January 31, 2010

何度見てもすごい50本

2010年になっていろいろ書きたい音にも出会ってるけど、なんとなくほかの事にかまけてた日々。
毎年恒例の1年間の振り返りもまだ出来てないから早くしなくちゃだし…
でもそれを待ってたらなかなか動かないので、(なんてこったもう1月も終わりだ)ちょっと目にしたニュースから。


「午前十時の映画祭」というのがあることを新聞で知った。
京都の映画館でも開催されるのでちょっと興味を持ってラインアップを見る。
結構好きな作品が並んでるし、逆にまだ見ていないものもある。
(意外なものを見て無かったりする)
サブタイトルは「何度見てもすごい50本」

Sは映画館で観たもの
DはDVDを所有してるもの
Tはテレビ放映かレンタルビデオ/DVDで観たもの

明日に向って撃て!  S/D/T
アパートの鍵貸します T

アマデウス
雨に唄えば D/T
アラビアのロレンス T

ある日どこかで
ウエスト・サイド物語 T
裏窓 T

映画に愛をこめて
アメリカの夜
エデンの東 S/T
お熱いのがお好き T

男と女
カサブランカ D/T
クレイマー、クレイマー S

刑事ジョン・ブック/目撃者
激突! T
ゴッドファーザー D/T

ショウほど素敵な商売はない 
ショーシャンクの空に D
十二人の怒れる男 T

スタンド・バイ・ミー
スティング S/D/T
戦場にかける橋 T
太陽がいっぱい T
第三の男 T
大脱走 D/T
チャップリンの独裁者 T

追憶
鉄道員 T
天井桟敷の人々
眺めのいい部屋
2001年宇宙の旅 S/D
ニュー・シネマ・パラダイス T

バベットの晩餐会
薔薇の名前
パピヨン S
羊たちの沈黙 T

昼下りの情事
フィールド・オブ・ドリームス T
フォロー・ミー
ブリット D/T
ベン・ハー D/T
北北西に進路を取れ T
ミクロの決死圏 T
ライトスタッフ T
ライムライト T
レインマン S/T
ローマの休日 T
ロミオとジュリエット T

ワイルドバンチ

観にいくとするなら…と考えてみたところ、未見のものはもちろん見たいけどそれが映画館でってことかどうかになるとちょっと考えてしまう。
DVD借りて家で観るので良いかなって感じで。
(その思ってる作品はたいていそのまま観ずにすごすけど)
むしろすでに見ている作品を大スクリーンでって気持ちが強い。

その筆頭は「パピヨン」かな。
映画少年のころにリバイバル上映で観にいった。
記憶に残ってるシーンが、大海原にぽつんと浮かんでいる情景。
(詳細はネタばれになるから書かないけど)
この大自然の情景はもう一度大スクリーンで見たいと思う。
DVDを持ってないってのも、見たい欲を刺激してる。

あと「2001年宇宙の旅」ももう一度大スクリーンで観たい。
これはもう宇宙的スケールは大きいほうが良いってことで。

もう一本選ぶなら「アラビアのロレンス」
これも自然の描写がすばらしいから大スクリーンで。

時点は「ウエストサイド物語」
こちらはスクリーンよりも映画館の音響で聞きたいって感じ。

さて、実際にいけるかどうか…
とりあえず、この日記を見ればリンクで日程がわかるってことで。


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December 14, 2009

キツネの嫁入り 「いつも通りの世界の終り。」

Jkitune5

レコ発ライブにお邪魔して、デビューCDを購入した。

ショップに行ったり、ネットで買ったりも出来ることは出来る。
でも、レコ発ライブに行くモチベーションとして、「会場で買う」と決めた。
実現できてなにより。
そして、我慢して待った甲斐があった。
ライブはライブとして楽しみ、アルバムはアルバムとして楽しめた。
一粒で二度おいしい。

「比類なき」っていう言葉があるけど、「キツネの嫁入り」がそうだ。
比べてみてほかが見当たらないということで計るのじゃなく、比べるという行為が必要ない。
事前に何かをイメージしても意味がない。
そういう意味で「比類なき」バンドであり、アルバムだ。

映画のオープニング、古き山並みの遠景から少しずつ近づいていく…そこには人がいて生活があって…そんな風景を思い起こすようなイントロから「キツネの嫁入り」の世界に入っていく。

「世界の逆」
祭りだ。
村祭りだ。
あぁめでたいなぁめでたいな…いや、そうでもないぞ。
この不安にさせる波動はなんだ?

アコギ・アコーディオン・パーカッション。
「マドナシ」「ひーちゃん」「カギ」
3ピースが3ピースとして完璧に機能してるサウンドに”詩”がのっかる。
その”詩”がやっかいだ。
こころに陰をもたらす。
その”陰”が嫌いじゃない私自身が一番やっかいかも知れない。

「群れをなす」
何が惹きつけるのだろう…
その観察眼もひとつの要因だろう。
外に目を向けて観る事で、同時に自己の内側を観ている。
これはカウンセリングでもあるし、宗教でもある。
あぁ、私の歩みと重なってるからだ。

「箱庭」
ライブでも何度も聴いている。
毎回、「ひーちゃん」さんのコーラスに惚れる。
でも、コーラスだけが素敵なんじゃない。
そこまでにいたる「マドナシ」さんの歌があってこそのコーラスだ。
ゆったり、ゆったり。
さらに、そのゆったりに緊張を持ち込むジャンベ。

でもいつもと違う緊張感もある?
あぁ、ベースが入ってるからさらに化学変化を起こしてるんだ。

「忘却」
歌・詩・唄…
言霊が届いてくるというのはこういう感じなんだろうな。
楽器のサウンドが邪魔をせずに、いやそういう言い方はちょっと違うか。
サウンドが包み込みながら、それでいて言葉を押し出している。

