ピアノの音はバッキングからアクセントまで走り回り、そこに粘っこいボーカルが切々と歌い上げる。マーティン・フライのその歌い方はブライアン・フェリー(Roxy Music)やデビッド・ボウイの影響だろうか。
ホーンセクションも取り入れたファンキーな「Many Happy Returns」「Tears Are Not Enough」の後は、これもヒット作「Valentine's Day」80年代から90年代初期にかけては2月になるとFM番組で取り上げられていた(笑)ピアノのフレーズが単純ながら印象的だ。
そして大ヒットナンバー「The Look Of Love(part1)」おしゃれなダンスナンバーともいえるし、ファンキーチューンともいえる。やはり肝はベースか。七色のボーカルも冴え渡り、ストリングスも効果的。プロデューサーが80sの申し子トレヴァー・ホーンと聞けばそれもうなづける。
シングルになってもおかしくないポップチューン「Date Stamp」、ポップなバラード「All Of My Heart」とつづくあと、いよいよ私にとってフェイバリットなDeepソングである「4 Ever 2 Gether」となる。
この頃から「for」を「4」、「To」を「2」と表記するのが流行ったのかな。タイトルは一見軽い感じだが、かなり深い雰囲気の曲である。中盤にオペラ風のやり取りを挟み、これが好みの分かれるところかもしれないが、私は好きだ。ドラムは置いといて(苦笑)ベース・ギター・シンセ・ピアノ・ストリングスが複雑に絡み、音の深みを作っている。後半はドラムも頑張ってバスドラをしっかり響かせて、スネアも低めで設定している。マーティンのボーカルは7色を超えて、豊かな表現をしている。フレディ・マーキュリーなみと言ったら言い過ぎか?
最後にインストの「The Look Of Love(part4)」で締めくくられる。(part2と3は何処に行ったんだろう?)

昔のLP時代だから45分という短い時間だが、それでもあっという間の気がする濃密な時間。アイドルだと馬鹿にしてはいけない。売れるにはそれなりのわけがあるのだ。

定番度80% 80sコンピで「Look of Love」を気に入った方はぜひフルアルバムで

Lexicon Of Love - ABC CD/MP3

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May 26, 2007

Tears For Fears 「Songs From The Big Chair」

Tears
携帯電話を新しくした。MP3プレーヤーのように音楽を持ち歩けるタイプだ。普段使っているMP3プレーヤーは20Gの大容量なので、好きなものはアルバムごとどんどんぶち込んでおけばいいのだが、携帯なので容量に限りがある。メモリを増設することもできはするが…昔からよくお気に入りのカセットテープやMDなどを作っていた。アーチストごとに編集するものもあるが、テーマを設定して編集するのが好きだ。そういうときに一番最初に作るのはいつも「Deep」というテーマ。私なりに「深いなぁ~」と思うサウンドの曲をあつめるのだ。1曲目はいつも決まっている。「Dear Prudence」(BEATLES)私の永遠のフェイバリットだ。そこにRoxy MusicだったりEnigmaだったりが入り、最近ならMogwaiなんかを選んでいく。そういう私の中の「Deep」定番のひとつがこの「Tears For Fears」の「Shout」だ。入っているアルバムは「Songs From The Big Chair」

トライアングルのような高音の刻む音と、小さいコンガのような金属的なパーカッションの音…ミニマルに繰り返される音にいきなりかぶさる「Shout」というボーカル。同時に深い低音のキーボードとドラム。
まさに80年代を象徴するようなエレクトリカルな音の洪水なのに、どこかに感じさせる人間味。タイトルは「シャウト」だが、淡々と歌っているのに…間奏なんかもシンセだし…でも感じる人間味…全ての音が有機的に絡まってる感じからかなぁ。

その「Shout」とは対を成すような爽やかさの「Everybody Wants to Rule the World」ドラムはシンプルにリズムを刻み続け、その上にギターアルペジオ。これも深ーいところで鳴り響くベース。音作りは完成されている。あとはテンポとメロディによって雰囲気が決まる感じだ。

