ABC「Lexicon Of Love」
前回に引き続き、「Deep」の定番から、今回はABCを選んだ。キンキラのスーツを着たプロモーションビデオから色物的な見方をされたり、代表曲「Look Of Love」が大ヒットしたため一発屋扱いされているが、このデビューアルバムはかなりクオリティが高い。全体的に80sテイストの軽いドラミングのため少し損をしているが、ベースの使い方やサックスアクセントがおしゃれで、なによりピアノが非常に効果的に使われている。
ミュージカルのオープニングのように華やかな「Show Me」で幕を開け、ヒット曲の「Poison Arrow」へと続く。ちょっとドラムの低音が足りないが、その分ベースが前に出ている。ピアノの音はバッキングからアクセントまで走り回り、そこに粘っこいボーカルが切々と歌い上げる。マーティン・フライのその歌い方はブライアン・フェリー(Roxy Music)やデビッド・ボウイの影響だろうか。
ホーンセクションも取り入れたファンキーな「Many Happy Returns」「Tears Are Not Enough」の後は、これもヒット作「Valentine's Day」80年代から90年代初期にかけては2月になるとFM番組で取り上げられていた(笑)ピアノのフレーズが単純ながら印象的だ。
そして大ヒットナンバー「The Look Of Love(part1)」おしゃれなダンスナンバーともいえるし、ファンキーチューンともいえる。やはり肝はベースか。七色のボーカルも冴え渡り、ストリングスも効果的。プロデューサーが80sの申し子トレヴァー・ホーンと聞けばそれもうなづける。
シングルになってもおかしくないポップチューン「Date Stamp」、ポップなバラード「All Of My Heart」とつづくあと、いよいよ私にとってフェイバリットなDeepソングである「4 Ever 2 Gether」となる。
この頃から「for」を「4」、「To」を「2」と表記するのが流行ったのかな。タイトルは一見軽い感じだが、かなり深い雰囲気の曲である。中盤にオペラ風のやり取りを挟み、これが好みの分かれるところかもしれないが、私は好きだ。ドラムは置いといて(苦笑)ベース・ギター・シンセ・ピアノ・ストリングスが複雑に絡み、音の深みを作っている。後半はドラムも頑張ってバスドラをしっかり響かせて、スネアも低めで設定している。マーティンのボーカルは7色を超えて、豊かな表現をしている。フレディ・マーキュリーなみと言ったら言い過ぎか?
最後にインストの「The Look Of Love(part4)」で締めくくられる。(part2と3は何処に行ったんだろう?)
昔のLP時代だから45分という短い時間だが、それでもあっという間の気がする濃密な時間。アイドルだと馬鹿にしてはいけない。売れるにはそれなりのわけがあるのだ。
定番度80% 80sコンピで「Look of Love」を気に入った方はぜひフルアルバムで
Lexicon Of Love - ABC CD/MP3
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