「白黒」
最初に詩の世界が頭にこびりついた。
「白」と「黒」をつけたがる世界に響く「グレー」の叫び。
カウンセリングを通じ、「関係」ということを学ぶ身に忘れてはいけない感覚。
まさか、歌を聴いてそのことを突きつけられるとは思ってもみなかった。

一見コミカルなサウンド。
淡々とした歌。
それはただの装飾で、本質は詩の中の叫びにある。
コミカルな装飾に隠さずには置けない叫びがある。

「カラマワリ」
エスニックだ。
最初はそう思った。
でもそんな枠付けはなんの意味も成さない。
縦ノリ?横ノリ?
そんなの気にせず好きにすればいい。
(私は前後にノル)

「最後の朝焼け」
このアルバムの核はここじゃないかと密かに思っている。
思い入れがある。
正確には「マドナシ」さんの思い入れを、ちょっとだけ聞いた…というところに思いが引きづられている。
音楽は音楽…作り手の思いはどうあれ、受け取ったものが受け取ったものの自由にすればいい。
だけど、この曲だけは、作り手の思いを含めて、今私の中に届いている。
そうやって聞くのも自由だし。

でも、そういうことは別にしても、すばらしい一曲。

「夜あるくもの」

 境界線に腰を下ろし、”みぎ”と”ひだり”を眺めている

なんという詩を放つんだ…
そこを読み取ろうとした刹那に

 言葉は意味をなくし

と突きつけられる。
まいった、降参だ。

身を任すしかないとすると、今度は変拍子で身体も心もかき乱される。
もう勘弁してください。

(スタジオ盤ならではのボーカル処理も素敵)


「答えとして」
何度か聴いているはずなのに…ほかの曲に比べ一番イメージに隔たりが。
サウンド的に、ベースが加わってるからということも確かにあるだろう。
ドラムにすることでバンドっぽいサウンドになってるのがほかの曲と違うということもあるのだろう。
でもそれだけじゃない。

アルバムラストに持ってくるということで、彼らに思い入れが増えているのかもしれない。
なにやら、メンタル的なものが歌になって届いてきている。

そんなことまで考えさせてしまう「キツネの嫁入り」
どうやら深入りしすぎてしまったようだ。
ただ「化かされてる」だけか?

カルト度 80%  世間的には定番じゃないよなぁ…でも買って損はなし。私にとって「カルト」は褒め言葉だ。

会場で買ったから、ポスター・ステッカー・remixCD(by石橋英子)もいただきました。
ポスターは早速フレームに。

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December 13, 2009

ライブレビュー 「LLama」×「キツネの嫁入り」

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私のフェイバリットアーチスト「キツネの嫁入り」が先日1stアルバムを発売。
今日はそのレコ発ライブってんで、以前から楽しみにしていた。
最近東京から戻ってきた、向こうでバンドやってた甥っ子を誘ってたけどバイトってんでパス。
高校生の娘も誘ってたけど、部活で疲れていて「眠い…」ってんでパス。
ということで、一人寂しく会場のアーバンギルドへ。

さっき、このレビュー書くのに過去記事探ってたら、最後に行ったのは1年前の12月。
なんと、この一年を通して唯一のライブ鑑賞が今日ってことで。
うーん、どうりで心の潤いがないわけだ。

「キツネの嫁入り」が主催するイベントプログラム「スキマ産業」は、通常4組以上のラインアップで行われる。
「キツネ~」はゲストを迎える立場なんで、いつもは結構あわただしい。
でも、今回は彼らが主役。
対バンは「LLama」だけで、2バンドだけなんでどっちもゆったり聞けるというお得な日。

思い返せば、ふとしたきっかけでネット上で「マドナシ」さんと知り合い、彼がやってるバンド「キツネの嫁入り」のライブにお誘いいただき、その時にドアを開けて入ったのが「LLama」
子どもができてから、長くライブスポットに行ってなかった私が久々に「音の洪水」に浸ることになったときに触れた音である「LLama」と、そのきっかけをくれた「キツネの嫁入り」の2マンライブ。
うーん、ご縁を感じます。

まずは「LLama」
初めて聞いたときも結構気に入った音だったけど、今回も期待にたがわないいいライブ。
ツインドラムス・ウッドベース・ギター・ギター(時々トランペット)という変則の5人編成。
このバンドに感じるのは、音のパズル。
楽器が多いからといって、ドカドカ押し捲るんじゃなくて、少しずつずれたタイミングで、重ならないように音がつむがれていく感じ。
これが緻密に計算されたものか、フィーリングのなせる業かはわからないけど。
そこそこスキマもあり、また絶妙にスキマが埋められている心地よさ。

で、いろんなタイプの曲を聴いていて感じたのは「ベースが肝」ってこと。
うっどベースをボーイング(弓で弾く)でやっているときは、音の底辺をうまく抑えていていいのはいいんだけど、それよりもピッキング(指で弾く)ときのうねりがいい。
ツインドラムがどちらかというと軽い目で音をスイングさせていくところに、ブイブイとグルーブするベース。
そういうリズム面でも重要な位置。
またギターがディレイを効かせて単音で埋めようとするときにも、ベースのグルーブでメリハリをつけていくという重要な位置。
これがはまっているときはとても気持ちいい。

もうひとつの顔は、ツインドラムが徐々に音数を増やしていって気がつけば音の洪水にあふれているような曲。
こちらはMogwai好きのところにマッチ。

いやぁ、やっぱこちらも好きなバンドです。


変わって「キツネの嫁入り」登場。
いつもなら一曲ずつ書くけれど、今回は全体的な印象で。
なじみの曲もアレンジ変えて違ったイメージで聞けたし、大満足。
初めて聴く曲でもお得意の「変拍子」を取り入れて、思わず「にやり」とさせられる。
いやぁ、私も好きなんですよ、変拍子。