ベースが前面にでてきている、スパイ映画のようなサスペンスを感じさせる「Mother Talk」
今までの電子音中心から一転したピアノバラードの「I Believe」と続く。
音の洪水で少し混沌とした雰囲気の「Broken」で最後の方に現れたテーマフレーズを引き継ぎ、前曲の混沌から開放された気分になる「Head Over Heals / Broken」は、彼らの緻密な計算が効いているんじゃないだろうか。
今ならポストロックと言ってもいいかもしれない、好みの雰囲気の「Listen」でこのアルバムは幕を閉じる。
こうしてあらためて聞くと佳曲ぞろい。UK80sは多くの才能あるアーチストを生み出してきたが、間違いなくその中でも5本の指に入る。

CDにはボーナスとして未発表曲やリミックスがついているが、やはりおまけはおまけでしかないか…「Mother Talk」は変に軽くなってるし、「Shout」はいかにも80sの12インチリミックスって感じですが…元曲が壊されている感じ。

定番度 70% 80s好きなら90%にしてもいいかな。

Songs From The Big Chair - Tears For Fears CD/MP3

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May 21, 2007

「Zidane: A 21st Century Portrait」

Zidane
子どもが見たいと言っていたDVDをレンタルしに行った時に、ふと音楽関係のコーナーを見に行ったら、音楽映画とスポーツ映画が同じ棚になっていた。
そのとき、どちらともつかないあたりにこの作品が並んでいた。まぁ、普通に考えたらスポーツ物になるんだろうな。でも私は、MOGWAIにつられて借りた。

もともとこの映画のことは知っていた。ネットで見た予告編では「ジダン×映像×モグワイ」のコラボレーションで出来上がった作品というイメージが強かったし、もともとMOGWAIの作品は映画を想像させる要素があったから、いつか見たいと思っていた。

まず、サッカー好きの人が見るには面白くない作品だと思う。ある試合を題材にしているのだが、ボールを追っかける部分は僅かで、ほとんど「ジダン」を撮っている。じゃあ、ジダンのプレーを盗むために良いのかというと、パスを受けたトラップの素晴らしさや、フェイント満載のドリブル場面はすごいけど、大半はボールを触っていない場面だ。それでもポジション取りため、マーカーと身体を入れあうところなどもあるのだが…やはりサッカーのために見る作品じゃない。

では、私のようにMOGWAIが好きな人が見ると良いのか…これも疑問だ。予告編ではずっとMOGWAIの曲が流れて、そこに映像がかぶさっているのだが、本編でMOGWAIの曲がかかっているのは半分にも満たないんじゃなかったかな。

じゃあ、全然面白くないのか…これが、時間が経つにつれて面白くなってくるのだ。以下はネタバレ含みで(というほどたいしたネタじゃないが)

この映画の構成は大きく3つの要素
1)テレビの解説+歓声を含んだ映像
2)MOGWAIをBGMにちょっとサイケな映像
3)歓声が消え、ジダンの回りの音だけの映像
面白いのが3番で、おそらく大歓声はずっと流れているはずなのに、その音はカットされて、ほんの僅かなピッチを踏む音や、ボールを蹴る音、そしてジダンの声を捕らえている。おそらく高性能の指向性マイクで録音したものをさらに音響処理して余分な音を削ぎ落としたんだろう(後でアフレコしているなら残念だが)ジダン自身が「調子のいいプレイ中は歓声が聞こえない」とモノローグで語っているが、それを観るものに体験させようという意図なんだろうか。
ジダンが動き出すときに、クセのようにつま先を何度かピッチに引っ掛けてから動くさまが何度も映されていた。そのときの「シュッ」というピッチの音が印象に残る。
あと、ジダンがふと上空を見上げるとき、その視線の先にある照明やスコアボードが映される。そのタイミングがまた絶妙だ。
そういうことに気付きだすと、この不思議な映像が面白くなってくるのだ。(気づくまでは退屈で、何度もうとうとしかけたが…苦笑)

