YES「Relayer」
スタジオアルバムとしては7枚目の「Relayer」実はキーボードがリックじゃなかったから、YESのアルバムの中でもかなり後(CD時代)に買った作品。レンタルレコードやレンタルCDでもあまり置いてなかったしね。
このアルバムからキーボードがリック・ウェイクマンからパトリック・モラーツに交代。前作で冗長になっていたサウンドがこの交代で大きく変化する。なにもリックだけのせいだとは言わないが、キーボードの交代によるサウンドの変化が他のメンバーにも影響しただろうし、アランのドラムも前作より前に出てきてるし、いい効果があったんじゃないだろうか。ただ、パトリックはこの1枚だけで脱退しているので、YES名義ではありながら他の作品と並べたくない気持ちがある。たとえば、ELPの歴史の中の「EL&パウエル」のような感じかな。YESという看板にはリックの重厚感あふれるクラシカルなキーボードも必要なんだろうな。
「The Gates Of Delirium」(邦題 錯乱の扉)LPのA面を占める23分の大作。しかし、前作の同じように片面を占めた作品に比べてはるかに素晴らしい。オープニングのギターとキーボードのフィルインから張り詰めた緊張感がはしる。パトリックのキーボードはとても「キラキラ」した音で、リックの重厚感とは違う雰囲気作りをしており、それがとてもマッチしているし、スティーブがこれまた負けじと弾きまくっていることでさらなる緊張感を作っている。アランのドラムもこの作品が一番素晴らしいんじゃないだろうか。(といいながら、これがビルならもっと…などと考えてしまう悪い癖がある)後半に組み込まれている「SOON」も、それまでの緊張感を損なわず、それでいて緊張からの開放を感じさせてより温かみを感じられるようになっている。うん、名曲だ。
「Sound Chaser」B面のオープニングを飾るこの曲はさらに緊張感がまし、このメンバーで作るサウンドの極みになっている。YESといえばサウンドの調和だが、この曲は破錠という言葉が似合う。目立った者勝ちか(笑)それでいてぎりぎりのところで踏みとどまっている感じ。ただ、アランのドラムがまたこの曲ではドタバタしている感じ。
「To Be Over」最後を飾るスローナンバー。とはいえYESのこと、しっかり10分近くあるし途中で展開もある。でも抑え目(というか、前2曲が派手すぎるのか)「SOON」がなかったらこのアルバム唯一のきれいな曲という位置付けになっただろうけど、なにせ「SOON」が素晴らしすぎるのでこの曲の印象が薄い。この曲をステップに、次作「究極」の中の名曲「悟りの境地」につながるんだろうか。
このアルバムジャケットも好きだな。他のロジャー・ディーンのものより派手じゃないモノトーンっぽい感じが良い。
定番度 90% YESの1枚として聞くより、独立したひとつの作品として。
Relayer - YES CD/MP3
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