あと、今回特に「パーカッション(主にジャンベ)」の音がすごくよかった。
アレンジ的に、ちょうどいい音数ではまっているってのが一面。
音響的にとてもいいバランスで、メリハリも優しさもハッキリ表情が現れるくらいよく聞こえていたってのがもう一面。

バンド編成がアコギ・アコーディオン・パーカッションの3人編成だから、パーカッションが強すぎるとメリハリが強くなりすぎるし、弱いとアコーディオンのブワーっとした感じに負けてしまう。
それが、今回は、それぞれの楽器が際立っていて、とてもバランスがよかった気がする。
まぁ、この辺はリハで上手く決めても、客の入り方で雰囲気変わったりもするんだけどね。
そうか、今日はメインだから、じっくりリハができてたのかもしれないね。

で、そのジャンベで感じたことがもうひとつ。
ドラムのバスドラや、ベースの低音弦なんかがあると、当然のようにその低い音が響いてきて、ヘソ下あたりに「ズンッ」とくることは当たり前。
しかし今日は、耳で聞こえるジャンベの音とは別に、音にならない「圧」が足元から響いてきた感じがする。
パーカッションの「カギ」さんが上手いのもあるだろう。
しっかりと音を拾って、しっかりとPAから発しられてるからだろうとも思う。
おそらくその「圧」は、録音したりしたものでは感じない、生だからこその「圧」
これも先に書いたバランスの問題で、ギターの低音やアコーディオンの分厚い低音が強いと感じられない類だと思う。

きっと、レコーディングしたことで、当然リハも繰り返しただろうし、曲としても3人のバランスがどんどん熟成されてきたんだろうと思う。
とっても気持ちよい演奏だった。

これまで何度かこのスポットに聞きにきたけど、私の定位置は入り口を入ったPA卓の横。
でも今回は2mほど前に行ったところまで進んだ。
だから気がついたのかも知れないけど、アコーディオンの「ひーちゃん」と、ギターの「マドナシ」さんが素足だった。
(「ひーちゃん」の生足に見とれてたから気がついた?)
いや、だからどうってことはないんだけど、彼らの音と「素足」ってのが妙にマッチしてて、地面から伝わる音楽ってのがあるんだなと。

言葉を大事にする「キツネの嫁入り」
歌と詩を味わえました。


で、歌ってことで最後に。
「LLama」も日本語の歌を丁寧に歌ってるから、歌詞が聞き取れたらもっと楽しめるのかなと。
バンドのサウンドとしては楽しめるけど、歌の中身が伝わってこない。
楽器が多いと、やっぱバランスが難しいんだろうね。
だから余計に、「キツネの嫁入り」の歌が響いてきたのかもしれない。


今まで我慢して、「レコ発に記念で買おう」と思ってた1stアルバム。
今日はライブの余韻を楽しむために、あえて聴かないことにした。
明日には(苦労したという)レコーディング音源を楽しませてもらうつもり。


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December 08, 2009

John Lennon 「Imagine」The Movie

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気がつけばあと1年で、あの日から30年ということになる。
学校から帰り、寝ていた私に友人から電話が入った。
「ニュース聞いたか?」
何のことかわからなかった。
「ジョンが死んだらしい」
そう聞いてもしばらく何のことかわからなかった。

今ならばすぐにネットにつないで情報をあさるところだろう。
しかし、当時はそんな気が利いたものはなかった。
テレビにしてもニュースの時間でもなければやらないだろう。
でもラジオならば…
ジョンの曲がかかってる。
泣きそうな声で繰り返しニュースを告げるDJ。
その時点でも、受け入れていたかどうか、もう覚えていない。

映画「イマジン」は上映されたときに観にいった。
先日、ネットでDVDを何枚か買おうと思ったときに、この作品にもクリックを入れていた。
買ったまま未見でおいてあったが、今日と言う日に観てみることにした。

ジョンや周囲へのインタビューを中心に、合間にライブなどの映像がはさまれていく。
幼い頃の話題のあとに「マザー」
ピアノを少し間違えてぺロッと舌を出すジョン。

前半のBEATLES時代の話や映像は他のプログラムでも結構観た事がある。
キャバーンクラブやBBCプログラム、突然カラーになるシェアスタジアム。
客席の女子は叫ぶ・叫ぶ・叫ぶ…

それに対比するように、白亜の館でピアノ一台で弾き語りを始める「イマジン」…

BEATLES時代、アメリカに上陸したときの映像…熱狂的なファンたち、中には妄信的な男性ファンも。
まるで、数年後の悲劇につながることを暗示するような、狂気をはらんだ熱狂…
自分の人生を歌に重ね、ジョンに出会うことで何かを求める若者。
それに対し、「おれはただの人間だ」と。
そこにかぶるように歌われる「ジェラス・ガイ」…おれはただの嫉妬深い男だ…

再びBEATLES時代のスタジアムライブ。
曲との間には金網がある。
ときどき、その境界を乗り越えて、彼らに近づこうとするファンたち…
ジョンはそんな日常に「HELP!」と叫んでいた。

ちょっとしたジョークが社会現象になる。
マスコミは悪意をもってさらに煽ろうとする。

ヨーコと出会い、どんどんピュアになっていくジョン。
周囲に理解されることより、自分に正直であろうとしているように見えた。

あるインタビューでは白い布をかぶって行った。
「意見を聞いて欲しい、肌の色や髪の長さで判断して欲しくない」と。

BEATLES換算ニュースの後にはさまれる「God」
この歌の中で「I Don't Beleave~」とつづられるものが映像で表現される。
The Dream Is Over