この映画のオープニングは試合の開始からだが、エンディングは試合終了の場面じゃない。(さすがにこれだけは伏せておこう)「えっ?」って感じだ。

さて、この映画は誰にお薦めしたら良いんだろうか…
ジダンさえ見ていればいいというコアなファンと、斬新な映像アイディアに触れたい人かな。

しかし、MOGWAIは素敵だ

カルト度 95% 映画としてではなく映像作品として
Zidane: A 21st Century Portrait - RENTAL

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May 18, 2007

Pink Floyd「Live At Pompeii - Director's Cut」

Pompeii
観客を集めたコンサートの様子を録画したライブ物ではなく、映像作品とするべくポンペイのコロッセオ遺跡に機材を持ち込み、観客無しの状態で演奏した風景と、インタビューや録音風景を交えて作られた作品。映画上映された。

心臓の鼓動、ダースベイダーのような呼吸音、風の音・・・それらがひとつにまとまったとき、ロケットの打ち上げの轟音に変わる。やがて宇宙で様々なわくせいをめぐる衛星の画像を背景に「Echors」が始まる。地球が映されズームアップしていくとそこはポンペイの遺跡。そこで演奏するPink Floydのメンバーが映し出される。(若い!)
宇宙と遺跡とPink Floyd…監督の意図はこれらの融合にあったのだろう。確かに神秘的な雰囲気はぷんぷんしている。私としては演奏風景だけで充分なんだが…
その演奏風景でいけば、デビッドのギターソロがアップで見られるのはうれしい。ローフレットになると左手が画面からはみ出すのは残念だが。あと、ニックのドラムがかっこいい。LPやCDで音を聞くだけだとあまり目立たない感じなのだが、映像が加わると味のおるドラミングをしているのがわかる。あと、単調なベースプレイの部分でも映像が加わるとかっこよく感じる。
(ひとつ発見だったのは、スライドギターだと思ってたギターソロが、スライドバーじゃなく指でスライドさせていたこと)

演奏の合間に挟まれるドキュメント部分では、サイケデリックなブレックファーストが映し出されたり、ムーグシンセサイザーで音を作る過程が映されたりして興味深い。ピッチやフェイズを変化させて徐々に音が出来上がっていく…気がつくと耳慣れた音になっていく。アルバム「狂気」で使われる(On The Run)シンセのフレーズが出来上がっていくのだ。

2曲目は「Careful With That Axe, Eugene」どこかのライブハウスだろうか。あの不思議な叫び声(唸り声)がロジャーのものだったことがわかった。

続いて「A Saucerful Of Secrets」アルバムで聞いたときにはサウンドコラージュのような雰囲気だったが、映像で観るとしっかりとライブ演奏されている。ジャケット写真で印象的なドラを叩くシルエットはこの曲のものだ。

再び「狂気」の録音風景が挟まれる。「US AND THEN」リックのピアノがソロだと悲しくひびく。しかし、他の音と重なるとそこに響きが生まれる。アンサンブルの妙だ。

一転して「One Of These Days」映像をニックのドラム中心にしているからか、音も他を抑えてドラムを前に出している。まぁ、ここがニックの見せ場ということで。

インタビューを挟んで即興のブルースナンバー「Mademoiselle Nobs」ロジャーがギターを弾き、デビッドがブルースハープ。ボーカルは…犬(笑)

インタビューの合間の録音風景は「狂気」のなかの「Brain Damage」にギターのフィルインを入れるところ。実際のアルバムではアンサンブルの一部だが、このフィルインだけでも何度も何度もやり直し(当然といえば当然だけどね)ロジャーのこだわりがよく顕れている。

つづいてのライブは「Set The Controls For The Heart Of The Sun」このサイケな曲が遺跡の芸術品映像と実に見事にマッチしている。映像作品「Live At Pompeii」としては一番のハイライトじゃないだろうか。

「Echors」のボーカルユニゾン風景(リックが可愛い)を挟んで、ライブでの「Echors」後半に移る。
遺跡・宇宙・Pink Floydの融合。ただ残念なのはポンペイ崩壊の様子を表したCGがちゃっちい(笑)今ならもっと臨場感あるものが作れるだろうけど、当時は仕方ないか。むしろ、そんなCGは交えず、他の部分のように実際の遺跡の映像だけで充分伝わるのにね。
DVDの特典として演奏部だけ抽出したものがついているけど、遺跡の映像などは挟まれるがこのCGが入らないんで、CGはDVD化の際に「特別編集」として付け加えたんだろうね。タイトルやスタッフロールもあるから、ただ演奏部を抜き出したんじゃなく、TV放映用に編集されたものかもしれない。(NHKで放映されたらしいからね)

