音のコラージュ 「The Seeds Of Love」
昨日は大阪まで電車で移動。ぼんやり窓の外を見ながら聞くのに選んだのがTears For Fearsと言うバンド。80年代の華やかなUKシーンの中でその緻密な構成美でもってアイドルバンドとは一線を引いていた。時代が時代だったので、その音作りよりもヒットチャートやビデオクリップの話題で評価されがちだが、ヘッドフォンを通してじっくり聞けば聞くほど、音のコラージュに気が付く。
今回は彼らのアルバムの中から「The Seeds Of Love」を選んだ。
私は音楽を表現するときに「DEEP」という言い方を好む。「深み」といえばいいのだろうか。左右2チャンネルの音なのに、そこに空間を感じるとき「DEEP」な音と感じる。最初にその感覚を覚えたのはROXY MUSICと言うバンドの「AVARON」(1982)と言うアルバムである(これも近いうちに紹介したい)それ以降にその「DEEP」さを感じたのがこのアルバムの1曲目「Woman In Chains」だった。それ以前にも「Shout」というヒット曲もあったが、私はこちらの方が好きだ。Rolandの渋いボーカルに女性シンガーのソウルフルなボーカルが絡まり、そのバックで控えめに演奏が重ねられる…あぁもう素晴らしい。控えめと言ってもその演奏は素晴らしく、いったいいくつの音が重ねられてるのだろか…
そして2曲目「Badman's Song」、ハイビートなドラムにJazzyなピアノが入ったかと思うとカウントシャウトに続いてハードなギター、そしてハードなボーカルが続いていく。かと思うと途中からはソウルフルなボーカルやコーラスに変わっている。それらが自然に入ってくるのだから変に気持ち良い。
極めつけが3曲目の「Sowing The Seeds Of Love」この曲の雰囲気の元ネタはBEATLESの「I Am The Walrus」なのは丸分かりなのだが、ここまでおしゃれに仕上られたらパクリかどうかなんてどうでも良い。この曲自体が素晴らしいのだ。もうセンスの問題である。これまでも「Shout」や「Everybody Wants To Rule The World 」などでTears For Fearsの事は知っていたのだが、この曲をラジオで聞いてCDを買う気になった。そうしたらこの曲にくるまでに先に書いた1・2曲目にぶっ飛ばされたのである。
その後も「Advice For The Young At Heart」や「Year Of The Knife」や「Tears Roll Down」など佳曲ぞろいである。が、全曲解説にするつもりは無いのでここまでにしておこう。
もともとアルバム単位で聞くのが好きな私は、気に入った曲からアーチストに入って買ったアルバムが”あたり”だと非常に嬉しい。このアルバムはそういうアルバムだった。その後、さかのぼるようにして彼らの1枚目、2枚目も買った。これもいずれ紹介したい。
(定番度 90%)
The Seeds Of Love - Tears For Fears CD/MP3
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