ヨーコとの間の子どもができ、一時リタイヤしていたジョンが創作活動を再開した。
ジョンはヨーコと公園を歩いている。
ファンが声をかける「握手してくれ」と。
金網越しだったが、彼は握手した。
その数日後、ファンの放った銃弾に倒れた。

あぁ、これはジョンの悲しい出来事を再確認するためのドキュメンタリーだったんだと、その瞬間思い出した…

ジョンが生きたのは40年。
いつの間にか、ジョンより永く生きてることに、今気付いた。

「イマジンを白いピアノで演奏したら?」
この映画の最初に提案されたとおり、白い館の白い部屋で白いピアノと共に「イマジン」が歌われる。
その部屋のドアには「This Is Not Here」と書かれていた。

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December 06, 2009

プログレの深い森 その9 Genesisの場合-2

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これまでのバンドと違い、1回の考察で終わってしまったGenesis。
しかし、エントリーを書きながら、またその後も継続して聞いているうちに補足的に書きたくなる事が…

今回の「プログレの深い森」シリーズを書くために、以前から取り込んであるもの以外にもCDを引っ張り出してきてパソコンに取り込み、繰り返し繰り返し聞いている。
そういうとき、スタジオ録音物を中心にするので、ライブ盤は後回し。

で、今回エントリーをアップしてからGenesisのライブ盤を聞いていた。
ここで、Genesisの特徴が新たに感じられた。
ピーター在籍時のライブは、唯一「ライブ」だけで、その後はフィルがボーカルを取っているので、

>どうしてもそれまでのイメージを模倣している感が否めず

>ピーターの存在感は越えられない感じ

と、比較しての判断が前面に出ていた。

たしかにそれはその通りで、書き換えるつもりはない。
しかし、こと演奏力という点で聴くと、過去の作品をあとのメンバーで演奏しているものがどんどんすごくなってきているのだ。
機材が良くなり、ライブ盤でも音の圧力や鮮明さが際立ってきているせいもあるだろう。
また。他のバンドに比べてスタジオ盤を聞き込んでいないから思い入れが少ないせいもあるだろう。

とにかく、ライブ盤の迫力が素晴らしいのだ。

Pink Floydに関しては演奏力は二の次として…
YESはそれぞれの技量はすごいが、それぞれが主張したときの緊張感が売りで、場合によってはその技量が殺される場合がある。
King Crimsonのそれは、インプロビゼーションにおける、各パートの技量のせめぎ合いが売りといえる。
Genesisの場合は、技量があるのにあまり主張せず(フィルがドラムで目立つきらいはあるが)バランスがいい。
かなり高度のところでバランスをとっているのがすごさの由縁。

逆に、スタジオ盤でも同じくらいの完成度と言える、逆説もある。

だから、Genesisのアルバムレビューに乗り気になってないのかもしれない。

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December 05, 2009

プログレの深い森 その8 Genesisの場合-1

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1週間かけて「その7」まで駆け抜けたプログレ考察、すっかり息切れしてしまいました。
うーん、3大バンドてしておいたらよかったかな…

で、4番目のバンドがGenesisなわけですが、まずはここで異論がある方もおられることでしょう。
ここは「ELP」じゃないかと。
その辺の理由は「ELP編」(やるつもりなのか?)に置いておきます。

Genesisにとっかかり辛かったのは、他の事に忙しかったせいもありますが、これまでの3バンドに比べて思い入れが…低いから。
(思い入れで行けばELPの方が強い)

バンドとしてGenesisを意識して聞いたのは、80年代中盤のMTV時代に入ってから。
そのころはフィル・コリンズをフロントマンにしたヒットバンド(産業Rock)時代で、曲も雰囲気も好きなのはあったけど、これまでのプログレ・バンドとは違うもの。
もっとも、この時代は「Asia」や「シネマYES」のように、プログレ出身の産業Rockがどんどんヒット曲でチャートアップしてた時代だから、Genesisに対してもプログレって見方はしてませんでしたが。
また、同時期にピーター・ガブリエルもヒットチャートに上がってたし、過去の作品に対してもプログレとして聞こうという感じは無かったなぁ。

でも、それが変わったのは好きなドラマーとしてのビル・ブラッフォードを追いかけだしたときに、Genesisの「眩惑のスーパー・ライブ」で「サポートとしてすごいドラミングをしている」と聞いて、そのアルバムを手に入れてから。
そこで演奏されている楽曲に、「荘厳」さと「叙情性」を感じ、これはプログレだなと。
そこから古い作品にさかのぼっていくことに。

1969年 創世記(From Genesis To Revelation)
1970年 侵入(Trespass)
1971年 怪奇骨董音楽箱(Nursery Cryme)
1972年 フォックストロット(Foxtrot)
1973年 月影の騎士(Selling England By The Pound)

1973年 ライブ(Genesis Live) -Live
1974年 眩惑のブロードウェイ(The Lamb Lies Down On Broadway)
1976年 トリック・オブ・ザ・テイル(A Trick Of The Tail)
1976年 静寂の嵐(Wind & Wuthering)

1977年 眩惑のスーパー・ライブ(Seconds Out)-Live
1978年 そして3人が残った(...And Then There Were Three...)
1980年 デューク(Duke)
1981年 アバカブ(Abacab)

1982年 スリー・サイド・ライブ(Three Sides Live)-Live
1984年 ジェネシス(Genesis)
1986年 インヴィジブル・タッチ(Invisible Touch)
1991年 ウィ・キャント・ダンス(We Can't Dance)