カルト度80% Pink Floydファン以外には退屈だろうけど、ライブ映像としては秀逸

Live At Pompeii - Pink Floyd DVD

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May 14, 2007

Pink Floyd「Atom Heart Mother」

Atomheartmother
アルバムタイトルは「Atom Heart Mother」邦題はそのまま訳して「原子心母」私のように70年代後半にロックに目覚めたものとしてはすでに「原子心母」として認知されていたから何も思わなかったが、発売当初にこのタイトルを聞いた人たちはどんな音楽だと思ったんだろう…しかもこのジャケットで…
でも今となってはこのアルバムは「原子心母」以外の何者でもないからすごい。

A面はタイトル曲の「Atom Heart Mother」
フェードインでオーケストラのホーンセクションが音を探して試すように鳴らす。やがてひとつのテーマにまとまったところでドラム・ベース・ギター・キーボードが加わり、ロックのリズムに乗り出す。馬のいななき、大砲の音、バイクの轟音…SEが加わった後に再びメインテーマが奏でられる。一旦音が収まった後、ベースとキーボードのソロにストリングスが加わり、ドラムが加わった後スライドギターのソロへと移る…
このように、ロックのインストナンバーにオーケストラが見事に融合している。グラムロック・サイケデリックロックというカテゴリでは収まりきれずにプログレッシブ・ロックが誕生した瞬間だ。カテゴリとして定着するのはもっと後だろうが、このアルバムと同時期に発表されたKing Crimson「In The Court Of Crimson King」の2枚が間違いなく先駆者だ。YES・GENESIS・EL&Pという後にプログレで括られるバンドたちの代表作はもっと後に出てきている。
このアルバムの成功により、ロックとオーケストラの融合だとか、クラシックのような主題を中心に展開する大作主義などが生まれたんではないだろうか。
(King Crimsonのプログレっぽさは即興性になると思う)

曲の話に戻るが、オーケストラの他にコーラス隊の部分もこの曲を名作にしている要素だ。コーラスは歌ではなく、またスキャットでもなく、あえて言うなら原始的な叫び・唸りといえば良いだろうか。これが曲にマッチしているのだからすごい。その後サイケデリックなSEのコラージュを経て、またオーケストラの混沌とした音の後にメインテーマに戻る。バンド・オーケストラ・コーラスの全てがひとつにまとまって大団円を迎える。

何度聞いても飽きない、あっという間の23分半…アナログの片面メいっぱいの至福の時間。

Bサイドに移って、まずはアコースティックな「If」この曲はまだPink Floydを熱を入れて聞くより前にFM番組からエアチェックして気に入っていた曲。たしか「クロスオーバーイレブン」だったと思うが、この曲とKing Crimson「I Talk to the Wind」が続けて流れていたものを録音して何度も聞いていた、とてもきれいな曲だ。
つづいてピアノのきれいなメロディから始まる「Summer '68」これも前曲と同じようなアコースティックな静かな曲と思っていたが、中盤一転してハードなサウンドに変わる。そう、後の「The Wall」においてアルバム全体で展開される硬軟あいまった雰囲気の原点がここにある気がする。
全編アコースティックな「Fat Old Sun」を挟んで、このアルバムもうひとつの組曲「Alan's Psychedelic Breakfast」へと移る。基本的に優しい感じの曲の中に、調理の風景のSEやまるで「Penguin Cafe Orchestra」のようなサウンドが入れ代わりやってくる。タイトルの「サイケデリック」な雰囲気はまるで感じられない。

アルバムジャケットも有名だし、セールス的にも大ヒットしているが、タイトル曲「Atom Heart Mother」の雰囲気で敬遠している人も多いと思う。私自身、派手なロックが好きだった若い頃は、このアルバムの本当のよさに気づいていなかったと思う。大人になってこそ聞いて欲しいロックだ。

定番度 85%  ロックの歴史的名盤として一度はご経験を

Atom Heart Mother - Pink Floyd  LP/CD/MP3

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May 13, 2007

Pink Floyd「MEDDLE」

Medle
おそらく日本ではPink Floydの曲で一番有名であろう「One Of These Days」(邦題「吹けよ風、呼べよ嵐」)から始まるアルバム。「MEDDLE」とは「干渉」と翻訳された
名作「Atom Heart Mother」と「Dark Side Of The Moon」を結ぶアルバムでもある。

1曲目は「One Of These Days」ディレイを使った3連のベース、徐々に間隔が狭まり3連の音が重なりだし、スライドギターが絡まりだす…後半スライドギターがオーバーダブされる以外はシンプルなバンド構成であり、しかもインストだというのに、深い奥行きが感じられる。丁寧に音作りされている結果だろう。
70年代後半のプロレスブームのとき、各レスラーが自分のテーマ曲を使い出したがアブドーラ・ザ・ブッチャーがこの曲をテーマに入場していた。洋楽に興味を持つ前から、この曲だけは知っていたことになる。(他にはジグソーの「Sky High」とかクリエイションの「Spinning Tou Hold」など)

1曲目で頂上までテンションを高めておいて、一転、トラッドなアコースティックナンバー「Pillow Of Winds」、Zepのアコースティックナンバーのようなリフの「Fearless (interpolating You'll Never Walk Alone)」、ニックのドラムが優しく軽快で、これが1曲目と同じギタリストかと思わせるスライドギターを聞かせる「San Tropez」と続き、A面のクライマックスへ…
「Seamus」は実はなんの変哲もないブルースナンバー。ただ、発想が一味違うのがPink Floyd。コーラスに犬の遠吠えを使ってるのだ(笑)アメリカンブルースの偉人に「ハウリング・ウルフ」という鳴きのブルースギタリストがいるけど、こちらはほんものの「ハウリング」LPで聞いていたときは「変わってるな」程度だったけど。この曲での手法だと思うが、映画「Live At Pompeii」では犬をマイクの前で押さえつけて、鳴かせている様子が撮られている。

B面に移り、このアルバムのハイライト「Echoes」に入る。
ピアノの高音が虚空に響き、まるで水琴窟の水音のように一定に響く。やがて、水面のあちこちに波紋が広がるように音が増えていくと、まるで和風の琴のように聞こえ出す。遠くからこだま(エコー)のようにギターがそこに重なりだし、ドラムとベースの音が加わりだす・・・デビッドとリックのユニゾンボーカルは、ひたすら優しくささやくように歌われ、しかしバッキングのサウンドは徐々に力強く、激しいリズムをバックにしたギターソロが続く…
同じようにLPの片面を使い、ドラマチックに展開していった前作の表題作「Atom Heart Mother」は、オーケストラとの見事な融合だったが、こちらはギター・キーボード・ベース・ドラムにボーカルというPink Floyd4人で作り上げたサウンドで23分を超える音世界を築いている。脱帽だ。
最初、水琴窟と表現した音を、宇宙で一定に響くビーコン音と捉える解釈もある。真空によりまったく無音の世界に響く人工的なビーコン音。そうすると、この音物語は宇宙の広がりを感じさせる。ある人がSF映画「2001年宇宙の旅」の後半クライマックスの映像にこの曲を重ねたものを見た。はかったようにエンドタイトルまでの時間とこの曲がピッタリ一致している。意図したのかしないのかはわからないし、私にはどうでもいいのだが(笑)ひとつの解釈としては面白い。もっとも、そんなひとつのイメージを与えられても、それに固定されないだけのイメージの広がりを見せてくれる壮大な曲だ。
しかし、Pink Floydは演奏が上手いわけじゃないのに(失礼)これだけの世界が作れるのだから、すごいバンドだ。
先に話題にした映画「Live At Pompeii」にはこの曲の演奏風景が収められている。

定番度90% 「狂気」が気に入ったら、その原点を探るためにこのアルバムを

Meddle - Pink Floyd LP/CD/MP3

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May 10, 2007

Pink Floyd「Wish You Were Here」

Wish_you_are_here
最近買ったものの紹介が終わったので、再びお気に入りのPink Floydへ。

砂漠のような荒涼とした地で遠くの方からシンセのサウンドが聞こえてくる。リズムレスのブルージーなギターがそこに絡んでくる。すこしディレイがかってはいるが、きわめてナチュラルに近い音…一転、宇宙的な広がりを感じさせるギターアルペジオ。数回繰り返してからやっとドラムとベースが加わり、リズムを刻みだす。