1992年 もうひとつのジェネシス:ライブ(The Way We Walk, Volume One: The Shorts)-Live
1993年 もうひとつのジェネシス:ライブ後編(The Way We Walk, Volume Two: The Longs)-Live
1997年 コーリング・オール・ステーションズ(Calling All Stations)

このバンドも結構メンバーチェンジが激しく、そのうちプログレっぽさが前面に出ているのはピーター・ガブリエル在籍時の「怪奇骨董音楽箱」から「眩惑のブロードウェイ」まで。
このうち、コンパクトな「フォックストロット」と2枚組みのコンセプトアルバム「眩惑のブロードウェイ」は別格。
このアルバムからの曲はのちのライブでもよく取り上げられる代表作。

ところが、このあとピーター・ガブリエルが脱退し、フィル・コリンズをメインに継承されていくけれど、どうしてもそれまでのイメージを模倣している感が否めず、佳作は一杯あるけれど、もうひとつ抜けきれないと言う…
だから先に書いたライブ「眩惑のスーパー・ライブ」も技量的にはすごいんだけど、ピーターの存在感は越えられない感じ。

さらにメンバーが減っていき、アルバムタイトルになるくらいの状況「そして3人が残った」ということに。
ある意味、この3人体制が新しいGenesis像を作り出していくんだけど、同時にそれはプログレバンドからの脱却と言うことに。

特にバンド名を冠した代表作「ジェネシス」からは、ヒット作を連発するスーパーバンドであり、メンバーは同時にソロや別バンドでも活躍しだすという…

ということで、同じGenesisというバンドでも、知っている人はほとんど後期じゃないかなぁ。
その頃でも昔の曲をライブでやってるから、80年代以降のGenesisしかしらない方も、ぜひ初期の作品を聞いてもらいたい。

ディスコグラフィー見てると、LP時代でも節目節目にライブ盤いっぱい出してるねぇ。


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November 20, 2009

プログレの深い森 その7 King Crimsonの場合-2

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80年代になると、再びビル・ブラッフォードと組み、ギターにエイドリアン・ブリュー、ベースにトニー・レヴィンという豪華なラインアップで再び活動を開始した。
エイドリアンによるポップな歌メロや、幾何学的な組み合わせのギターデュエットなど、アルバム「ディシプリン」はジャンルを超えた、その時代の言葉で言うならば「ニュー・ウェイブ」なバンドとなっていた。
このアルバムも好きなアルバムだが、名前が同じだけで「宮殿」の頃とも「レッド」の頃とも違う方向性のバンドといってよい。
このメンバーでは、このあと「ビート」「スリー・オブ・ア・パーフェクト・ペアー」

の3枚のアルバムを残し、再び解散した。

90年代に入ってまたまた復活。
新たに二人のリズムセクションを加え、ギターがロバート・フリップ、エイドリアン・ブリュー、ベースにトニー・レヴィン、トレイ・ガン、ドラムスにビル・ブラッフォード、パット・マステロットという、ダブル・トリオという不思議な編成となった。
音的には「レッド」のころのメタル・クリムゾンをさらに発展させたもの。
まずはミニアルバム的な「ヴルーム」ついで、フルアルバムの「スラック」。
いつもなら再結成した流れで3枚ほどアルバムを作っていたが、このユニットはこの2枚で留まった。

しかし、ファンをあざ笑うかのごとく、この時期から過去のライブ音源を続々とアルバム化し、音源の良好なものは正規ライブアルバムとして、少し難のあるものはコレクター・シリーズとして発表される。
当初は貴重な音源が聞けると喜んでいたが、あまりに次々と発表されるので、いつしか買うのをやめるファンと、それでも集めずには居れないファンとに分かれていった。

大まかに診ると、
「クリムゾン・キングの宮殿」時代 - 「エピタフ」「エピタフ3&4」(今は「エピタフ1-4」として4枚組みで発売)
「リザード」「アイランド」時代 - 「レディース・オブ・ザ・ロード」
「太陽~」から「暗黒~」時代 - 「グレイト・ディシーバー - ライブ」「ザ・ナイトウォッチ」
「ディシプリン」から「スリー~」時代 - 「アブセント・ラヴァーズ」
「ヴルーム」「スラック」時代 - 「B・ブーム - ライヴ・イン・アルゼンチン」「スラック・アタック」「ヴルーム・ヴルーム」
と見事にあらゆる時代のライブも網羅している。
コレクターシリーズにいたっては、一度に3~6枚組みで、2000年から10パッケージも…

その間バンドは6人を組み合わせを変えた4つの編成にしてプロジェクト1~4という名前で、ライブをしてはアルバムを作り、良く言えば「可能性を求め」、悪く言えば「迷走」していく。
そしてプロジェクトXとして再び集合したとき、ビルとトニーが抜け4人編成で「ザ・コンストラクション・オブ・ライト」を発表(当然のごとく、その後「ヘヴィ・コンストラクション」というライブ盤も発売)
さらに「ザ・パワー・トゥ・ビリーヴ」(ライブは「エレクトリック」)と発売した。
ロバート・フリップ先生は、クリムゾンの音楽を自ら「ヌーヴォー・メタル」と呼んでいる。
意識としてはメタルの進化系なんだろう。

その後2008年頃復活してライブを行うと言うアナウンスがあったが…


と、いちおう追っかけては見ましたが、あらためて「クリムゾン・キングの宮殿」につきるなと。
その栄光を追っかけてた4枚目まではプログレ思考だったかもしれないけれど、「レッド」以降はプログレと言うジャンルには納まらないですね。
そういうのも好きは好きですが。