Pink Floydの作品の中では比較的POPで聞き易いバンドサウンドの曲。A面1曲目に13分半、B面ラストに12分半に渡って繰り広げられる「Shine On You Crazy Diamond (Part One)」「Shine On You Crazy Diamond (Part Two)」は、ギターのデビッド・ギルモアが本領発揮している最高傑作じゃないだろうか。YESのスティーブのような技巧派でもなく、King Crimsonのロバートのように難解じゃない。フレーズとしては単純なブルーススケール。だって、下手糞ギター小僧の私がコピーしようとしてそこそこ出来てしまうくらいのレベルだもん。ただ、フレーズはコピーしてもこの味は出ない。あたりまえっちゃあ当たり前だが。

2曲目「Welcome To The Machine」はSE(サウンドエフェクト)がSF的だし、タイトルもSF的なので色物的に捉えられるか、他の名曲に挟まれた地味な作品に取られることが多いけど、実はサウンド的には次々作「The Wall」につながる重要作だと思ってる。過去にもアコースティックギターを使うことはあったけど、ほとんどがブリティッシュ・トラッド的な曲だった。しかし今作からシンセに絡めて、新たな世界観を打ち出している。

3曲目「Have A Cigar」は骨子はラフな感じのギターリフ中心のシンプルなロックなんだけど、シンセを効果的に使うことでシンプルから脱却したプログレっぽい仕上がりになっている。

4曲目「Wish You Were Here」曲単位で考えたら、Pink Floydで一番好きな曲。LP時代から何度聞いたことか。前曲のラストで急に音が絞られ、ラジオかテレビから流れる音のようにメインのギターサウンドが聞こえ出す。アコースティックでブルージーなフレーズが絡みだす。そして切ない歌声。「どれだけ、あなたにここにいて欲しいか…」と切々と歌い続ける。この曲をよく聞いていた中学から高校時代、そんなに英語がわかっていたわけじゃないけど、言葉を超えて通じてくる何かがあった。

そして再び「Shine On You Crazy Diamond」へ…

このアルバムは、親戚のお兄ちゃんに教えてもらった。確かそのときは「狂気」とこの「炎」の2枚を聞かせてもらったんだけど、ジャケットのインパクトでこのアルバムの方が気に入ってた。「Shine On You Crazy Diamond 」のギターかっこよかったしね。
その後輸入LPで買ったけど、確かロボットの手が握手しているステッカーが封入されてたと思う。ジャケットの写真は炎に包まれた男ともうひとりが握手しているもの。写真の端が焦げてたり、内スリーブや裏ジャケットにも焦げあとがあったり、ヒプノシス(芸術集団)製作ジャケットのアイディアはすごいね。今までの漢字でアルバムタイトルつける習慣とこのジャケットからアルバム邦題「炎」がついたんだろうけど、本来は「Wish You Were Here」こっちの方がアルバム内容をストレートに表してるけどね。

定番度 100% このアルバムは聞いておくべきでしょう

Wish You Were Here - Pink Floyd LP/CD/MP3

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May 06, 2007

Mogwai「Kicking A Dead Pig」

Kicking
前に紹介した2枚(RadioheadSoftMachine)と一緒に買った一枚。
Mogwaiはかなり揃ってきたが、このアルバムはRemix集なので、買おうかどうか迷っていたが、3枚買って初めて特価になるので選んで見た。

結果、Mogwaiに関しては有名ミキサーの手にかかったとしても、オリジナルが一番いいなと。Primal ScreamみたいにRemixの別バージョンが楽しめるバンドもあるけど、歌ものとインストでは違うね。

「Like Herod (Hood remix)」はもともとの静かな曲調にドラムのメリハリとスペーシーなサウンドを付け足した感じ。原曲では中盤から轟音ノイジーな展開があるのだが、静かなままでまとめてある。きれいなギターアルペジオが後ろに引っ込んだのは残念だが、あまり嫌味なリミックスではないので良しかな。

「Helicon 2 (Max Tundra remix)」控えめなデジタルビートに乗せて、原曲のいいところをつぎはぎしつつ、いろんなノイズを絡めていく…うーんちょっとくどい?なんせ元が3分弱なのに7分超える曲になっちゃってるしねぇ。最後は本家並みの轟音を加えてるけど…懲りすぎた感じ。

「Summer (Klute's weird winter remix)」どこに原曲のエッセンスが残ってるんだろうか…デジタルビートがブレイクした時にかすかに聞こえた気もしたけど、かなり崩してるしねぇ。おじさんにはちょっとキツイタイプのビートやね。これは好きじゃない。

「Gwai On 45 (Arab Strap remix)」これはこの曲名では原曲を知らない。ドラムビートの合間に見え隠れするテーマにはどこかで聞いたことのあるフレーズもあるのだが・・・基本は「Mogwai Fear Satan」なのだろうか。でもいろいろ重なってくるから、これはMogwaiのサウンドコラージュってことかな。何が飛び出してくるか、わくわくしながら聞ける楽しみはある。

「Cheery Wave From Stranded Youngsters, A (Third Eye Foundation tet offensive remix)」なんかすごくダークな雰囲気。暗い曲もあるけど、いくらなんでもここまで暗くなかったろう。きれいだったピアノのサウンドが跡形もない。

「Like Herod (Alec Empire face the future mix)」すごく荒々しい曲に仕上がってるけど、ここまで崩したら…とは思いつつ、原曲のエッセンスは残ってるんだからすごい(のかもしれない)

「Mogwai Fear Satan (Surgeon remix)」この曲のremixは数曲入ってるけど、これは一番影が薄い。「ノイジー」だけを抽出したのか?。というか原曲がすごすぎるから。

「R U Still Into It? (DJ Q remix)」ここまで来ると、もうMogwaiの影も形も残っていない…ギンギラの照明が飛び交うクラブで酒飲みながら聞くならいいんだろうけど、家でしらふでは…

「Tracy (Kid Loco playing with the young team remix)」原曲を生かした、素敵なremix。この曲によって、前数曲のはずれ感が癒される。

「Mogwai Fear Satan (Mogwai remix)」これはほぼ原曲のイメージのまま。あえて言うなら、洞窟の奥で大音量で聞いている感じか。前の「Surgeon remix」とは逆でノイジー感をなくして優しい感じに仕上げている。

ここからはボーナスディスクです。
「Mogwai Fear Satan (U-Ziq remix)」こちらは、原曲は同じ曲なのにこうまで違うのかと…(苦笑)ドラムパターンは「Mogwai Fear Satan」だけど、メインメロディも違うものが入ってるし…Mogwaiと思って聞くと違うんだけど、アップビートのテクノと思えば素晴らしい。
「Mogwai Fear Satan (My Bloody Valentine remix)」これが一番のお気に入りで、「Mogwai Fear Satan」を生かしてさらに別の作品として仕上げられています。remixというのはこうあるべきだという…マイブラだからか?全然違う曲として成立してるからかな。

カルト度95% どう考えても、Mogwaiファン以外には不要な作品でしょう。(ただし、Remix好きを除く)

Kicking A Dead Pig  - Mogwai CD/MP3

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May 02, 2007

Soft Machine「Third」

Softs3
昨日書いた「Radiohead」といっしょに買ったのがSoft Machineの「Third」実はこれまでSoft Machineは買ったことがなかった。その名前は、Pink Floydとジョイントしたりしていたことからも知っていたし、「アラン・ホールズワース」やヒーリング系でお気に入りのアディエマスの中心人物「カール・ジェンキンス」が在籍していたことでも知ってはいた。(マンガ「大阪豆ご飯」にも登場している)しかし、いろんなレビューでの「ジャズ・ロック」や「フリージャズ」というカテゴライズに二の足を踏んでいた。
今回はオリジナルの「Third」にボーナスディスクとしてこの時期のライブテイクがついているのだが、聞くところによると「Live at the Proms 1970」という国内未発売のアルバムらしい。本来2枚組みのLP音源がCD1枚になり、さらに別のアルバムがボーナスCDとして1枚つく…しかもキャンペーンで25%オフの1134円…すっげぇお得だから、二の足など踏んでいられない。
LP2枚組というのは1面1曲でそれぞれ20分近い大作。