ということで、プログレを知りたい方にお勧めするのは「クリムゾン・キングの宮殿」
あとは「太陽と戦慄」「レッド」の重たいクリムゾン、それを復活させた「スラック」あたりがROCKとしてお勧め。
まったく違うジャンル…しいて言えばニューウェーブの「ディシプリン」

収録曲だけ見て、「有名なタイトルが入ってる」からってライブ盤に手を出さないように。
即興好きなロバート・フリップ先生ですから、”深い”世界が待ってます。
いや、その”すごさ”を味わうにはライブがいいですけれど。

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November 19, 2009

プログレの深い森 その6 King Crimsonの場合-1

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次に紹介するのはKing Crimson。
ある意味、プログレ論として語るのは優しいバンド。
しかしKing Crimson論を語るとなると、私ごときの知識ではとても無理~

メンバーを追っかけるだけでえらいことになるくらいアルバムごとに面子が入れ替わる。
おまけに関連ユニットもいろいろある(これは割愛)


1969年 クリムゾン・キングの宮殿(In The Court Of The Crimson King)
1970年 ポセイドンのめざめ(In The Wake Of Poseidon)
1970年 リザード(Lizard)
1971年 アイランド(Islands)

1972年 アースバウンド(Earthbound)-Live(1972)
1973年 太陽と戦慄(Larks' Tongues In Aspic)
1974年 暗黒の世界(Starless And Bible Black)
1974年 レッド(Red)

1975年 USA(USA)-Live(1974)
1981年 ディシプリン(Discipline)
1982年 ビート(Beat)
1984年 スリー・オブ・ア・パーフェクト・ペアー(Three Of A Perfect Pair)

1992年 グレイト・ディシーバー - ライブ1973?1974(The Great Deceiver)-Live (1973・1974)
1994年 ヴルーム(VROOOM)
1995年 スラック(THRAK)

1995年 B・ブーム - ライヴ・イン・アルゼンチン(B'Boom : Live In Argentina)-Live(1994)
1996年 スラック・アタック(THRaKaTTaK)-Live(1995)
1997年 エピタフ(Epitaph)-Live(1969)
1997年 エピタフ3&4(Epitaph Volume Three & Four)-Live(1969)
1997年 ザ・ナイトウォッチ -夜を支配した人々-(The Nightwatch)-Live(1973)
1998年 アブセント・ラヴァーズ(Absent Lovers: Live in Montreal)-Live (1984)
2000年 ザ・コンストラクション・オブ・ライト(The ConstruKction Of Light)
2000年 ヘヴィ・コンストラクション(Heavy ConstruKction)-Live(2000)
2001年 ヴルーム・ヴルーム(VROOOM VROOOM)-Live(1995・1996)
2002年 レディース・オブ・ザ・ロード(Ladies of the Road)-Live (1971・1972)
2003年 ザ・パワー・トゥ・ビリーヴ(The Power To Believe)
2003年 エレクトリック(EleKtriK)-Live(2003)

で、プログレ論としてなぜ語るのが優しいかというと…

ジャンルとしてのプログレッシブ・ロックは1stアルバムだけ。
その後も進化し続けるその様は、進歩的・革新的という意味では唯一現在もプログレッシブなバンドである。
おわり。

とこれだけではちょっと寂しいので、少しは歴史を語ってみようかな。
でも、この人たちは「難解」ということさえ理解していれば、それ以上「難解」の中身を語るひつようなない、というか語れない。
(まぁ、それでも語れるセンスの良い人もいるらしいけど…笑)

乱暴に言えば、ロバート・フリップ御大が、その時々に実現したい音楽を、実現できる面子を集めて「King Crimson」という名前で発表しているだけ。
その中で唯一「クリムゾン・キングの宮殿」は、他のメンバー、イアン・マクドナルドやピート・シンフィールドの作り出す世界観が表に出ていた。
ハードでサイケデリックな「21世紀の精神異常者」からラストの壮大な「クリムゾン・キングの宮殿」までの5曲、いっさい捨て曲なし。
叙情性からインプロビゼーションの緊迫感まで。
動から静まで。
陰から陽まで。
もうこのメリハリ感とバランス感覚は他の追従を許さない。
いや、当のKing Crimsonでさえ、これ以上のものは作れなかった。

その後、メンバーチェンジを繰り返しながら「ポセイドンのめざめ」「リザード」「アイランズ」と比較的同じ方向性の作品を作り続けたが、ロバート・フリップ一人が残ることになった。

ここからメンバー一新の再結成となる。
すでに成功していたYESを脱退して加わったビル・ブラッフォードなどが加わり、傑作「太陽と戦慄」を発表。
即興演奏をベースにした曲作りは、身を入れて聞くのはしんどいが、そこから漂ってくるエネルギーには圧倒される(ジェイミー・ムーアのパーカッションなど鬼気迫るものがある)
ただ、プログレと言う感じではない。
その後一人抜け「暗黒の世界」さらにひとり抜け「レッド」と発表する3部作で「メタル・クリムゾン」が完成される。
この「レッド」は、ブリティシュ・メタルのひとつのルーツといっていい。
即興性はあるものの、やはりプログレとは一線を画す。

(つづく)


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November 18, 2009

プログレの深い森 その5 Pink Floydの場合-2

Pink2

アルバム「狂気」は28年以上もTOP200のチャートに載りつづけると言うギネス記録にもなるほどの売れ行きを示した。

そんな中、「炎~あなたがここにいてほしい」が作られる。
前作のヒットによる期待もあり、またジャケットもビニールで包装されて空けないと中のジャケットが見えなという革新的なお遊びもあり、ファンはよりプログレッシブな音を期待していたと思う。
しかし、SEやSF的な曲があるものの、プログレッシブロックと言うよりはブルース感の強いアルバムになっている。
詩の内容はよりインナースペースに向かっており、名曲「Wish You Were Here」は、盟友シド・バレットに贈られた…というか、狂気の向こう側に行ってしまったシドに対するレクイエムのようなもの。
名演奏と言ういう意味では「狂気」よりこちらのアルバムのほうがわかりやすいロックで軍配が上がるが、やはり比べてしまうとこれはプログレではない。

さらに「アニマルズ」が発売されるが、こちらは詩の世界に重要度があり、演奏と言う点ではロック色が強くなっている。
つまり、さらにプログレから離れてしまっているのだ。

この2枚のアルバムは、詩やコンセプトと言う部分ではロジャー色が強いのだが、演奏はデイブ色が強く、ギターアルバムといっても良いくらいギターが主役だ。

そしてその次に来るのが問題作「ザ・ウォール
こいつもファンからは賛否両論ですが、とにかく”売れた”
LP2枚組みの「コンセプト・アルバム」
その大仰な感覚は先進的とも言えるかもしれないけど、やはりプログレって感じじゃなかった。
とういか、この時代は「プログレ=オールドウェイブ」という、先進なんだか後退なんだかわからんカテゴリになってたし。
ただ、この「ザ・ウォール」というのは、単なる音楽アルバムの枠を超えている。
まずは、世界で数回しか行われなかったコンサートは、演奏中に客席とステージの間に「壁」を築いていくというパオフォーマンス。
なぜなら、この「壁」と言うアルバムは元々、コンサート中に客席との何らかの壁(隔たり)を感じたロジャーが表現したかったコンセプトを基に作られたアルバムだから。
それを忠実にビジュアル化したコンサートだった。
当時は写真でその様子を見、いつか見てみたいと思ったもんだが…実現は当然しなかった。
次にこのアルバムをもとに映画として映像化された。
この時点で「ザ・ウォール」というのは単なるアルバムではなく、様々なメディアを横断する作品、いわゆるミクスチャーとなっていく。
これはある意味プログレッシブ(革新的)だけれども、音楽としてのプログレとはちょっと違う。
その後、ベルリンの壁が崩壊すると言う予期せぬ出来事が起こった後、その時点ではもうPink Floydから脱退していたロジャーが、様々なアーチストをゲストにこの「ザ・ウォール」コンサートを再現している。

こうして、「ザ・ウォール」と言う作品は、オリジナルCD、ライブパフォーマンス(近年この様子がライブCDとして発売された)、映画ベルリンのコンサート(DVD・CD共にあり)と様々な形となり、単なるプログレというカテゴリーには当てはまらない、ROCKの歴史的なアイコンとして認識されることになる。

で、私としては、プログレと言うことでは語れないが、スピリッツとしてのROCKアルバムとして、今でも重要な作品としてお勧めする。

4人のPink Floyd…といいたいところだが、実は「ザ・ウォール」の途中でキーボードのリックがメンバーから外される。
ただし、サポートメンバーとしてクレジットはされている。
この辺からメンバー構成がややこしい。

次作「ファイナル・カット」に関しては、限りなくロジャーのソロに近いものになっている。
音作りも、これまでのアルバムに比べ非常に地味な仕上がりになっている。
そして、この作品でPink Floydは一旦幕を引いた。

数年後、デイブとニックによってPink Floyd名義の「鬱」が発表された。
リックもサポートとしてクレジットされ、3人のメンバーがそろったので「こちらが本家」と主張するが、すでにPink Floydを終わらせソロになっていたロジャーは名称の使用を認めなかった。
私としても、終盤のイニシアチブから、ロジャーのいないPink Floydは認めたくない。
したがって、YESのときと同様、これはPink Floydという名前の別バンドだと思って欲しい。
でも、来日した際、コンサートを見に行ってしまった。

このユニットは、その後もう一枚「対」というアルバムと、2枚のライブ盤を残した。

一方、ロジャーの方もソロアルバムを出し続け、結構良い作品を残しているが商業的には成功していない。
「死滅遊戯」なんかはかなりクオリティが高いコンセプトアルバムだと思う。
こちらも来日したときにコンサートを見に行った。

デイブ中心の「Pink Floyd」コンサートは、そのステージングに派手にお金をかけ、豚は飛ぶは映像は派手だは、しまいにミラーボールが舞い上がり大きく割れて光の洪水をもたらすはで、とてつもなくエンターテイメントだった。
また、演奏面でもロジャーの代わりは十分埋められ、音としては十分なものだった。

一方、ロジャーのコンサートはビジュアル的には負けている。
しかし、その詩の世界を牛耳っていたロジャーには説得力がある。
単なるヒットパレードのデイブ・フロイドに対して、ソロも含めた構成は無駄がない。
すべての詩がわかっているわけではないが、コンセプトが感じられる。
演奏も、サポートミュージシャンがそつなくこなしている。

こう書くと、4人が揃わなくても良いんじゃないかという…
しかし、この4人が揃ってパフォーマンスしている「ライブ・アット・ポンペイ」の映像などを見ていると、このかけがえのない4人が奏でる世界は、まぐれもないプログレなのだ。

近年、たまたま4人が揃ってパフォーマンスする機会があったが、単なるヒットパレードでしかなかった。
それでも喜ぶ人が多いから否定はしない。
しかし、それはプログレバンドではない。

Pink Floydは確かにプログレバンドだし、その最重要なアイコンである。
その片鱗は、多少聞き辛いかもしれないが「原子心母」「おせっかい」「狂気」で味わって欲しい。
あと、「ライブ・アット・ポンペイ」の神秘的な映像とマッチした演奏は、プログレとしてのひとつの完成形(視覚・聴覚あわせての表現)だと思う。