1曲目「Facelift」始まって数分は混沌とした音の渦巻き。King Crimson中期のインプロとも違うし、PinkFloydの初期サイケデリックとも違うし…これがフリージャズとの融合なのか?しかし、5分を過ぎてリズムが刻まれだしてからは聞き易いフレーズが中心になりだして一安心。といってもまだ奥の方ではノイジーな楽器も合ったりして混沌色は残ってる。ホーンが使われているところなどはKing Crimsonとイメージがかぶるかな。昔京都にあった、内装が紫一色のロック喫茶で聞いたら心地よくトリップできそうな感じ。

2曲目「Slightly All The Time」は後のフュージョンを思わせるナンバー。こちらは野外のジャズ・フェスティバルで聞きたい感じ。

3曲目「Moon In June」は唯一のボーカル曲。とはいえ、このボーカルもアンサンブルのひとつとして存在するだけ。まぁ上手いボーカルじゃなく「味のある声」という感じか。雰囲気は初期(ピーガブ在籍時)のジェネシスを思い起こさせる。かなりオルガンが(普通の音で)目立っている作品。

4曲目「Out Bloody Rageous」疾走するベース、跳ねるピアノ、軽快なドラム、そこにホーンのメロディが乗ってくる。これがジャズロックの原型なんだろうか。バッキングはミニマルのメロディを繰り返す。そう考えると最近のミニマルデジタルの原型にもなる。途中で何度も展開が変わる構成はプログレでもある。
最後の数分はまた混沌へと戻ってアルバムを締めくくる
2度3度と聞いているうちに好きになってくる不思議なアルバム

ボーナスCDのライブは「Out Bloody Rageous」「Facelift」「Esther's Nose Job」ライブならではの素晴らしさはあるんだけど、ちょっと音がこもっちゃって…残念。ベースやオルガンの低音が強いときは他の音を包み込んじゃってる。ただスタジオ盤には入っていない「Esther's Nose Job」は比較することがない分演奏の素晴らしさを堪能できる。

ジャケットは、いかにも手書きって感じのロゴデザインが、時代を感じさせる。こういうの好きです。

カルト度70% 名盤ではあるが今お薦めできるかというと…でも安いから他を買うついででどうぞ。

Third - Soft Machine CD/MP3

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May 01, 2007

Radiohead 「Airbag/How Am I Driving?」

Airbag
以前にHMVで買い物をしたポイントの一部が期日を迎えるので、そのポイントを活かすために買い物をした。ちょうど3枚で25%OFFのセールもしていたのでいろいろ探してみたが、「今絶対欲しい」というものには出会えず、しかし「ちょっと気になる」ものを3枚チョイスして買った。最初はそのうちの一枚が2週間納期がかかるということだったが、早くなったようで連休中に届いていた。ちょっと疲れている身体を休めるために、仕事をゆったりとしながら聞いている。

1枚目は「Airbag」がメインのRadioheadのEP盤「Airbag/How Am I Driving?」
1曲目の「Airbag」は名アルバム「OK Computer」のオープニングを飾る曲。聞きなれている曲ではあるが、「OK Computer」を聞くときは2曲目の「Paranoid Android」はメインで、その露払い役というイメージがある。なので、こうしてEPで他の曲と並べてあると、あらためて「Airbag」自身の良さに気づける気がする。そう、とても優しい曲だ。
逆に言えば、アルバムとしての完成度が高い「OK Computer」と比べると、どうしても他の曲が見劣りする感があり、アルバム未収録曲が聞けるというメリットに価値を見出さざるをえない。
その中でも、5曲目「Polyethylene (Parts 1 & 2)」は初期「Radiohead」を彷彿させるロックテイストのギターナンバー、7曲目「Palo Alto」初期ボウイやTレックスのようなグラムロックを思い起こさせるレイジーなけだるいナンバーで、この2曲はちょっとお気に入り。

MP3にしてパソコンにも取り込んだんで、しばらくは繰り返し聞くだろうからまた違ったイメージも出来てくるかもね。

カルト度 80% これを買うよりは「OK Computer」を。その上でこの時期の「Radiohead」ファンになってまらばどうぞ。

Airbag/How Am I Driving? - Raiohead CD/MP3

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