そして他にはない味のロックバンドとして「炎」「ザ・ウォール」をぜひ聞いて欲しい。

プログレの中の一バンドじゃなく、追従するもののいないオンリーワンの存在として。


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November 17, 2009

プログレの深い森 その4 Pink Floydの場合-1

Pink1

Pink Floydはメンバー的にはYESほどの迷走はしていない。
しかし、違った意味でどの時代が好きかというファン層による論争が絶えないバンドでもある。
私としては、このバンドほどプログレッシブを象徴しているバンドはないと思っているのだが。

1967年 夜明けの口笛吹き(The Piper At The Gates Of Dawn)
1968年 神秘(A Saucerful Of Secrets)
1969年 モア(More)
1969年 ウマグマ(Ummagumma) -Liveとスタジオの2枚組み
1970年 原子心母(Atom Heart Mother)

1971年 ピンク・フロイドの道(Relics) -初期のシングル集
1971年 おせっかい(Meddle)
1972年 雲の影(Obscured By Clouds)
1973年 狂気(The Dark Side Of The Moon)
1975年 炎-あなたがここにいてほしい(Wish You Were Here)
1977年 アニマルズ(Animals)
1979年 ザ・ウォール(The Wall)
1983年 ファイナル・カット(The Final Cut)

1987年 鬱(A Momentary Lapse Of Reason)
1988年 光-パーフェクト・ライブ!(Delicate Sound Of Thunder)-Live
1994年 対(The Division Bell)
1995年 P.U.L.S.E(Pulse)-Live
2000年 ザ・ウォール・ライブ:アールズ・コート1980-1981(Is There Anybode Out There? : The Wall Live 1980 - 1981)-Live

ロジャー・ウォータース ソロアルバム
1984年 ヒッチハイクの賛否両論(The Pros And Cons Of Hitch Hiking)
1987年 RADIO K.A.O.S.(Radio K.A.O.S.)
1990年 ザ・ウォール?ライブ・イン・ベルリン(The Wall - Live In Berlin)-Live
1992年 死滅遊戯(Amused To Death)

2000年 イン・ザ・フレッシュ(In The Flesh)-Live  

まずはデビューアルバム「夜明けの口笛吹き」は、シド・バレット(g/vo)が中心のサイケデリック・ロック。
プログレということ抜きに考えれば、「このアルバムがダントツ一番」というファンの言うこともわかる。
だって、この方針で作られたアルバムはこの一枚だけだから。
Pink Floydを語る上では重要なアルバムだけど、プログレを語るときはこのアルバムは抜きで。

で、2nd「神秘」からギターがデイブ・ギルモアに代わり、このメンバーがずっとPink Floydのメンバー。
ロジャー・ウォーターズ - Roger Waters(b/vo)
リチャード・ライト - Richard Wright(key/vo)
ニック・メイスン - Nick Mason (ds)
デヴィッド・ギルモア - David Gilmour(g/vo)

その後もまだ「プログレ」なんて言葉が生まれる以前に、サイケデリックと実験音楽を組み合わせたスタイルで数枚アルバムを発表し、「プログレ」のきっかけとなる「原子心母」というアルバムを完成させる。
LPのA面丸々を組曲「原子心母」という曲で占め、その曲はオーケストラと競演ということであり、またサウンドコラージュを多用した曲作りでもあり、革新的というよりは前衛的な雰囲気をロックに盛り込んだ傑作。
日本的にはこのアルバムで初めて「プログレッシブ・ロック」という言葉が使われたという説がある。

YESの時に、プログレの要素として「組曲的な長い曲」だとか「クラシックのような展開力」ということを書いたが、そういう意味ではこの曲はまさにプログレ。
ただし、YESに見られる様な「わかりやすいメロディ」は主題に現れるだけで、ほとんどはサウンドコラージュなため、新しい物好きには(現代ならば変わった物好き)受け入れられても、いわゆるロック・キッズには勧めがたい。
(B面には、ブリティッシュトラッドの優しい曲が並んでいるが…)

その後、これまた重要作「おせっかい」が発売される。
こちらはB面丸々が一曲「Echoes」で、上記のプログレ2要素に「宇宙観的広がり」という要素が加わる。
じっくりメロディを追いかけて聞いているような曲じゃない。
いわゆるトリップ状態で、ぼんやり20数分間意識を漂わせるに最適な曲である。
逆に言うと、こういう音楽が合わない方には退屈至極であろう。
また、このアルバムのA面1曲目「One Of These Days(吹けよか風、叫べよ嵐)」はプロレスがゴールデンタイムに放映されていた時代、アブドーラ・ザ・ブッチャー(今も現役でリングに上がっているから驚きだ)のテーマとして毎週のようにテレビから流れていた。
この曲がPink Floydだと知らない人も多いことだろう。

さらに「雲の影」をはさんで、いよいよ歴史的アルバム「狂気」が発売される。
「原子心母」「エコーズ」は組曲的な1曲だったが、このアルバムは数曲のアルバム全体によって「トータル・コンセプト」という方法を取っている。
つまり、1曲1曲は違う曲だが、それぞれをSEや短い曲でつないで、全部をひとつのテーマにそって展開していくという方法だ。
43分ほどの間、部分的にはなじみやすいメロディの曲でもあり、同時に一気に聞きほれてしまう世界観を持った作品…
詩的にも宇宙と内宇宙(インナースペース、精神世界)を組み合わせた幻想的なものだし、荘厳なスキャットや、後半の繰り返しを使った盛り上がり方など、今でも感動に打ち震える。

私は、これが「プログレッシブ・ロック」のひとつの極みだと思う。

その後、プログレとしてみると微妙な展開が待っているのだが…

(つづく)


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